光造形3Dプリンターレジン入門:選び方、用途、事例から最適機種まで徹底ガイド

光造形3Dプリンターレジン入門:選び方、用途、事例から最適機種まで徹底ガイド

3Dプリンターレジンの基本知識と選び方の紹介

光造形3Dプリンターのレジンは、専門家から趣味で3Dプリントを楽しむ方まで幅広い方々に関心を持たれています。このガイドでは、初心者や新規ユーザー、企業の研究開発チーム、学校の教員、個人の設計者やエンジニアに向けて、3Dプリンターレジンの基本知識や選び方をわかりやすく解説します。レジンの種類や選び方、最適な機種の選定、品質向上のヒントなど、充実した内容でお届けします。

光造形3Dプリンターレジンの基本

UVレジンとは?光造形3Dプリンターの材料

光造形3Dプリンターは、光硬化性樹脂(UVレジン)を用いて立体物を造形するデジタル製造技術です。UVレジンは、紫外線(UV)や可視光線によって硬化する特性を持ち、光造形3Dプリンターではレイヤーごとに硬化させながら積み重ねることで、精密な立体物を作成できます。


レジンの主要な特性と種類

レジンには様々な特性がありますが、主に次のような要素に注目して選択することが重要です。

強度:部品の用途や機能に応じて、適切な強度が求められます。一般的には、硬質レジンや高強度系レジンが用いられます。

柔軟性:ゴムライクレジンやエラストマー系のレジンは、柔軟性が求められる用途に適しています。

耐熱性:高耐熱レジンは、高温環境で使用される部品や金型に適しています。

耐紫外線・耐候性:経年による劣化、変色がなく高強度なレジンです。UV耐性や耐候性が高いレジンが適しています。

透明性:透明なモデルや光学部品には、クリアレジンが適しています。

また、特定の用途に特化したレジンも存在します。例えば、ジュエリー鋳造用のワックスレジンや、電子部品用の静電気放電(ESD)対応レジンなどがあります。これらの特性を踏まえ、用途や環境条件に合ったレジンを選択することが、良い3Dプリント結果を得るための鍵となります。

3Dプリンターレジンの種類

3Dプリンター用 硬質スタンダードレジン

硬質スタンダードレジンは、光造形3Dプリンターにおいて最も一般的に使用されるレジンです。多様な用途に対応できる汎用性が高く、プロトタイピングから模型、フィギュアまで幅広い分野で活用されています。このタイプのレジンは、適度な強度と耐久性を持っており、扱いやすさとコスト面でも手頃な価格であるため、初心者から熟練者まで幅広く利用されています。

3Dプリンター用 高速造形用レジン

高速造形用レジンは、短時間で高速な3Dプリントが可能な特性を持っています。そのため、試作品のスピードを向上させることが可能です。高速レジンは、通常のレジンよりも200ミクロンなどの積層ピッチで造形することができます。また高速レジンは、一般的なレジンよりも低コストで利用できます。その一方で耐久性が低く強度が求められる用途には適していません。

3Dプリンター用 耐紫外線(UV)・耐候性レジン

耐紫外線・耐候性レジンは、UVレジンの弱点である経年による変色や耐久性劣化を防ぐ量産グレードの品質を持っています。屋外での使用や長期間の耐久性が求められるプロジェクトに適しています。通常のレジンは紫外線によって劣化しやすいため、色褪せや変形が発生することがあります。しかし、耐UV・耐候性レジンは長期にわたり成形品レベルで使用ができます。

3Dプリンター用 高強度系レジン

高強度系レジンは、構造的な強度や耐衝撃性が必要な3Dプリントパーツに適しています。このタイプのレジンは、通常のレジンよりも剛性と強度が高く、機械部品やプロトタイプ、耐久性が求められる製品に使用されます。また、高強度レジンは繊細なディテールも再現可能で、機能性と美観を兼ね備えた3Dプリントが実現できます。このレジンを用いることで、より耐久性のある成形物を作成できます。

3Dプリンター用 ポリプロピレン(PP)ライクレジン

ポリプロピレン(PP)ライクレジンは、柔軟性と耐磨耗性が求められる3Dプリントに適した材料です。PPライクレジンは、低摩擦係数を持ち、自動車部品や家電製品のプロトタイピングに使用されることが多いです。また、リビングヒンジ(可動部)のような機能性部品の制作にも適しており、その特性から幅広い用途で活用されています。このレジンは、高い柔軟性と耐久性が特徴です。

3Dプリンター用 ABSライクレジン

ABSライクレジンは、高い強度と耐衝撃性を備えた3Dプリント用の材料です。ABS樹脂に似た特性を持ち、機械部品やプロトタイプの製作に適しています。また、耐熱性や耐薬品性も良好で、幅広い業界で利用されています。ABSライクレジンは、FDMプリンターでよく使われるABSフィラメントの光造形プリント版とも言えるため、機能性や美観性を両立させるプリントが可能となります。

3Dプリンター用 ポリエチレン(PE)ライクレジン

ポリエチレン(PE)ライクレジンは、低密度ポリエチレン(LDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)の特性を持つ光造形用レジンです。軽量で柔軟性があり、高い耐衝撃性を備えています。これらの特性は、包装材や容器、自動車部品などのプロトタイプ作成に適しており、幅広い用途で利用されています。PEライクレジンは、独特の機能性と加工性を兼ね備えた3Dプリント素材として注目されています。

3Dプリンター用 高耐熱レジン

高耐熱レジンは、3Dプリントにおいて高い温度耐性が求められる用途向けの光造形用レジンです。一般的に、耐熱性が100℃以上の性能を持っており、機械部品、エレクトロニクスのケーシング、自動車部品などのプロトタイプ製造や機能試作に適しています。高耐熱レジンは、熱変形温度が高く、優れた機械的強度と安定性を持つことから、厳しい環境下での使用に対応できる素材として重宝されています。

3Dプリンター用ESD(静電気放電)用ライクレジン

ESD(静電気放電)用ライクレジンは、電子機器や静電気に敏感な部品に対する静電気放電のリスクを低減する目的で開発された光造形用レジンです。ESD対応レジンは、導電性や静電気放電抵抗性を持ち、電子部品や半導体製造業界での使用に適しています。このタイプのレジンは、プロトタイピングや製造プロセスにおける静電気の影響を最小限に抑えることができるため、特に電子機器の製造や保守作業において重要な役割を果たします。

3Dプリンター用ゴムライクレジン

ゴムライクレジンは、柔軟性と伸縮性を持つ光造形用レジンで、ゴム製品に類似した特性を持ちます。このタイプのレジンは、シリコンやTPU(熱可塑性ポリウレタン)のような素材を再現することができ、プロトタイプや小規模生産で役立ちます。主な用途は、シーリング、クッション、グロメット、ガスケットなどの部品の製作で、自動車、医療機器、家電製品などの分野で利用されています。このレジンは、柔軟性と強度を兼ね備えており、多様な用途に対応できる特徴を持っています。

3Dプリンター用透明(クリア)レジン

透明レジンは、光造形3Dプリンターで利用される高光沢で透明度の高いレジンです。クリアレジンは、プロトタイプや最終製品の透明部品を作成する際に非常に役立ちます。主な用途は、光学部品、レンズ、照明器具、流体シミュレーション用のプロトタイプなどです。透明レジンを使用する際は、適切なポストプロセス(研磨やコーティング)を行うことで、さらに透明度を向上させることができます。このレジンは、デザイン確認や機能試験において優れた視認性を提供します。

3Dプリンター用ワックスレジン完全ガイド

ワックスレジンは、高精度で複雑な形状を持つキャスト可能なパーツを作成するために使用される特殊なレジンです。主にジュエリーや歯科技工物、美術品の鋳造などで活用されます。ワックスレジンは、熱によって容易に溶け、鋳造プロセスで容易に除去できるため、ロストワックス鋳造法に適しています。このレジンを使用することで、微細なディテールや複雑な幾何学的形状を持つ成形品を製造することが可能になります。鋳造後の仕上げや研磨が容易で、優れた品質の製品を作成できます。

用途にあったレジンの選び方

3Dプリンターのレジンは、用途に応じてさまざまな特性を持っています。この章では、それぞれの用途に適したレジンの選び方を解説します。

試作・プロトタイプにあったレジン

試作・プロトタイプ用途に適したレジンは、低コストで高精度な出力が重要です。硬質スタンダードレジンや高速造形用レジン、ABSライクレジンがおすすめで、良好な表面仕上げと機械特性を持ち、製品開発や機能検証に適しています。

透明なモデルのレジン

透明なモデルを作成する場合は、クリアレジンが最適です。光学的に透明であり、照明や光学系のプロトタイプ作成に適しています。また、良好な表面仕上げが得られ、コーティングや研磨などの後加工を施すことでガラスのような透明度が得られます。

樹脂金型用のレジン

樹脂金型用のレジンは、耐久性と耐熱性に優れています。短期間で試作品を小ロット量産する際に適しており、射出成形や熱可塑性材料との互換性が高いです。樹脂金型の寿命を延ばすため、適切な二次硬化、三次硬化も重要です。

フィギュア・模型用・ミニチュアのレジン

フィギュアや模型、ミニチュア製作に最適なレジンは、細部まで精密に再現できる高解像度が特徴です。また、塗装に適した表面仕上げが重要で、一般的にグレイやホワイトなどのカラーが利用されています。

アクセサリ・ジュエリー鋳造用のレジン

ジュエリーやアクセサリー鋳造に適したレジンは、高精度かつ細部の再現性が求められます。マスターモデル要は硬質レジン、また、キャスト可能なレジンを使用すれば、ダイレクトキャストが可能になり、金属への鋳造が容易になります。ただし3Dプリンターレジン専用の埋没材が必要になります。

ネイルアートなどのレジン

ネイルアート用レジンは、爪につけることから透明なレジンが最適です。クリアレジンは着色も可能で、かつ再現性や細かいデザインの表現力を実現するにも適しています。

治具・工具用のレジン

治具・工具用のレジンは、耐久性と強度が重要です。高強度で剛性のあるレジンを選びましょう。使用するパーツや用途によっては引張強度だけではなく耐熱性などが求められる場合があります。その際には高強度レジンのほか高耐熱レジンなどがおすすめです。

高強度パーツ用のレジン

高強度パーツ用レジンは、耐久性・剛性・衝撃強度のほか、最終品として使用するため一定の精度などが求められます。特にレジン系は紫外線など経年による変色や強度変化がある可能性があるため耐候性などもあるレジンが推奨です。Figure4などの量産レベルの光造形3Dプリンターが推奨です。

最終品・量産用のレジン

最終品・量産用レジンは、製品品質が重要です。射出成形レベルの仕上がりや強度などが求められるため、対応しているレジンは数少ない状況です。高耐久性、高精度、美観が求められる場合は、専用のエンジニアリングレジンを検討してください。Figure4などの量産グレードに対応した光造形3Dプリンターが推奨です。

光造形3Dプリンターで作れるもの

光造形3Dプリンターで作れるものとは? 光造形3Dプリンターではさまざまなものを作ることができます。今回は「光造形3Dプリンターで作れるもの」という切り口で、さまざまな作れるものをご紹介するとともに、最適な材料と、おすすめ機種を合わせてご紹介します。 

レジンの価格帯と対応機種

3Dプリンターレジンの価格帯は多様です。選択にあたっては、使用目的や予算、対応機種などを考慮しましょう。

レジンの価格帯

一般的に、レジンの価格帯は使用する3Dプリンターの価格帯に比例します。例えば、20万円以下の安価な光造形では、標準レジンは2,000~5,000円/1リットル程度で手に入ります。その一方で50万円以上の機種では、10,000~20,000円/1リットル以上にもなります。

価格帯が異なる理由として、レジンは材料費としてだけではなく一定の造形品質を担保している点も含まれているといえます。また高強度や高耐熱、耐候性など特殊な性能を持つレジンは高価格になり使用できる機種も限られています。


価格とサポート体制を
考慮した選択

3Dプリンター用レジンを選ぶ際には、価格だけでなく、サポート体制も重要です。安価なレジンを選ぶ場合でも、製品のサポートが充実しているメーカーを選ぶと、トラブルが起きた際にも安心です。また、対応機種にも注意が必要で、選んだレジンが自分の3Dプリンターに適しているかどうか確認してください。対応機種が限られている高性能レジンは、互換性のある3Dプリンターが必要となります。

最適なレジンを見つけるためには、価格帯と対応機種、サポート体制を総合的に考慮することが大切です。自分の要件や予算に合ったレジンを選び、3Dプリントの効果的な活用を目指しましょう。

レジンの取り扱い注意点

3Dプリンターレジンは、正しい取り扱いが重要です。ここでは、保管方法や消耗品の管理、廃棄方法など、レジン取り扱いの注意点を解説します。

レジンの保管と注意

レジンは、直射日光や高温多湿を避け、密封容器に入れて冷暗所で保管しましょう。また、長期間保管する場合は、定期的に容器を振って成分の沈殿を防ぎます。レジンには有機溶剤が含まれるため、取り扱い時は手袋などを着用し、換気の良い場所で作業を行ってください。

レジンとその他の消耗品

レジンプリントでは、レジンタンクやFEPフィルムなどの消耗品も管理が必要です。消耗品は定期的に交換・メンテナンスし、品質の低下を防ぐことが重要です。また、使い古した消耗品は適切に処分しましょう。特に長期間レジンが触れることで、レジンタンクやフィルムも劣化しプリント品質に影響を与えます。

レジンの廃棄方法

使用済みのレジンは、固めてから一般廃棄物として処分できます。未硬化のレジンは、紫外線(UV)ライトや野外の直射日光で硬化させてから廃棄してください。また、大量の廃棄物が発生する場合は、専門業者に依頼することを検討しましょう。

レジンで洗浄した廃液について

プリント後のモデルを洗浄する際に使用した廃液は、適切な処理が必要です。洗浄液には、エタコールやIPA(イソプロピルアルコール)やエタノールなどの薬品が含まれるため、環境に影響を与える可能性があります。廃液は密閉容器に保管し、自治体の指示に従って適切に処分してください。

提供から廃棄までワンストップ!手間いらずでエコな3Dプリンター洗浄液サービス

樹脂製品の洗浄に使用される洗浄液は、環境に配慮されたものや効率的な洗浄が行えるものが用意されています。また、お手軽な洗浄サービスも利用可能です。

3Dプリント環境の整備

3Dプリンターを使用する際は、作業環境の整備が重要です。部屋の温度や湿度がレジンの性能に影響を与えるため、適切な条件でのプリントが求められます。環境を整えることで、プリント品質の向上やトラブルの軽減が期待できます。例えば冬場などはレジンが固まっているケースがあり、暖房などで十分温めてから使用しましょう。レジンの温度と粘土は造形品質に影響を与えます。

3Dプリント後のケア

3Dプリント後のモデルは、残留する未硬化のレジンを適切に洗浄し、充分な紫外線(UV)硬化が必要です。未硬化レジンが残ると、モデル表面がべたつくため、細部のディテールが損なわれる可能性があります。洗浄後、UVライトや太陽光で十分に硬化させましょう。


空気清浄機の活用

3Dプリンターでレジンを使用する際、臭いなどが発生することがあります。これらの物質は、空気清浄機を使用することで除去できます。作業環境の改善には、空気清浄機の設置を検討してください。

3Dプリンターのレジンを安全かつ効果的に使用するためには、適切な取り扱いや環境整備が重要です。本章で紹介した注意点を押さえつつ、3Dプリントを楽しみ、さまざまな用途で活用しましょう。

光造形用レジンに関するお問い合わせとテストプリント

専門家に相談する

光造形3Dプリンター用のレジンを利用する際に、疑問や悩みが生じることがあります。そんなときは、是非i-MAKERの専門家に相談しましょう。弊社では3Dプリンターに関するさまざまな情報源があります。専門家のアドバイスを活用することで、問題の解決やスキルの向上が期待できます。

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テストプリントの依頼方法

光造形3Dプリンターレジンを使用する前に、テストプリントをおすすめします。I-MAKERでは、テストプリントのサービスを提供しています。是非実際の出力品質や適合性を確認するためにご利用ください。