3Dプリンター用ワックスレジン完全ガイド

3Dプリンター用ワックスレジンとは

3Dプリンター用ワックスレジンは、ジュエリー製造などで使用されるロストワックス鋳造(インベストメント鋳造)に使用できる材料です。

ロストワックス鋳造(インベストメント鋳造)とは、ロウ型をつくり、それを砂型で挟んで加熱し、ロウを焼失させできた空洞に金属を流しこんで作る金属加工技術ですが、3Dプリンター用ワックス樹脂は、このロウ型を3D CADデータから直接作ることができる材料です。

ワックスレジンは主に、光造形3Dプリンターの材料として使用することができます。

3Dプリンター用ワックスレジン

3Dプリンター用ワックスレジンでできること

3Dプリンター用ワックスレジンを使うことで、ジュエリーを製造するロストワックス鋳造(インベストメント鋳造)を飛躍的に効率化し、造形精度を高めることができます。

ロストワックス鋳造の精度向上

3Dプリンター用ワックスレジンを使うことで、ロストワックス鋳造の精度を向上させることができます。従来のワックスモデルは手作業による削り出しなどが一般的でしたが、ワックスレジンを使用すれば、3D CADデータ通りのワックスモデルをつくることが可能です。

また光造形3Dプリンターの精度は、高精細で滑らかな表面を造形することが可能で、鋳造に求められる高品質なワックスモデルをつくることができます。

さらに光造形3Dプリンターは、これまで加工することが困難であった形状、中空やラティス構造などもつくることができ、25ミクロンや50ミクロンの積層ピッチで、細かいディテールも表現できます。

3Dプリンター用ワックスレジン

ロストワックス鋳造のリードタイム短縮

3Dプリンター用ワックスレジンを使用すれば、ロストワックス鋳造のリードタイムも短縮することが可能です。

これまでのロストワックス鋳造は、まず初めに最終品の原型となるマスターモデルをつくり、そのマスターモデルからシリコン型をつくります。その後シリコン型にロウを流しこんで、鋳造に使用するロウ型をつくります。

しかし、3Dプリンター用ワックスレジンをつかえば、3Dデータから直接ロウ型をつくることができるため、マスターモデルやシリコン型をつくる必要はありません。

このようにロストワックス鋳造(インベストメント鋳造)の工程を短縮することで、リードタイムの向上につなげることが可能です。

3Dプリンター用ワックスレジン

ロストワックス鋳造のコスト削減

3Dプリンター用ワックスレジンを使用することで、ロストワックス鋳造(インベストメント鋳造)のコスト削減にもつなげることができます。

ワックスモデルを作る材料費も、ブロックを削り出すのと比べて、造形に必要な分しか使用せず、無駄な消費量を抑えることができます。またマスターモデルやシリコン型を作るコストも抑えられます。

カスタマイズが容易

3Dプリンター用ワックスレジンでは、デザインのカスタマイズが容易です。微妙な形状違いやデザインパターンを作る場合にも、光造形3Dプリンターであれば、3Dデータからダイレクトに製造できます。

切削加工や手作業のように1個ずつ別々につくる必要はありません。

3Dプリンター用ワックスレジン

生産性の向上

3Dプリンター用ワックスレジンでワックスモデルを作ればジュエリー製造の生産性を大幅に向上させることができます。例えば、複数のモデルやカスタマイズしたモデルをつくる場合には、光造形3Dプリンターは、優れた生産性を発揮します。

光造形3Dプリンターは、UV硬化レジンにUV光を照射して造形しますが、レーザーでUV光が照射されるため、1個プリントする場合も、複数プリントする場合もプリント時間はかわりません。

(※SLA方式はビーム状にレーザーが照射されるため複数作る場合は若干増える。1時間が1.1時間や1.2時間程度。DLP方式は面でレーザーがあたるため1個でも複数でもプリント時間は変わらない)

3Dプリンター用ワックスレジン

オンデマンド製造

3Dプリンター用ワックスレジンを使えば、オンデマンド製造も可能です。例えば、1品ものの造形物など、こだわったデザインやカスタマイズの特注品なども、ワックス樹脂と光造形3Dプリンターであれば受注生産が可能です。

オンデマンド製造に対応することで、新たなビジネスや、高付加価値のサービスを提供することが可能です。

3Dプリンター用ワックスレジン

3Dプリンター用ワックス樹脂でつくれるもの

3Dプリンター用ワックスレジンではワックスモデルの代替品を作ることが可能です。

ここでは光造形3DプリンターのForm3Form2によるワックスレジンを使ったさまざまなつくれるものをご紹介します。

エンゲージリング。ドイツ大手結婚指輪メーカーegf Manufaktur

ドイツの大手結婚指輪メーカーegf Manufaktur社は、結婚指輪、エンゲージリングの製造にFormlabsのワックス樹脂であるキャスタブルレジンを取り入れています。

特に、結婚指輪のようにオーダーメイドによるカスタマイズ製造が中心の分野で、3Dプリンター用ワックスレジンが力を発揮しています。

オーダーメイドのジュエリー製造では顧客との間におけるデザインの詳細なやりとりが時間がかかりますが、egf ManufakturはこのプロセスをForm2とキャスタブルレジンを使用することで、10倍短縮することに成功しました。

同社が画期的な点は、CADソフトウェアをカスタマイズすることで、顧客の目の前で、従業員が、プリロードの婚約指輪のデザインを簡単に調整できるようにしたことです。

これによりデザインがその場で決められ、Formlabsの専用ソフトウェアPreformに送られることで、アクリル樹脂ベースのグレイレジンでマスターモデルを作ります。その後生産段階にはキャスタブルレジンでプリントし鋳造を行いました。

3Dプリンター用ワックスレジン

プラチナ、パラジウム、金の鋳造に使用。イギリスのQ Branch Bespoke Casting社

イギリスのQ Branch Bespoke Casting社は、宝飾品の鋳造にForm2と、ワックスレジンであるキャスタブルワックスを取り入れています。

主にプラチナ、パラジウム、金の鋳造に使用しており、貴金属の鋳造を効率化しています。

同社は、Form2がコストと比較して、“細部”と“表面仕上げ”の部分で非常にバランスがいい点を評価し、業務用のハイエンド3Dプリンターに匹敵すると考えています。

宝石、時計の修理。金、銀、プラチナの鋳造に使用。ドイツのUlrich Wehpke社

ドイツ鋳造工房Ulrich Wehpke社もForm2とキャスタブルレジンを使用し、金や銀、プラチナの鋳造を効率化させています。主に結婚指輪や婚約指輪、男性用指輪の製造を初め、宝石や時計の修理にも取り入れています。

ゼロからのジュエリー教育プログラム コペンハーゲンデザイン工科大学

3Dプリンター用ワックスレジンは、ジュエリー教育プログラムにも利用が開始されています。

デンマークのコペンハーゲンデザイン工科大学では、Form2とキャスタブルレジンを使い、ゼロからデジタルツールを使ってジュエリービジネスを立ち上げるコースを開設しています。

ジュエリー・テクノロジービジネスのコースで、CADデザインから3Dプリント、金型製作、鋳造にいたるまで、最先端のデジタルテクノロジーと伝統的な鋳造技術を使って、ゼロからジュエリービジネスの立ち上げが学べます。

ある学生は、CADモデルで指輪のデザインを行い、Formlabsのブラックレジンで複数の試作品を作りシルバーの見た目を再現するためスプレー塗装を行いました。

その後最終モデルをキャスタブルレジンでプリントし、金と銀で鋳造を行いました。さらには実際に販売を行うことで3カ月で13,000ユーロの収益を上げることに成功しています。

3Dプリンター用ワックスレジンの特長

3Dプリンター用ワックスレジンの特長は、驚くほど滑らかで高精細な仕上がりが可能です。

ジュエリー製造に求められる繊細なデザインを実現できるうえ、3Dプリンターならではのメッシュ構造や中空構造、ラティス構造など、手作業で作ることは難しい非常に微細なプリントが可能です。また、鋳造性能も高く、素早くて信頼性の高い焼失を可能にします。

3Dプリンター用ワックスレジンの特性一覧

  • 高精細で滑らかな質感
  • 繊細なデザインの実現
  • 素早くて確実な焼失

3Dプリンター用ワックスレジンの種類

3Dプリンター用ワックスレジンにはさまざまな樹脂が登場しています。ここでは代表的なFormlabsのワックス樹脂についてご紹介します。

3Dプリンター用ワックスレジン

家庭用(低価格)3Dプリンターのワックス樹脂

3Dプリンター用ワックスレジンが使える家庭用(低価格)3Dプリンターの代表としてFormlabsのForm3Form2があります。Form2は、全世界で4万台以上の販売実績があり、4000点以上ものプリントに成功している信頼性の高い3Dプリンターです。

そしてForm3は、Form2の進化版として、より滑らかな造形を実現しました。特にワックスレジンは2種類のラインナップがそろっており、高品質で高精細な造形を実現します。

また、Form3、Form2は、プリント設定を3Dプリンター本体が全て自動で行ってくれる機種で、誰が使用しても信頼性の高いプリント結果を得ることができます。

キャスタブルレジン(Form2対応)

Formlabsのワックスレジンがキャスタブルレジンです。キャスタブルレジンはブルー色をしたロストワックス鋳造(インベストメント鋳造)に最適化された樹脂です。

Form2とともに高精細で滑らかな仕上がりと最適な焼失性能を発揮します。キャスタブルレジンは、鋳造性能を発揮するためには二次硬化が必要です。
※キャスタブルレジンはForm3には対応していません。

3Dプリンター用ワックス

キャスタブルワックス (Form3、Form2対応)

キャスタブルワックスは、キャスタブルレジンよりも焼失時間を短縮させたロストワックス鋳造(インベストメント鋳造)専用のレジンです。

また、樹脂に加え本物のワックスを20%配合した材料で、8時間という短時間で鋳造が可能です。

さらにキャスタブルレジンとは違い、二次硬化が不要で、プリント後洗浄すればそのまま鋳造に利用することが可能です。

キャスタブルワックスの性能は、高精細で精密な仕上がりや超微細な造形が可能で、素早い焼失が可能なことからインベストメント鋳造に最適な万能材料と言えるでしょう。

3Dプリンター用ワックス

3Dプリンター用ワックス樹脂の注意点と対策

3Dプリンター用ワックス樹脂は、UV硬化レジンであることから、取り扱いに何点か注意が必要です。

紫外線を避けて保管する

3Dプリンター用ワックスレジンは、光造形3Dプリンター専用のUV硬化レジンです。

UV硬化レジンは液体で、紫外線、UV光があたることで硬化します。SLAはビーム状のUV光を、DLPは面でUV光をあてて固めますが、UV硬化レジンは、日光などの紫外線でも簡単に硬化してしまいます。

そのため、保管する際には、遮蔽して紫外線の当たらない環境で保存してください。

洗浄と乾燥が必要

3Dプリンター用ワックスレジンは、液体状のUV硬化レジンであるため、プリント完了後にもモデルに余分な液体樹脂がこびりついています。

そのため、イソプロピル・アルコール(IPA)やエタノールなどの薬品で洗浄を行ってください。また洗浄後は、十分に乾燥させてから鋳造に使用してください。

まとめ:ジュエリー&金属鋳造をデジタル化

3Dプリンター用のワックスレジンを使用することでこれまで手作業であったジュエリーや時計などのロストワックス鋳造をデジタル化することができます。製法がデジタル化されることにはさまざまなメリットがあります。

第一に、高精細で精密なデザインが実現できる。第二に、品質が安定し手作業によるばらつきも無くすことができる。第三に、生産性が飛躍的に向上する。また3Dプリンターでの製法と手作業を組み合わせることで、より精密で進化した金属鋳造を実現することができます。

ロストワックス鋳造と3Dプリンター用ワックスレジンの組み合わせはものづくりを大きく広げることでしょう。

2020.1.7 投稿者:i-maker

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