Form3が国際宝飾展で初登場。進むロストワックス鋳造のデジタル化
Form3が国際宝飾展で初登場
2020年01月20日から23日の間、東京ビッグサイトにおいて国際宝飾展(以下IJT2020)が開催された。今回で31回目の開催となる宝飾展は、世界中から宝飾メーカーなどが出展し数多くのバイヤーやジュエリー関係者が集まる一大展示会だ。
IJT2020では、宝石類から貴金属アクセサリーまで多数の商品が登場するが、ジュエリーの製造に関する出展もひときわ注目を集めている。

進むロストワックス鋳造のデジタル化
特にシルバーアクセサリーの製造方法であるロストワックス鋳造の分野においては近年3Dプリンターを使ったデジタル化が進み、デジタルデータからダイレクトにワックスモデルを作ることが行われている。
今回はそんなロストワックス鋳造を変える新たな3Dプリンター Formlabs Form3の展示をご紹介しよう。

Form3がロストワックス鋳造で果たす二つの役割
Form3は、全世界最多の導入実績を誇った3DプリンターForm2の後継機だ。FormlabsはIJTに3年連続出展しているが、今回Form3を展示するのは初めてである。
貴金属アクセサリーの製造でForm3が使用されるケースは年々拡大し、ロストワックス鋳造のデジタル化は、アクセサリー製造の精度を向上させ、同時に生産性や効率化も果たしている。
Form3がロストワックス鋳造で使用されるケースは2種類に分かれており、第一が鋳造用ワックスモデルの直接製造である。第二がワックスモデルを量産する前の形状確認用の試作やシリコーン型用のマスターモデルだ。
キャスタブルワックスレジンで鋳造性UP
Form3の主な役割であるワックスモデルの直接製造では、キャスタブルワックスレジンが使用される。紫色のUV硬化レジンで、本物のロウが20%配合されたレジンだ。
ちなみにロストワックス鋳造とは、簡単にプロセスをご紹介すると蝋型を埋没材で挟み込み、過熱することで埋没材が固まり、内部の蝋型が溶けてなくなり、その空洞に金属を流し込み形にする手法である。
これまでは蝋を削りジュエリーの形にすることで蝋型がつくられてきたが、Form3とキャスタブルワックスレジンを使用することで、より複雑なデザインや形状が効率的に作れるようになる。
また、以前のキャスタブルレジンよりも本物の蝋が配合されることで焼成時の消失性が向上し8時間で焼失することが可能となった。

Form3でより滑らかに
またForm3では、レーザー部分をユニット化することで、常に垂直にレーザーが照射され、XYの平面でも25ミクロンの解像度となったことが大きい。
Form2では、機関部がユニット化されておらず、UVレーザーをガルバノミラーに反射させて照射していたため、場所によってはレーザー垂直にあたらず、若干造形位置によって仕上がりが異なることがあった。
しかしForm3では、造形する位置によるムラがなく仕上げることができる。
また、このユニット化によって層と層のピッチ合わせがより正確になり、滑らかな仕上がりを実現することができる。

量産にも最適
Form3は、プラットフォームにUV光を照射して造形することから、複数のプリント時に優れた効果を発揮する。
高速でレーザーがあたることから、1個の造形時間でも複数同時に作った場合でもあまり時間が変わらず一度に量産することができる。例えば、下記はキャスタブルワックスを複数プリントした時のソフトウェアの画面だが、一度に35個のワックスモデルを作ることが可能だ。
Form3とキャスタブルワックスを使用すれば、より高精細で滑らかなモデルが、一度に短時間で作ることができる。

グレイレジンやハイテンプレジンでマスターモデルも
Form3の特長の一つが一台で複数のレジンを使用することができる点だ。中でもグレイレジンとハイテンプレジンは25ミクロンからの積層ピッチが選択可能で、表面のディティールをより美しく再現できる。
グレイレジンは固くて一定の強度がある材料で、ジュエリー鋳造で使用する際には、試作モデルやシリコーン型のマスターモデルとしても使用が可能だ。

また、ハイテンプレジンを用いれば、加硫ゴムによる高熱に負けることなく型作成が可能となる。ちなみにシリコーン型や加硫ゴム型は、ワックスモデルの作成に使用するもので、マスターモデルでつくった型に溶けた蝋を流し込んで蝋型を作る手法である。

鋳造機やレーザーマーカーでオールインワンのカスタマイズを実現
今回のIJTでは、Form3と合わせて、鋳造機やレーザーマーカーとの併設展示も行われた。鋳造機メーカーである吉田キャスト工業株式会社の豊富な鋳造機ラインナップも展示されForm3と鋳造機によるオールインワンのジュエリー製造が可能になる。
またレーザーマーカーTASTEを使用することで、金属に名入れや模様などマーキングによるカスタマイズも実現することができる。レーザーマーカーでは、STLなどの三次元データにも対応しており、さまざまなデータ形式からマーキングができる。


こうしたデジタルの多彩な組み合わせにより、オンデマンドのカスタマイズ生産がより手軽に、スピーディに実現することが可能となる。
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