PreForm Form 3専用ソフトウェアの使い方と造形のコツ

PreForm とは

Form3が他の3Dプリンターと違う特長の一つが専用ソフトウェアPreFormです。PreFormはForm 3、Form 2で使用することができるスライサーソフトで、

  1. プリント方向
  2. サポート材の設定
  3. 拡大縮小
  4. レイアウト

など造形モデルの最適なプリント設定を行うことができます。

PreFormを使いこなすことで、より造形モデルを綺麗に仕上げたり、プリント時間を短縮することが可能です。

また、PreFormの特長の一つが優れたインターフェースです。直観的に操作することが可能で、誰でも簡単に3Dモデルのプリント設定を編集することが可能です。

ここではPreFormの機能と特長から、Form 3で綺麗な仕上がりができるプリント設定のポイントまでご紹介します。

PreFormのインストール方法はこちらをご参照ください。「PreFormのインストール・更新方法

PreFormの全体図、コマンドと表示

まず初めにPreFormの全体の見方、各コマンドの機能についてご紹介します。(ここではPreFormの設定がすみ、ご使用の3Dプリンターが選択されている前提です。

PreFormの設定については、「Form 3でプリントを開始する方法」をご参照ください。

PreFormを立ち上げると以下のような画面が立ち上がります。ここでは画面左側にある4つのコマンドについてご紹介します。

ワンクリックプリント

一番上のボタンはワンクリックプリントを行うボタンです。ワンクリックプリントは、プリント方向と傾き、プリントする位置、サポート材のつけ方を自動で設定してくれるボタンです。

ワンクリックプリントを行うことで、細かい設定などを行わなくてもPreFormが造形モデルの形状を認識して、自動設定してくれます。

プリントをセットアップするをクリックします。
自動でプリント方向・サポート材を設定してくれます。

ワンクリックプリントで設定した後は、Form 3にプリントデータを送るだけで3Dプリントを開始することができます。

そのままForm3やFom2にアップロード可能です。

注意点:
必ずしもワンクリックプリントが最もきれいに造形できるわけではありません。造形モデルの形によってはサポート材を付けたく無いところまでサポート材がついてしまったりします。あくまでもプリント設定の一つとして造形の目安にしてください。例えば、このワンクリックプリントをベースにサポート材の数量や大きさなどを編集することもできます。

造形モデルの拡大・縮小

ワンクリックプリントのすぐ下のアイコンが造形モデルの拡大と縮小を行うアイコンです。読み込んだSTLもしくはOBJデータをPreForm上で拡大縮小することが可能です。

上から2番目のアイコンがサイズを変更できるアイコンです。

拡大・縮小の方法は読み込んだ造形データのサイズから倍率を指定して拡大縮小を行う方法か、XYZのサイズを直接入力して拡大・縮小する方法もあります。

倍率やXYZのサイズを直接編集ができます。

Form 3の最大造形サイズは145mm×145mm×185mmです。この範囲を超える造形モデルを読み込むと自動で縮小も可能です。

造形モデルの向きを変更する

上から3番目のアイコンで造形モデルの向きを変更することができます。Form 3ではプリント方向によってサポート材のつけ方や造形精度が変わります

プリント方向では3つの方法が可能です。

造形モデルを矢印・マウスで動かす

第一が、モデルを直接選択しモデルを回転させる方法です。矢印の方向を選択するか、マウスで造形モデルを選択すると中央に円形の丸いマニピュレータに沿ってクリック&ドラッグしながら、モデルを自由に回転させます。

矢印やマウスで自由に方向を変えることができます。

XYZの軸角度を入力

第二の方法が、直接軸の角度を入力して傾きを調整する方法です。この方法ではX方向、Y方向、Z方向の3つの数値が入力可能で、直接入力するか、クリックすることで1度ずつ角度を変えることができます。

XYZそれぞれ角度を付けて方向を調整できます。

底面を選択する

第三の方法が造形モデルの各面を底面に選択して配置する方法です。造形モデルを6面のボックスとしてとらえてどの面を底面にするか決めます。その後上の軸の角度調整で編集することも可能です。

6面で把握し底面を決められます。

サポート材の設定

サポート材の設定では、サポート材の太さ、密度、つけ方など細かい設定を行うことができます。Form 3のような光造形3Dプリンターは造形物とサポート材が同じ材料を使用します。そのためサポート材のつけ方によって造形後の後処理の手間や仕上がりが大きく異なります。

プリント方向が決まれば後はサポート材の設定です。

サポートの自動設定

サポート材の設定はサポートの自動設定を押すと自動でプリント方向に従ってサポート材を付けてくれます。

サポート材の自動設定を押すと自動で生成します。
サポート材が生成されました。

サポート材の手動設定

サポート材は1本ずつ手動で設定することができます。ツールバーの「複数のサポートを編集する」の項目にある編集ボタンを開くと、タッチポイントのサイズと、編集画面が開きます。

サポート材を追加したい場合には追加したい箇所をマウスでクリックすると白い点がつきます。

カーソルを自由な場所に移動させると白い丸がつけらサポートがつけられます。

一方、サポート材を削除したい場合には削除したい箇所に矢印を合わせると赤くなるので、クリックすると消えます。

カーソルを白い丸に合わせると赤くなるのでクリックすると消えます。

その後「適用」ボタンを押すとサポート材が生成されます。

適応ボタンを押すと編集した状態でサポート材が生成されます。

ラフト設定

サポート材の自動設定方法ですが、主に3つの方法があります。

第一がラフトの設定です。ラフトとは造形モデルを作る際の土台のことです。PreFormでは2種類のラフト設定と、ラフト無を選ぶことができます。ラフト無では、造形モデルをビルド・プラットフォームに直接付着させて造形します。

ラフトの項目をプルダウンで選ぶことができます。

フルラフト

ラフトの2種類はフルラフトとミニラフトの2種類があります。フルラフトとは土台そのものを作り、その上にサポート材を伸ばして造形モデルを支えるラフトです。

特長としては材料を消費する分、造形モデルが安定します。また造形モデルをはがす際にはスクレイパーで1か所こじ開けることで空気を入れて取り外すことができます。

フルラフトがデフォルトです。

ミニラフト

一方ミニラフトはフルラフトのような土台をつくるのではなくサポート材1本ずつに小さいラフトを作るもので、フルラフトよりも材料消耗が少なく済みます。

また複数の造形モデルを一度にプリントする場合には、ラフト面積を取らないため、モデルとモデルを近い距離で配置でき、複数のモデルをプリントできます。その一方で、取り外しには手間がかかります。

ミニラフトだと材料が節約できます。

ラフトノベル

フルラフトの場合、ラフトにデータの名前を入れることことができます。これがラフトノベルの機能です。ラフトノベルはチェックを入れるだけで設定が可能です。

例えばバリエーションデザインなど複数の造形モデルをプリントする際など、ラフトノベルで見分けると便利です。

ラフトノベルにチェックを入れるとデータ名が入ります。

サポート材の密度の編集

密度ではサポート材の本数の密度を編集することができます。

密度はベースが1.0となっており、数値を0.05単位で増減することができます。密度は高くなればなるほど造形は安定しますが、サポート材の本数が増え除去が大変になります。一方密度を低くすればするほどサポート材の本数が減り除去が楽になります。その反面、場合によっては造形物を支えきれない場合があります。

造形物の形状や大きさによって密度を増減させて調整します。

密度を変えることで本数を変更することができます。

サポート材のタッチポイントの編集

タッチポイントとは造形モデルとサポート材の接触する部分のサイズのことです。

このタッチポイントが小さくなればなるほど造形モデルとサポート材との接地面が小さくなり、造形モデルが取り外しやすくなり、サポート材の跡も小さくなります。その反面、造形物が支えられない可能性もあります。

タッチポイントのサイズは最大1.3mmまで、最小では0.1mmの範囲で調整ができます。しかし0.4mm以下に設定しようとすると警告がでます。この限界値は造形モデルの形状やサイズなどによって異なります。造形モデルの形状や大きさによって異なりますが、0.35mmが限界のような気がします。

タッチポイントのサイズを変えることができます。

内部サポートの有無

内部サポートとは造形モデルの中空部分のサポート材のことです。造形モデルの形状によっては内部が空洞になっているところや、内部でオーバーハングになっている部分につける設定です。

内部サポートのありなしを選択できます。

基本的に中空や内部のオーバーハングに内部サポートを付けないと、場合によっては造形モデルを支えることができない可能性があります。

ただ、内部サポートを付けるとサポート材が除去できない部分が出てくる可能性があり、形状によって判断が必要です。

チェックを外すと内部の中空部分にサポート材を付けずに造形ができます。

また、内部サポートが必要な個所で、サポート材があまり付けたく無い場合には、内部サポート有で設定し、手動でサポートを部分的に減らすなどの方法も必要です。

詳細設定

詳細設定ではラフトの細かい設定を行うことができます。

平面間隔設定の変更(調整不可)

平面間隔設定とは、サポート材のタッチポイントごとの間隔の設定です。ただ、この項目は直接編集することができません。デフォルトは5.0㎜に設定されていますが、サポート材の密度の設定値によって自動で変わります。

傾斜乗数

傾斜乗数とは角度のある表面に生成されるサポート構造の密度のことです。傾斜乗数はデフォルトが1.0に設定されていますが、値を小さくすると、サポート間の間隔が広がります。一方、入力する値を大きくすると、サポート間の間隔が狭まり、サポートの密度が増えます。

ラフト上の高さ

ラフト上の高さですが、ラフトから造形モデルまでの距離です。デフォルトは0.5mmに設定されています。ラフトの上の高さの値が小さすぎると、十分のサポート材がつけられず、変形の恐れがあります。

ラフトの厚さ

ラフトの厚さはデフォルトで2.0mmに調整されています。この値を高くするとラフトは厚くなり、薄くするとラフトが薄くなります。

ラフトが薄くなると、サポート構造の安定度が低下します。一方ラフトの厚みが増すと、ビルド・プラットフォームから造形モデルを取り外すのに、より多くの力が必要になります。

Z軸圧縮調整(ラフト無の場合のみ調整可能)

Form 3では、一番初めの層をプリントする際、造形モデルをしっかりとビルド・プラットフォームに固定させるために、Z軸に沿ってレイヤーを圧縮する機能があります。

そのため、完成したプリントの高さはほんの僅に、設計したモデルの高さよりも短くなることがあります。Z軸圧縮補正は、このモデルの高さを、プリント中に設計通りに補正する機能です。Z軸圧縮補正のデフォルト値は、0.75mmに設定されています。

初期レイヤーのマージを調整(ラフト無の場合のみ調整可能)

表面に凹凸がある造形モデルを直接プリントする場合、ビルド・プラットフォームにしっかり固定できない場合があります。

初期レイヤーのマージ調整とは、ビルド・プラットフォームに接するベース部分を平坦で滑らかにする機能です。この機能により造形モデルをビルド・プラットフォームにしっかり密着させることができます。

レイアウトの編集

PreFormでモデルのプリント方向、サポート材のつけ方が終わった後はレイアウトの編集が可能です。レイアウトの編集では、造形モデルのプリント位置、モデルの複製、配列などを設定することが可能です。光造形3Dプリンターは複数プリントを行う場合に優れた生産性を発揮します。

レイアウトでプリント位置や数などを設定できます。

複製

複製では、数量を指定して同じ設定の造形モデルを複製することができます。

複製できます。

配列

配列ではXとYの配列を設定することができます。カウントはそれぞれの方向で何個配置するのか、スペーシングはモデルとモデルの間のスペースの広さです。

レイアウトの配列も自在です。

ミラーリング

ミラーリングは選択した造形モデルを押すとミラー仕様で反転します。

ミラーリングで反転できます。

ビューを変更する

造形モデルのプリント設定が終わった後は各角度からの確認をすることができます。右上の角にある矢印をクリックすると、矢印が指している方向からビルドプラットフォームを見れるようになります。

中央にあるHome(ホーム)アイコンをクリックすると、元のビューに戻ります。

ホームボタンを押すと中心に合わせられます。

スライダーでプリントプロセスを確認する

スライダーバーをスライドさせると設定したプリントプロセスを確認することができます。内部の構造やサポート材の付き方など、複雑なモデルでは内部構造までプリントプロセスを見ることができます。

PreFormを使いこなす。綺麗でミスのない造形の実現

PreFormを使いこなすことで、綺麗でミスのない造形を実現することができます。ここではPreFormを使ってより3Dプリントを高品質に仕上げる方法や注意点をご紹介します。プリント方向やサポート材のつけ方などは、造形モデルによって個別に最適化される必要があり、すべての造形モデルに当てはまるわけではありませんが、参考にはなればと思います。

反転方式の光造形3Dプリンターの特性を知る

まず初めに、プリント方向などの最適化の前に、反転方式の光造形3Dプリンターの特性を理解する必要があります。反転方式の光造形3Dプリンターは、レジンタンクにビルド・プラットフォームがつかり、下からUV光のレーザービームが照射されて1層ずつ積層されていきます。

その際、ビルド・プラットフォームも1層ごとに上げ下げを繰り返して積層していくため、液面から引きはがされる際に剥離力がかかります。この剥離力によって物体がZ軸(縦方向)に引き延ばされる傾向にあります。

Form 3はこの剥離力を低減させるためにレジンタンクをフレキシブルにしレーザーユニットが押し当てられながら引きはがされる機能を搭載していますが、プリントする方向や形状には推奨される方向、形状があります。

斜めのプリント方向が推奨

Form 3では上記でご説明したように、ビルド・プラットフォームが一層ずつ引き上げを繰り返すため、プリント方向は基本的に斜めが推奨となっています。

例えば平面にプリントする場合、最初にビルド・プラットフォームとレジンタンクの接地面が大きくなり引きはがす際の剥離力が強くなり造形精度に影響を与える可能性があります。

そのため、最小は小さく、だんだん末広がりに広がる斜め方向のプリント設定が綺麗に造形することができます。

水平・垂直方向でプリントする場合

すべての造形モデルが斜めがいいとは限りません。造形モデルの形状や、サポート材をどうしても付けたく無い場合などは水平・垂直方向でプリントしたほうが綺麗に仕上がる場合も多くあります。

例えば円筒形や棒状の形状などは、縦方向にプリントしたほうがサポート材の接地面が少なく仕上がります。

吸引カップをプリントする場合

反転方式の光造形3Dプリンターでは、カップ形状でのプリントに注意が必要です。

レジンタンクの液体レジンにカップ状の造形モデルがつかることで、プリントしたパーツとレジンタンクの間に空気が閉じ込められ、真空状態になります。これが吸引カップといわれる状態で、造形モデルがゆがんだり積層跡が残ったりする可能性があります。

カップ状の造形モデルをForm 3でプリントする場合には3つの方法があります。

吸引カップを解消する方法1:斜め方向

第一が、プリント方向を斜め5-15°傾け斜めの方向でプリントします。ただこのプリント方向では、カップ状の造形モデルの外側や周囲にサポート材がつきます。

吸引カップを解消する方法2:穴あけ

第二が、カップ状の底部に空気穴をあけることで真空状態が解消されます。例えば造形モデルの目的が形状確認のプロトタイプなどを目的としていればカップの底部に穴をあけて垂直にプリントしたほうがサポート材の接地面が少なくカップの外側にもサポート材がつかず綺麗に仕上がります。

吸引カップを解消する方法3:分割

第三が造形データを分割してプリントする方法です。カップ状の底部と筒の二つに分割してそれぞれプリントし、後から接着剤などで接合する方法もあります。

アイランド形状をさける

反転方式の光造形3Dプリンターではアイランド形状になってしまうプリント方向も注意が必要です。

アイランド形状とは二つの独立した島(アイランド)が積層が進むにつれて一つになるプリント方向のことです。

アイランド形状で造形された場合、接合部分がずれたり、強度が弱くなったりしてひび割れやパーツの分離が起きる可能性があります。そのためアイランド形状にならないプリント方向で造形してください。

ミニマの解消

ミニマとはサポート材が足りていない部分です。造形モデルの形状によっては、サポート材がつかず、プリント中支えきれない部分が赤く表示されます。こうした箇所はミニマとされており、サポート材を手動で足す必要があります。

複数プリントのプリント方向

同じ造形モデルを複数同時プリントする場合には、同じサポート材のつけ方、同じプリント方向で3Dプリントすることをお勧めします。プリント方向をそろえることでレジンタンクからの剥離、プラットフォームの引き上げの負担が均一化され、安定して造形が可能です。

アッセンブルモデルのプリント方向

アッセンブルモデルを複数のパーツに分割してプリントする場合、同じプリント方向で造形しないと、寸法が微妙に異なり造形後にパーツが組み合わない可能性があります。

オーバーハングと内部サポート

造形モデルの形状によっては、オーバーハングになる部分が出てきます。オーバーハングとはもともと岸壁の傾斜の突き出ている部分(庇のような部分)で、一般的にはFDM 3Dプリンターなどでは45度といわれていますが、Form 3では19度が推奨といわれています。

その場合にはサポート材の設定で内部サポートをONにするとつく場合があります。もしくは個別のサポート設定で追加してください。

成功する3Dモデルのデザイン

Form 3では、3Dプリントを成功させるための3Dモデル状のいくつかの限界があります。ここではForm 3で綺麗でミスのない造形をするためのさまざまな制約をご紹介します。

PreFormでデータを読み込む前に、設計した3Dモデルが最適化されているかどうか確認してください。

注意点:
以下のガイドラインは、Formlabsのクリアレジンを使い、積層ピッチを100ミクロンに設定した際のデータです。そのため他の種類のレジンや異なる積層ピッチ(25ミクロン、50ミクロンなど)の設定でプリントする場合には、若干の差異が発生する可能性があります。

サポート付きの壁の最小厚み:推奨200ミクロン

2辺以上の壁に挟まれた壁の厚さは最小200ミクロン(0.2mm)以上が推奨です。この暑さが200ミクロンよりも薄い場合には、プリント中のビルド・プラットフォームの剥離プロセス中に“反り”が起きる可能性があります 。

注意点:薄壁の洗浄
200ミクロン程度の薄い壁を洗浄する際には、洗浄中にIPAを吸収して膨張する可能性があります。薄肉の壁を洗浄する際には、IPAに浸す時間を最小限に抑えることをお勧めします。

サポートなしの壁の最小厚み:推奨200ミクロン

1辺の壁の厚さは最小200ミクロン(0.2mm)以上が推奨です。200ミクロンよりも薄い場合には、プリント中のビルド・プラットフォームの剥離プロセス中に“反り”が起きる可能性があります。

サポートなしの最長オーバーハング;推奨5000ミクロン

オーバーハングとは、すでにご紹介しましたが、もともと岸壁から突き出て岩のことを指します。3Dプリンターでは造形モデルの突き出た部分のことを言います。

Form 3で造形できるオーバーハングの形状は壁から5000ミクロン(5mm)の長さです。5000ミクロンを超えると変形する可能性があります。オーバーハングの部分を確実にプリントするためにはPreFormのサポート材の設定で「内部サポート」をONにします。

サポートなしのオーバーハングの最小角度:推奨 平面から10°

オーバーハングの角度は、オーバーハングが突き出ている水平からの角度を指します。

Form 3では10度(長さ35mm × 幅10mm x 厚さ3mm)より浅い角度でオーバーハングをプリントすると、ビルド・プラットフォームの剥離プロセス中に、モデルが折れてしまう可能性があります。この場合にはPreFormのサポート材の設定で「内部サポート」をONにしてください。

水平サポートの最大スパン/ブリッジ:推奨29mm(幅5mm × 厚さ3mm)

スパンとは、図のような構造物の2つの中間サポートの長さです。水平スパンのプリントはお勧めしませんが、特定の幾何学的な形状はうまくプリントできます。

幅5mmと厚さ3mmの横材の場合には、スパンの長さは29mmまでであればプリントできる可能性があります。

29mm以上の長さだとプリントに失敗する確率が高くなります。水平サポートのスパンをプリントする場合にはPreFormのサポート材の設定で「内部サポート」をONにしてください。

垂直ワイヤーの最小直径:推奨200ミクロン(高さ7mm)から1500ミクロン(高さ30mm)まで

ワイヤーとは、長さが幅の2倍を超えるワイヤー状の形状のことを言います。ワイヤーの3Dプリントを行うコツは比率です。

例えば直径が200ミクロンの場合には高さは7mmまで、直径が1000ミクロンの ワイヤーの場合、高さは30mmまでプリントが可能です。それ以上の長さのワイヤーをプリントする場合には同じような比率で直径と長さを算出して設計してください。

注意点:小さなワイヤーの洗浄
薄い壁の洗浄と同様に、小さなワイヤーを洗浄する時は、IPAによって強度が弱まり、損傷しやすくなります。IPAへの浸漬時間をできるだけ短くすることで、IPAから受ける影響を最小限に抑えることができます。

最小凸面のディテール:推奨100ミクロン

表面の凸面のディテールを表現するためには厚さと高さは100ミクロン以上が必要です。100ミクロン未満の場合には裸眼で確認できない場合があります。

最小凹面のディテール:推奨150ミクロン

表面の凹面のディテールは、刻印や窪みの形状を表すのに必要です。凹面のディテールの厚さや高さは150ミクロン以上必要です。150ミクロン未満の場合いは、プリント中にモデルの他の部分と融合してしまい、裸眼では確認できなくなる場合があります。

最小クリアランス:推奨500ミクロン

クリアランスとは、2つのモデルをプリントする際に必要な距離です。モデルとモデルの間には500ミクロン以上が必要です。500ミクロン未満のクリアランスは融合してしまう恐れがあります。

穴の最小直径:推奨500ミクロン

直径が500ミクロン未満の穴はプリント中にふさがってしまうことがあります。

ドレインホールの最小直径:推奨 直径2.5 mm

ドレインホールとは、密閉モデルの破裂を防ぐための穴です。完全に密閉された中空の造形モデルをプリントする場合、少なくとも直径2.5 mmのドレインホールがないと、パーツ内にレジンや空気が閉じ込められ、カッピングによる破裂を引き起こしてしまう可能性があります。

まとめ

PreFormはForm 3の機能が進化するとともに、Formlabsによって常にバージョンアップが行われているソフトウェアです。直観的でとても簡単にプリント設定を行うことができます。またプリント方向の設定や設計時の注意点を知ることでより綺麗で最適な造形モデルを作ることができます。