3Dプリンター用 高速造形用レジンとは
光造形3Dプリンター用の材料の中には高速造形のために作られたレジンがあります。3Dプリンターで迅速な試作開発を行うことをラピッドプロトタイピングといいますが、高速造形レジンはこのラピッドプロトタイピングために開発された材料です。
通常、光造形用レジンは100ミクロン(0.1mm)や50ミクロン(0.05mm)といった積層ピッチで造形を行いますが、ラピッドプロトタイピングのための高速造形レジンは200ミクロンや300ミクロンといった積層ピッチにすることで、素早い造形を可能にします。
高速造形用レジンが使える光造形3Dプリンターとは?
高速造形用レジンが使用できる光造形3Dプリンターは数多くの機種が登場しています。今回は代表的な機種をご紹介します。
メーカー | 機種 | 特徴 |
---|---|---|
Formlabs | Form3+、Form3、Form3L、Form3B+、Form3L、Form2など | SLA方式の代表的メーカー安定性が非常に高く、高精細滑らかな造形が特長 |
RayShape | Shape1+、Shape1+HD、P400、P400HD | DLP方式、高速、複数造形が可能。高精細、滑らかな造形ができサードパーティー製にも対応 |
3Dsystems | Figure4 | DLP方式。最終品レベルの仕上がり、精度が実現可能。100度から300度の幅広い高耐熱材料が利用可能。 |
3Dプリンター用 高速造形用レジンの特長
3Dプリンター用高速造形用レジンの最大の特長が、その造形スピードです。通常の材料の2倍から3倍のスピードで積層ができるため、より素早く形にする際に重宝します。
例)下記はFormlabsの通常のグレイレジンでプリントした際と、高速造形用のドラフトV2レジンで造形した際の違いです。
通常のグレイレジンのプリント時間
通常のグレイレジンでプリントした際の造形時間です。造形物の高さが約10センチで、100ミクロンで、5時間41分かかります。
高速造形用のドラフトレジンのプリント時間
高速造形用のドラフトレジンでプリントしたい際の造形時間です。造形物は同じで、高さ10センチで200ミクロン、造形時間は2時間で完了します。
3Dプリンター用高速造形用レジンの特性
ラピッドプロトタイピング専用
100ミクロンから200ミクロンの積層ピッチ
通常の2倍以上のスピード
3Dプリンター用 高速造形用レジンでできること
3Dプリンター用高速造形用レジンでは、主に製品開発のリードタイムやコスト削減を実現できます。
製品開発のリードタイムを短縮
光造形3Dプリンターの高速造形用レジンでできることの最大の特長が、製品開発におけるリードタイムの短縮です。一般的なレジン材料よりも2倍から3倍のスピードで造形が可能なため、リードタイムをより短縮し、製品開発のサイクルを早めます。
製品開発のコスト削減
高速造形用レジンは製品開発のコスト削減にも寄与します。他のレジン材料に比べて低コストに設定されていることが多く、試作回数が増えても低コストで形状確認が可能です。また切削加工などに比べてブロック分の材料コストはかかりません。
複数同時プリント
高速造形用レジンは複数同時プリントも可能です。SLAやDLPといった光造形はレーザーを高速で照射、もしくは面で照射するため1個でも複数でもそこまで時間は変わりません。DLPは1個でも複数でも造形時間は同じです。
3Dプリンター用高速造形用レジンで作れるもの
3Dプリンター用高速造形用レジンで作れるものは試作品です。
プロトタイプ
3Dプリンター用高速造形用レジンは試作品、プロトタイプに特化した材料です。それも高精度なプロトタイプではなく、大まかな形状確認をある程度の仕上がりで確認するための試作品になります。
3Dプリンター用高速造形用レジンの種類
ここでは代表的な3Dプリンター用の高耐熱レジンとして各メーカー別にご紹介します。
レジン名 | メーカー | 方式 |
---|---|---|
ドラフトレジン(V2) | Formlabs | SLA |
Fastレジン | RayShape | DLP |
TOUGH-GRY10 | 3Dsystems | DLP |
ドラフトレジン(Formlabs)
Formlabsのドラフトレジンは高速プロトタイピングのために開発されたレジン材料です。形状が視認しやすいグレイで、100ミクロン、200ミクロンの積層ピッチで造形が可能です。
ドラフトレジン(V2)のスペック
容量:1L
対応3Dプリンター:Form2、Form3、Form3+、Form3L、Form3B
Fastレジン(RayShape)
RayShapeはDLP方式の光造形3Dプリンターです。DLP方式はSLAよりも造形スピードが速く複数個作っても造形時間が変わらないのが特長です。RayShapeの材料ラインナップの中にはFastレジンといわれる高速造形用レジンがあります。
Fastレジンのスペック
容量:1リットル
対応3Dプリンター:shape1シリーズ、UP200シリーズ、UP400シリーズ
TOUGH-GRY10(3Dsystems)
TOUGH-GRY10は3Dsystemsのレジンの中で高速造形に特化したレジン材料です。3DsystemsのFigure4はDLP方式の3Dプリンターで、高精度、高速造形を実現した生産レベルの3Dプリンターです。
TOUGH-GRY15レジンのスペック
容量:1リットル
対応3Dプリンター:Figure 4
3Dプリンター用高速造形用レジンの仕上げ
3Dプリンター用高速造形用レジンは、基本的に造形後の洗浄だけで、二次硬化などは不要です。目的が形状確認にあるためです。
洗浄
高速造形用レジンは造形後には造形物に余分なレジンがこびりついているため、IPA(イソプロピルアルコール)やエコタールなどで洗浄する必要があります。
洗浄時間はメーカーごとにことなっていますが、だいたい10分から20分程度です。洗浄後はIPAがなくなるまで十分に乾燥を行います。
環境にやさしい洗浄液とお手軽洗浄サービス(オプション)
樹脂製品の洗浄に使用される洗浄液は、環境に配慮されたものや効率的な洗浄が行えるものが用意されています。また、お手軽な洗浄サービスも利用可能です。
3Dメディカルクリーン 17.7L
3Dメディカルクリーン 17.7Lは、エタコール同様毒性が低く、臭いが少なく有機則に該当しない洗浄液です。また廃液の回収もセットで行い産業廃棄物処理の手間をなくします。
3Dメディカルクリーン 4L
3Dメディカルクリーン 4Lは、エタコール同様毒性が低く、臭いが少なく有機則に該当しない洗浄液です。また廃液の回収もセットで行い産業廃棄物処理の手間をなくします。
エタコール
エタコール7は、Form3等の光造形機で造形されたモデルの洗浄に使用されるIPAに変わる環境対応高純度エタノール溶剤です。洗浄液は基本的に第二種有機溶剤に該当するケースが多いですがエタコールのように第二種有機溶剤に該当せず、IPAなどと同等の洗浄力を持つ溶剤もあります。
まとめ
3Dプリンターの高耐熱レジンは、耐熱性が100度から300度のものまで幅広い種類があり、通常では使用できない用途で使用が可能です。また耐熱性の量産パーツなどと同等レベルで使用ができ最終品製造を可能にします。
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