3Dプリンター用 高耐熱レジン

3Dプリンター用 高耐熱レジンとは

光造形3Dプリンターの材料の中には耐熱性に優れた高耐熱レジンが利用できます。メーカーや材料の種類によって異なりますが、約100度から300度以上の耐熱性を持ち、高温化の環境でも強度を失わない特性を持っています。こうした耐熱性は、さまざまな分野で利用され、射出成形などの樹脂型としての利用も可能です。

高耐熱レジンが使える光造形3Dプリンターとは?

高耐熱レジンが使用できる光造形3Dプリンターは低価格な機種ではなく数十万円以上から100万円以上の高価格帯で利用ができます。

メーカー 機種 特徴
Formlabs Form3+、Form3、Form3L、Form3B+、Form3L、Form2など SLA方式の代表的メーカー安定性が非常に高く、高精細滑らかな造形が特長
RayShape Shape1+、Shape1+HD、P400、P400HD DLP方式、高速、複数造形が可能。高精細、滑らかな造形ができサードパーティー製にも対応
3Dsystems Figure4 DLP方式。最終品レベルの仕上がり、精度が実現可能。100度から300度の幅広い高耐熱材料が利用可能。

3Dプリンター用 高耐熱レジンの特長

3Dプリンター用高耐熱レジンの最大の特長が、その耐熱性です。基本的には荷重たわみ温度が100℃を超える耐熱性を持ち、高温化でもその強度を失いません。中には300度を超える耐熱性を持つ材料も存在します。

3Dプリンター用 高耐熱レジンの特性

非常に高い耐熱性

荷重たわみ温度100度~300度以上

高精細

継ぎ目のない滑らかな質感

細かい複雑な造形

 3Dプリンター用 高耐熱レジンでできること

3Dプリンター用高耐熱レジンではその耐熱性からさまざまな用途で利用が可能です。高温化でのテスト造形から樹脂型、最終品製造まで幅広い用途で使用が可能です。

高耐熱製品の機能性試験

3Dプリンター用高耐熱レジンでは高温化で使用する高耐熱製品の機能性試験に利用できます。最終品製造に移る前に、造形物が想定しよう環境下で何度まで耐えられるのか耐熱テストが可能です。


製品開発のリードタイムを短縮

高耐熱製品の試作開発において、オンデマンドで3Dプリントができることからリードタイムを大幅に短縮可能です。3Dデータから直接3Dプリントすることでわずか数時間から数日でテストが可能です。


製品開発のコスト削減

高耐熱レジンでは、また試作開発にかかる開発コストも大幅に削減できます。耐熱性のあるパーツ試験の際に、必要な材料分しか使用しないため、切削加工や耐熱目的で使用されてきた金属加工品よりも低コストです。


高耐熱製品のオンデマンド製造

3Dプリンター用高耐熱レジンでは、高耐熱パーツの最終品を3Dプリンターでダイレクトに製造することができます。高温が想定される電子部品の実装まわりやエンジン回りなど高温での使用が想定されるパーツを1個単位で作ることが可能です。

3Dプリンター用高耐熱レジンで作れるもの

3Dプリンター用高耐熱レジンでは、具体的にどのようなものが作れるのでしょうか?機能試験用の試作から最終品パーツ、樹脂型までご紹介します。

高耐熱製品の機能性プロトタイプ

3Dプリンター用高耐熱レジンでは高温下で使用される機能性プロトタイプを作ることができます。100度や200度、300度まで幅広い高耐熱レジンが利用できます。

高温化で使用する治具

3Dプリンター用高耐熱レジンでは高温化でも一定の強度を保つことができるため、高温化で使用する治工具などを作ることができます。熱に強い物性と作業に最適な形状をオンデマンドで作成できます。

電子部品・基板の実装テスト

3Dプリンター用高耐熱レジンでは、電子部品の基板実装におけるテストパーツを作ることができます。基板実装におけるはんだ付けは200度以上の高温になるため、300度近い耐熱性を持つレジンが最適です。

射出成形用樹脂型

高耐熱レジンでは、射出成形用の樹脂型なども作ることができます。UVレジンは射出成形の熱可塑性樹脂とは物性が異なるため型として使用しても樹脂がくっつかず成形ができます。また200度以上の耐熱性と、一定の耐えうる圧力によって簡易金型として使用ができます。

量産グレードの高耐熱製品

3Dプリンターでは3DsystemsのFigure4のように量産グレードの耐久性、品質を実現できる3Dプリンターがあります。Figure4のHI TEMP 300-AMBを使用すると、量産グレードの高耐熱製品、パーツを作ることができます。

 3Dプリンター用高耐熱レジンの種類

ここでは代表的な3Dプリンター用の高耐熱レジンとして各メーカー別にご紹介します。

レジン名 メーカー 耐熱性 方式
ハイテンプレジン Formlabs 234度 SLA
リジッド10Kレジン Formlabs 200度 SLA
Hi-Temp 160レジン RayShape 160度 DLP
MED-WHT10 3Dsystems 100度 DLP
MED-AMB10 3Dsystems 100度 DLP
HI TEMP 150C FR Black 3Dsystems 150度 DLP
HI TEMP 300-AMB 3Dsystems 300度以上 DLP

ハイテンプレジン(Formlabs)

ハイテンプレジンはFormlabsのレジンの中で最も耐熱性があるレジンです。二次硬化で100度、三次硬化まで行うと234度まで耐熱性があります。

ハイテンプレジンのスペック

容量:1L
対応3Dプリンター:Form2、Form3、Form3+、Form3L、Form3B


リジッド10Kレジン(Formlabs)

リジッド10Kレジンも耐熱性が二次硬化で100度、三次硬化で200度まであるレジンです。セラミックが配合されており、同時に硬度も高いレジンです。簡易的な小型の樹脂型などとしても使用ができます。

リジッド10Kレジンのスペック

容量:1L
対応3Dプリンター:Form2、Form3、Form3+、Form3L、Form3B


Hi-Temp 160レジン(RayShape)

RayShapeはDLP方式の光造形3Dプリンターです。DLP方式はSLAよりも造形スピードが速く複数個作っても造形時間が変わらないのが特長です。RayShapeのHi-Temp 160レジンは耐熱性が160度まであるレジンです。

Hi-Temp 160レジンのスペック

容量:1リットル
対応3Dプリンター:shape1シリーズ、UP200シリーズ、UP400シリーズ


MED-WHT10

MED-WHT10は、視認性に優れた白い見た目が特長の高耐熱材料、ISO10993-5およびISO10993-10規格に準拠しており、荷重たわみ温度100度以上を誇ります。高耐熱用パーツの最終品として利用が可能です。

MED-WHT10のスペック

容量:1リットル
対応3Dプリンター:Figure4


MED-AMB10

MED-AMB10は、透明性のある琥珀色の材料です。こちらもISO10993-5およびISO10993-10規格に準拠しており、荷重たわみ温度100度以上を誇ります。高耐熱用パーツの最終品として利用が可能です。

MED-AMB10のスペック

容量:1リットル
対応3Dプリンター:Figure4


HI TEMP 150C FR Black(3Dsystems)

HI TEMP 150C FR Blackは3DsystemsのFigure4で使用できる高耐熱レジンです。耐熱性は150度まであり、さらにUL94-V0規格適合、FAR23.853 / 25.853規格適合、ハロゲンフリーなどの難燃性も併せ持つレジンです。量産グレードで使用が可能です。

HI TEMP 150C FR Blackのスペック

容量:1リットル
対応3Dプリンター:Figure4


HI TEMP 300-AMB(3Dsystems)

RIGID WHITEは、優れた機械特性と耐候性を持つ、硬質ホワイトの耐UVレジンです。高い引張強度に耐衝撃性を併せ持ち、長期で使用することが可能。コネクタ、モーターハウジング、スナップフィット、各業界のパーツなど、汎用的なプラスチック製品の最終品製造として使用できます。

RIGID WHITEのスペック

容量:1リットル
対応3Dプリンター:Figure4

 3Dプリンター用高強度レジンの仕上げ

3Dプリンター用高耐熱レジンは、造形後に洗浄が必要です。また二次硬化、場合によっては三次硬化が必要な場合があります。

洗浄

光造形は造形後には造形物に余分なレジンがこびりついているため、IPA(イソプロピルアルコール)やエコタールなどで洗浄する必要があります。

洗浄時間はメーカーごとにことなっていますが、だいたい10分から20分程度です。洗浄後はIPAがなくなるまで十分に乾燥を行います。

エタコール

エタコール7は、Form3等の光造形機で造形されたモデルの洗浄に使用されるIPAに変わる環境対応高純度エタノール溶剤です。洗浄液は基本的に第二種有機溶剤に該当するケースが多いですがエタコールのように第二種有機溶剤に該当せず、IPAなどと同等の洗浄力を持つ溶剤もあります。

二次硬化と三次硬化

UV硬化レジンと光造形(SLA)3Dプリントで作られた造形物は、層と層の間に完全に固まっていないグリーン層といわれる中間層が存在します。

二次硬化は完成した造形モデルに一定の温度で紫外線を照射することで行います。二次硬化を行うことで、層と層の間の中間層が完全に固まり、強固な物性が再現されます。

メーカーごとに専用の二次硬化機があります。

FormCure(Formlabs)

Form Cureはプリント後に造形モデルを二次硬化してくれる自動二次硬化ツールです。
回転式のターンテーブルと、360度を覆うミラー仕上げで、造形モデルに全方位で405nmのLED光が照射。ボタンを押すだけで二次硬化を自動的に行います。

FormCure L(Formlabs)

FormCure Lは、プリント後に造形モデルを二次硬化してくれる自動二次硬化ツールです。
回転式のターンテーブルと、反射する内部キャビティによってUV光がすべての表面に到達して一定の硬化制度を実現し、Form 3LやForm 3BLで作られた大型の造形物も安定して二次硬化可能です。

まとめ

3Dプリンターの高耐熱レジンは、耐熱性が100度から300度のものまで幅広い種類があり、通常では使用できない用途で使用が可能です。また耐熱性の量産パーツなどと同等レベルで使用ができ最終品製造を可能にします。

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