Form2 SLA(光造形法) vs FDM(熱溶解積層法)

目次

SLA(光造形)とFDM(熱溶解積層法)の違い

3Dプリンターにはさまざまな方式がありますが、中でも最も一般的な方式が、Form2が採用しているSLA(光造形)方式と、FDM(熱溶解積層法)方式です。

3Dプリンターは、価格帯、ハイエンドモデルか中価格帯モデルか、または低価格なデスクトップモデルによって性能が異なります。
また、メーカーや機種によっても性能は多種多様です。

そのため一概に、SLA(光造形)とFDM(熱溶解積層法)どちらが優れているかは単純に比較はできませんが、大まかな傾向や、特長などをしることで、用途に合った方式を選ぶことができます。

※ここでは一般的なデスクトップタイプを比較の対象として、その特長をご紹介します。

FDM vs SLA

Form2(SLA光造形法)とFDM(熱溶解積層法)の比較表

Form2 SLA 3Dプリンター(光造形法) FDM 3Dプリンター (熱溶解積層法)
造形方法 光造形法:液体樹脂に紫外線レーザービームを照射し固める 熱溶解積層法:材料を加熱して柔らかくして積層し自然に固まる
材料 光硬化性樹脂 熱可塑性樹脂
材料の形状 液体 フィラメント(糸状)
積層ピッチ 50ミクロン~200ミクロン 50ミクロン~200ミクロン
寸法精度 高い寸法精度 ”反り”などの可能性
表面仕上げ なめらか 積層跡が残る
等方性・異方性 等方性 異方性
造形時間(複数時) 個数が増えてもほぼ変わらない 個数に応じて時間がかかる
サポート剤 ニッパーで取りはずし 手またはニッパーで取り外し
後処理 IPA(90%以上)での洗浄・二次硬化 不要
研磨・塗装 材料によって異なる 材料によって異なる
使用環境 25℃前後・材料保管は直射日光を避ける 25℃前後・湿度を避ける(15%がベスト)
メンテナンス 樹脂ごとのレジンタンクの管理

レジンタンクの摩耗時の交換

プラットフォームの洗浄

押出ノズルの洗浄・交換

※FDM(熱溶解積層法)はデスクトップの一般的な特徴。機種ごとによって内容は異なります。

製法と材料の違い

SLA(光造形法)とFDM(熱溶解積層法)では、造形するアプローチも、使用する材料の特性も異なります。それにより、仕上がりや精度、後処理、運用面の注意点、メンテナンスなども大きく異なります。

造形方式

Form2のSLA(光造形法)とFDM(熱溶解積層法)の造形方法は“積層して物体にする”という点は共通していますが、科学的アプローチ、材料の性質、が全く異なります。

FDM(熱溶解積層法)とは

FDM(熱溶解積層法)とは、熱可塑性樹脂を糸状にしたフィラメントといわれる材料を使って造形します。

ノズルにフィラメント材料を通すことで、加熱して柔らかくし、ノズルから押出してプラットフォームの上に積層します。プラットフォームに積層されることで自然に冷却され、固体になります。

FDM 熱溶解積層法

SLA(光造形法)とは

Form2が採用しているSLA(光造形法)は、液体状の光硬化性樹脂を使用し、プラットフォームをタンク内の樹脂に浸け、そこに紫外線レーザービームを照射することで硬化させ、一層ずつ固めていきます。

光造形法 SLA

材料の違い:種類と形状

SLA(光造形法)とFDM(熱溶解積層法)は材料の性質、形状、種類が全く異なります。SLA(光造形法)は液体、FDM(熱溶解積層法)は固体です。

光硬化性樹脂 SLA(光造形法)の材料

SLA(光造形法)は、光硬化性樹脂といわれる性質を持つ材料を使用します。

光硬化性樹脂とは、別名紫外線硬化性樹脂といい、液体状の樹脂で、紫外線を照射することで化学反応を起こして硬化する樹脂のことです。

ベースとなる材料は、アクリルポリウレタンエポキシ樹脂などによって構成されています。

Form2では、独自に光硬化性樹脂を開発し、透明性が高いクリアレジンや、ゴムの性質を持つフレキシブルレジン、耐久性などを強化したタフレジン、などが存在します。

Form2 光硬化性樹脂

紫外線硬化性樹脂は液体状です。

熱可塑性樹脂 FDM(熱溶解積層法)の材料

FDM(熱溶解積層法)の材料は、熱可塑性樹脂です。

熱可塑性樹脂は、光硬化性樹脂とは逆で、加熱すると柔らかくなり、冷却すると固まる性質を持つ樹脂材料です。熱可塑性樹脂は、現在、多くの工業製品に使用されている樹脂材料です。

FDM(熱溶解積層法)の優れた点は、ABS樹脂PLA樹脂ポリプロピレン(PP)ナイロンポリカーボネート(PC)ポリエチレンテレフタレート(PET)など、工業製品と同じ本物の熱可塑性樹脂を扱える点です。

高品質な3Dプリンターでは、最終品もデータから直接製造することができます。

FDM フィラメント材料

Form2 (SLA 光造形法)とFDM(熱溶解積層法)の性能比較

つぎに、SLA(光造形法)とFDM(熱溶解積層法)の仕上がりや、造形物の精度、造形スピードについての比較をご紹介します。

表面精度と仕上がり

積層のレベルを示す積層ピッチは、機種などによって異なりますが、SLA(光造形法)も熱溶解積層法(FDM)も50ミクロン、100ミクロン、200ミクロンなどでプリント可能です。

しかし、材料の性質と造形へのアプローチから、その表面精度や仕上がりは異なります。

FDM Form2 仕上がり

FDM(熱溶解積層法)とFrom2の仕上がりの違い。

Form2(SLA 光造形法)の仕上がり

SLA(光造形法)であるForm2の最大の特長がその滑らかで高精彩な表面です。

光造形法は、液体状の光硬化性樹脂を1層ずつ硬化させていきますが、層と層の間に二つの層が混ざり合った分子レベルの中間体が出来ることから、驚くほどなめらかな表面が実現可能です。

Form2 表面 精度

FDM(熱溶解積層法)の仕上がり

FDM 3Dプリンターは、フィラメントといわれる細いスプール状の熱可塑性樹脂をノズルに通し、加熱して柔らかくし積層する造形技術です。

そのため、安価なデスクトップのFDM 3Dプリンターだと樹脂を積層した跡、いわゆる積層痕が目立ちやすくなります。

FDN 表面 精度

寸法精度の違い

3Dプリンターは、3Dデータから直接物体を成形する技術です。そのため、データ通りにどの程度再現できるかという寸法精度が求められます。

Form2(SLA 光造形法)の寸法精度

Form2(SLA光造形法)では、液体樹脂にレーザービームを照射して硬化するという製法から、樹脂が加熱されたときの熱収縮が起きません。

そのため、3Dデータを正確に再現することが可能で、高い寸法精度を実現しています。95%で240μm以内の正確さを実現しています。

Form2 寸法精度

FDM(熱溶解積層法)の寸法精度

FDM(熱溶解積層法)では、樹脂の種類によって“反り”の可能性に注意が必要です。

ABS樹脂などは、熱収縮が大きく冷却される過程において、造形モデルが収縮し反ってしまう可能性があります。

そのためこの“反り”を防止するために、フィラメント材料を乾燥させたり、造形モデルの大きさを変更する(複数のパーツにわけ、1個の大きさは小さくする)など対策が求められます。

FDM 熱溶解積層法 反り

※FDMの場合は使用するプリンターの精度に大きく影響を受けます。

造形スピードの違い ※一度に複数作る場合

造形するスピードについては、機種、作るモデルの形状などによって異なるため、一概には比較できませんが、複数のモデルをビルド・プラットフォーム上で作る場合には、光造形法の方が熱溶解積層法(FDM) 3Dプリンターよりも早く造形できます。

Form2(SLA 光造形法)で複数プリントするスピード

一報で光造形 3Dプリンターでは、SLAとDLPによって異なりますが、2個作っても造形時間は倍にはなりません。

それはSLAがレーザービームを一点に照射することから、FDMのノズルが動くよりもはるかに照射スピードが速いからです。

例えば、1個で30分だったのが、2個にすると33分といった形に少し増えます。

また、光造形法でも、DLP(デジタル・ライト・プロセッシング)という方法では、プロジェクターを使い、面でレーザーを照射するため、個数が増えても時間は変わりません。

Form2 スピード

FDM(熱溶解積層法)で複数プリントするスピード

熱溶解積層法(FDM)では、フィラメントを溶かしてノズルから押出て積み上げますが、造形する数が増えれば増えるほど、ノズルの動く距離が長くなり、その分時間がかかります。

例えば、造形する数を2個にすれば造形時間は単純に2倍になります。

FDM 複数プリント

等方性・異方性の違い

物体には等方性と異方性があります。等方性とは、その物体の性質が方向によって変わらないことを言います。

異方性とは、物体の性質が方向で異なることをいいます。

下記は理論上であり、実際には造形モデルごとの耐荷重試験などが必要です。

FDM SLA 等方性 異方性

Form2(光造形 SLA)の造形物は等方性を持つ

Form2(光造形 SLA)の造形モデルは、等方性をもっています。

Form2では、光硬化性樹脂にレーザービームをあてて1層ずつ硬化していきますが、層と層の間に分子レベルで共有結合する層、いわゆる「グリーン状態」という状態が生まれるため、Z軸とXY平面との間に、ほとんど全く相違がなくなります。

SLA 等方性

FDM(熱溶解積層法)の造形物は異方性を持つ

一方、FDMによって造形されたモデルはあらゆる方向に等しく強くはなく、等方性はありません。

用途によって異なりますが、耐荷重が求められる部品などをプリントする場合には、プリント方向に注意する必要があります。

FDM 異方性

運用面の比較

3Dプリンターは性能とは別に、実際の運用面での使いやすさも重要です。

またそれぞれ正しい運用方法を行わなければ、プリンター本来の優れた性能を出すことはできません。ここではそれぞれの運用面の特長についてご紹介します。

使用する環境

3Dプリンターは使用する環境にも注意が必要です。基本的に温度や湿度などが材料の物性に影響するため、常に一定の環境化で使用する必要があります。

Form2 (SLA 光造形法)を使用する環境

Form2を使用する際には、2つの点で注意が必要です。

第一にForm2の液体樹脂は高温下だと膨張する可能性があるため室温は25℃程度に保ち、湿度も一定に保つことが求められます。

また、Form2の樹脂は紫外線硬化性樹脂なため、太陽光などがあたると固まる可能性があり、レジンの保管は遮蔽するなどの注意が必要です。

Form2 環境

FDM(熱溶解積層法)を使用する環境

一方FDM(熱溶解積層法)を使用する環境では、湿度を低く一定の状態に保つ必要があります。

また、FDMの材料である熱可塑性樹脂のフィラメント材料は、常に乾燥させた状態で使用しないと、ミスプリントや熱収縮が強くなり反りなどが起きる可能性があります。

影響する湿度は材料の種類によってことなりますが、例えばナイロンなどは吸湿性が高いため、湿度15%以下の状況での使用などが求められます。

FDM 注意点

プリントの後処理

造形後の後処理も、Form2(SLA 光造形法)とFDM(熱溶解積層法)では、全く異なる取り扱いが必要です。

Form2(SLA 光造形法)の後処理

Form2では、材料に液体状の光硬化性樹脂を使用しているため、造形モデルにくっついた余分な樹脂を洗浄して綺麗に除去する必要があります。

専用の仕上げキットもしくは別売りの自動洗浄機FormWashと、市販のイソプロピルアルコール(IPA 濃度90%以上)を使用して、モデルを洗浄します。その後サポート材を取り外せば完成です。

また、エンジニアリング用レジンやキャスタブルレジンなどは、FormCureなどを使い二次硬化が必要になります。

Form2 造形プロセス 手順

FDM(熱溶解積層法)の後処理

基本的にFDM 3Dプリンターでは、造形が終わった後は、ビルド・プラットフォームから造形モデルを取り出し、サポート材の除去を行えば終わりです。

FDM プロセス 手順

メンテナンスの違い

3Dプリンターは製造機械であることから、定期的なメンテナンスが必要です。このメンテナンスの方法も、Form2 (SLA 光造形法)とFDM(熱溶解積層法)で異なります。

Form2(SLA 光造形)のメンテナンス

Form2では、レジンごとにレジンタンクを使い分ける必要があります。材料が液体樹脂であることから、1種類の材料につき1つのレジンタンクが必要になります。

また、使用する材料を変更する際には、プラットフォームをイソプロピルアルコール(IPA)などで綺麗に洗浄し、前に使用していた材料が残らないようにします。

レジンタンクはレーザービームの照射によって摩耗していきますので、定期的に交換が必要です(レジンタンクLPは交換不要)。更に、液体樹脂が飛び散らないように、注意が必要です。

FDM(熱溶解積層法)のメンテナンス

FDM(熱溶解積層法)では、押出ノズルのメンテナンスが必要です。

FDMは、フィラメント材料を押出ノズルに挿入して、溶かして積層する仕組みですが、押出ノズルに、フィラメントのカスなどが蓄積し、ノズル詰まりが起きる可能性があります。

この場合はメーカーの指示のもと、押出ノズルを掃除するか新たな押出ノズルに交換する必要があります。

用途の比較

3Dプリンターは材料の多角化や精度の向上によって、さまざまな用途が登場しています。

ここではForm2(SLA 光造形)とFDM(熱溶解積層法)の用途の違いについてご紹介します。

Form2 (SLA 光造形法)の用途

Form2は、その特長である高精彩で滑らかな仕上がりによって、幅広い用途に利用されています。

一般的なプロトタイプだけではなく、エンジニアリングレジンを使用することで、さまざまな機能性プロトタイプにも利用が可能です。

強度や耐久性に優れるタフから、高耐熱のハイテンプまで、さまざまな機能性プロトタイプに使用できます。

またキャスタブルレジンでは、インベストメント鋳造のロストワックスの代替品として仕え、ジュエリー製造などをより効率化してくれます。

また、滑らかな仕上がりから、フィギュアやアートなどにも利用がひろがっています。

樹脂名 プロトタイプ 機能性プロトタイプ 冶具・工具 アート・フィギュア 鋳造ワックスモデル 歯科用 最終品
スタンダード × × × ×
エンジニアリング × × ×
キャスタブル × × × × ×
デンタル × × × × × ×

※スタンダードレジン、エンジニアリングレジンは種類や性能が複数あり、造形モデルの種類によって対応できる範囲が異なります。

FDM(熱溶解積層法)の用途

デスクトップのFDM(熱溶解積層法)の用途も幅が広がっています。

特に、FDMの最大の特長の一つが幅広い本物の熱可塑性樹脂が利用できる点です。

熱可塑性樹脂は金型で使用され、最終品に使用されている樹脂で、高性能なFDM 3Dプリンターでは、エンジニアリングプラスチックであるポリカーボネートやナイロンなどと組み合わせれば、最終品やエンドユースパーツの製造も可能です。

もちろん、従来のプロトタイプや機能性プロトタイプにも最適です。

樹脂名 プロトタイプ 機能性プロトタイプ 冶具・工具 アート・フィギュア 最終品
PLA × × × ×
ABS ×
PETG ×
ポリカーボネート ×
ナイロン ×
ポリウレタン × × ×
Wood(木材調) × × ×
Metal(金属調) × × ×

※上記はFDM(熱溶解積層法)の代表的なフィラメント材料です。対応できる用途はプリンターの性能や設計データによって異なります。

まとめと総括

これまでの比較を総括すると、光造形法(SLA)とFDM(熱溶解積層法)では、それぞれで長所短所があります。

まず、Form2の最大の特長は高精彩、高品質な造形とミスの少ないプリント安定性ですが、その一方で、後処理には、イソプロピルアルコール(IPA)の洗浄や二次硬化など、ひと手間かかります。

一方、FDM(熱溶解積層法)は、金型と同様の本物の熱可塑性樹脂が使用でき、材料も多彩、後処理も洗浄や二次硬化は必要なく、多彩な用途に使用できます。

しかし、その一方で、湿度やノズル温度のコントロールなど、繊細な面も持ち合わせているため、メンテナンスや使用環境に配慮が必要です。

それぞれで、長所と短所があり、機種によっても性能が異なるため、基本的には“何をつくりたいのか”という点を基準に、3Dプリンターの性能、対応材料、運用面(実際に使用する場合は運用面が最もカギになる場合が多い)を考慮し、選択する必要があります。

一般的には、3Dプリンターを選ぶ基準には、積層ピッチなどの精度などが注目されがちですが、実際には、故障などが少なく、安定的に造形できるマシーンの安定性や、造形スピード、対応材料のバリエーション、後処理の手間など、運用面の方が大きな影響があります。

2018.9.21 投稿者:i-maker

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