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Formlabs製品ガイド

Form 4の寸法ズレ・定着不良を解決!「Z軸微調整」の正しい設定手順ガイド

i-MAKER 研究室 編集部 | 公開 2025.12.24 更新 2026.04.15 読了 約7分

Form 4の寸法ズレ・定着不良を解決!「Z軸微調整」の正しい設定手順ガイド

「設計データの高さが10mmなのに、出力すると9.9mmになってしまう」
「大型モデルを造形すると、ベースが剥がれて失敗することがある」

Formlabs製品の導入現場で、このような微細なトラブルに直面したことはないでしょうか?
これらは必ずしもハードウェアの故障ではありません。実は、多くのケースで「初期レイヤーの押し込み量」の調整不足が原因です。

今回は、Form 4およびForm 4Lに搭載された「Z軸微調整(Z Axis Fine Tuning)」機能を活用し、物理的なプラットフォームの高さをミクロン単位でコントロールする手順を解説します。0.05mmの精度にこだわるプロフェッショナルなエンジニアのために、弊社が実践している標準ワークフローを公開します。

【準備編】Z軸微調整とは何か?

作業に入る前に、この機能が何を行っているかを正しく理解しましょう。

ソフトウェア補正ではなく、機械的な基準点の変更

Z軸微調整とは、造形開始時のビルドプラットフォームの「初期高さ(ホームポジション)」を物理的にオフセットさせる機能です。

  • Formlabs専用ソフトウェア PreForm上のモデルデータを拡大縮小するわけではありません。
  • プリンター本体の機械的な「ゼロ地点」を変更します。

なぜこの調整が必要なのか

Form 4のLFD(Low Force Display)方式は非常に高精度ですが、使用するレジンの粘度特性や、レジンタンク(底面のフィルム)の摩耗具合によって、最適な「押し込み量」は微妙に変化します。この物理的な個体差を吸収し、常に理想的な寸法と定着力を維持するために、この機能が存在します。

【実践編】プロが教えるステップ・バイ・ステップ

それでは、実際に設定を行っていきましょう。ここからは手元のマシンを操作しながら読み進めてください。

Step 1: 現状の課題から「補正方向」を決める

闇雲に数値を変更してはいけません。まずは現在の造形結果を見て、どちらに補正すべきか診断します。以下の表を参考に、方向性を決定してください。

現在の症状 原因 処置(補正方向)
高さ方向の寸法が短い
(造形物がつぶれている)
プラットフォームが下がりすぎている 上げる(+方向)
プラットフォームから剥がれる
(定着力が弱い)
プラットフォームが高すぎて食いついていない 下げる(-方向)
Form 4 Z軸微調整の仕組み図解:プラットフォームとタンクの隙間調整
プラットフォームとタンク底面の隙間をイメージしてください。「+」にすれば隙間が広がり(高さ確保)、「-」にすれば隙間が狭まり(押し込み強化=定着アップ)ます。

Step 2: タッチスクリーンでの設定操作

プリンターがジョブを実行しておらず、アイドル状態であることを確認して操作を開始します。

  • Form 4のタッチスクリーンのホーム画面から、「設定(歯車アイコン)」をタップします。
  • メニューから「ツール」を選択します。
  • 「較正(キャリブレーション)」を選択します。
  • 「Z軸のファインチューニング」をタップします。
Form 4 タッチスクリーン操作:キャリブレーションメニューからZ軸微調整を選択
設定メニューの深い階層にあるため、パスを確認しながら進めてください。

Step 3: 数値の入力と適用

設定画面が表示されたら、数値を入力します。ここでの鉄則は「一度に大きく動かさない」ことです。

  • 画面上の「+」「-」ボタン、または数値入力エリアをタップします。
  • 50µm(0.05mm)単位で値を変更します。
    高さ不足の解消なら、まず「+50µm」と入力します。
    定着強化なら、まず「-50µm」と入力します。
  • 入力後、必ず「適用」ボタンをタップして保存します。画面が戻れば設定完了です。

Step 4: テスト造形と正確な検証

設定変更が正しかったかを確認するために、テスト造形を行います。

  • 小さなテストピース(1cm角のキューブなど)を造形します。
  • 造形完了後、寸法を測定します。

■ 【重要】測定前の洗浄について

ミクロン単位の検証を行う際、表面に未硬化レジンが残っていると正確な測定ができません。弊社では、洗浄液 3D Medsupo(スリーディーメドサポ)を使用し、表面のヌメリを完全に除去した状態で測定を行っています。リンス不要で揮発性が高いため、洗浄後すぐにドライな状態で正確なノギス測定が可能になります。

【技術パート】失敗しないためのプロの「コツ」

設定における「よくある失敗」と、現場のエンジニアが実践している「運用のコツ」を共有します。

 よくある失敗:別のツールでの「リセット」

「Z軸微調整」を行った後に、同じキャリブレーションメニューにある「ビルドプラットフォームの調整(Align)」を実行しないでください。
※この機能の詳細は別記事『ビルドプラットフォーム位置合わせ完全手順』で解説していますが、本記事の作業後には行わないようご注意ください。
これを実行すると、キャリブレーションが初期化され、今回設定したZ軸オフセット値が強制的に「0」にリセットされてしまいます。

運用のコツ(プロの秘訣)

  • マイナス値の限界を知る
    定着を良くしたいからといって、値を下げすぎない(マイナス方向に大きくしすぎない)でください。タンク底面のフィルムへの物理的な負荷が増大し、破損や白濁の原因になります。弊社の運用基準では、最大でも「-200µm」程度に留めています。それでも定着しない場合は、Z軸ではなく、サポート材のタッチポイントサイズやラフトの設定を見直すべきです。
  • ファームウェアは常に最新に
    正確なモーター制御のために、調整作業前には必ずプリンターのファームウェアを最新バージョンへアップデートしてください。

【応用編】さらなる効率化へ

Z軸調整は、一発で決まることもあれば、数回の「トライ&エラー」が必要な場合もあります。この検証サイクルをいかに速く回すかが、業務効率化の鍵です。

弊社のベストプラクティス構成は以下の通りです。

  • Form 4 / Form 4L: 圧倒的な造形スピード(テストピースなら数分~十数分)
  • 洗浄液 3D Medsupo: リンス作業不要・即乾燥の洗浄フロー

この組み合わせであれば、「テスト造形(約15分)」+「Medsupoでの洗浄・乾燥(約5分)」= 約20分で1サイクルの検証が完了します。
従来の機種や洗浄方法では1時間近くかかっていた調整作業を、休憩時間レベルの短時間で終えられる。これが、精度を極めるための最短ルートです。

まとめ

本日の作業のチェックリストです。次回調整する際もここを見直してください。

  • 方向の確認: 寸法不足は「プラス」、定着不良は「マイナス」方向に調整する。
  • 微調整の徹底: 調整は必ず「50µm」刻みで行い、大きく動かしすぎない。
  • リセット回避: 「ビルドプラットフォームの調整(Align)」を行うと値が消える点に注意する。

技術相談・サンプルについて

「自社データの場合、どの設定値が最適かわからない」「実際に精度が出せるか不安だ」という方は、ぜひ弊社までご相談ください。弊社の検証機(Form 4)を用いたテスト造形や、洗浄液 3D Medsupoのサンプル提供も承っております。

確実な設定で、Formlabs製品のポテンシャルを最大限に引き出しましょう。

出典:Fine tuning (Form 4 and Form 4L generation)

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i-MAKER 研究室 編集部

株式会社アイ・メーカーが運営する、ものづくり情報サイト「i-MAKER 研究室」の編集部。3Dプリンター・光造形・洗浄の現場に10年以上携わる経験をもとに、実機検証と取材を軸とした記事を制作しています。

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