Form2とは。高品質デスクトップ3Dプリンターのパイオニア
Form2は、Formlabs社が製造開発するデスクトップタイプの3Dプリンターです。その最大の特長は、高品質と高いプリント安定性にあります。
SLA、光造形3Dプリンターとして、高精彩で精密な仕上がりができる3Dプリンターです。250mWの高精度レーザーによって、細部にまで詳細で精密なディティールを表現することができます。
使用できる専用レジンは、種類も豊富で、スタンダードタイプのレジンから、耐久性や柔軟性、耐熱性など、さまざまな特長を持つエンジニアリングレジン、ジュエリー鋳造に利用できるキャスタブルレジン、歯科用モデル専用のレジン、さまざまな色を自在に自分で作れるカラーキットまで、多彩な材料が登場しています。
こうした高品質、高精彩、多彩な材料という3つの特長によってForm2は、デスクトップタイプの3Dプリンターとして多くのユーザーに愛用されています。
そして、Form2本体が持っている機能と特長を知ることで、Form2の持っている力が最大限引き出され、高品質な造形を実現し、長期間安定した使用を可能にしてくれます。
Form2の評価。2,500万個 90%以上のユーザーがプリント成功
それでは実際にForm2はユーザーたちにどのように評価されているのでしょうか。
現在、Form2は、全世界で2,500万個以上がプリントに成功し、全世界のユーザーのほぼ90%以上が、プリント性能に満足と評価しているのです。
このFomr2の評価は、プリント後の成功・不成功の選択画面から集計されています。
Form2は、3Dプリントが終了した後、下記の画面のように「成功」か「不成功」を選択する画面が登場しますが、90%以上のユーザーが「成功」を選択しています。
このデータはインターネットを通じてFormlabs本社で集計されています。
デスクトップタイプの3Dプリンターの一つの指標として、精度と安定性があげられますが、Form2は、この二つの指標において、優れた性能を提供するのです。
Form2の基本性能とスペック
Form2は、デスクトップタイプの高性能3Dプリンターとして、さまざまな機能を持っています。ここではその基本的な性能とスペックについてご紹介します。
Form2の基本原理
Form2は、光造形法式の3Dプリンターです。光造形法式にはSLAとDLPという2種類の法式がありますが、Form2ではSLAという仕組みを採用しています。
光造形法式は、紫外線硬化性樹脂といわれる液体樹脂に、紫外線を照射することで1層ずつ物体を硬化し造形していく技術です。
詳しい技術的な特長については「Form2の仕組み 科学とSLAの特長」でご紹介しています。
Form2の積層ピッチ
Form2の積層ピッチは25ミクロンから50ミクロン、100ミクロンと3段階で設定することができます。
積層ピッチとは、1層ずつ紫外線を硬化していく際の層の厚みのことで、100ミクロンとは、0.1mmに相当します。
この積層ピッチは、ピッチが小さくなればなるほど、積層しなければならない回数も増えるため、プリント時間が長くなります。
また、Form2では、材料の種類に応じて、選択できる積層ピッチは異なります。
積層ピッチの選択について
一般的に積層ピッチは、3Dプリンターの性能の基準として認識されていますが、実際に積層ピッチが細かければいいというものではありません。
基本的に積層ピッチが50ミクロンでも、100ミクロンでも完成した造形モデルの仕上がりの違いは、肉眼ではあまりわかりません。
また、Form2の場合、レジンの種類に応じて、最適な積層ピッチが決められており、選択できる積層ピッチも異なります。
例えば、下記の画像はスタンダードレジンブラックを25ミクロンの積層ピッチでプリントしたものと、キャスタブルレジンを50ミクロンの積層ピッチでプリントしたものですが、キャスタブルレジンは50ミクロンの積層ピッチに最適化さあれているため、見た目はほぼ変わりません。
また、同じ造形モデルを50ミクロンと100ミクロンでプリントした場合、造形時間は50ミクロンの方が、長くかかります。
Form2の造形サイズと数
Form2の造形サイズは、最大で145 × 145 × 175 mmです。このサイズ内であれば、Form2では、何個作ってもプリント時間は1個作る場合と比べてもあまり変わりありません。
Form2のようなSLA方式では、レーザービームが高速で照射されるため、FDM(熱溶解積層法)の3Dプリンターのように、個数に比例して時間がかかることはありません。
Form2の解像度について
光造形方式の3Dプリンターの基準の一つとして取り上げられる項目にXY解像度がありますが、解像度とはDLP方式で使用されるプロジェクタの解像度であり、光造形のプリント精度には影響は与えないとされています。
※Formlabs公式サイトにおける光造形方式のスペックについて(英文)
Form2の造形速度と時間
Form2が採用しているSLA方式は、紫外線をビーム状にして照射するため、1層に照射される時間は一瞬です。
しかし、造形速度と時間は造形モデルの形状、大きさ、積層ピッチ、使用するレジンの種類、プリント方向によって異なります。
例えば、積層ピッチが細かい場合は、レーザービームの照射回数が増えるため、プリント時間は長くなります。
また、プリント方向によって、積層時間が異なります。
同じ造形モデルでも、レジンの種類によってビルドプレートにくっつく特性が異なるためプリント速度が変わります。例えばフレキシブルレジンなどは、ゴムライクで柔らかい材料なため、硬化も慎重に行われます。
Form2のスペック・仕様
- 本体名:Form2
- 造形方式:ステレオリソグラフィー(光造形:SLA)
- 積層ピッチ:25、50、100ミクロン(※レジンの種類によって選択できる積層ピッチは異なる)
- 造形サイズ:145×145×175mm(X軸×Y軸×Z軸)
- レーザー焦点サイズ:140ミクロン(FWHMi半値全幅)
- 専用ソフトウェア:PreForm
- サポート材:ソフトウエアによる自動生成(※手動で選択も可能
- 本体サイズ:350×330×520mm
- 本体重量:13kg
- 自動加熱式樹脂タンク:樹脂を35°Cまで自動加熱
- 剥離方式:ワイパーによるスライド。樹脂攪拌が可能
- 樹脂充填システム:カートリッジ式自動充填システム
- 消費電力:100-240V50 / 60Hz l.5A65W
- レーザー仕様:EN 60825-1:2007認証 Class 1レーザー商品 405nm紫色レーザー250mW
- 接続性:無線LAN、イーサネット、USB
- プリンター制御 押ボタン付きの対話型タッチスクリーン
マテリアル。スタンダードからエンジニアリングまで多様なレジン
Formlabsでは、独自の材料開発にも力を入れています。
Form2では、スタンダードなレジン以外に、特別な物性を持つエンジニアリングタイプのレジンから、ジュエリー鋳造用のキャスタブルレジン、歯科用のレジンなど、さまざまな用途に応じたレジン材料がそろいます。
また光造形用の材料は単色が多かったのですが、Formlabsが開発するカラーキットでは、独自開発のインクを配合することでさまざまなカラーバリエーションを表現することができます。
→Form2のマテリアル材料の特長や使い方はこちらをどうぞ
Form2の多彩な用途
Form2の最大の特長が、滑らかな高精度の仕上がりと多彩な材料です。
この二つの特長によってForm2はさまざまな用途に利用することができます。
プロトタイプ
Form2では、3Dプリンターの最大の用途であるプロトタイピングにおいても、優れた性能を発揮します。
例えばスタンダードレジンでは、その美しい表面仕上から、3Dデータを忠実に再現することが可能で、より最終品に近いイメージを具体化できます。
また、スタンダードレジンは研磨や塗装などの後加工にも向いているため、造形後に研磨し塗装を施せば、より最終品に近いアウトプットを実現できるのです。
機能性プロトタイプ
Form2のエンジニアリング用レジンでは、一歩進んだプロトタイプの作製が可能です。
それが機能性プロトタイプです。例えばタフレジン(Tough)は、ABS樹脂のような強度と耐久性があることから、機能性が求められるプロトタイプやアッセンブルパーツの作製ができます。
デュラブルはものづくりで最も多用されるポリプロピレンの物性や見た目を再現していることから、PPのプロトタイプに最適です。
フレキシブルはポリプレタンがベースになっておりゴムとして弾力性がある造形物に利用可能です。ハイテンプは高い耐熱性があり、高耐熱な環境下で使用が出来るパーツのテストが行えます。
このようにForm2の演じあリングレジンを使用すれば多様場面において機能性プロトタイプを作ることができます。
ジェリー用インベストメント鋳造のワックスモデル
Form2のレジンには、ジュエリー鋳造に特化した種類があります。それがキャスタブルレジンです。
キャスタブルレジンを使うことで、金属製造の工程である鋳造をより効率化することができます。
鋳造とは、溶けた金属を型に流し込み、冷却して固体にする製造技術ですが、型を作る際には、ワックスモデルといわれるモデルを作らなければなりません。
ワックスモデルを砂型ではさみ、加熱するとワックスモデルが溶けてなくなり空洞ができます。
この空洞に金属を流しこみ、ジュエリーを作るのです。このワックスモデルは、これまで手作業で削って作ったり、シリコンモールドで作っていましたが、Form2のキャスタブルレジンを使用すれば、設計データからダイレクトにワックスモデルを作ることが可能で、より正確に、より精密に、何度でもジュエリーを作ることができます。
アートやフィギュア、模型など
Form2の用途として、広がりを見せているのがアートやフィギュアの領域です。
その最大の理由が高精彩で滑らかな表面仕上ができる点や、造形後の研磨や塗装などの後加工ができる点があげられます。
特に人気なのがスタンダードレジンのグレイです。スタンダードレジンのグレイは、その仕上がりももちろんですが、塗装しても目立ちにくいカラーであることから、この分野での使用が最も多いレジンです。
また最近登場したカラーキットを使えば、塗装をしなくても、豊富なカラーバリエーションが実現可能です。
まとめ
ここではForm2の概要について、基本的な内容をご紹介しました。
またForm2は正しい使い方をすることで、より高性能で安定した造形を行うことができます。
Form2は、安価なデスクトップ3Dプリンターが多数登場する中、性能はもちろんのこと、ユーザーの立場にたった設計思想が、デバイス本体、ソフトウェア、材料など、さまざまな部分で感じられる3Dプリンターです。
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