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Formlabs製品ガイド

造形物を壊さない!3Dプリンター安全取り外しガイド

i-MAKER 研究室 編集部 | 公開 2025.12.02 更新 2026.04.15 読了 約7分

造形物を壊さない!3Dプリンター安全取り外しガイド

「造形物がビルドプラットフォームに貼り付いて取れない」「無理やり剥がそうとして、せっかくの造形物が欠けてしまった」「スクレーパーが滑って手を怪我しそうになった」

このような経験はありませんか? 造形物の取り外しは、決して力任せに行うものではありません。「Formlabs専用ソフトウェア PreForm」での事前の向き設定と、正しいツールの使い方を知っていれば、驚くほどスムーズに、そして安全に作業できます。

本記事では、私たち販売店の技術部門が日々実践している、安全かつ確実な「取り外し標準作業手順」を公開します。

【準備編:まずは「安全」と「仕組み」を理解する】

なぜ強く張り付くのか

造形中にモデルが自重で脱落しないよう、Formlabs製3Dプリンターは、初期層(ベース部分)を意図的に強力に硬化させています。このメカニズムを理解せず、ただ闇雲に力を入れて剥がそうとすると、ビルドプラットフォームの金属面を深く傷つけたり、最悪の場合はスクレーパーが滑って人身事故につながったりします。

必須の安全装備

作業を始める前に、必ず以下の装備を着用してください。

  • 保護メガネ: 硬化したレジンやサポート材の破片が弾け飛び、目に入るのを防ぎます。
  • 耐切創手袋: 鋭利なスクレーパーや造形物のエッジから手を守ります。

【実践編:プロが教えるステップ・バイ・ステップ】

ここでは、造形物を傷つけずに取り外すための基本フローを解説します。以下の手順に沿って作業を進めてください。

Step 1: PreFormでの「取り外しやすい」配置設定

取り外しの成否は、実はプリント前のデータ作成時点で決まっています。

  • Formlabs専用ソフトウェア PreFormを開き、モデルをインポートします。
  • モデルをビルドプラットフォームに直接配置(直置き)せず、必ず**「ラフト(土台)」**を生成します。
  • 除去ツールを入れやすくするため、モデルを少し斜めに傾けて配置します。

ラフトのエッジは斜めにカット(面取り)されるよう設計されており、ここにツールを差し込むことでスムーズに剥離できます。

PreFormでのラフト設定と傾斜エッジの確認
ラフトの傾斜エッジにスクレーパーを差し込みます

Step 2: ビルドプラットフォームの固定

不安定な状態で力を入れるのは厳禁です。片手でプラットフォームを持ちながらスクレーパーを使うのは非常に危険ですので避けてください。

  • 造形が完了したら、プリンターからビルドプラットフォームを取り外します。
  • フィニッシュキット(または専用の洗浄台)にビルドプラットフォームをセットし、動かないように完全に固定します。
  • 利き手でツールを持ち、反対の手でプラットフォームの上部を軽く押さえて安定させます。
治具に固定されたビルドプラットフォームと作業姿勢
必ずプラットフォームを固定してから作業しましょう

Step 3: スクレーパーの正しいアプローチ

スクレーパーは「削り取る」のではなく、「隙間を作る」イメージで使用します。

  • ラフトの傾斜部分(面取りされた角)の下に、スクレーパーの刃先を当てます。
  • 刃の角度をビルドプラットフォームの金属面と平行に保ちます。
  • 刃を自分の方に向けず、必ず**「奥へ」向かって**力を加えます。テコの原理を利用して、少しずつ浮かせていきます。
スクレーパーを平行に差し込む正しい角度
刃を平行にし、奥に向かって力を加えます

Step 4: 硬質レジン・軟質レジンの使い分け

使用しているレジンの特性によって、力の入れ方を変える必要があります。

  • 硬質レジン(Rigid 10K / Rigid 4000など)の場合: プラットフォームへの密着が非常に強いため、手で押すだけでは動かないことがあります。その場合は、スクレーパーの柄を木槌(マレット)で軽く叩き、その衝撃で剥離させます。
  • 軟質レジン(Flexible 80A / Elastic 50Aなど)の場合: 衝撃を与えると変形する恐れがあります。スクレーパーを差し込んだら、ゆっくりと端からめくるように持ち上げて剥がします。
硬質レジンと軟質レジンの取り外し方の違い
素材に合わせた力加減がポイントです

【技術パート:失敗しないためのプロの「秘訣」】

ここでは、どうしても取れない場合のトラブルシューティングと、現場で役立つ運用のコツを紹介します。

よくある失敗:プラットフォームの傷について

スクレーパーを使用すると、金属面にひっかき傷がつくことがあります。「壊してしまったのでは?」と心配される方がいますが、多少の傷はレジンの「足掛かり」となり密着性を高めるため、問題ありません。 ただし、深い凸凹ができてしまった場合は、**サンドペーパー(#80~#120)**で表面全体を研磨し、平滑に整えてください。

運用のコツ:固着してしまった時の「レスキュー技」

どうしても剥がれない場合は、無理に力を入れず、以下の方法を試してください。

■ 困ったときの対処法

  • 温度変化を利用する: ビルドプラットフォームごと冷凍庫に入れて冷やすか、逆にヒートガンで温めます。金属とレジンの熱収縮率の差により、自然と剥がれやすくなります。
  • 洗浄液を活用する: 造形物のラフト周囲に、少量の洗浄液 3D Medsupo(スリーディーメドサポ)を塗布またはスプレーしてください。溶剤が隙間に浸透し、固着を緩める効果が期待できます。

【応用編:さらなる効率化へ】

もし、毎回の取り外し作業に5分以上かかっているなら、機材のアップデートを検討すべき時期です。最新の環境では、ここまでの苦労が嘘のように解消されます。

ベストプラクティス構成:Form 4 × Flex Build Platform

弊社の技術部門では、現在すべての造形を以下の構成で行い、作業時間を劇的に短縮しています。

  • Form 4 (Form 4L) + Form 4 ビルドプラットフォームフレックス:
    Form 4に採用された「Flex Build Platform(フレキシブルビルドプラットフォーム)」を使用すれば、スクレーパー等の工具はほぼ不要です。プラットフォームのハンドルをひねるだけで、造形物が「ポロリ」と外れます。これにより、作業時間が数秒に短縮されるだけでなく、鋭利な工具による怪我のリスクもゼロになります。
  • 洗浄液 3D Medsupo:
    取り外した後は、コストパフォーマンスと洗浄力に優れた洗浄液 3D Medsupoへ投入します。素早く剥離し、素早く洗う。これが私たちが推奨する「最強の時短ワークフロー」です。

【まとめ】

安全で確実な造形のために、本日のポイントを振り返りましょう。

■ 本日のチェックリスト

  • [ ] Formlabs専用ソフトウェア PreFormで、ラフト付き・斜め配置の設定を行っていますか?
  • [ ] スクレーパーは「自分とは反対方向」に向けて使用していますか?
  • [ ] どうしても取れない時は、温度変化や洗浄液 3D Medsupoの塗布を試しましたか?

技術相談・実機検証のご案内

「硬質レジンの取り外しがどうしても怖い」「Form 4のFlex Build Platformの実際の剥離感を体験したい」という方は、ぜひ弊社のショールームへお越しください。 実機を使った検証や、お客様の課題に合わせた最適な構成のご提案が可能です。不安な点は、私たちプロのエンジニアにご相談ください。

出典:ビルドプラットフォームからパーツを取り外す

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i-MAKER 研究室 編集部

株式会社アイ・メーカーが運営する、ものづくり情報サイト「i-MAKER 研究室」の編集部。3Dプリンター・光造形・洗浄の現場に10年以上携わる経験をもとに、実機検証と取材を軸とした記事を制作しています。

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