造形物を壊さない!3Dプリンター安全取り外しガイド

造形物を壊さない!3Dプリンター安全取り外しガイド
「造形物がビルドプラットフォームに貼り付いて取れない」「無理やり剥がそうとして、せっかくの造形物が欠けてしまった」「スクレーパーが滑って手を怪我しそうになった」
このような経験はありませんか? 造形物の取り外しは、決して力任せに行うものではありません。「Formlabs専用ソフトウェア PreForm」での事前の向き設定と、正しいツールの使い方を知っていれば、驚くほどスムーズに、そして安全に作業できます。
本記事では、私たち販売店の技術部門が日々実践している、安全かつ確実な「取り外し標準作業手順」を公開します。
【準備編:まずは「安全」と「仕組み」を理解する】
なぜ強く張り付くのか
造形中にモデルが自重で脱落しないよう、Formlabs製3Dプリンターは、初期層(ベース部分)を意図的に強力に硬化させています。このメカニズムを理解せず、ただ闇雲に力を入れて剥がそうとすると、ビルドプラットフォームの金属面を深く傷つけたり、最悪の場合はスクレーパーが滑って人身事故につながったりします。
必須の安全装備
作業を始める前に、必ず以下の装備を着用してください。
- 保護メガネ: 硬化したレジンやサポート材の破片が弾け飛び、目に入るのを防ぎます。
- 耐切創手袋: 鋭利なスクレーパーや造形物のエッジから手を守ります。
【実践編:プロが教えるステップ・バイ・ステップ】
ここでは、造形物を傷つけずに取り外すための基本フローを解説します。以下の手順に沿って作業を進めてください。
Step 1: PreFormでの「取り外しやすい」配置設定
取り外しの成否は、実はプリント前のデータ作成時点で決まっています。
- Formlabs専用ソフトウェア PreFormを開き、モデルをインポートします。
- モデルをビルドプラットフォームに直接配置(直置き)せず、必ず**「ラフト(土台)」**を生成します。
- 除去ツールを入れやすくするため、モデルを少し斜めに傾けて配置します。
ラフトのエッジは斜めにカット(面取り)されるよう設計されており、ここにツールを差し込むことでスムーズに剥離できます。
Step 2: ビルドプラットフォームの固定
不安定な状態で力を入れるのは厳禁です。片手でプラットフォームを持ちながらスクレーパーを使うのは非常に危険ですので避けてください。
- 造形が完了したら、プリンターからビルドプラットフォームを取り外します。
- フィニッシュキット(または専用の洗浄台)にビルドプラットフォームをセットし、動かないように完全に固定します。
- 利き手でツールを持ち、反対の手でプラットフォームの上部を軽く押さえて安定させます。
Step 3: スクレーパーの正しいアプローチ
スクレーパーは「削り取る」のではなく、「隙間を作る」イメージで使用します。
- ラフトの傾斜部分(面取りされた角)の下に、スクレーパーの刃先を当てます。
- 刃の角度をビルドプラットフォームの金属面と平行に保ちます。
- 刃を自分の方に向けず、必ず**「奥へ」向かって**力を加えます。テコの原理を利用して、少しずつ浮かせていきます。
Step 4: 硬質レジン・軟質レジンの使い分け
使用しているレジンの特性によって、力の入れ方を変える必要があります。
- 硬質レジン(Rigid 10K / Rigid 4000など)の場合: プラットフォームへの密着が非常に強いため、手で押すだけでは動かないことがあります。その場合は、スクレーパーの柄を木槌(マレット)で軽く叩き、その衝撃で剥離させます。
- 軟質レジン(Flexible 80A / Elastic 50Aなど)の場合: 衝撃を与えると変形する恐れがあります。スクレーパーを差し込んだら、ゆっくりと端からめくるように持ち上げて剥がします。
【技術パート:失敗しないためのプロの「秘訣」】
ここでは、どうしても取れない場合のトラブルシューティングと、現場で役立つ運用のコツを紹介します。
よくある失敗:プラットフォームの傷について
スクレーパーを使用すると、金属面にひっかき傷がつくことがあります。「壊してしまったのでは?」と心配される方がいますが、多少の傷はレジンの「足掛かり」となり密着性を高めるため、問題ありません。 ただし、深い凸凹ができてしまった場合は、**サンドペーパー(#80~#120)**で表面全体を研磨し、平滑に整えてください。
運用のコツ:固着してしまった時の「レスキュー技」
どうしても剥がれない場合は、無理に力を入れず、以下の方法を試してください。
■ 困ったときの対処法
- 温度変化を利用する: ビルドプラットフォームごと冷凍庫に入れて冷やすか、逆にヒートガンで温めます。金属とレジンの熱収縮率の差により、自然と剥がれやすくなります。
- 洗浄液を活用する: 造形物のラフト周囲に、少量の洗浄液 3D Medsupo(スリーディーメドサポ)を塗布またはスプレーしてください。溶剤が隙間に浸透し、固着を緩める効果が期待できます。
【応用編:さらなる効率化へ】
もし、毎回の取り外し作業に5分以上かかっているなら、機材のアップデートを検討すべき時期です。最新の環境では、ここまでの苦労が嘘のように解消されます。
ベストプラクティス構成:Form 4 × Flex Build Platform
弊社の技術部門では、現在すべての造形を以下の構成で行い、作業時間を劇的に短縮しています。
- Form 4 (Form 4L) + Form 4 ビルドプラットフォームフレックス:
Form 4に採用された「Flex Build Platform(フレキシブルビルドプラットフォーム)」を使用すれば、スクレーパー等の工具はほぼ不要です。プラットフォームのハンドルをひねるだけで、造形物が「ポロリ」と外れます。これにより、作業時間が数秒に短縮されるだけでなく、鋭利な工具による怪我のリスクもゼロになります。 - 洗浄液 3D Medsupo:
取り外した後は、コストパフォーマンスと洗浄力に優れた洗浄液 3D Medsupoへ投入します。素早く剥離し、素早く洗う。これが私たちが推奨する「最強の時短ワークフロー」です。
【まとめ】
安全で確実な造形のために、本日のポイントを振り返りましょう。
■ 本日のチェックリスト
- [ ] Formlabs専用ソフトウェア PreFormで、ラフト付き・斜め配置の設定を行っていますか?
- [ ] スクレーパーは「自分とは反対方向」に向けて使用していますか?
- [ ] どうしても取れない時は、温度変化や洗浄液 3D Medsupoの塗布を試しましたか?
技術相談・実機検証のご案内
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