Form 4の造形停止を防ぐ!Z軸リードスクリューの清掃・グリスアップ完全ガイド

Form 4の造形停止を防ぐ!Z軸リードスクリューの清掃・グリスアップ完全ガイド
「最近、Z軸(縦方向のネジ)に黒い汚れが付着していませんか?」
「造形中に、今までしなかった駆動音が聞こえませんか?」
これらは故障の前兆ではなく、適切なメンテナンス時期を知らせるサインです。本記事では、私達が実際に運用している「標準作業手順(SOP)」に基づき、Form 4 のパフォーマンスを維持するためのZ軸メンテナンス手順を解説します。
この手順を実践することで、古いグリスによる抵抗を解消し、予期せぬエラー停止(ビルドプラットフォームマウントの停止)を回避して、Form 4本来の高速造形と静音性を取り戻すことができます。
準備編:理解しておくべき基本と安全対策
作業に入る前に、Z軸が汚れる原因と、必要な準備について確認します。
1. なぜZ軸が黒くなるのか
Form 4 のZ軸には「アンチバックラッシュナット」という高精度な部品が採用されています。使用に伴い、ナット内部から微細な摩耗粉が発生し、これがグリスと混ざることで黒い残留物となります。これは機械的な構造上、正常な経年変化です。
しかし、この黒い汚れを放置すると駆動抵抗が増え、造形品質の低下や動作停止(エラー)を招きます。弊社では、3〜6ヶ月ごとの定期チェックを推奨しています。
2. 必要な機材・環境
作業をスムーズに進めるため、以下のものを手元に用意してください。
| アイテム | 用途 |
|---|---|
| Form 4 本体 | メンテナンス対象 |
| リードスクリュークリーニングツール | 本体付属品(純正) |
| リチウムグリス | Rheolube 362HB または同等のボールベアリング用グリス |
| ペーパータオル・ニトリル手袋 | 清掃・保護用 |
| 洗浄液 3D Medsupo | 周辺パーツの清掃用(推奨) |
3. 安全上の絶対ルール
■ 警告:感電・事故防止のために
作業前には、必ずプリンターの電源ケーブルをコンセントから抜いてください。可動部への巻き込み事故や、予期せぬ通電を防ぐための絶対条件です。
実践編:プロが教えるステップ・バイ・ステップ
それでは、実際の作業手順を解説します。以下のフローに従って操作してください。
Step 1: 造形エリアのクリアランス確保
作業中にレジンが垂れたり、パーツが干渉したりするのを防ぐため、庫内を空にします。
- Form 4 のカバーを開けます。
- Form 4 ビルドプラットフォーム のレバーを操作し、取り外します。
- レジンカートリッジを取り外し、通気キャップを閉じて保管します。
- Form 4 レジンタンク(レジンを入れるトレイ)を取り外します。
※タンクは紫外線が入らないよう、専用ケースか光の当たらない平らな場所に置いてください。
Step 2: 専用ツールによる「古いグリス」の除去
古いグリスを完全に除去することが、新しいグリスの効果を高めるポイントです。
- 乾いたペーパータオルで、Z軸リードスクリュー(縦に伸びるネジ棒)の目立つ汚れを優しく拭き取ります。
- 付属品の「リードスクリュークリーニングツール」を用意します。
- ツールをZ軸ネジの上部に挟み込むようにセットし、「カチッ」と音がするまで閉じます。
※重要: この時、ツールの矢印マークが「上」を向いていることを確認してください。 - ツールを手で持ち、時計回りに回転させながら、ネジに沿って下方向へ移動させます。これにより、ネジ溝の奥に入り込んだ汚れを掻き出します。
- 最下部まで移動したら、ツールを取り外します。
Step 3: 仕上げ拭き取りとグリスの再塗布
清掃が終わったら、新しいグリスを塗布して潤滑性能を回復させます。
- 掻き出された汚れが残らないよう、再度ペーパータオルでZ軸全体を丁寧に拭き上げます。
- 新しいリチウムグリスを用意します。
- アプリケーター(塗布棒)などの清潔な棒に、少量のグリスを取ります。
- Z軸リードスクリュー全体に、グリスを薄く、均一に塗布します。
- 塊で乗せるのではなく、ネジ山全体に薄い膜を作るイメージで伸ばしてください。
技術パート:失敗しないためのプロの「コツ」
ここでは、作業において初心者が陥りやすいミスと、プロが実践している運用のポイントを解説します。
よくある失敗:グリスの「塗りすぎ」
「たくさん塗ったほうが動きが良くなる」というのは誤りです。余分なグリスは造形中に飛び散って内部を汚したり、逆に空気中のホコリを吸着して固着の原因になります。
成功のポイント:周辺パーツの「ついで掃除」
Z軸のメンテナンスで取り外したビルドプラットフォームなどは、この機会に清掃しておきましょう。
弊社では、取り外したパーツを洗浄液 3D Medsupo(スリーディーメドサポ)を含ませたウエスで拭き上げることを標準フローとしています。3D Medsupoは揮発性が高く、レジンのヌメリを強力に除去できるため、パーツ表面を常にクリーンな状態に保つことができ、次回の造形時のコンタミネーション(異物混入)リスクを大幅に低減できます。
機材メンテナンスは、この「ついで掃除」の積み重ねが長持ちの秘訣です。
応用編:さらなる効率化へ
Form 4 の最大の特徴である「圧倒的な造形スピード」は、スムーズなZ軸駆動があってこそ発揮されます。Z軸の動きが渋くなると、プリンターは安全策をとって動作を減速させたり、最悪の場合は停止したりします。
また、メンテナンスのダウンタイムを最小限に抑えるためには、適切なケミカル選びも重要です。ベタつくレジン汚れの除去に時間をかけていては、業務効率が落ちてしまいます。
- 定期的なメカニカルメンテナンス(本記事の手順)
- 効率的なケミカル運用(洗浄液 3D Medsupoの活用)
この「定期メンテ」×「適切なケミカル」の組み合わせこそが、トラブルなく高品質な造形を量産し続けるための、プロの現場の正解です。
まとめ
最後に、本日の作業内容を振り返ります。以下の3点をチェックしてください。
■ メンテナンス終了チェック
- 安全確認: 作業前に必ず電源プラグを抜きましたか?
- 清掃状況: 古い黒いグリスは完全に除去できましたか?
- 塗布量: 新しいグリスは「薄く、均一に」塗布できましたか?
全てクリアできていれば、電源ケーブルを接続し、テスト造形を行ってください。驚くほど静かでスムーズな動きが戻っているはずです。
技術相談・サンプルについて
「異音が消えない」「手順が正しいか不安」という場合は、弊社までお気軽にご相談ください。また、今回ご紹介した洗浄液の使用感を確認されたい方には、サンプルや実機検証のご案内も可能です。
出典:Formlabs公式ブログ『Cleaning and lubricating the Z-axis lead screw (Form 4 generation)』

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