本文へ飛ぶ
Formlabs製品ガイド

Form 4の造形停止を防ぐ!Z軸リードスクリューの清掃・グリスアップ完全ガイド

i-MAKER 研究室 編集部 | 公開 2025.12.18 更新 2026.04.15 読了 約6分

Form 4の造形停止を防ぐ!Z軸リードスクリューの清掃・グリスアップ完全ガイド

「最近、Z軸(縦方向のネジ)に黒い汚れが付着していませんか?」
「造形中に、今までしなかった駆動音が聞こえませんか?」

これらは故障の前兆ではなく、適切なメンテナンス時期を知らせるサインです。本記事では、私達が実際に運用している「標準作業手順(SOP)」に基づき、Form 4 のパフォーマンスを維持するためのZ軸メンテナンス手順を解説します。

この手順を実践することで、古いグリスによる抵抗を解消し、予期せぬエラー停止(ビルドプラットフォームマウントの停止)を回避して、Form 4本来の高速造形と静音性を取り戻すことができます。

準備編:理解しておくべき基本と安全対策

作業に入る前に、Z軸が汚れる原因と、必要な準備について確認します。

1. なぜZ軸が黒くなるのか

Form 4 のZ軸には「アンチバックラッシュナット」という高精度な部品が採用されています。使用に伴い、ナット内部から微細な摩耗粉が発生し、これがグリスと混ざることで黒い残留物となります。これは機械的な構造上、正常な経年変化です。

しかし、この黒い汚れを放置すると駆動抵抗が増え、造形品質の低下や動作停止(エラー)を招きます。弊社では、3〜6ヶ月ごとの定期チェックを推奨しています。

2. 必要な機材・環境

作業をスムーズに進めるため、以下のものを手元に用意してください。

アイテム 用途
Form 4 本体 メンテナンス対象
リードスクリュークリーニングツール 本体付属品(純正)
リチウムグリス Rheolube 362HB または同等のボールベアリング用グリス
ペーパータオル・ニトリル手袋 清掃・保護用
洗浄液 3D Medsupo 周辺パーツの清掃用(推奨)

3. 安全上の絶対ルール

■ 警告:感電・事故防止のために

作業前には、必ずプリンターの電源ケーブルをコンセントから抜いてください。可動部への巻き込み事故や、予期せぬ通電を防ぐための絶対条件です。

実践編:プロが教えるステップ・バイ・ステップ

それでは、実際の作業手順を解説します。以下のフローに従って操作してください。

Step 1: 造形エリアのクリアランス確保

作業中にレジンが垂れたり、パーツが干渉したりするのを防ぐため、庫内を空にします。

  • Form 4 のカバーを開けます。
  • Form 4 ビルドプラットフォーム のレバーを操作し、取り外します。
  • レジンカートリッジを取り外し、通気キャップを閉じて保管します。
  • Form 4 レジンタンク(レジンを入れるトレイ)を取り外します。
    ※タンクは紫外線が入らないよう、専用ケースか光の当たらない平らな場所に置いてください。
Form 4のオレンジ色のカバーを開け、中身が空っぽになっている状態
全てのパーツを取り外し、作業スペースを確保します。

Step 2: 専用ツールによる「古いグリス」の除去

古いグリスを完全に除去することが、新しいグリスの効果を高めるポイントです。

  • 乾いたペーパータオルで、Z軸リードスクリュー(縦に伸びるネジ棒)の目立つ汚れを優しく拭き取ります。
  • 付属品の「リードスクリュークリーニングツール」を用意します。
  • ツールをZ軸ネジの上部に挟み込むようにセットし、「カチッ」と音がするまで閉じます。
    ※重要: この時、ツールの矢印マークが「上」を向いていることを確認してください。
  • ツールを手で持ち、時計回りに回転させながら、ネジに沿って下方向へ移動させます。これにより、ネジ溝の奥に入り込んだ汚れを掻き出します。
  • 最下部まで移動したら、ツールを取り外します。
Z軸ネジの上部にクリーニングツールをセットしている様子
純正ツールを使用することで、ネジ溝の奥の汚れまで確実にキャッチできます。

Step 3: 仕上げ拭き取りとグリスの再塗布

清掃が終わったら、新しいグリスを塗布して潤滑性能を回復させます。

  • 掻き出された汚れが残らないよう、再度ペーパータオルでZ軸全体を丁寧に拭き上げます。
  • 新しいリチウムグリスを用意します。
  • アプリケーター(塗布棒)などの清潔な棒に、少量のグリスを取ります。
  • Z軸リードスクリュー全体に、グリスを薄く、均一に塗布します。
  • 塊で乗せるのではなく、ネジ山全体に薄い膜を作るイメージで伸ばしてください。
アプリケーターを使ってZ軸ネジ山に新しいグリスを塗布している様子
グリスは多すぎてもトラブルの原因になります。薄く伸ばすのがコツです。

技術パート:失敗しないためのプロの「コツ」

ここでは、作業において初心者が陥りやすいミスと、プロが実践している運用のポイントを解説します。

よくある失敗:グリスの「塗りすぎ」

「たくさん塗ったほうが動きが良くなる」というのは誤りです。余分なグリスは造形中に飛び散って内部を汚したり、逆に空気中のホコリを吸着して固着の原因になります。

成功のポイント:周辺パーツの「ついで掃除」

Z軸のメンテナンスで取り外したビルドプラットフォームなどは、この機会に清掃しておきましょう。

弊社では、取り外したパーツを洗浄液 3D Medsupo(スリーディーメドサポ)を含ませたウエスで拭き上げることを標準フローとしています。3D Medsupoは揮発性が高く、レジンのヌメリを強力に除去できるため、パーツ表面を常にクリーンな状態に保つことができ、次回の造形時のコンタミネーション(異物混入)リスクを大幅に低減できます。

機材メンテナンスは、この「ついで掃除」の積み重ねが長持ちの秘訣です。

応用編:さらなる効率化へ

Form 4 の最大の特徴である「圧倒的な造形スピード」は、スムーズなZ軸駆動があってこそ発揮されます。Z軸の動きが渋くなると、プリンターは安全策をとって動作を減速させたり、最悪の場合は停止したりします。

また、メンテナンスのダウンタイムを最小限に抑えるためには、適切なケミカル選びも重要です。ベタつくレジン汚れの除去に時間をかけていては、業務効率が落ちてしまいます。

  • 定期的なメカニカルメンテナンス(本記事の手順)
  • 効率的なケミカル運用(洗浄液 3D Medsupoの活用)

この「定期メンテ」×「適切なケミカル」の組み合わせこそが、トラブルなく高品質な造形を量産し続けるための、プロの現場の正解です。

まとめ

最後に、本日の作業内容を振り返ります。以下の3点をチェックしてください。

■ メンテナンス終了チェック

  • 安全確認: 作業前に必ず電源プラグを抜きましたか?
  • 清掃状況: 古い黒いグリスは完全に除去できましたか?
  • 塗布量: 新しいグリスは「薄く、均一に」塗布できましたか?

全てクリアできていれば、電源ケーブルを接続し、テスト造形を行ってください。驚くほど静かでスムーズな動きが戻っているはずです。

技術相談・サンプルについて

「異音が消えない」「手順が正しいか不安」という場合は、弊社までお気軽にご相談ください。また、今回ご紹介した洗浄液の使用感を確認されたい方には、サンプルや実機検証のご案内も可能です。

出典:Formlabs公式ブログ『Cleaning and lubricating the Z-axis lead screw (Form 4 generation)』

\ IPA廃液の処理にお困りではありませんか? /
3D Medsupo製品と回収のイメージ

3D Medsupo(メドサポ)

非有機溶剤で「毒性なし・臭いなし」。さらに「廃液回収サービス付き」だから、面倒な産廃処理の手間とコストをゼロに。
★ キャンペーン中 今なら使用済みのIPA廃液も回収します!

Form 4 / 4L 導入のご相談

「実機で機能を確認したい」「造形サンプルの依頼」「お見積り」など
専門スタッフが丁寧にお答えします。

この記事をシェア
ご相談・無料サンプル
光造形の導入・運用、3DMedSupoのご相談

洗浄液の選定、レジンの相談、お見積りなど、お気軽にご相談ください。無料サンプルもご用意しています。

AUTHOR
i-MAKER 研究室 編集部

株式会社アイ・メーカーが運営する、ものづくり情報サイト「i-MAKER 研究室」の編集部。3Dプリンター・光造形・洗浄の現場に10年以上携わる経験をもとに、実機検証と取材を軸とした記事を制作しています。

3DMedSupo 無料サンプル

光造形の導入・運用でお困りですか?

洗浄液の選定、レジンの相談、お見積りなど、お気軽にご相談ください。

お電話: 042-444-7220(平日 9:00-17:00)