光造形3DプリンターForm3レビュー応用編です。「ボトル」を3Dプリントします。
光造形3Dプリンターで、ボトル形状を3Dプリントするとどうなるのか?
表面のテクスチャのディティールはどこまで綺麗に仕上がるのか?
を検証していきます。
スタンダードレジンの材料であるクリアレジンを使用して3Dプリントをしていきます。
前回のペットボトルに続きボトル形状を検証します。
今回のボトルは、ガラス瓶として良く見られるこちらの形状になります。
光造形3Dプリンターで、空洞のあるカップ形状をプリントする場合の方法や、3Dプリントのディティールの仕上がりを検証していきましょう。
プリントする形状とサイズ
こちらは3Dプリントするボトルの3Dデータになります。
3Dデータは、Blenderという3Dソフトを使用して作製しています。
サイズ : 37.8mm(幅)×123mm(高さ)
使用する光造形3Dプリンターと材料
今回使用する光造形3Dプリンターは、Form3です。
Form3は、高精細、滑らかな仕上がりが特徴の反転方式の光造形3Dプリンターです。
ソフトは、Form3の専用ソフトウェア PreFormを使用します。
PreFormでは、プリントするデータ、プリント方向、サポートの付け方を設定することができます。
光造形3Dプリンター用の材料は、Form3専用スタンダードレジンのクリアレジンを使用します。
3Dプリントで検証したい内容
【検証1】表面ディティールの仕上がり
検証一つ目の内容は、表面ディティールの仕上がりです。
3Dデータの造形がどこまで再現できているのかを検証していきます。今回3Dプリントするボトルは、ボトル表面に縦ラインの凹凸と、中央に帯状の段差があります。ボトルの形状は、下部分にくびれがありボトルの口にも段差がついています。
ボトルの厚みは前回のペットボトルよりも厚く、3.3mmあります。
厚みがある分、安定感のある造形になっています。
【検証2】カッピングの影響は出るのか?
検証二つ目は、カッピングの影響は出るのか?です。Form3の光造形法で空洞のある造形を3Dプリントする場合に、注意しなければならない現象でカッピングというものがあります。
今回のボトルは中が空洞になっていますので、カッピングがどこまでプリントに影響するのかも検証していきます。更に高さのある造形で、表面に凹凸もあります。
※カッピングに関しては、光造形3DプリンターForm3レビュー【カップ編:グレイレジン】で詳しく説明していますのでぜひ参考にして下さい。
PreFormのプリント設定
サポート設定と積層ピッチ
サポート設定は、直付プリント(サポート設定なし)
積層ピッチは、100ミクロン
でプリントしていきます。
こちらがPreFormでのプリント画面になります。この内容で3Dプリントをしていきます。
今回のボトルは、カップ症状が検出されました。
このまま3Dプリントをしてカップ症状の影響を検証していきます。
プリント時間 | レイヤー数 | ボリューム | Total材料コスト | 1個あたりのl材料コスト |
6h00m | 1231層 | 38.43ml | 1個=722円 | 1個=722円 |
プリント結果
それでは、3Dプリントの結果を見ていきましょう。
【検証1】表面ディティールの仕上がり 結果
●表面全体の仕上がりは、滑らかで高精細。
●ボトル表面の凹凸と中央の段差もきれい。
●ボトルの内側も底まできれいに造形できた。



積層表面
●全体的に積層跡が見える。
●ボトルの口のカーブ部分がきれいにプリントできている。
●直付部分の円が少し歪んでしまった。




[寸法結果]
サイズ : 37.8mm(幅)×123mm(高さ)
3Dプリント後のサイズ
幅 : −0.4mm
高さ : 寸法通り
少し歪みました。
【検証2】カッピングの影響は出るのか?
カッピングの影響を見ていきます。
●プリント時の圧縮により、ボトル底面のカーブの一部が、欠けてしまった。
●側面表面の一部に、積層段差が出てしまった。
●一部造形が歪んでしまったが、そこまで大きなカッピング現象は見られなかった。
応用編 ボトル クリアレジン 3Dプリントまとめ
今回は、応用編 ボトルをテーマにクリアレジンを使用して光造形3Dプリンターで3Dプリントしてみました。
検証結果をまとめると、
●表面テクスチャとディティール
表面の仕上がり : 滑らかな仕上がり。
形状の仕上がり : 側面の凹凸や、ボトルの口も高精細にプリントできた。
カップの厚み : 3.3mmと厚い形状だが、内側まできれいにプリントできた。重厚感のある仕上がり。
●カップ症状の影響
サポート設定 : 直付でプリント成功。
カップ症状 : 直付の支え部分に影響が少し見られた。
高さのあるカップ形状だったので、側面の一部に圧迫による積層の段差が見られた。
今回のような、高さがあるカップ形状で表面に凹凸のある造形の場合は、カッピングの影響が出る可能性があります。造形の形状によってはPreFormでのプリント設定方法を見直すか、プリント前にカップ症状を良く確認してデータを修正する必要があります。
●クリアレジンについて
今回のボトル形状では、ガラス瓶のようにクリアな造形表現ができました。他のスタンダードレジンでは出せない内部のディティールまで繊細に3Dプリントできています。
クリアレジンは、透明なプロトタイプの試作に最適です。スタンダードレジンの中でも、クリアレジンは内部のディティールを良く見せたい場合や、住宅用LED等を内部に仕込む造形の場合に効果的な材料です。
Form3のクリアレジンならではの表現が可能になります。
