最大6倍高速化!新型「Form Cure L」解説
Form 4Lのボトルネックを解消 | i-MAKER

 

2024年、Form 4 / Form 4L の登場によって、SLA(光造形)のスピードに対する常識は完全に覆されました。「とにかく速い」という評価を多くのユーザー様からいただいておりますが、ここで一つの新たな課題が浮き彫りになりつつあります。

それは、「造形は速いのに、後処理(二次硬化)が追いつかない」というボトルネックです。

せっかくForm 4Lで大型パーツを数時間で造形しても、従来の二次硬化機(Form Cure L)では硬化に時間がかかり、生産ライン全体のリズムが崩れてしまう——そんな現場の声に応えるかのように、Formlabsから待望のアップデートが発表されました。

今回は、新型となった「Form Cure L(V2)」について、メーカー発表のスペック解説だけでなく、私たち販売店の視点から見た「現場でのメリット」や「運用の注意点」を詳しく解説します。

1. 最大6倍速?新型Form Cure Lの全貌

まず、何が変わったのかを一言で申し上げますと、「UV照射パワーの強化による劇的な時間短縮」です。

光造形(SLA)において、二次硬化(ポストキュア)は、レジンの機械的特性を最大限に引き出し、生体適合性などの安全基準を満たすために不可欠な工程です。しかし、大型の造形物になればなるほど、これまでは長い時間を要していました。

今回の新型機では、内部のUV光パワーが従来比で約5倍に増強されました。これにより、多くのレジンで硬化時間が大幅に短縮されています。

Form 4Lによる大型光造形パーツと新型Form Cure Lでの検証イメージ

驚異的な時短効果

具体的にどのくらい速くなったのか、主要なレジンでの比較データをまとめました。特に、使用頻度の高いスタンダード系のレジンが「1分」で完了するという点は、実務において革命的です。

レジン種類 旧 Form Cure L 所要時間 新 Form Cure L 所要時間 時間短縮率
スタンダードレジン 5分 1分 80%短縮
Tough 2000 60分 12分 80%短縮
High Temp 120分 15分 87%短縮
Elastic 50A 40分 7分 82.5%短縮

※メーカー公称値に基づくデータです。形状や厚みにより変動する可能性があります。

これまでHigh Tempレジンなどのエンジニアリングレジンを使用する際、二次硬化だけで2時間待たされることも珍しくありませんでした。それがわずか15分で終わるとなれば、1日に回せるサイクル数は劇的に向上します。

日本のオフィスに嬉しい「サイズダウン」

スペックアップと同時に、筐体設計も見直されています。

  • 設置面積の削減: 従来機に比べて設置面積(フットプリント)が26%縮小しました。
  • 庫内容量の拡大: 逆に、内部の硬化可能エリアは19%拡大しています。
  • 対応サイズ: 最大 353 x 196 x 365 mm までの造形物を収容可能です。

日本の実験室やオフィスはスペースが限られていることが多いため、「外は小さく、中は広く」という改良は非常に実用的です。ガラス製ターンテーブル(径404mm)の上で、大型パーツもムラなく光を浴びることができます。

導入事例:Radio Flyer社の評価

アメリカのワゴンや三輪車メーカーであるRadio Flyer社の事例では、単なる時間短縮以上のメリットが報告されています。彼らはForm 4Lで出力した大きくて薄い試作パーツ(ワゴンや自転車の部品)の処理に新型機を使用しました。

「最大の利点は、Form Cure Lを使うことでたわみが低減し寸法精度が向上する点です。その結果、嵌合部分の組み立てに要する時間を短縮できます」
(Radio Flyer 製品開発エンジニア Agostino Lobello氏)

短時間で強力に硬化させることで、自重による変形が起きる前に形状を固定でき、結果として「嵌合(かんごう)」の精度が上がったという事実は、組立を伴う試作を行うエンジニアにとって見逃せないポイントです。

2. 販売店の技術ノート:カタログには載っていない「現場の視点」

ここからは、私たち販売店が実機運用を想定した際に感じる、カタログスペックの裏側にある「リアルなメリット」と「注意点」をお伝えします。

運用のメリット:Form 4Lのハイサイクルに追従可能に

Form 4やForm 4Lは、新技術「LFD(Low Force Display)」と強力な「LEDパネル」の搭載により、爆発的な造形スピードを実現しています。しかし、従来の二次硬化機では、造形が終わっても硬化機が空いておらず、洗浄後のパーツが待機状態になる(あるいは硬化待ちで行列ができる)という問題が発生しがちでした。

■ ここがポイント

新型Form Cure Lの導入は、単なる時短機器の追加ではなく、「Form 4Lを中心とした高速生産ラインのバランスを整える」ための必須投資と言えます。

【理想的なサイクル例】

  • 造形:数時間
  • 洗浄:10〜20分
  • 二次硬化:1〜15分

このタイム感であれば、次々と造形を行ってもボトルネックが発生せず、ノンストップでの運用が可能になります。

注意点・Tips(躓き防止のアドバイス)

導入にあたり、私たちプロの視点からいくつか注意喚起しておきたいポイントがあります。

  • 電源電圧と予熱時間について
    メーカー発表では「予熱時間わずか150秒で60°Cに到達」とありますが、注釈に「※230Vバージョンの場合」とあります。日本の一般的な100V環境では、ヒーター出力の関係上、予熱にもう少し時間がかかる可能性があります。特に冬場の寒い部屋などでは、余裕を持った運用計画が必要です。
  • 急激な反応熱への配慮
    「1分で硬化する」ということは、化学反応が一気に進むことを意味します。反応熱(重合熱)が短時間で発生するため、極端に肉厚なブロック形状などの場合、内部蓄熱が高くなりすぎないか注意が必要です。

3. コラム:ワークフロー最適化のヒント

出力個数が増える今だからこそ見直したい「洗浄コスト」

Form 4Lと新型Form Cure Lを組み合わせることで、1日あたりの造形個数は飛躍的に増加します。生産性が上がるのは素晴らしいことですが、現場担当者様が次に直面するのは「洗浄液のコスト」と「交換の手間」という課題です。

洗浄工程が頻繁になればなるほど、IPA(イソプロピルアルコール)の消費量は増え、廃液処理や揮発による臭気対策も大変になります。そこで、ワークフロー全体を最適化するために、弊社では洗浄液 3D Medsupo(スリーディーメドサポ)の併用を推奨しています。

【洗浄液 3D Medsupo のメリット】

  • コストパフォーマンスに優れる: 揮発性が低いため液が減りにくく、IPAよりも長く使用できるため、ランニングコストを圧縮できます。
  • 管理が容易: グレードによっては危険物非該当(※)となるため、指定数量の制限を受けにくく、大量の洗浄液をストックする必要がある生産現場でも保管・管理が容易です。
  • 高い洗浄力: 複雑なラフト形状やサポート材の隙間に入り込んだレジンも強力に落とします。

「Form 4L + 新型Form Cure L」で速度を最大化し、「洗浄液 3D Medsupo」でコストと安全性を担保する。これが、これからの大型光造形運用の標準的な構成になりそうです。

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まとめ

今回の新型Form Cure Lの発表は、Form 4Lのポテンシャルを100%引き出すための「ラストワンマイル」を埋める重要なアップデートです。

■ ここがポイント

  • UVパワー5倍により、最大6倍の高速化(標準レジンは約1分)を実現。
  • 筐体はコンパクトになりつつ内部容量は拡大し、日本のオフィス環境に最適化。
  • Form 4Lの生産能力を最大化するには必須の装備ですが、電源環境など日本固有の注意点も考慮が必要。

私たち販売店は、単に機器を販売するだけでなく、お客様の設置環境(電源・排気・スペース)や、使用するレジンに合わせた最適なワークフローをご提案しています。

「自社のパーツなら硬化時間は何分くらいになりそうか?」「Form 4Lの実機とあわせて、サイズ感を確認したい」「洗浄液 3D Medsupoのサンプルを試してみたい」

そのような疑問やご要望がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。専門スタッフが親身に対応させていただきます。

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