Formlabsのグレイプロレジン
Formlabsのグレイプロレジン(Form3では専用レジンタンクが開発中のため未対応)は、FormlabsのUV硬化レジンの中では、最も滑らかで高精細な表現が可能だ。また同時に安定した強度を持つ。
ABSライクのタフや、ポリプロピレンライクのデュラブルなど、他のエンジニアリングレジンのように強度があり、光造形3Dプリンターの材料としては、製造用の冶具から機能試験用プロトタイプまで幅広い用途に使用されている。
今回はそんなグレイプロの滑らかな質感と、優れた強度を活かしたアルパインの3Dプリント「ドライブネコーダー」とその制作工程をご紹介しよう。

ドライブネコーダーとは
ドライブネコーダーとは、人気猫漫画「ニャアアアン!」のキャラクター「ぽんた」をモデルに、アルパインの本物のドライブレコーダーを搭載し、猫目線で撮影ができるようにしたプロモーション用の特別な制作物だ。
ちなみに「ニャアアアン!」は人気漫画家「鴻池剛」先生の代表作で、「ぽんた」はその主人公である。

ドライブネコーダーは実際に猫が多数生息している四国・香川県「佐柳島」において、猫たちの撮影に使用されることになった。
ラジコンの車体をベースに手押し車で走らせながら撮影するため、車体へのカスタムフィットと広範囲の視野、走行時の揺れや衝撃に耐えられる機能が必要とされた。
また、漫画のキャラクターである「ぽんた」を立体にする際には、キャラクターのイメージを崩ないでモデル化することが求められた。

キャラクタ―イメージを失わずにモデリング
二次元のキャラクターを3Dにする際に最も気をつけなければならない点が、そのイメージをいかに保ったまま立体化するかだ。
特に「ぽんた」の場合には立体にする際の平面図が無いため、さまざまな二次元画像をもとに、一からデザインを行った。例えば、三次元モデルにする際に注意が必要なのが左右対称である。


安易に顔の部分などを左右対称にしてしまうと、違和感のある偽物のキャラクターなどになってしまうことが多い。そのためデザイナーがキャラクターの持つ個性・特長を加味しながら作る必要がある。

シャーシとカメラ位置にあわせたカスタマイズ
3Dプリントの最大の特長の一つがカスタマイズ性だ。今回の場合は、ラジコンのシャーシのサイズやタイヤ位置、ドライブレコーダーの設置場所にあわせたカスタマイズを行った。
また、シャーシに当てはめた時の「ぽんた」のバランス、特に顔や胴体、しっぽとのバランス調整も行う必要があったが、今回はモデリング後、バランスやサイズの調整を行い、シャーシを縮小して最終形に至った。

Form2とグレイプロレジンで分割3Dプリント
「ぽんた」の3Dプリントでは、サイズが高さ240mm×幅250mm×長さ520mmであることから、一体成形できる3Dプリンターが限定されており、また滑らかさと一定の強度が求められることから、Form2と高強度のグレイプロレジンを選択。
パーツを30分割してプリントを行った。積層ピッチは100ミクロンでレジンの使用量は約1.5本である。

セメダインの接着剤で接着
造形後には各パーツのサポートを除去後、セメダインの接着剤で接着を行った。プラスチック用の接着剤は多数存在するが、樹脂の種類によってくっついたりくっつかなかったりする。
Form2はアクリルベースのUV硬化レジンなため、セメダインのスーパーX クリアを使用。強度を担保するため「ぽんた」の裏側を和紙と接着剤で補強を行った。

パテ塗と研磨&下塗り
分割して3Dプリントしたことから、プリント方向や形によって若干の溝が出ているため、全体をパテ塗しその後表面全体の研磨を行った。
その後グレイのサーフェイサーで下塗り。一部、造形個所の修正なども切削加工と相性がよく、グレイプロの造形物は後加工性も高いのが特長といえる。


調色&塗装
塗装は「ぽんた」のボディであるオレンジ、ホワイト、目とひげなどのブラック、茶色の4色を使用。
本来の漫画の「ぽんた」はボディの色は茶色に近いが、ドライブネコーダーとして外で撮影されるため、明るめの指定である。カラーはボディがPANTONE 146C、茶色がPANTONE 160Cを色見本に調色を行った。

Formlabsのレジンは塗装乗りがとてもよく、高品質の仕上がりが可能となった。



まとめ
ドライブネコーダーとして登場した「ぽんた」では手押し車としてかなりの距離を走ったり、「佐柳島」の猫たちに囲まれたりと、過酷な環境でも一部クラックが発生する程度で耐えることができた。
特に滑らかな造形ができる光造形3DプリンターであるForm2とグレイプロレジンの組み合わせによって作られた造形物は、「滑らかな仕上がり」「接着性」「塗装乗りの良さ」「高い加工性」などの特長を持ち、大きい完成度の高い造形モデルの作成にも適していると言えるだろう。
