Formlabs社とは。3Dプリンターのユニコーン企業

Formlabsとは。世界最多の導入数

Formlabs社は、世界で最多の導入数を誇る3Dプリンターメーカーです。もともと2011年にMITメディアラボの学生3名が立ちあげた3Dプリンターメーカーですが、第三世代となるForm2は、全世界5万台の導入実績を誇ります。

この数は、世界最大とされる3Dプリンターメーカーストラタシスの記録を抜き、プリント実績は4000万パーツ以上に登ります。

ストラタシスは総合的なラインナップを持ち、デスクトップから中型モデル、大型のハイエンドモデルまで幅広いラインナップを誇るため単純比較はできませんが、Formlabs社のForm2はデスクトップながらも圧倒的なクオリティと安定性を誇り、一躍大ヒットとなりました。

現在は、Form2の後継機とされるForm3、そしてFormlabs初の大型機種であるForm3Lなど、更に期待が高まります。一番初めに登場したForm1は、クラウドファンディングサイトKikStarterで295 万ドルの資金調達に成功。アメリカをはじめ全世界に出荷されました。

デスクトップタイプの光造形 3Dプリンターのパイオニア

Formlabsの創業者の3名Maxim Lobovsky、Natan Linder、David Cranorは、MITメディアラボで、「How to Make(almost)Anything」(ほぼなんでも作る方法)を受講。

ビット&アトムセンター、ファブラボプロジェクトなどで経験を積み、2011年に使いやすいデスクトップの光造形3Dプリンターを開発、投資家からシード資金の調達に成功します。

MITメディアラボ出身の学生が立ち上げ。デスクトップタイプの光造形3Dプリンターメーカーとして登場

大幅資金調達に成功。Form2の本格展開を開始

その後、2013年にForm1で成功し、同年にシリーズAラウンドの資金調達を終了、2016年8月にはシリーズBの資金調達で3,500万ドルの調達に成功。

2018年4月には深センキャピタルグループなどの投資家から更に3,000万ドルの調達に成功し、Form2をはじめとしたデスクトップ3Dプリンターの本格的な展開を行っています。

Form2をはじめ革新的なデスクトップ3Dプリンターを世に送り出す。

Form3、Form3Lで次世代の光造形3Dプリンターへ

そして、2019年9月にリリースされ期待される機種がForm3とForm3Lです。両社は新たにLFSテクノロジーといわれる新技術を搭載し、Form2を超える滑らかさと高精細を実現。さらには簡単に取れるライトタッチサポートを実現させました。

注目が集まるForm3とForm3L

Formlabsの製品ラインナップ

Formlabsは、現行モデルのForm3を中心にさまざまな製品ラインナップをそろえています。

ここでは、かつてのモデルも含め、Formlabsが提供している製品ラインナップをご紹介します。

Form1(初期モデル:2013年5月)。光造形のデスクトップを確立

Formlabsがリリースした最初の3DプリンターがForm1です。Form1は、クラウドファンディングで295万ドルもの資金調達に成功し、全世界に出荷されました。

出荷は予定よりも数カ月遅れの2013年5月に出荷。これまで大型で高額であるとされていた光造形3Dプリンターの分野で、安価なデスクトップを世に出した初のモデルです。

Form1は、現在のForm3や前モデルのForm2とは違い、液体樹脂であるレジンの補充も手動で、造形安定性もForm2ほど高くはありませんでした。

キックスターターで登場したForm1。295万ドルを集め成功した。

Fomr1+(前々モデル:2014年6月)。Form1をアップグレード

Form1の課題であったプリント性能を向上させたモデルがForm1+です。Form1+では、スピード、印刷品質、信頼性などが向上しました。こちらもレジンの補充は手動です。

Form2 (前モデル:2015年9月)。レジンの自動補充、ワイパー機能で高品質を実現

そしてFormlabsの地位を確立された機種がForm2です。Form2では、Form 1、Form 1+から、驚くべき進化を遂げました。第一がレジンの自動補充です。

これまでレジンは足りなくなったらチェックして手動でいれなければなりませんでしたが、Form2では、センサーが搭載され自動で補充されます。

また、Form2からはワイパー機能が搭載され、プリント中のレジンを攪拌し粘度や温度を均一に保ち、プレートへのくっついて離れる精度も向上しました。

更に造形サイズも大きくなり、Form1、Form1+よりも大きく、高精彩で安定したプリントが可能となったのです。

大ヒットとなったForm2シリーズ

Form3 (2019年9月)。次世代型光造形3Dプリンター

Form3は、大ヒットとなったForm2から4年の歳月を経て登場した光造形3Dプリンターです。次世代機と呼ぶにふさわしい機能を持ち、高品質であったForm 2を更に進化させることに成功しました。

Form3では、Form2の持つ材料ごとの自動機能:レジンの加熱、レジンの自動補充、粘度の最適化、レーザービームの最適化という機能に加え、新たなLFSテクノロジーを採用させることで、高精細と滑らかさを向上し、サポート材の取り外し安さを向上させました。

Form2では、レーザービームが場所によって斜めにあたることがあり、プリントする場所によって若干のむらがありましたが、Form3では、レーザービームをユニット化し、どの場所でも垂直にレーザーがあたり、平面で25ミクロンの造形精度を実現しました。

またレジンタンクを柔らかいフレキシブルレジンタンクにすることで、プラットフォームからの剥離をおさえ、更に高い寸法精度を実現しています。

ビルド・プラットフォームやレジンカートリッジはForm2と互換性がある。

FormWash(2017年5月)。自動洗浄によって後処理がより楽に

Form3の材料は、光硬化性樹脂という液体樹脂に紫外線を照射して形にします。

そのため造形後には、余計なレジンを落とすため、イソプロピルアルコール(IPA)で洗浄しなければなりません。

基本は、Form3本体に付属の洗浄キットで手動で洗いますが、2017年5月に発表されたFormWashを使えば、造形後の洗浄も自動攪拌し行うことができます。

自動洗浄用のマシーンFormWash

→洗浄用ツールFormWashの機能や使い方はこちらをどうぞ

FormCure(2017年5月)。二次硬化でエンジニアリングレジンの性能UP

FormCureは2017年5月にFormWashと一緒に発表されました。

Form3の材料は、紫外線を照射して液体から固体になっていきますが、材料の種類によっては、二次硬化といって、造形後に更に光を当てなければならないものがあります。

それがエンジニアリングやキャスタブルなどの特殊な機能を持つレジンです。

例えば、柔軟性を持ち、ゴムのような特性をもつフレキシブルレジンは、二次硬化を行わないと、ゴムの性能が発揮しません。

また、タフレジン(Tough)のような耐久性、強度がある材料も二次硬化を行わないと、本来の性能が再現されません。

FormCureは、スタンダードレジン以外の、エンジニアリングやキャスタブルなどの性能を発揮するためのツールです。

二次硬化専用のFormCure

Huse1(2017年6月発表)。レーザー燒結法(SLS)3Dプリンター

Formlabsは、2017年6月に、レーザー燒結法(SLS)の3Dプリンターも開発を発表しました。それがHuse1です。

レーザー燒結法(SLS)は、パウダー状の材料にレーザービームを照射して焼結(焼き固める)方法の3Dプリント方式で、金属3Dプリンターの造形方法として有名です。

Fuse1はナイロンパウダーが使用できるレーザー燒結法(SLS)で、今後の発売が期待されています。

レーザー燒結法のデスクトップタイプHuse1

FormCell。デジタル工場の第一歩

3Dプリンターは、次世代製造技術の中でも特に自動化の分野として期待されるテクノロジーです。

Formlabsは、Form3とFormWashとロボットガントリーシステムによって、デジタルデータから自動生産を行うための仕組みFormCellを開発しました。これは完全なデジタル工場の第一歩となる試みです。

3Dプリンターで量産を目指すFormCell

PreForm。専用ソフトウェアで自動設定が可能

Formlabsの3Dプリンターは、全て(Form1、Form1+、Form2、Form3、Huse1)専用ソフトウェアPreFormで設定が可能です。

PreFormでは、さまざまな3Dモデルをより良い形でプリントできる設定(プリント方向やサポート材の付け方など)を自動で行うことができます。またさらに使用する材料によって最適な設定を行うことができます。

専用ソフトウェアPreForm

まとめ 使い方を知れば常に高品質&安定したプリントが可能

Form3は、デスクトップタイプの3Dプリンターの中では、最も性能が高くミスプリントが無い安定したプリントができる3Dプリンターの一つです。

高精彩で滑らかな仕上がり、多種多様な材料、ミスがほとんどない高い安定性、この3つの特長からさまざまな用途に利用することが可能です。