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Formlabs製品ガイド

Form 4L vs 射出成形|1000個生産ならどっち?コスト85%減の検証結果

i-MAKER 研究室 編集部 | 公開 2025.11.26 更新 2026.04.15 読了 約9分

Form 4L vs 射出成形|1000個生産ならどっち?コスト85%減の検証結果

製造現場の皆様とお話ししていると、常に頭を悩ませているのが「品質・コスト・スピード」のトライアングルです。特に、数百個から数千個単位の「小〜中ロット生産」において、金型を起こすべきか、それとも他の手法を探すべきか……この判断は、プロジェクトの利益率を左右する非常に重要なポイントかと思います。

先日、Formlabs公式より非常に興味深い検証データが公開されました。テーマはズバリ、「1,000個のパーツを作るなら、最新の3Dプリンターと射出成形、どちらが正解か?」というものです。

今回は、この検証結果を紐解きながら、私たち販売代理店としての「現場視点の考察」や、日本のユーザー様が実際に導入する際の「運用上のポイント」を詳しく解説していきます。

「金型レス生産」の現在地を知りたいエンジニアの方、必見の内容です。

衝撃の検証結果:「6週間」対「1日」

Form 4Lと射出成形の生産リードタイムとコストの比較グラフ
Form 4Lと射出成形の生産比較概要

まず、今回Formlabsが実施した比較検証の概要をご説明します。

  • 検証対象: Form 4 Resin Mixer用ラッチ(レジンタンク内のミキサーを固定する機能性部品)
  • 生産数量: 1,000個
  • 比較対象:
    • 射出成形: 実際の委託製造業者による量産ライン
    • 3Dプリント: 最新の大型光造形(SLA)3Dプリンター「Form 4L」×2台

この「ラッチ」は、単なる試作品ではなく、実際に製品の一部として機能するパーツです。これを1,000個製造する場合の「時間」と「コスト」を徹底比較しました。その結果は、従来の常識を覆すものでした。

1. 「時間」の勝負:Form 4Lの圧勝

最も衝撃的だったのはリードタイムの差です。

  • 射出成形: 金型設計・製作を含め、納品までに約6週間
  • Form 4L: データ準備から造形完了まで、当日中に完了

射出成形の場合、どうしても「金型製作」という物理的な準備期間が発生します。一方、3Dプリンターはデータさえあれば即座に製造を開始できます。 さらに注目すべきは、純粋な「製造時間」だけの比較でも、Form 4Lの方が約1時間早く完了したという点です。これは、Form 4シリーズの造形速度が、いかに量産レベルに近づいているかを証明しています。

2. 「コスト」の勝負:85%の削減

続いて、気になる製造コストです。

  • 結果: 1,000個製造時、3Dプリントの方が約85%のコスト削減を達成。
  • 損益分岐点: 計算上、約13,050個まではForm 4Lの方が低コスト。

射出成形は、金型への初期投資(イニシャルコスト)が非常に高額です。今回のケースでは金型代に約3,600ドル(約50万円前後※レートによる)がかかっています。これを回収するためには、数万個単位の生産が必要になります。 逆に言えば、1万個以下の生産であれば、金型を作らずに3Dプリンターで出力し続けた方が、トータルコストは安くなるという計算になります。

出典:Formlabs公式「1,000個の生産力比較:3Dプリント vs. 射出成形」

なぜ、ここまで「速く・安く」なったのか?

従来の光造形(SLA)方式をご存知の方ほど、「本当にそんなに速いのか?」と疑問に思われるかもしれません。このスピードを実現した背景には、Form 4シリーズならではの技術革新があります。

新技術「LFD」による高速化

Form 4 / Form 4Lには、LFD(Low Force Display)という新しい造形方式が採用されています。従来のLFS方式(Form 3+等)がレーザーを走査させていたのに対し、Form 4では高出力のLEDパネルを使用して面露光を行います。 これにより、造形エリアのどこにモデルを配置しても、また何個配置しても、1層あたりの露光時間は変わりません。これが、大量の部品を同時生産する際のスピードに直結しています。

「150μm」設定と高密度配置

今回の検証では、生産性を最大化するために以下の設定が行われました。

  • 積層ピッチ 150μm: 通常の50μmや100μmではなく、あえて150μmを選択することで、積層数を減らし造形時間を短縮しています。
  • 高密度配置: ビルドプラットフォームが巨大なForm 4Lを使用し、1回のジョブで78個ものパーツを同時に造形しています。

材料は「実製品」として使えるのか?

Form 4 Blackレジンで造形されたラッチ部品の拡大画像
Blackレジンで造形されたラッチ部品

「速くて安いのは分かったけれど、強度は大丈夫?」 これは、製造業のエンジニアとして当然の懸念です。今回の検証で使用されたのは、スタンダードレジンのBlackレジンです。

  • 機械的特性: 引張強さや曲げ弾性率において、射出成形で一般的なPET(ポリエチレンテレフタレート)と同等の数値を記録しています。
  • 耐久性: 実際に数百回のラッチ開閉テストを実施し、破損や機能不全が起きないことが確認されています。

つまり、現在のFormlabs製レジンは、単なる「形状確認用のモックアップ」だけでなく、今回のような「機能性部品」や「最終製品」として十分に使用できるレベルに達しているのです。

「現場運用のリアル」

ここからは、カタログスペックには載っていない、「現場視点」での補足情報を共有します。導入検討時の参考にしてください。

① 損益分岐点「13,050個」の捉え方

公式データでは分岐点が約13,050個となっていますが、これはアメリカの金型相場や人件費に基づいています。日本の金型メーカー様は非常に優秀で、コスト対応力も高いため、国内の実情ではもう少し分岐点が下がる(例えば数千個〜5,000個程度になる)可能性もあります。 しかし、それでも「数百個〜数千個」というロット数において、Form 4シリーズが圧倒的なコストメリットを持つという事実は揺るぎません。「金型を起こすほどではないが、切削だと高すぎる」という領域に、ドンピシャでハマるソリューションです。

② 積層ピッチ「150μm」の表面品質について

今回の検証はスピード重視の「150μm」設定です。正直に申し上げますと、この設定では積層痕(表面の段差)は目視で確認できるレベルで発生します。 今回のラッチのような機構部品や、外に見えない内部パーツであれば全く問題ありません。しかし、外装部品や意匠性が求められるパーツの場合は、以下の対策が必要です。

  • 積層ピッチを100μmまたは50μmに設定する(時間は伸びますが、表面は滑らかになります)。
  • 造形後に研磨や塗装などの後処理を行う。

用途に合わせて、「スピードを取るか、美しさを取るか」の設定を使い分けるのが運用のコツです。

③ 運用Tips:失敗しない「高密度配置」

大量生産をする際、Formlabs専用ソフトウェア PreFormを使ってビルドプラットフォームいっぱいにパーツを並べることになります。 この際、モデルの土台となる「ラフト」同士が重なりすぎないように注意してください。ラフトが癒着すると、造形後の取り外しや洗浄液の切れが悪くなる原因になります。また、サポート材が入り組んで除去作業が困難にならないよう、パーツの角度を微調整するノウハウも重要です。

Form 4のPreForm画面で部品を高密度にネスティング配置した様子
PreFormでの高密度配置イメージ(検証予定)

【コラム】1,000個のパーツ、どうやって洗浄しますか?

~Form 4と組み合わせることで真価を発揮する「洗浄の最適化」~

Form 4シリーズの登場により、1日に1,000個単位の造形が現実的になりました。しかし、ここで新たな課題が生まれます。それは「洗浄(後処理)」のボトルネックです。

大量のレジンパーツを、従来通りIPA(イソプロピルアルコール)で洗浄しようとすると、すぐに液が汚れてしまい、頻繁な交換作業と廃液処理コストが発生します。また、大量の有機溶剤を保管することによる火災リスクや法規制(消防法)の管理も負担になります。

そこで、量産用途でForm 4を活用されるお客様に私たちが強く推奨しているのが、洗浄液 3D Medsupo(スリーディーメドサポ)」です。

なぜ、量産に「洗浄液 3D Medsupo」なのか?

優れたコストパフォーマンス

IPAに比べて揮発性が圧倒的に低いため、液が減りにくく長持ちします。大量生産において、消耗品コストの削減は利益に直結します。

管理が容易(非危険物)

消防法上の「非危険物」に該当するため、指定数量を気にせず備蓄・運用が可能です。安全な作業環境は、持続可能な生産体制の第一歩です。

確かな洗浄力

複雑な形状のパーツであっても、未硬化レジンを強力に除去します。

「高速な造形機(Form 4)」には、「高効率・低ランニングコストの洗浄液(3D Medsupo)」を組み合わせる。これが、これからの小ロット量産を成功させるための最適解です。

■IPA廃液の無料回収実施中!

大量造形時代のコスト管理には、「3D Medsupo(スリーディーメディサポ)」の併用をご検討ください。

3D Medsupoの専用洗浄液は非有機溶剤のため、毒性が低く、臭いも少ないのが特徴です。さらに、光造形の洗浄で最大のネックとなる「廃液処理(産廃)」が不要です。廃液回収がサービスに含まれているため、手間もコストも大幅にカットできます。

キャンペーン実施中
現在、新規導入の方を対象に、お手元の「使用済みIPA廃液」および「未使用IPA」の回収も行っています。

まとめ

今回のForm 4Lと射出成形の比較検証から見えてきたポイントは以下の3点です。

  • 金型レスの衝撃: 1,000個〜1万個以下の生産なら、Form 4シリーズが射出成形より「安く・速い」選択肢になり得る。
  • 実用レベルの材料: 最新のBlackレジン等はPET並みの強度を持ち、最終製品としての利用に耐えうる性能がある。
  • 後処理が成功の鍵: 生産スピードが上がる分、洗浄液 3D Medsupoなどで後処理環境を最適化することが重要。

「自社のあの部品、もしかして3Dプリンターで作った方が安いのでは?」 もしそう思われたなら、ぜひ一度計算してみてください。

弊社では、お客様の具体的なパーツデータを用いた製造コストのシミュレーションや、実用強度を確かめるためのBlackレジンのサンプル造形を承っております。 また、量産体制に不可欠な洗浄液 3D Medsupoのサンプルもご用意しております。

まずはお手元の部品ひとつから、製造改革の第一歩を踏み出してみませんか? 技術的なご質問やデモのご依頼など、以下よりお気軽にご相談ください。

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i-MAKER 研究室 編集部

株式会社アイ・メーカーが運営する、ものづくり情報サイト「i-MAKER 研究室」の編集部。3Dプリンター・光造形・洗浄の現場に10年以上携わる経験をもとに、実機検証と取材を軸とした記事を制作しています。

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