光造形3Dプリンターを使うにあたって

光造形3DプリンターはUVレジンに紫外線を照射して固めるタイプの3Dプリンターです。材料にレジンを使用するという特性から、光造形3Dプリンターならではの必要なものがあります。ここでは各必要なツール類に一連の光造形の工程をもとにご紹介します。

光造形3Dプリンターを使う環境

まず、光造形3Dプリンターを使う環境ですが、基本的に特別な環境は必要ありません。ただ、以下のポイントに留意する必要があります。

室温

光造形3Dプリンターはレジン材料の温度が造形の品質に影響します。そのため材料の加熱機能が付いていない3Dプリンターを使用する場合、室温をある程度一定に保つ必要があります。また冬場などはレジンが冷気で固まっている場合があります。その場合はヒーターなどで温めてから使用します。


 換気

光造形3Dプリンターは造形後にはレジンがこびりついているのでエタコールやIPAといったアルコール類で洗浄を行います。またアルコール類は容易に揮発してしまうため、換気ができる環境が望ましいです。


インターネット

3Dプリンターはソフトウェアでプリント設定を行ったデータを3Dプリンター本体に送ることで、プリントを開始します。そのためインターネット環境があると便利です。

光造形3Dプリンターに必要なもの

それではここから光造形3Dプリンターに必要なものについてご紹介します。

3Dプリンター本体

3Dプリンター本体は基本的に光造形はデスクトップ型が中心なっています。机に置くタイプのものもあれば、3Dプリンター本体に足がついていて運べるタイプもあります。3Dプリンターを設置する際には、並行な机に置いた後、足の高さを調整して水平位置をとります。


レジン材料

造形にはレジン材料も必要です。レジン材料の種類は非常に多岐にわたっており、用途に応じて最適なものを選ぶ必要があります。また3Dプリンターの機種や価格帯によって使える材料、使えない材料がありますので注意が必要です。


レジントレイ(レジンタンク)

レジンを入れるトレイが必要です。レジントレイやレジンタンクといわれる容器のことで3Dプリンターにセットします。基本的に光造形3Dプリンターはレジンの材料ごとに最適なプリント設定が変わるため、レジン1種類につき1個トレイが必要です。


プラットフォーム

プラットフォームは造形物が積層され作られる土台のことです。プラットフォームは造形後に造形物を取り外す際に傷がついてしまうもので、定期的な交換が必要です。傷が深くなりすぎると、造形中に傷にレジンが入り込んでしまい造形物が取れなくなります。そうすると交換の目安です。


パソコン

光造形3Dプリンターを使用する際には、パソコンも必要です。デザインした3Dソフトを3Dプリンターに送るためのスライスソフトをインストールして使用します。スライスソフトはプリントする方向や積層ピッチ、サポート材のつけかたなどを設定するソフトで、PCスペックは3Dプリンターのソフトが使用できるものを使用します。


机・台

光造形3Dプリンターを設置するための机や台も必要です。なるべく水平なものを使用します。(水平調整は3Dプリンターで行います)


洗浄用容器

光造形3Dプリンターは造形が終わった後はエタコールやIPAといった洗浄液につけて余分なレジンを洗い落とす必要があります。そのための洗浄用容器が必要です。洗浄用容器は3Dプリンターに付属している場合もあれば、別途用意する必要もあります。造形物の大きさに応じて、100円ショップのタッパーや容器などでも大丈夫です。


自動洗浄機(必要であれば)

洗浄用のツールとして自動洗浄機もあります。自動洗浄機はエタコールやIPAを入れて、ボタンを押すと洗濯機のように攪拌して洗浄を行ってくれるツールです。洗浄後、自動で溶剤から上げてくれる機種もあります。基本的にメーカー純正品を使用するか別途超音波洗浄機などを使用する必要があります。


洗浄用材エタコール(推奨)

光造形3Dプリンターのレジン材料の洗浄には、アルコール類を使用します。また3Dプリンターや周囲がレジンなどで汚れてしまった場合には洗浄液で掃除します。

造形後の洗浄に推奨されるのがエタコールです。IPAのように第二種有機溶剤に該当することがないため、IPAよりも毒性が低く、防火法の制限を受けません。また洗浄力は同等です。

エタコールもIPAも洗浄用溶剤はレジン材料を溶かして使用してしまうと、産業廃棄物扱いです。産業廃棄物として有料での引き取りで処分が必要です。引き取りには回数ごとに料金がかかってしまうので、まとめて産廃処理を行うのが推奨です。

エタコール

造形後の洗浄に推奨されるのがエタコールです。IPAのように第二種有機溶剤に該当することがないため、IPAよりも毒性が低く、防火法の制限を受けません。また洗浄力は同等です。

二次硬化機(材料によって必要)

二次硬化機も場合によっては必要です。使用するレジン材料によっては造形後に二次硬化を行わないと強度などの物性が出ないです。光造形3Dプリンターは造形すると、目に見えない分子レベルで積層の層と層の間に固まっていない半硬化層があります。二次硬化はこの半硬化層を追加の紫外線と熱で固める役割を担っています。

工具類

光造形3Dプリンターは造形後に取り外すためにさまざまな工具類が必要です。3Dプリンターの種類によっては本体に付属している場合があります。

スクレイパー

スクレイパーは金属製のヘラのような工具です。造形物をプラットフォームから取り外す際に工具として使用します。次にご紹介するハンマーとセットで使用し、軽くたたくことで造形物がとりはずしやすくなります。

ハンマー

スクレイパーを軽くたたくために使用します。ハンマーで軽い衝撃をスクレイパーに充てると簡単に造形物がとれます。

固定治具

固定治具は、造形物を取り外す際にプラットフォームを固定するための治具です。3Dプリンターの種類によっては付属している場合もあります。ない場合には、自作するか、手で押さえます。

ヘラ

ヘラはレジントレイにこびりついた硬化物を取り除く際に使用します。光造形3Dプリンターは、サポートの設定ミスなどで硬化がうまくいかない場合、レジンタンクに硬化してこびりついてしまいます。このこびりついた硬化物があると造形が何度行っても失敗します。ヘラはトレイを傷つけないような柔らかいものやプラスチック製のモノを使用します。

ピンセット

ピンセットは洗浄液から造形物を取り出す際に使用します。洗浄液はアルコール類なのであまり触れたくはありません。ピンセットでつまんで取り出すと便利です。

トレイ

トレイは洗浄が完了した造形物を置いて乾燥させるのに使用します。3Dプリンターに付属している場合もあります。ない場合には、100円ショップなどのプラスチックトレイで大丈夫です。

消耗品

光造形3Dプリンターでは造形後の後処理などで消耗品が必要です。こうした消耗品もあると便利です。

ゴム手袋

ゴム手袋は造形後に造形物を取り外す際にレジンが付いたり、洗浄液から取り外す際に洗浄液が付くのを防ぐために使用します。レジンアレルギーの場合やアルコールが肌についたばあいにかぶれるのを防ぎます。

キッチンペーパー

キッチンペーパーは造形後の洗浄液をぬぐう際に使用したり、トレイに置く際にひいておくと便利です。

エアブロワー

エアブロワーは洗浄後に造形物についた洗浄液を弾き飛ばす際に使用します。エタコールやIPAなどの洗浄液は簡単に揮発して乾燥しますが、エアブロワーで吹くことで乾燥スピードを速くできます。

ろ過用フィルター

光造形3Dプリンターは造形が失敗したりすると、レジントレイの内部に硬化されたカスや残留物が残るケースがあります。この硬化したカスや残留物が造形中に邪魔をし、次回以降のプリントがうまくいかないケースがあります。そのため、失敗後はレジンを一度ろ過して残留物を取り除く必要があります。濾過用のフィルターがあると便利です。

Pポット

Pポットは濾過用フィルターと一緒に使用するツールです。濾過されたレジンの受け皿となってくれるポットで、ろ過が終わった後はタンクにレジンを戻して使用します。

まとめ

光造形3Dプリンターの使用に必要なものをまとめてみました。上記のツール類を用意しておけば基本的な造形から洗浄、後処理、不具合時の清掃などに使用ができます。

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