3Dプリントペンの分野にも光造形技術(SLA)が登場、FDMタイプとの違い

3Dプリントペンでも光造形が登場

昨年2月に230万ドルもの資金調達に成功した3Dプリントペン3Doodler。

誰でも手軽に空間に立体の絵を描くことができるという特長から、一躍大ヒットした。基本的なしくみはFDMタイプの3Dプリンターを手動で動かすような仕組みだ。

3Dプリンターは3Dデータ通りに押出しノズルが動き、樹脂を溶かして積層していく。しかし3Dプリントペンは自分で思うように描くことができるのが特長。日本でも発売され、対応している3Dプリンター用のフィラメントもABSPLAの2種類でさまざまなカラーバリエーションがある。

子どものおもちゃやちょっとしたデザイナーやアーティスト向けのワークショップなどで注目されている。そんな3Dプリントペンだが、樹脂を溶かして押し出す製法、FDM製法とは異なる方法で空間に立体物を描こうという技術が登場している。それが光造形(SLA)による3Dプリントペンの開発だ。ちなみに光造形とは、液体状のエポキシ樹脂アクリル樹脂ポリウレタンをベースにした紫外線硬化性樹脂に紫外線を照射して硬化させる造形法のこと。

光造形の3Dプリントペンは既にCreopopという企業が発表し2015年に出荷を予定しているが今回発表されたのはPolyesという機。開発を行なうのはFuture Make Technology LLCと言われるベンチャー企業だ。上手くいけば11月にはキックスターターで資金調達を開始するとのこと。

昨年230万ドルもの資金調達に成功した3Doodler

子供のおもちゃやアーティストなどに人気

FDMと光造形3Dプリントペンの違い

それでは光造形の3Dプリントペンは従来の3Doodlerなどの樹脂を溶かして積層する押出しタイプとなにが異なるのだろうか。光造形の3Dプリンターは液体樹脂をUV光で固化していく製法だが、3Dプリントペンになっても仕組みは変わらないと言われている。

最も異なるのは空間に描くときのスピードが異なる。3Doodlerの場合は樹脂を溶かして冷却し固めながら描いていくため冷やして固めるための時間が多少かかるが、光造形の場合はほぼ瞬時にUV光によって硬化させることが可能だ。つまりFDMタイプの3Dプリントペンに比べて早く空間に立体物を描くことができる。

異なる点の第二は、使用する材料が液状樹脂になるため、PLAフィラメントABSフィラメントのような熱可塑性樹脂とは異なり、使用中に異臭がしないという点があげられる。ちなみに3Dプリンターの分野では光造形の3Dプリンターの方が、FDMタイプよりも表面の仕上がりが滑らかだが、3Dプリントペンではその違いが現状では不明だ。

新たに光造形の3Dプリントペンとして発表されたPolyes

2015年に発売予定の光造形の3DプリントペンCreopop

Creopopの動画

まとめ

3Dプリントペンは、登場した当初はその使用に関して非常に懐疑的な見られ方をされてきた。3Dプリントペンがリリースされた昨年の2月では3Dプリンター自体も今ほど多くのモデルが登場している状況ではなかったし、また3Dプリンター自体の使用方法や可能性についても今ほど認知されていない状況であったからだ。

そのような状況の中で、いくら手書きで空間に立体物が描けるとはいえ、3Dプリンター本来の試作品製造にも使用できないようなレベルではどのように使えばいいのだろうという疑問が多かったのも事実だろう。

しかし3Dプリントペンは3Dプリンターの技術を利用しているだけで、全く異なる使用方法が見出されている。しかし世界中のアーティストやデザイナーによって使用が拡大し、3Dプリントペンによるさまざまな作品が登場するにしたがって、一躍人気となった。

また、上記で述べたようにアーティストやデザイナーの使用だけではなく、子供たちの創造力や発想力を育てるためのおもちゃとしてもその価値を認められている。ちなみに光造形とFDMどちらが向いているかというのはわからないが、このように子供たちへの用途に限って見てみると、押出タイプに比べて異臭を出さない光造形技術の3Dプリントペンの方が適切なのかもしれない。

低価格3Dプリンターの開発競争では仕上がりが滑らかな光造形モデルが注目を集めてきているが、3Dプリントペンではどのように進むのだろうか。今後の開発状況が気になるところだ。

光造形の原理と仕組み、種類についてはこちらをどうぞ

i-MKAERでは光造形3DプリンターForm3+やレーザー焼結3DプリンターFuse 1Raise3Dシリーズなど多彩な3Dプリンターのノウハウ、販売をご提供しています。ご質問や無料サンプルや無料テストプリントなどお気軽にご相談ください。