世界最安! 1万円台の光造形3DプリンターINBOX nanoが登場

189ドルから購入できる光造形3Dプリンター

ここ半年あまり、3Dプリンターのリリースが発表されるたびに、低価格ラインが更新され続けてきた。5万円台の光造形3DプリンターLittleRPが一躍話題となったが、その後も低価格化はとどまるところを知らず、3万円台の小型モデルLumiPocketが登場し、もはや一般の人でも気軽に購入できるレベルまで進んでいる。

しかし光造形のデスクトップタイプの低価格化はさらに先へと進んでいく状況だ。今回新たに発表されたのは、なんと1万円台で購入できる光造形3Dプリンター「IBOX nano」。販売価格は189ドル(約19000円)から299ドル(約3万円)で、現状世界最安の光造形3Dプリンターになる。ちなみに、光造形とは、液体状の熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂アクリル樹脂ポリウレタンなどをベースにした紫外線硬化性樹脂に、紫外線を照射し硬化させる製法。エポキシ樹脂やポリウレタンは熱硬化性樹脂に分類され、加熱すると固まるという特性を持つ。

もはやデスクトップタイプの3Dプリンターは、クリス・アンダーソンのいう1台99ドルレベルの量産品というのが現実になりつつある状況だ。3Dプリンターの分野は、高性能は工業用のハイエンドモデルと、手軽に使える超安価なデスクトップモデルに完全に二分されることになった。本日は世界最安189ドルの光造形3Dプリンター「IBOX nano」をご紹介。

簡単と手軽さに特化した設計コンセプト

このIBOX nanoを開発したのはフロリダ州メルボルンに本拠を構えるベンチャー企業IBOX。この3Dプリンターは、世界最安なだけではなく、世界最小、最も手軽に扱える3Dプリンターという触れ込みだ。現在キックスターターで資金調達と受注を開始しているが、その特長は最小で最安、高性能というだけではない。

他社の光造形タイプと比較した多くの特長を有している。その最大の特長は一般家庭での使用に特化したユーザーフレンドリーな点があげられるだろう。

最小、最安もさることながら、一般的な3Dプリンターと比べてかんたんに使える設計になっている。例えば、専用ソフトウェアをインストールすることなく、WiFi経由でプリント可能だ。パソコンだけではなく、スマートフォンやタブレット端末からも簡単にプリントすることができる。

また、一般的なデスクトップタイプの3Dプリンターに比べてプリント中の音がきわめて少ないのが特徴と言える。まさに軽量・コンパクト、余計なセットアップ不要の手軽に使える3Dプリンターだ。

INBOX nano

INBOX nano 動画

IBOX nanoの特長

  • 世界最小の樹脂3Dプリンター
  • 世界で最も手頃な価格の3Dプリンター
  • 世界で唯一のバッテリ駆動(オプション)3Dプリンター
  • 世界最初のLCD系UV樹脂3Dプリンター
  • 世界で最も静かな3Dプリンター
  • 世界で最も軽量な3Dプリンター
  • 無線LAN対応で専用ソフトウェアがない

17年使用できてメンテナンスが容易

このINBOX nanoの特長はもう一つある。それは液体樹脂を硬化させるためにUV LEDを使用していることがあげられる。DLPタイプの光造形3Dプリンターは、DLPプロジェクターを使用するが、このDLPプロジェクターのライトは一般的に2000時間から8000時間で交換しなければならない。

しかし、INBOX nanoの場合は50000時間も使用することが可能だ。これは1日8時間の使用で約17年に相当する。また、DLPの3Dプリンターは冷却ファンを使用し、レーザーシステムの寿命を延ばすが、INBOX nanoでは冷却ファンが不要のため、非常に少ない電力で使用可能になる。

要するに、INBOX nanoは、メンテナンスや保守管理の部分でも一般的な光造形3Dプリンターに比べて容易で、ユーザーフレンドリーな設計になっている。

INBOX nano 360度ビュー

INBOX nano スペック

  • 解像度X-Y:328ミクロン
  • 解像度Z:0.39-100ミクロン
  • 造形サイズ:40mm×20mm×90mm
  • 素材:樹脂
  • プリンターサイズ:85mm×110mm×235mm
  • プリンター重量:1.1kg
  • 消費電力(プリント時):2.7ワット(500mA@5V)
  • 接続:WiFi、100BT Ehternet
  • プリントソフトウェア:100%ブラウザーベース

INBOX nanoでプリントされたモデル

他社比較(INBOX 発表)

INBOX nanoは自社の特徴性を出すため、他社との比較表も発表している。下記は参考までに公開されている比較表をご紹介しよう。主なポイントは①解像度と価格、②プリンターのサイズと重量、③プリント時のノイズ、④消費電力、⑤Z軸の解像度だ。

①解像度と価格:Form1、Pegaus、B9 Creatorといった代表的な光造形3Dプリンターと比較したもの。X-Yの解像度では多少劣るが、Z軸でははるかに高解像が可能。また価格はダントツで安い

②プリンターのサイズと重量:Form1、Ultimaker2, Replicator2、Titan1との比較。おそらく普及率を考えて、FDMタイプの機種が入っていると思われる。軽量コンパクトであることを強調している。

③プリント時のノイズ:Ultimaker2、Form1、RepRap Rusaとの比較。プリント時のデシベルを表示して静かなことを強調している。

④消費電力:Form1、Ultimaker2 Replicator2の比較。消費電力量は圧倒的に少ない。

⑤Z解像度:Form1、Pegaus、B9 Creator、Titan1、Replicator2との比較

まとめ

IBOX nanoはキックスターターの初回モデルで189ドル(約19,000円)、実際の小売りは299ドル(約3万円)程度になると言われている。最初の出荷は来年2015年度の春を予定しているようだ。INBOX nanoの設計コンセプトは上記でも述べた通り、一般人を想定した徹底したユーザーフレンドリーにある。価格もさることながら、軽量、コンパクト、簡単なセットアップと使用といった誰でも手軽に使えることを目指している。このINBOXnanoの登場は、デスクトップタイプの3Dプリンター市場の競争をますます厳しいものにしていくことになるだろう。

光造形の原理と仕組み、種類についてはこちらをどうぞ

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