3Dプリンター光造形の積層はどのレベルか?

光造形3Dプリンターの積層とは?

3Dプリンターの光造形は他の造形方式に比べて積層の跡が目立たないのが最大の特長です。3Dプリンターはどの造形方式でも共通する点が、“積層して形にする”という点です。

具体的には、0.1mmや0.05mmの様な非常に薄い層を何層も積層して物体にします。
例えば、FDMやFFFはフィラメントといわれるプラスチックを溶かして、細い糸を何層も何層も積み上げて形にします。

またインクジェット方式は、液体のUV硬化性樹脂をインクジェットとして噴霧しながら積層します。

今回ご紹介するのは光造形3Dプリンターの積層です。光造形は液体のUV硬化レジンに紫外線を当てて一層ずつ積層します。

光造形3Dプリンターの積層の仕組み

光造形3Dプリンターの積層の仕組みは液体のUVレジンに紫外線が当たることで硬化し、1層ずつ積層する仕組みです。光造形にはSLAやDLPなどいくつかの種類がありますが、基本的にはどの方式も共通しており、タンクにレジンがつかり、土台となるビルドプラットフォームがあたり、タンクの下からUV光があたってかたまります。

0.1mmや0.05mmずつの薄い層を重ねていきますが、その際、層と層の位置合わせがどれだけ正確にできるかで積層の粗さが変わってきます。

積層ピッチの違いで見た目が変わる

光造形3Dプリンターの積層は積層ピッチ目の違いで見た目が変わります。積層ピッチとは、1層1層の厚さのことです。一般的には100ミクロン(0.1mm)が最もスタンダードな積層ピッチとなります。

例えば高さが10センチの造形物を0.1mmで積層する場合、1000回積層して1個の物体にします。積層ピッチを50ミクロン(0.05mm)にすると2000回積層して1個の物体にします。さらに積層ピッチを25ミクロン(0.025mm)にすると4000回積層することになります。
積層ピッチが細かくなればなるほどより高精細な造形が可能ですが、造形時間はその分長くなります。

層と層の正確な位置合わせ

光造形3Dプリンターの積層に影響をあたえるものとして、層と層の正確な位置合わせも影響を与えます。いかに細かい積層ピッチで造形を行ったとしても、位置合わせが正確にできなければ積層跡が残ってしまい綺麗な仕上がりにはできません。

この位置合わせは3Dプリンターの種類によって異なります。正確な位置合わせができるかどうかの一つの基準は、材料ごとのプリント設定がいかにされているかという点です。レーザーの当て方、レジンの温度、レジンの粘り気などが最適化されていないと正確な積層はできません。

光造形3Dプリンターの積層とFDM/FFF3Dプリンターの積層

光造形3DプリンターとFDM・FFFタイプの3Dプリンターの積層は全くことなります。光造形3Dプリンターの方が、材料が液体レジンということから滑らかな仕上がりが可能で、積層跡が目立ちにくいです。

その一方でFDM・FFFタイプの3Dプリンターの積層は目立ちやすいです。これはフィラメントといわれる糸状の材料を押し出して溶かして積層し冷やしてかたまるためです。
強度や精度などは単純比較できませんが、光造形3Dプリンターの積層の方が綺麗で滑らかです

光造形3Dプリンターの積層とインクジェット3Dプリンターの積層

光造形3Dプリンターの積層とインクジェット3Dプリンターの積層とはどちらが綺麗でしょうか?インクジェットも光造形も基本的な仕組みは同じで、液体のUV硬化性樹脂に紫外線をあてて固めます。

光造形3Dプリンターがタンクに入った液体に紫外線を当てる一方、インクジェット3Dプリンターは、ノズルから噴霧しながら形にしていきます。そのため光造形よりもさらに細かい16ミクロンなどの積層ピッチでの造形が可能です。さらに単純な積層ではなく粒子で積層するため、より積層跡が目立ちません。

光造形3Dプリンターの積層違い:DLPとSLA

光造形3Dプリンターでも製法の違いによって積層の見た目がことなります。主な製法としてSLAとDLPの二つの種類がありますが、細かい点をいうとSLAの方がDLPよりも細かい違いがあります。

SLAは1本のレーザービームを当てながら積層を行いますが、DLPはプロジェクタで面で光を当てながら積層を行います。DLPは一部非常に小さい穴が開くケースがあり、SLAの方が綺麗な場合があります。

光造形3Dプリンターの積層違い:SLAとLFS

光造形3Dプリンターの積層の違いとして、SLAとLFSの違いがあります。LFSとはSLAの進化した造形方式でForm3やForm3Lに搭載されている造形方式になります。SLAとの違いはレーザーの当たる位置です。SLAはガルバノミラーにレーザーが反射してレジンに照射されるため、当たる場所によってはレーザーが垂直にあたらず3Dプリントする場所によって精度がかわります。

一方、LFS方式はレーザーユニットでレーザービームが照射されるため、どの場所でも垂直にレーザーがあたり積層跡が目立たない滑らかな仕上がりが可能です。

積層ピッチごとの積層面の違い

光造形3Dプリンターでは積層ピッチごとの積層面が異なります。ここでは積層ピッチごとの違いをForm3とグレイレジンを代表例としてご紹介します。Form3は最も造形が安定性が高く、グレイレジンは積層ピッチが4種類選べるためです。

160ミクロンの積層ピッチの仕上がり

グレイレジンでは160ミクロンで積層が可能です。0.16mmのピッチで素早く積層することができます。

160ミクロン。ただしForm3はピッチ合わせが優秀なため、あまり積層跡がみられない。

100ミクロンの積層ピッチの仕上がり

100ミクロンは最もスタンダードな積層ピッチで、ほとんどの造形が100ミクロンが使用されます。

100ミクロンでも十分綺麗。

50ミクロンの積層ピッチと仕上がり

50ミクロンはかなり滑らかで積層跡も非常に目立ちにくい仕上がりが可能となります。25ミクロンほど造形時間はかからず、より綺麗に仕上げたいときにはおススメの積層ピッチです。

50ミクロンもほぼかわりなし。よりディティールがでる。

25ミクロンの積層ピッチの仕上がり

25ミクロンはもっとも細かい積層ピッチです。微細で細かいディティールを仕上げたい時には積層跡が極力目立たない25ミクロンが最適です。ただあまりディティールが無い造形物などは、50ミクロンと大差ありません。

とても滑らかな球体を実現

積層ピッチの違いと使い方

光造形3Dプリンターでは積層ピッチが細かければいいというわけではありません。造形物の形状と用途に応じて、積層ピッチを決定する必要があります。というのも、積層ピッチが細かくなれば、その分造形時間もかかり、かつレジンタンクにレーザーが当たる回数が増えて摩耗が早くなります。

光造形3Dプリンターの積層が目立ちやすい箇所・目立ちにくい箇所

光造形3Dプリンターの積層は、造形物の形状によって目立ちやすい箇所と目立ちにくい箇所があります。目立ちやすい箇所は球体の形状です。

球体や丸みを帯びた形状をたてて造形すると、球体の頂点が輪切りのまま積層されるため、積層ピッチを細かくしても残ってしまいます。こういう形状は斜めにするなどプリント方向の調整が必要です。

一方で、縦方向の壁面などは非常にきれいに積層されます。これはForm3特有かもしれませんが、積層ごとのピッチ合わせが非常に正確なため、滑らかな仕上がりが実現できます。

垂直方向は非常に綺麗に仕上がる。

まとめ

光造形3Dプリンターの積層はFDMやFFF方式に比べてとても滑らかできれいです。また形状に応じて積層跡が残らないほどきれいな仕上がりが実現できます。光造形3Dプリンターの種類によって異なりますが、Form3のような機種は積層ピッチが100ミクロンでもかなり滑らかな仕上がりが可能です。そのため積層ピッチの選択はそれぞれの用途に応じて選んだ方がよいでしょう。

i-MAKERでは光造形3Dプリンターの積層の仕上がりなど、造形物の種類と用途にあったプリント設定を研究しております。是非お気軽にご相談ください。