
光造形3Dプリンターのプラットフォームの
剝がし方とは?
剥がれにくさは光造形の後処理の課題の一つ
光造形3Dプリンターは、ビルドプラットフォームといわれる土台の上に、UVレジンに紫外線をあてて積層します。100ミクロンや50ミクロンのような非常に薄い膜を何層にも積み重ねて形にしますが、この造形物がビルドプラットフォームにぴったりとくっついています。
造形が終了すると、造形物に余分なレジンがこびりついているため、洗浄する際にプラットフォームから取り外さなければなりませんが、これがなかなか取れず、剥がれないという声が多く聞こえます。今回はプラットフォームから剥がれない原因と剝がれやすくする方法をご紹介します。
プラットフォームから剥がれない原因
プラットフォームから剝がれない原因ですが、UVレジンが照射されて積層された造形物はプラットフォームにぴったりとくっついて真空状態になっています。真空状態で吸着しているため、ちょっとやそっとでは外れません。もし簡単に外れてしまうのであれば、吊り下げて積層する光造形では、造形物が落下してしまいます。
真空状態ということは、逆に言うと、ちょっとでも空気が入り込めば取れやすいという特性があります。
プラットフォームから剥がしやすくする対策
真空状態を脱し、少しでも空気が入りやすくすればビルドプラットフォームからの取り外しは簡単です。ここでは剥がしやすくする対策全般についてご紹介しましょう。
プラットフォームから剥がすのに必要なもの
まずプラットフォームから剥がすのに必要なものをご紹介しましょう。以下の3点があれば、造形物を取り外しやすくなります。
対策1:ハンマーとスクレイパー
まず基本的な取り外し方ですが、スクレイパーとハンマーを使用すれば、比較的簡単に造形物の取り外しが可能です。要領は簡単で、スクレイパーが入りそうな場所を探し、スクレイパーの後ろから、軽くハンマーでたたきます。この際、ハンマーでたたく目的は造形物とプラットフォームの間に空気を入れ、真空状態を脱することが狙いです。そのため、力強くたたく必要はなく、軽く、優しくハンマーでたたくだけで大丈夫です。少しずつ造形物とプラットフォームの間にハンマーが入れば、空気が入って造形物は簡単に剥がれます。
対策2:プラットフォームのやすり掛け
プラットフォームの状態にもよりますが、比較的新しいプラットフォームは造形物が剝がれにくい傾向にあります。理由はプラットフォームの表面が平らで空気が入りにくい状態であることが原因です。そのため、サンドペーパーは比較的番手が粗いものを使用します。プラットフォームの表面が削れて凹凸ができれば空気が入りやすくなり、プラットフォームから剥がしやすくなります。
対策3:ラフト形状の工夫
造形物をプラットフォームにくっつけるラフトの形状でも変わります。ラフトとプラットフォームの接地面にアールが付いている場合、スクレイパーが入りやすくたたいた際の圧力で空気が入りやすくなり剥がしやすくなります。
対策4:プリント方向の調整
プラットフォームとの接地面を少なくすることで造形後に剥がしやすくなる場合があります。接地面が大きければ大きいほど吸着力は強くなるため、なるべく小さくするか、もしくは空気が入りやすい形状になるように造形物を配置します。
対策5:造形モデルの分割
造形モデルのサイズが大きすぎる場合には、プラットフォームとの接地面が大きくなり、吸着力が高く簡単には取れない傾向にあります。そのため、造形モデルを分割するなどすると取りやすくなります。

まとめ
プラットフォームの適切な剥離方法で使用すれば、ビルドプラットフォームの表面も傷がつきずらく、ビルドプラットフォーム自体も長持ちして、長期間の使用が可能です。
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