
PreForm 3.44「バンドルサポート」で後処理が激変!Formlabs新機能を解説
日頃よりFormlabs製品をご愛用いただき、誠にありがとうございます。
私たちは日々、お客様から3Dプリンター運用に関するご相談をいただきますが、その中でも特に多いお悩みが「後処理(ポストプロセス)の手間」です。
光造形(SLA)において、精度の高いモデルを得る代償として避けて通れないのが、「サポート材の除去」と、その後の「サンディング(やすりがけ)」ではないでしょうか。
「造形までは速いのに、ニッパーでサポートを切る作業に何十分もかかってしまう」
「複雑な形状の奥にあるサポートが取りきれない」
そんな現場の声に応えるかのように、Formlabs専用ソフトウェア PreForm の最新バージョン「3.44」にて、非常に実用的な新機能が実装されました。それが今回ご紹介する「バンドルサポート(Bundled Supports)」です。
本記事では、この地味ながらも強力なアップデート内容について、機能の概要から、販売店ならではの視点で検証した「現場で使えるテクニック・注意点」までを詳しく解説します。
PreForm 3.44 リリース:後処理の時間を「物理的」に減らすアップデート
Formlabsは2025年1月、スライシングソフトである Formlabs専用ソフトウェア PreForm をバージョン3.44へアップデートしました。
今回の更新における最大の目玉は、サポート材生成アルゴリズムに追加された新オプション「バンドルサポート」です。
これまで、サポート材の設定といえば「密度」や「タッチポイントサイズ」の調整が主でしたが、今回は「サポート材の構造そのもの」を変える選択肢が増えました。
■ アップデートのポイント
これにより、造形後のサポート除去作業にかかる時間を物理的に短縮し、パーツ表面へのダメージリスクを軽減することが可能になります。派手な新機能ではありませんが、毎日造形を行うユーザーの皆様にとっては、工数削減に直結する「必須級」のアップデートと言えるでしょう。
新機能「バンドルサポート」とは? 従来設定との違い
では、具体的に「バンドルサポート」は何が変わったのでしょうか。従来の標準的なサポート構造と比較して解説します。
1. 従来の「トラス構造」
これまで標準とされてきたサポート材は、無数の柱が互いに斜めのバー(筋交い)で連結された「トラス構造」を形成していました。
- 特徴: 柱同士がガッチリと連結されているため、非常に高い剛性を持ちます。
- 課題: 除去する際、サポート全体が「一つの大きな塊」として振る舞うため、手で引き剥がすのが難しく、ニッパーで細かく切り離す必要がありました。特に中空構造の内部などは、塊がつっかえて取り出せないケースもありました。
2. 新機能「バンドル(束)構造」
これに対し、新機能のバンドルサポートは、サポートの柱をいくつかの「独立したグループ(束)」として生成します。
- 特徴: 筋交いによる全体連結を行わず、柱をある程度のまとまりごとに独立させます。
- メリット: サポート全体が一体化していないため、束ごとに手で掴んで「むしり取る(Rip-off)」ような除去が可能になります。ニッパーを使わずとも、ベリベリと剥がしていける感覚です。
3. Tough 2000 Resin の設定も同時更新
今回のアップデートでは、高強度・高耐久レジンである Tough 2000 Resin のプリント設定にも調整が入りました。
Tough 2000 Resin は非常に粘り強い素材であるため、従来はサポート除去に力が要りましたが、造形時間はそのままに、よりサポートが外れやすく、かつ表面がきれいに仕上がるようパラメータが最適化されています。
PreFormでの設定手順と活用シーン
設定方法は非常にシンプルです。特別なスキルは必要ありません。
設定手順
- Formlabs専用ソフトウェア PreForm をバージョン3.44以降にアップデートします。
- 画面左側の「サポート」アイコンをクリックしてメニューを開きます。
- メニュー内に追加された「バンドルサポート」というチェックボックスをオンにします。
- 「すべて自動生成」または「選択項目を自動生成」ボタンをクリックします。
たったこれだけで、アルゴリズムが自動的に束状のサポートを生成してくれます。
現場での活用イメージ
私たちが検証した中で、特に効果を実感したのは以下のシーンです。
- 平らで広い底面の造形
ビルドプラットフォームに対して水平に近い角度で配置したモデルなど、サポート材が密集するケースです。従来ならニッパーで外周から少しずつ切っていく必要がありましたが、バンドルサポートなら、端から手でまとめて引き剥がすことができます。 - 中空構造・袋小路の形状
ボトルの内部や、配管のような形状の中にサポートが立つ場合です。従来設定(トラス構造)では、内部でサポートが網目状に固まってしまい、ピンセットで引きずり出すのに苦労しました。バンドルサポートなら、一本ずつ、あるいは小さな束ごとにバラバラに引き抜けるため、奥まった場所の除去性が劇的に向上します。
【技術ノート】販売店から見た「バンドルサポート」のメリットと注意点
ここでは、メーカー公式情報に加え、私たち販売店が実際に実機(Form 4 等)で運用して感じた「プロの所感」をお伝えします。すべての造形にバンドルサポートを使えば良いわけではなく、適材適所での使い分けが重要です。
以下の表に、従来設定とバンドルサポートの特性比較をまとめました。
| 特徴 | 従来のサポート(標準) | バンドルサポート(新機能) |
|---|---|---|
| 構造 | 柱同士が筋交いで連結(トラス) | 独立した柱の束(グループ) |
| 除去のしやすさ | △ ニッパーでの切断が基本 | ◎ 手でまとめて引き剥がし可能 |
| 剛性(安定性) | ◎ 非常に高い(揺れに強い) | ◯ 標準的(背が高いと揺れるリスクあり) |
| 表面品質 | ◯ 丁寧な処理が必要 | ◎ 剥がしやすく、逆クレーターが起きにくい |
| 向いている形状 | 重量物、背が高いモデル、薄肉パーツ | 広い平面、中空内部、一般的な試作モデル |
ここがポイント:除去ストレスの軽減と品質向上
最大のメリットは、やはり「ニッパーを入れる回数が激減すること」です。
また、手で剥がしやすくなったことで、無理にこじってモデル本体を傷つけるリスクも減りました。特に、サポートをもぎ取った際にモデル側の肉まで持っていかれる「逆クレーター(えぐれ)」現象は、サポートの束が分散して力が逃げやすくなることで、発生頻度が下がると期待できます。
注意点・Tips:使い分けの推奨
一方で、注意すべき点も明らかになりました。
- 剛性への懸念
トラス(筋交い)による補強が減る分、サポート自体の剛性は従来よりも下がります。例えば、非常に背の高いモデルのオーバーハングを支える場合、造形中にサポートの柱自体がたわんだり、揺れたりするリスクが考えられます。
アドバイス: 全高が高いモデルや、極端に重い部分を支える必要がある場合は、あえてチェックを外し、従来のトラス構造を使用することをおすすめします。 - 粘度の高いレジンへの対応
束状に密集したサポートの隙間には、未硬化のレジンが残りやすくなります。特に粘度の高い系(Flexible 80A や Rigid 10K など)を使用する場合は、洗浄をいつもより念入りに行ってください。
実機検証・アクション案内
理論上のメリットだけでなく、実際に「どのくらい剥がしやすいのか」は、手で触れてみるのが一番です。
弊社では、最新機種 Form 4 を用いて、このバンドルサポートの除去感や仕上がりを検証可能なデモ環境を整えております。
- 実機見学・デモ: ショールームにて、実際にサポート除去をご体験いただけます。
- サンプル提供: バンドルサポートを適用したベンチマークパーツの送付も可能です。
ご興味のある方は、記事末尾のお問い合わせ窓口よりお気軽にご依頼ください。
【コラム】「剥がしやすさ」と「洗いやすさ」で、ワークフローのボトルネックを解消
今回の「バンドルサポート」は、物理的な除去作業を高速化する素晴らしい機能です。しかし、造形の後処理にはもう一つ、大きな工程があります。それが「洗浄」です。
特に、Form 4 のような次世代の高速造形機(LFD方式)を導入されると、圧倒的なスピードで次々と造形物が完成するため、今度は「洗浄作業が追いつかない」「洗浄液の汚れが早すぎる」という新たな課題に直面することがあります。
そこで私たちが推奨しているのが、今回のバンドルサポート機能と、洗浄液 3D Medsupo(スリーディーメドサポ) の併用です。
- バンドルサポート:サポート除去時間を短縮(物理的な時短)
- 洗浄液 3D Medsupo:コストパフォーマンスに優れ、頻繁な液交換が可能(運用の最適化)
コストパフォーマンスに優れた「洗浄液 3D Medsupo」を使用することで、IPA(イソプロピルアルコール)等のコストを気にしすぎることなく、常にきれいな液で洗浄する運用が実現します。
未硬化レジンのベタつきをしっかりと落とすことは、その後のサポート除去のしやすさにも直結します。
■ ここがポイント
「PreFormの新機能で除去を楽にし、Medsupoで洗浄コストを抑える」。この組み合わせこそが、大量生産や頻繁な試作を行う日本のものづくり現場における、「最強のワークフロー」と言えるのではないでしょうか。
まとめ
本日は、PreForm 3.44の新機能「バンドルサポート」について解説しました。
要点は以下の3つです。
- 手で剥がせる: サポート材を「束」で生成することで、ニッパー作業を減らし、手での引き剥がしを容易にします。
- 品質と効率の両立: 特に広い面や入り組んだ中空形状で威力を発揮し、パーツ表面へのダメージリスクも低減します。
- 使い分けが重要: 背の高いサポートなど剛性が必要な場合は従来設定を推奨。Form 4 や 洗浄液 3D Medsupo と組み合わせることで、生産性はさらに向上します。
技術は日々進歩しています。ハードウェアの性能だけでなく、こうしたソフトウェアの進化も取り入れることで、皆様の3Dプリンター運用はもっと快適になります。
「自分のモデルデータでバンドルサポートを試してみたい」
「Form 4 の実機で、その剥がしやすさを体験してみたい」
「洗浄液のコストダウンについて相談したい」
そのようなご要望がございましたら、ぜひ私たち販売店にご相談ください。
プロフェッショナルなスタッフが、お客様の課題解決をお手伝いいたします。
出典:PreForm 3.44 includes bundled supports for improved removal and part finish

