
Form 4最速レジン「Fast Model」解説!Draftとの違いや積層痕のリアル
【新レジン解説】Form 4の真価を引き出す「Fast Model Resin」は、従来のDraftレジンと何が違うのか?
いつも弊社技術ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
今回は、Formlabsの最新機種「Form 4」のポテンシャルを極限まで引き出す、新しい材料について解説します。
その名は「Fast Model Resin(ファストモデルレジン)」。
これまで光造形(SLA)方式の3Dプリンターといえば、「精度は高いが、造形スピードはFDM(熱溶解積層)方式などに比べてゆっくり」というイメージをお持ちの方も多かったのではないでしょうか。特に、大型の試作品を出力する場合、「夜にセットして、翌朝確認する」というオーバーナイトの運用が一般的でした。
しかし、今回発表された「Fast Model Resin」と「Form 4」の組み合わせは、その常識を過去のものにします。
最大時速100mmという驚異的な造形速度により、これまで一晩かかっていた大型パーツの試作が、ランチタイム(約2時間)で完了するレベルに到達しました。
日本の製造現場において、開発サイクルの短縮は永遠の課題です。この新レジンが皆様の業務にどのようなインパクトを与えるのか、販売店の視点で詳しく解説していきます。
Draft Resinからの進化と実力
1. 驚異的なスピードと「LFD」の相乗効果
まず、最も注目すべきスペックである「速度」についてです。
Fast Model Resinは、積層ピッチを200μmに設定した場合、最大100mm/時の速度で造形が可能です。
これは単に「材料が硬化しやすい」だけではありません。Form 4から採用された新方式「LFD(Low Force Display)」と、強力な光源である「LEDパネル」による面露光方式が組み合わさることで、この爆発的なスピードが実現しました。
従来の機種であるForm 3+(LFS方式)で使用されていた高速レジン「Draft Resin」と比較すると、その差は歴然です。
| 項目 | Form 4 × Fast Model | Form 3+ × Draft Resin | 進化のポイント |
|---|---|---|---|
| 最大造形速度 | 100 mm/時 | 以前の基準値 | 約3倍の高速化 |
| 大型パーツ | 2時間以内 | 5〜6時間 | 半日仕事が数時間に短縮 |
| 歯科模型 | 数分 | 数十分 | チェアサイドでの即時対応が可能に |
※速度は形状や配置により変動しますが、実測値としても圧倒的な短縮が見込めます。
2. 「速いけど粗い」を過去にする表面品質
これまで「高速出力用のレジン」というと、以下のようなネガティブなイメージをお持ちの方もいらっしゃったかと思います。
- 「積層痕(段差)が目立ちすぎて、形状確認以外には使えない」
- 「半透明で形状が見にくい」
- 「安っぽい質感で、客先へのプレゼンには出せない」
従来のDraft Resinは半透明な青やグレーの色味で、内部のインフィルやサポート材の跡が透けて見えることがあり、あくまで「初期検討用」という位置づけでした。
しかし、新しいFast Model Resinは「マットなグレー(不透明)」に刷新されました。
光を反射しにくいマットな質感のため、積層痕が視覚的に目立ちにくくなり、モデルの細部形状(エッジや曲面)が非常に見やすくなっています。
物性面でも改良が加えられており、強度・剛性が向上しています。単なる「形を見るだけのモデル」だけでなく、中型の治具や固定具としても十分に耐えうる性能を持っています。
3. 後処理まで含めた「真の時短」
3Dプリンターの運用において、「造形時間」と同じくらいボトルネックになるのが「後処理(洗浄・二次硬化)」の時間です。
いくら造形が速くても、洗浄に30分、硬化に60分かかっていては、トータルのリードタイムは短縮されません。
Fast Model Resinは、この点でも非常に優秀です。
- 洗浄: 推奨洗浄時間は5分。
- 二次硬化(ポストキュア): なんと「室温で5分」置くだけで初期硬化が完了します。
もちろん、治具として最大限の強度や耐熱性(HDT)を出したい場合は、Form Cureなどの硬化機で「60℃・15分」の加熱処理を行うことが推奨されますが、「形状確認のためにすぐ触りたい」というケースでは、室温放置ですぐにハンドリングできる点は、現場にとって非常に大きなアドバンテージです。
【技術ノート】販売店が教える「運用のリアル」
ここからは、カタログスペックだけでは見えてこない、実際に運用する私たちが感じた「注意点」と「コツ」をお伝えします。
ここがポイント:積層ピッチ 200μmの「実際」
「時速100mm」というスペックは、積層ピッチ 200μm(0.2mm) 設定時の数値です。
Form 4の標準的なレジン(Grey Resin V5など)は50μmや100μmで造形するため、それらに比べると1層の厚みは2〜4倍になります。
いくらマットな質感で目立ちにくくなっているとはいえ、緩やかな曲面(ドーム状の天面など)には、やはり年輪のような積層痕が見えます。
そのため、弊社では以下のような使い分けを推奨しています。
- Fast Model Resin: 初期〜中期の形状確認、内部パーツの干渉チェック、急ぎの治具、大型モックアップ
- Grey Resin V5: 最終製品に近い外観確認、微細なディテールが必要なフィギュア、シボ加工の確認
用途に合わせて「Formlabs専用ソフトウェア PreForm」上で材料設定を切り替えるのが、賢い運用のコツです。
注意点・Tips:運用上のアドバイス
現場で躓きやすいポイントを2つ共有します。
- 気泡への対策:
Fast Model Resinは高速硬化のために成分が調整されています。ボトルをよく振った直後にレジンタンク(レジンを入れるトレイ)へ投入すると、気泡を含みやすい傾向があります。投入後は少し時間を置き、気泡が抜けてから造形を開始すると、表面の微細な穴あきを防げます。 - 設定のコツ:
積層痕を目立たせないためには、モデルの向き(オリエンテーション)が重要です。PreForm上で、「重要な面(意匠面)」を積層方向(Z軸)に対してできるだけ垂直に立てることで、200μmピッチでも驚くほど滑らかに見せることが可能です。
実機検証・アクション案内
「とはいえ、実際の積層痕がどの程度なのか見てみないと判断できない」
そうお考えの方も多いはずです。
弊社では Form 4 の実機を稼働させており、Fast Model Resinの出力サンプルもご用意可能です。
- 実機見学: 東京ショールームにて、LFD方式の速さを実際に体感いただけます。
- ベンチマークテスト: お客様の3Dデータをお預かりし、「実際の造形時間」と「品質」を確認するテスト造形も承っております。
【コラム】ワークフロー最適化のヒント
生産性が3倍になれば、洗浄コストも気になりませんか?
今回のFast Model ResinとForm 4の組み合わせにより、1日あたりの試作回数(イテレーション)は劇的に増加します。これまでは1日1回だった造形が、1日3〜4回回せるようになるのです。
これは素晴らしいことですが、運用担当者様からは「造形個数が増える=洗浄液の汚れが早くなり、交換コストが心配」というお声もいただきます。
そこで、コスト削減の提案として、弊社オリジナルの「洗浄液 3D Medsupo(スリーディーメドサポ)」をご紹介します。
- コストダウン: 純正IPA(イソプロピルアルコール)や他社製品と比較して、コストパフォーマンスに優れた価格設定です。
- 同等の洗浄力: 光造形レジンの洗浄に特化しており、純正IPAと同等の洗浄能力を持っています。
- Form 4との相性: 高速生産で消費量が増える現場ほど、ランニングコストの圧縮効果が大きくなります。
Form 4の高速生産能力を、ランニングコストを抑えながらフル活用するための「賢い選択肢」として、多くのユーザー様に選ばれています。
まとめ
今回の記事のポイントをまとめます。
■ ここがポイント
- Fast Model Resinは、Form 4専用の最速レジンであり、時速100mm・積層ピッチ200μmでの造形を実現します。
- 従来のDraft Resinと比較して、マットなグレー色になり、見た目の品質と強度が大幅に向上。実用的な試作や治具にも使用可能です。
- 造形量が増えることによるコスト増対策として、洗浄液 3D Medsupo 等を活用したランニングコスト管理が重要になります。
「Form 4」と「Fast Model Resin」の組み合わせは、日本の製造業におけるスピード革命と言っても過言ではありません。「とにかく早く形が見たい」という設計者のニーズに応える最強のツールです。
まずは、その「速さ」と「品質」をご自身の目と手で確かめてみてください。
実機のデモ予約、サンプルの確認、ランニングコストの試算など、以下のフォームよりお気軽にご相談お待ちしております。
出典:Formlabsの最速プリント樹脂「Fast Model Resin」のご紹介

