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Formlabs製品ガイド

Form 4の精度を最大化する設計ガイド|6つの重要数値と洗浄テクニック

i-MAKER 研究室 編集部 | 公開 2025.12.02 更新 2026.04.15 読了 約6分

Form 4の精度を最大化する設計ガイド|6つの重要数値と洗浄テクニック

「CADでは完璧に設計したはずなのに、造形物が歪んでしまった」
「ネジ穴が潰れて入らない、ギアが噛み合わない」

Form 3/3+からForm 4へ移行された方や、高精度な試作を求める設計者の方から、こうしたご相談をよくいただきます。
Form 4は、新技術「LFD(Low Force Display)」により、従来機と比較して圧倒的な造形スピードと寸法再現性を実現しました。しかし、光造形(SLA)には物理的な限界値が存在します。

いくら高性能なプリンターでも、物理法則を無視した「薄すぎる壁」や「細すぎる穴」は再現できません。逆に言えば、「守るべき数値」さえ把握していれば、Form 4はCADデータを忠実に実体化します。

本記事では、販売店の技術部門で標準化している「失敗しないための6つの設計数値」と、薄肉パーツを歪ませない「プロの洗浄メソッド」を解説します。

【準備編】なぜ「数値」を守る必要があるのか

レジン(UVレジン)は、硬化中や洗浄中に「剥離力」や「溶剤による膨潤」といった物理的なストレスを受けます。Form 4は、これらのストレスを最小限に抑える設計になっていますが、それでも限界を超えた薄肉形状は波打ちや変形の原因となります。

Form 4の最大の強みは、従来機では誤差が生じやすかった微細形状(例:0.5mmの穴)も、設計値通りに出力できる点です。以下のルールをCAD設計に反映させることで、後加工の手間を大幅に削減できます。

【実践編】プロが教えるステップ・バイ・ステップ

ここでは、CAD設計からFormlabs専用ソフトウェア PreFormでの設定まで、具体的な数値を元に手順を解説します。

Step 1: 「壁」と「ワイヤー」の限界値を確認する

まずはパーツの強度を担保する「厚み」の確認です。以下の数値を下回っている箇所がないか、CADの測定ツールで確認してください。

  • サポート付きの壁: 0.2mm以上
    両側が他の壁に接続されている場合でも、0.2mm未満では剥離プロセス中に歪みが発生します。
  • ワイヤー(棒状パーツ):
    高さ7mmまで:直径 0.3mm以上
    高さ30mmまで:直径 0.6mm以上
CADソフト上で0.2mm未満の薄い壁をヒートマップで警告表示している様子
0.2mmを下回ると波打ちの原因になります

Step 2: 「穴」と「クリアランス」を確保する

組み立て部品(アセンブリ)で最もトラブルが多いのが、穴径と隙間設定です。Form 4の高い精度を活かすため、以下の値を適用します。

  • 穴の最小直径: 0.5mm
    これより小さい穴は、レジンの表面張力によって造形中に塞がってしまうリスクが高まります。
  • 最小クリアランス: 0.4mm
    ギアや嵌合(かんごう)パーツなど、2つのパーツの間に必要な隙間です。0.4mm未満の場合、パーツ同士が融合して動かなくなる恐れがあります。
2つのパーツが噛み合う断面図で隙間が0.4mm以上必要であることを示す図解
可動部には必ず0.4mm以上のクリアランス(隙間)を設けてください

Step 3: PreFormでの「オーバーハング」対策

CADデータをFormlabs専用ソフトウェア PreFormに読み込み、サポート材の設定を行います。ここで注意すべきは「オーバーハング(水平に突き出した部分)」です。

  1. PreForm上でモデルを確認し、5.0mm以上水平に突き出している箇所を探します。
  2. 5.0mmを超えるオーバーハングは、自重で垂れ下がるため、必ずサポート材が必要です。
  3. PreFormのサポート設定を開き、「内部サポート(Internal Supports)」を有効にして、オーバーハング部分に支柱を生成します。
PreForm画面上でオーバーハング部分に適切なサポート材が生成されている比較画像
垂れ下がりを防ぐため、内部サポート機能で支柱を追加します

Step 4: 「カッピング」を防ぐドレインホール

中空モデルや、お椀型の形状を造形する場合の必須処理です。密閉された空洞があると、造形時の吸引圧(カッピング現象)で造形物が破裂したり、積層痕が乱れたりします。

■ ここがポイント:ドレインホールの設置

目立たない場所に、直径 0.75mm以上の「空気穴(ドレインホール)」を設けてください。
これにより、内部のレジンと空気が逃げ道を得て、圧力が解消されます。

中空の球体モデルの下部にレジンと空気を逃がすための0.75mmの穴が開いている図
レジンと空気の逃げ道を作ることで、造形失敗を防ぎます

【技術パート】失敗しないためのプロの「運用テクニック」

設計ルールを守って綺麗に造形できたのに、「洗浄後に薄い壁がヘロヘロに歪んでしまった」という経験はありませんか?
これは、洗浄工程での「溶剤の吸い過ぎ(膨潤)」が主な原因です。特に0.2mm〜0.5mm厚の繊細なモデルにおいて、この失敗は頻発します。

弊社の技術部門では、以下の運用ルールを徹底することで寸法精度を維持しています。

1. 短時間洗浄の徹底と、適切な溶剤選択

IPA(イソプロピルアルコール)への長時間のつけ置きは厳禁です。レジンが溶剤を吸収し、変形しやすくなります。
私たちは、洗浄液 3D Medsupo(スリーディーメドサポ)を標準採用しています。この洗浄液は、IPAと比較して以下の利点があり、精密パーツの洗浄に適しています。

  • 低臭気・低揮発
    作業環境への負荷が少なく、安定した運用が可能です。

【応用編】さらなる効率化へ

Form 4の高精度な積層能力は、今回ご紹介した「設計ルール」を守ることで真価を発揮します。CADデータの再現性が高いため、設計→試作→修正のサイクル(イテレーション)を最小限に抑えることが可能です。

また、造形スピードが上がると、ボトルネックになりやすいのが「後処理」です。
洗浄液 3D Medsupoのような、作業環境と造形物に配慮した溶剤を組み合わせ、短時間で確実に洗浄を完了させるフローこそが、私たちプロが推奨する現場の標準構成です。

■ 推奨される最小フィーチャーサイズ(参考値)

項目 Form 4 推奨値 備考
サポート付き壁厚 0.2mm これ以下は歪みの原因
穴の最小直径 0.5mm 塞がり防止のため
最小クリアランス 0.4mm パーツ融合防止のため
ドレインホール径 0.75mm カッピング対策

まとめ

今回の記事の要点をチェックリストにまとめました。次回の造形時にぜひお手元でご確認ください。

  • 壁厚は0.2mm、穴径は0.5mm、クリアランスは0.4mmを死守する。
  • 中空形状には必ず0.75mm以上のドレインホール(空気穴)を設ける。
  • 薄肉パーツの洗浄は短時間で済ませ、洗浄液 3D Medsupo等で効率的に洗い流して即乾燥させる。

「手持ちのデータの微細形状が、実際にForm 4で再現できるか不安」という方は、弊社の実機にて検証造形も承っております。設定や運用に関するご相談も受け付けておりますので、下記のフォームよりお気軽にお問い合わせください。

出典:3Dモデルの設計仕様(Form 4生成)

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i-MAKER 研究室 編集部

株式会社アイ・メーカーが運営する、ものづくり情報サイト「i-MAKER 研究室」の編集部。3Dプリンター・光造形・洗浄の現場に10年以上携わる経験をもとに、実機検証と取材を軸とした記事を制作しています。

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