トップ③ ideaMaker 基本操作編 / IM7. 中身と土台

IM7.中身と土台

仕上がりの強さ・軽さ・反りにくさを決める、2つの基本です。モデルの中身(充填)と、底に付ける土台。この2つを覚えれば、ひととおりの造形ができます。

A.中身 ― 充填(じゅうてん)

用語:充填(インフィル) 充填(インフィル)=モデルの内部を埋める構造。外側の壁の内側を、格子などの模様ですき間をあけて埋めます。すき間を多くすると軽く・速く・材料少なく、詰めると重く・遅く・頑丈になります。覚えるのは 「どれくらい詰めるか(充填率)」「どんな模様で詰めるか(充填形状)」の2つだけです。

A-1. 充填率 ― どれくらい詰めるか(%)

充填率は、中身を何%埋めるかです。0%=空っぽ、数字が大きいほど詰まります。標準(デフォルト)は 20%。高いほど頑丈ですが、材料も時間も増えます。低いほど軽く速いですが、外から押すと変形しやすくなります。設定は スライスの準備の「充填」タブにあります。

「充填」タブの設定。充填率 20%、重複充填率 20%、充填形状 格子状
▲ 「充填」タブ。充填率(%)充填形状はここで決める(標準は20%・格子状)
充填率の目安こんなときようす
〜10%見た目だけの置物・軽い試作とても軽い・速い。力には弱い
20%(デフォルト・標準)ふだんの造形。迷ったらここ軽さと丈夫さのバランスが良い
30〜50%(ここが実用の上限)力がかかる・しっかり使う部品頑丈。ただし50%を超えても強度はほぼ変わらず、時間と材料の無駄
充填率100%は避ける(NG)「丈夫にしたいから100%」はおすすめしません。3Dプリンターは材料を溶かして積み上げるので、中までぎっしり詰めると熱でふくらんだ分の逃げ場(残留応力の逃げ場)がなくなりヒケ(表面のへこみ)・反り・割れが出やすくなります。強度が欲しくても充填率は50%まで。それ以上は強度がほとんど変わらず、時間と材料を損するだけです。
まずは標準のままでOK標準は 20%です。多くの造形はこれで十分。「割れた・たわんだ」と感じたら、次の造形で 30〜40%(最大でも50%)に上げてみる、という直し方が分かりやすいです。

A-2. 充填形状 ― どんな模様で詰めるか

同じ充填率でも、埋める模様(形状)で「強い方向」「速さ」が変わります。初心者が知っておくとよい代表は次の6つです。迷ったら Cross Hatch(クロスハッチ)でOKです。

格子状の充填パターン
格子状
標準・シンプルで速い
ハニカムの充填パターン
ハニカム
上からの重さに強い
三角形の充填パターン
三角形
横・ねじれに強い
同心円状の充填パターン
同心円状
いちばん弱い・柔らかい
ジャイロイドの充填パターン
ジャイロイド
全方向に強い(時間長め)
Cross Hatch の充填パターン
Cross Hatch
速さと強さのバランス◎
こうしたいおすすめ形状ひとこと
迷ったら(万能)Cross Hatch速さと強さのバランスが良い。ふだんはこれでOK
とにかく速く・軽く格子状 / 一直線いちばんシンプル。速い
上からの重さに強く(棚・ふた)ハニカムハチの巣。縦(Z)方向に強い
横や全方向に強く(実用部品)三角形・立方体・ジャイロイドしっかり頑丈。ジャイロイドは時間長め
飾り・薄物・しなり同心円状いちばん弱い。軽く柔らかい
もっと詳しく充填角度(標準は45/135で触らなくてOK)や、形状ごとの細かい違いは ⑤ U6. 充填のくわしい設定 にまとめています。

B.土台 ― 反り・はがれを防ぐ

造形物がプレートからはがれたり反ったりするのを防ぐため、底に「土台」を付けられます。設定はスライスの準備「プラットフォームの追加」にあります。E3では、土台は「スカート」か「ブリム」を使います(次の2つを覚えればOK)。

スカートを付けた造形例
スカート:触れない囲み線(ノズル慣らし)
ブリムを付けた造形例
ブリム:底にくっつくつば(はがれ・反り防止)
用語:スカート / ブリム スカート=モデルに触れない囲み線。造形のはじめにノズルを慣らし、先端の余分なフィラメント(ゴミ・かすれ)を出し切る役目(接着はしません)。
ブリム=モデルの底に付くつば状の縁。底の面積を広げて、はがれ・反りを防ぐ(接着を助ける)。
どちらを使う? ふつうはスカートでOK。「うまくくっつかない・反る」ときは「ブリム」にします。よく反る材料(ABS など)や大きな造形ほどブリムが向いています。テンプレートによっては最初から「ブリムのみ」が選ばれていることもあります。公式(日本3Dプリンター)も、E3のようなフレキシブルプレート機ではスカートを推奨しています(出典:プラットフォーム設定の種類と機能)。
ブリムでも反るときは ブリムの周数を10周程度に増やすプラットフォーム温度を5〜10℃上げるなどの合わせ技があります。→ 共通8章「反り・剥がれの実践対策」
「ラフト」は使いません土台にはもう一つ「ラフト」(下に敷く台座)もありますが、E3では基本使いません。接着が強力すぎてあとで剥がしにくく、底面も荒れがちだからです。スカートかブリムで十分です。
このページでおさえること充填率=デフォルト20%、足りなければ30〜40%(最大50%。100%はNG)。 ② 充填形状=迷ったら Cross Hatch。 ③ 土台=ふだんはスカート、反るならブリム(ラフトは使わない)。