トップ / ⑤ 使いこなす(熟練) / U6. 充填のくわしい設定

U6.充填のくわしい設定 ― 強さ・軽さ・速さ

3Dプリンターは、モデルの中身をぎっしり詰めず、すき間のある模様で埋めて造形します。これが 充填(じゅうてん/インフィル)です。ここを変えると、仕上がりの強さ・重さ・造形時間・材料の量が大きく変わります。むずかしくありません。覚えるのは 「どれくらい詰めるか(充填率)」「どんな模様で詰めるか(充填形状)」の2つだけです。

用語:充填(インフィル) 充填(インフィル)=モデルの内部を埋める構造のこと。外側の壁(シェル)の内側を、格子などの模様ですき間をあけて埋めます。すき間を多くすると軽く・速く・材料少なく、詰めると重く・遅く・頑丈になります。設定は ideaMaker の「完全な設定を編集」→「充填」タブにあります。

充填率 ― どれくらい詰めるか(%)

充填率は、中身を何%埋めるかです。0%=中は空っぽ100%=すき間なくぎっしり。高いほど頑丈ですが、材料も時間も増えます。低いほど軽く速いですが、外から押すと変形しやすくなります。

「充填」タブの設定。充填率 20%、重複充填率 20%、充填形状 格子状(網目アイコン)の3行が並ぶ
▲ 「充填」タブ。充填率(%)充填形状はここで決める(例:標準は充填率20%・格子状)
充填率の目安こんなときようす
〜10%見た目だけの置物・軽い試作とても軽い・速い。力には弱い
20%(デフォルト・標準)ふだんの造形。迷ったらここ軽さと丈夫さのバランスが良い
30〜50%(実用の上限)力がかかる・しっかり使う部品頑丈。ただし50%を超えても強度はほぼ変わらず、時間と材料の無駄
充填率100%は避ける(NG)「丈夫にしたいから100%」はおすすめしません。溶かして積み上げるFDMでは、中までぎっしり詰めると熱でふくらんだ分の逃げ場(残留応力の逃げ場)がなくなりヒケ(表面のへこみ)・反り・割れが出やすくなります。強度が欲しくても充填率は50%まで。それ以上は強度がほとんど変わらず、時間と材料を損するだけです。
まずは標準のままでOKテンプレートの標準は 20%です。多くの造形はこれで十分です。「割れた・たわんだ」と感じたら、次の造形で 30〜40%(最大でも50%)に上げてみる、という直し方が分かりやすいです。

充填形状 ― どんな模様で詰めるか

同じ充填率でも、埋める模様(形状)によって「強い方向」「速さ」「外しやすさ」が変わります。ideaMaker には10種類以上ありますが、初心者が知っておくとよい代表は次の6つです。

格子状の充填パターン。斜めの格子
格子状
標準・シンプルで速い
ハニカムの充填パターン。六角形のハチの巣
ハニカム
上からの重さに強い
三角形の充填パターン
三角形
横・ねじれに強い
同心円状の充填パターン。四角い渦巻き
同心円状
いちばん弱い・柔らかい
ジャイロイドの充填パターン。曲線が絡む模様
ジャイロイド
全方向に強い(時間長め)
Cross Hatch の充填パターン。細かい網目
Cross Hatch
速さと強さのバランス◎

目的から選ぶなら、次の表が早わかりです。迷ったら Cross Hatch(クロスハッチ)を選んでおけば、たいてい間違いありません。

こうしたいおすすめ形状ひとこと
迷ったら(万能)Cross Hatch速さと強さのバランスが良い、新しい形状。ふだんはこれでOK
とにかく速く・軽く格子状 / 一直線いちばんシンプル。速い
上からの重さに強く
(棚・ふた・台)
ハニカムハチの巣。縦(Z)方向に強い
横や全方向の力に強く
(実用部品)
三角形・立方体・ジャイロイドしっかり頑丈。ジャイロイドは時間長め
飾り・薄物・しなり同心円状いちばん弱い。軽く柔らかい仕上がり
形状が効くのは「ほどほどの充填率」のとき充填率が 0%(空っぽ)100%(ぎっしり)では、模様の差はほとんど出ません。形状の違いがいきてくるのは 10〜50%くらいのときです。まずは「充填率20% + Cross Hatch」あたりから試すと分かりやすいです。

充填角度 ― ふつうは触らなくてOK

充填角度は、模様のラインをどの向きで引くかです。標準は 「45度」と「135度」の2つが入っていて、1層ごとに交互に引かれます。互い違いに重なることで、上下方向にも横方向にも強くなる、よくできた標準設定です。特に理由がなければ、このまま触らないのがおすすめです。

中身だけでなく「壁の厚み」も強さに効きます頑丈にしたいとき、充填率を上げる以外に 外側の壁(シェル)を厚くする方法もあります。壁を1〜2枚増やすほうが、充填率を上げるより軽いまま丈夫にできることが多いです。壁の設定は今後の章でくわしく扱います。まずは充填率と形状の2つで十分です。
このページでおさえること充填率=どれくらい詰めるか。迷ったら20%前後、足りなければ30〜40%。 ② 充填形状=どんな模様で詰めるか。迷ったら Cross Hatch。上からの重さ=ハニカム、飾り・しなり=同心円状。 ③ 充填角度=標準(45/135)のままでOK。