マルチカラー&マルチ素材を実現する押出ノズル
3Dプリンターの目標の一つとして、マルチカラーとマルチ素材の物体を手軽に作るということが挙げられるだろう。とりわけ期待が集まるのがノズルからフィラメント状の樹脂を溶かして積層する低価格なFDMタイプでの実現である。
一昨年、フルカラープリンターとして注目を集めたProdesk3D(現在は3Dsystemsに買収)がFDMタイプとして初のフルカラーという触れ込みで登場したが、実際はフルカラーというよりもグラデーションに過ぎない。世の中の大半の人たちがフルカラーといって期待するのは、パーツごとに色が違う、完全なフルカラーだろう。
そのような中、新たにデンマークのRepRap.meで、完全なフルカラー3Dプリントを可能にする押し出しノズルが登場した。この画期的なノズルは、ダイヤモンドHotendという名前で、動画付きで公開しており、現在量産化のための資金調達をキックスターターで開始している。
3色混合5種類の素材に対応したハイテクノズル
このマルチカラー、マルチ素材プリントを可能にするRepRap用ノズルダイヤモンドHotendは、3色の異なる色、異なる素材でプリントが可能だ。それも単なるグラデーションではなく、完全なカラーブレンディングのプリント。しかも簡単な校正と、正確なプリント、より早いプリント時間を歌っている。ちなみに対応したフィラメント素材は、ABSフィラメント、PLAフィラメント、HIPS、ゴム(エラストマー)フィラメント、PETGフィラメントの5種類。下記はこのダイヤモンドHotendの動画だが、完璧にマルチカラーの物体を一つのノズルから可能にしている様が伺える。
マルチカラー&マルチ素材のRepRap用ノズル動画
3Dプリンターとセットでわずか800ドルで作れる
このダイヤモンドHotendノズルは、可能な限り高速にカラーシフトを行うため、また不必要なフィラメント浪費を避けるために、最小の混合ができるノズルとして設計がされている。また、ノズル自体に押出作業を制御されるためのマザーボードが装着されており、専用ファームウェアが搭載されているというハイテクぶり。
これによって手軽な価格のFDM3Dプリンターのフルカラー化は以外に速く訪れそうだ。販売キットは何パターンにも分かれており、ノズルのヘッド単体から、マザーボード込みのトータルキット、3Dプリンターとセットのものまでさまざま。ノズルヘッドのみでは30ドル、マザーボード込みのノズルキットで300ドル、3Dプリンターとのセットでは800ドルという価格帯。驚く程安価にフルカラーマルチプリンターが手に入るというわけだ。
まとめ 一気に開発進む3Dプリンター
FDM3Dプリンターは特許切れによってオープンソースとして広く普及している。こうしたオープンソースの利点は、自由に開発が進み、通常の開発とは異なる進化や広がりが期待できる点にある。今回ご紹介したダイヤモンドHotendもこうしたオープンソースのRepRapから生まれたノズルだ。
3Dプリンターは特許切れによって一気に開発が進んでいるが、わずか数年でフルカラーとマルチ素材に対応するモデルが登場してきている。かつて電卓が巨大な箱であったのが、わずか10年程で小型化、低価格化が進んだように、3Dプリンターの高機能化と低価格化は一気に進むだろう。一般エンドユーザーが手軽に使用できる時代もそう遠くはないかも知れない。
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