GEはエンジンセンサーハウジングの3Dプリントで機能と生産性向上

GEはジェットエンジンのパーツを続々と3Dプリント製造

GEは3Dプリンターの使用で20年近い歴史を持つ企業だ。自社の航空分野、とりわけ、ジャンボジェット機のジェットエンジンにおける部品の試作、製造を3Dプリンターで製造している。主にエンジンノズルや、ブラケットなどいくつかのパーツを3Dプリンターで製造している。そんなGEが新たに、ジェットエンジンに使用するパーツを3Dプリント製造することを発表した。

それはGEが製造する巨大エンジンGE90シリーズのエンジンセンサーハウジング。GE90シリーズは、航空史上最も巨大なエンジンとされるターボファンエンジンで、ファンの直径は3.12メートルにも及ぶ。そのファンブレードは、ニューヨーク近代美術館にも展示されているほどだ。

搭載機体はボーイング777シリーズが中心。ちなみにハウジングとは、機械の装置などを包んで保護する部品のこと。今回はジェットエンジンをコントロールするためのセンサーT-25を保護する部分が3Dプリンターで作られることになった。なぜGEが続々とジェットエンジンのパーツ類を3Dプリンターで製造するのか、単純に注目される生産性という点以外に、パーツや、製品そのものの性能を向上させる機能があるからにほかならない。

GEのジェットエンジン

エンジンセンサーハウジングの性能向上と生産生向上

なぜGEがセンサーハウジングを3Dプリント製造に切り替えたのかは、まずジェットエンジンの仕組みを知る必要がある。ジェットエンジンは基本的に空気を吸い込み、内部で空気を圧縮、噴流させることで、推進力を得ようと言う役割を担っている。

とくにジェットエンジンのなかにおいて、GE90のようなターボファンエンジンは、現代のジェットエンジンの主流であり、エンジンの前面に巨大なファンが搭載されている。このファンを搭載することで、コアエンジン部分を通る空気の量と、ファンのみを通る空気の流入量を分け、より効率的に推進力を増大させることが可能になる。

ファンから入ってきた空気は、圧縮機によって加圧され、燃焼室へ送り込まれ空気と燃料が混ざり高温ガスとして送り出される仕組み。今回のGE90の空気はジェットエンジンでもかなりの高圧縮で、約40倍という高さ。これは戦闘機のF-15の30倍の圧縮率よりも大きい。

ターボファンエンジン 画像出展:Wikipedia

実は、今回3Dプリンターで作られたエンジンセンサーはこの高圧縮機の入口に取り付けられるもので空気圧縮時におけるアイシングや空気流から、エンジンセンサーを保護し、潜在的な損傷から保護しなければならない役割を担っている。

今回開発された新たな形状のハウジングは、コバルト – クロム合金から作られているが、多くの面で、メリットをもたらしている。上記のようなエンジンセンサーを保護するといった耐久性を向上させているが、それと同時に、重量を軽減させ燃料効率を上昇、さらには材料コストを減らし、生産のリードタイムを従来の製法から数ヶ月短縮することに成功している。

3Dプリントされたエンジンセンサーハウジング

まとめ メーカーだけではなく乗客にもメリットを

GEは、これにより、ジェットエンジンのパーツのうち、燃料ノズル、ブラケット、さらにはエンジンセンサーハウジングといったパーツを3Dプリンターで製造することになってきている。このことは、GE本体にメリットをもたらすだけではなく、飛行機に乗る多くの人々にもメリットをもたらすことになる。

例えば、各パーツを製造する製造コストが低下されれば、機体の価格に反映され航空料金にも少なからず影響を与えるかもしれない。また、パーツ重量の低下は、燃費の向上につながり、こちらも燃料サーチャージなどに影響するだろう。さらには耐久性や防御性といったパーツ自体の安全性が向上することは、安全な空の旅がより確固たるものになるわけだ。

GEの3Dプリンターの導入事例は、数あるメーカーや企業の中でも、最も導入する意義や役割がある事例だといえよう。単なる試作から、最終的には多くの消費者のメリットに繋がる。最も秀逸な事例だ。

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