3Dプリント展レポート① MarkForgedの金属3DプリンターMetal X

高機能素材に特化したMarkForgedから金属3Dプリンター登場

2月14日から16日まで東京ビッグサイトで開催中の3Dプリント展。3Dプリント技術の発展により、今年は新たな注目のテクノロジーが多数登場してきている。

近い将来訪れるであろう、デジタルデータからのダイレクト製造を実現させる多数の機種が展示された。今回は3Dプリント展の取材記事第1段としてMarkForgedをご紹介しよう。

MarkForgedは、デスクトップタイプのFDM(熱溶解積層法)の3Dプリンタながら、カーボンファイバーやグラスファイバーなどを中心とした高機能材料に特化することで、デスクトップのFDM(熱溶解積層法)ながらも、最終品を生産できる3Dプリントとして注目を集めている。

今回は、その中でも、新型の金属3Dプリンターとして注目を集めるMetal Xについてご紹介しよう。

Markforgedの金属3DプリンターMetal X

Metal Xとは。ADAM (Atomic Diffusion Additive Manufacturing)テクノロジー

今回ご紹介するMetal Xは、他社とは全く異なるアプローチで金属造形を可能にする3Dプリンターだ。一般的に金属3Dプリントいうと、SLSDMLSなどのレーザー燒結法が一般的であるが、このMetal Xはこうしたパウダーとレーザーをベースにした従来型の金属3Dプリンターとは全く異なる原理で成り立っている。それも、言うなれば金属のフィラメントを使ったFDM(熱溶解積層法)といってもいい。

金属のFDM 3Dプリンタ

金属のFDM(熱溶解積層法)技術を可能にする秘密

FDM(熱溶解積層法)は、いう間でもなくストラタシスが開発した3Dプリンターの代表的なテクノロジーで、現在登場しているデスクトップの3Dプリンターの多くもこの技術を利用している。

材料は熱可塑性樹脂(加熱すると柔らかくなり、冷えると固まる性質を持つ樹脂)をベースにしており、ABS樹脂PLA樹脂ナイロンポリアミドや、ポリカーボネートなど多彩な種類の素材が使えるのが特長だ。

このようにFDM(熱溶解積層法)はプラスチックのための造形技術だが、MarkForgedはどのような方法で金属材料を加熱して溶かして積層するのだろうか。

高精度な金属パーツが作れる

99.7%の密度を誇る金属パーツができる

Metal Xの仕組みはこうだ。材料となるフィラメント材料が金属粉末とバインダー(添着剤)が混ざったものを使用し、積層造形を行う。

その後、炉に入れて焼結することでバインダーを除去し金属材料が固まりパーツとして成形される。バインダーを配合した状態で積層する際には、焼結時に縮小することをあらかじめソフトウェアが計算し造形される。

これによって作り出された金属パーツは99.7% の密度を誇る強固なものとして完成する。下記は展示会場で展示されてある造形サンプルだ。積層跡もわからないほどの高精度な仕上がりを誇っている。

Metal Xの造形の仕組み。※画像はMarkForged正規代理店株式会社ファソテックから
金属パーツのサンプルの展示、3Dプリント展、株式会社ファソテックブースにて
滑らかな金属の仕上がり

豊富な金属材料に対応

Metal Xは豊富な金属材料に対応している。航空宇宙産業やゴルフクラブ、あるいはさまざまな日用品の材料として重宝されるステンレス鋼をはじめ、高い引張強度と耐疲労性の両方を備え、軽くて丈夫な特性を持ち医療用途で使用される6-4チタン、同じく高強度で軽く、自転車や医療用で使用される6061 アルミニウム合金 7075 アルミニウム合金、更にニッケルベースの合金として高耐熱高強度の素材インコネル、耐衝撃性にすぐれ切削工具などにも使用されるA-2 工具鋼 D-2 工具鋼と、多様な金属材料で造形が可能だ。

さまざまな用途に対応

治具、工具、金型からエンジン、医療まで広がる用途

こうした高品質な造形性能に加え、豊富な金属材料に対応していることから、Metal Xで作れる製品は非常に幅が広い。従来の切削加工によって作られていた治具や工具、更には金型に加え、高機能な性能が求められるジェットエンジンなどの航空宇宙産業や医療など、あらゆる用途に使用できそうだ。

Metal Xスペック

  • ビルド容積:幅250mm×奥行き220mm×高さ200mm
  • 積層ピッチ:50μm
  • 検査パラメータ:ビーム直径 50μm Z軸分解性能 1μm
  • 材料:17-4 ステンレス鋼 SUS303 6061、アルミニウム 7075、アルミニウム A-2、 工具鋼D-2、工具鋼、インコネル625、64チタン (Ti-6Al-4V)

まとめ 最終品の製造が更に広がる

Metal Xの登場により、3Dプリンタによるエンドユースパーツの製造が更に拡大しそうだ。これまで登場していたカーボンファイバーなどに加え、多彩な金属材料が扱えることで、デジタル製造の幅が更に広がりつつある。

今年の3Dプリント展は、Carbon 3Dプリンターやストラタシスのボクセルなど、最終品の製造を拡大させるテクノロジーの展示が広がりつつある。引き続き、取材記事第2段をお届けします。

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