デザイナー振興のために食器専用高性能セラミック3Dプリンターが開発

世界初の3Dセラミック食器プリンター

これまでもセラミック素材を使用した3Dプリンターはあったが、試作品のモックアップを作ることが目的であった。そのため、コーヒーカップやお皿など、食器に求められる細かいデザインを再現するには適していなかった。そんな中、試作品ではなく、最終品を製造することができる食器専用の高性能3Dプリンターが発表された。

このセラミック素材を使用した3Dプリンターはイギリスのウェスト・イングランド大学が研究開発したもので、食器を代表とする陶器の最終品製造に最適な精密さを表現できるという。ウェスト・イングランド大学は1992年に大学として認可された比較的新しい大学だが、今回の3Dプリンターの発表にあたり、スピンオフ企業「Argillasys 3D printed ceramics」を立ち上げている。

主にイギリスとアメリカで特許を取得しており、今後、セラミック食器産業や、インテリアデザイン市場、陶磁器デザイナー向けに販売を開始する予定だ。下記はこの新型のセラミック3Dプリンターで作られた動画と画像。

従来不可能であった精密なデザインが再現可能

3Dプリントされた食器

デザイナーや陶芸家の振興目的

この3Dプリンターの開発を推し進めてきたのはウェスト・イングランド大学のスティーブン·ホスキンス教授だ。スティーブン教授は大学内にCFPRという研究機関をもっており、直訳すると「細かい活字研究センター」となる。

研究内容は従来からある二次元プリント技術に始まり、3Dプリント技術やレーザー加工技術やなど、最新のデジタル技術に対応したプリント・製造全般を扱っている。目的は様々な複合技術のアプローチを組み合わせることで、デザイナーやアーティストのできる表現を拡大し、新しいアイデアやイノベーションを形作ることだ。

今回の食器用のセラミック3Dプリンターもこの研究の一貫として行われてきたものだ。実はこのプロジェクトは2012年から開始されており、イギリスの芸術人文研究委員会(AHRC)から385,000ポンド(約6500万円)の資金提供を受けて開発されたもの。イギリスをはじめとするデザイナーや陶芸家の産業を発展させることを目的としてきたものだ。

まとめ -デザイナーに力を与える-

このセラミック3Dプリンターの開発によって、最終品のダイレクト製造の幅がますます拡大することになる。食器用の3Dプリンターは3Dプリンターのトップメーカーである3Dsystemsも力を入れている状況だ。食器製造業や個人の食器デザイナーが活躍する場がますます増えることだろう。

特に3Dプリンターはデザイナーにとって計り知れない恩恵と力を与えてくれるに違いない。従来はデザインと品質を確認する試作品製造のみで、製造や量産の分野を担うことができなかったデザイナーが、1個単位から作品を製造することができるようになる。

本格的に3Dプリンターの性能が向上し、最終品の製造が可能になれば、将来の製造業は、大量生産に基盤を置く巨大企業か、1品もの、デザイン性に優れるカスタマイズ製造企業の二つに二分されるのではないだろうか。これまでとはデザイナーの役割が明らかに変わり、より幅広いモノづくりを担うことができる時代になるだろう。

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