3Dプリンターの持つ二つのCO2削減効果
3Dプリンターは製造業の現場において、圧倒的なコスト削減をもたらすと注目されている。それは二つの面からCO2削減を果たすことができるとされる。
第一は製造現場の効率化からのエネルギー消費量の削減だ。第二は3Dプリンターで作られるパーツ性能の向上からCO2削減は果たされる。
製造現場におけるCO2削減では、材料消費量をおさえるだけではなく、製造にかかるリードタイムを一気に圧縮することから、これまで使用されてきたエネルギーも相当数削減できるとされている。
例えばジャンボジェット機の製造で有名なエアバスは、ジェット機用パーツの生産を3Dプリンターに切り替えることを目標に掲げているが、単純に3Dプリンターに切り替えるだけの効果として、材料消費量の75%カットと、CO2排出量の40%カットを発表している。
また、3Dプリンターを使うことのもう一つのCO2削減効果として注目されているのが、パーツ性能の向上によるCO2削減だ。
従来の製法と比べて3Dプリンターで製造した方が、パーツの耐久性も向上すると同時に、軽量化を達成することができるためだ。
これは特にガソリン燃料を使用する乗り物にとっては非常に大きなCO2削減効果を果たすことが可能で、ジャンボジェット機のパーツ製造に3Dプリンターを使用しようという背景にはこうした要素が多い。例えば、GEはジャンボジェット機のエンジンに使用するパーツに、3Dプリンターを使用することで、ガソリンの燃料消費量を15%も削減することが可能だとしている。
また、ガソリン消費量が多く、CO2排出量の削減を最も求められる自動車業界でも同様の価値を3Dプリンターに感じている。
3Dプリンターを使った自動車製造では、車体そのものを3Dプリンターで製造することで、50%以上の車体重量を軽減させる取組や、ハイブリッドエンジンと合わせることで、今まででは考えられなかったほどのガソリン消費量で、走行が可能になるとしている。
エアバスの航空機用パーツ
車体重量を50%もカットしたUrbee2
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3Dプリンターはリサイクル意識を高める
こうした3Dプリンターの無駄な消費をなくすというメリットは、明らかにCO2削減に貢献するとともに、普及が拡大するにしたがって、世界中に新たな価値観を植え付けることに役立っているのではないだろうか。
というのも、これまで、CO2削減やプラスチック廃棄物のリサイクルに関して、あまり意識の高くない国、アメリカなどが3Dプリンターの普及に伴い、リサイクルの意識が高まりつつあるように感じるためだ。
アメリカは言うまでもなく3Dプリンター先進国であり、その技術力と普及力、市場規模どれをとっても世界一の国だ。
しかしその一方で、環境問題に関する意識は極めて低いと言える。世界の温室効果ガスの排出量削減を決める京都議定書ではカナダとともに離脱し、プラスチックのリサイクル率は20数パーセントと極めて低い。
高い技術力と文明力を持つにも関わらず、エコに関する意識が低いアメリカであったが、3Dプリンターの普及にともない、リサイクルに関する意識も高まるのではないだろうか。
既に、一部でこうした動きが見られているが、その代表的なものが、プラスチック廃棄物をリサイクルすることで、3Dプリンター用のフィラメントに作り替えようという動きだ。
3Dプリンター市場は拡大を続けるとともに当然のことながら材料市場も拡大を続ける傾向がある。中でも3Dプリンターの材料として消費量が多いのがPLAやABSなどの樹脂系の素材。
最近クラウドファンディングのキックスターターで資金調達を開始したレガシーフィラメント押出機もそのうちの一つで、ペットボトルなどのプラスチック廃棄物を溶かして、新たに3Dプリンター用のフィラメントにリサイクルする機械の開発を行っている。
また、プラスチック廃棄物をリサイクルして3Dプリンターで製造可能な組み立て用のおもちゃとして販売する動きが登場するなど、3Dプリンターが持つエネルギー消費の削減が、材料のリサイクルという部分まで意識を拡大していると見て取れる。
プラスチックを3Dプリンター用材料にリサイクルする押出機
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まとめ
3Dプリンターが革命的だと言われる所以は、副次的な効果の広さだ。例えば、ジェットエンジンの製造や、自動車などに3Dプリンターが使用されることは、私たち一般消費者にとってもメリットがある。
製造現場におけるコスト削減と、燃費向上という燃料消費量のコスト削減は、私たちにとっては、航空料金というかたちで影響がでるためだ。また、安全性という観点でもそのメリットを受けることになる。
航空機用のパーツ製造における3Dプリンターの使用は、コスト削減や軽量化だけでは切り替えられることは無い。
パーツ自体の耐久性や安全性が向上しない限り切り替えられることは無い。こうしたことはすべての分野に当てはまるわけではないが、効率化とコスト削減がもたらす、無駄をなくそうという意識が、リサイクルや資源の有効活用というプラスの面に触れ動いて普及した場合、世界はよりよくなるのだろう。
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