食品用に対応した3Dプリントフィラメント
お皿やスプーン、容器など、食品用に使用されるプラスチック素材には衛生規格が設けられている。プラスチックはさまざまな分子で構成されるため、人間の体にとって有害になる物質も含まれている。それが体内にはいる食品と触れる場合には注意が必要だからだ。そのため現代の全ての食品用プラスチックは食品衛生法の基準に則ったものを使用することになっている。
ポリエチレンやプリプロピレン、ポリカーボネート、ナイロンポリアミド、メラミンなど多くの樹脂が食品用で使用されるが、その全てが細かい基準を満たした配合で使用される。食品用のプラスチック成形は金型による成形がほとんどだが、今回新たに3Dプリンターで使用することができる食品用に対応したフィラメント素材が登場した。アメリカ食品医薬品局(通称FDA)の認定も取得したナイロン680フィラメントをご紹介。
高温処理や熱湯にも耐え食器洗浄機で使用可能
ナイロン680フィラメントを開発したのは、Taulman 3Dというフィラメントメーカー。グラフェンの3Dプリント材料を開発するグラフェン3Dラボと共同で開発している。ナイロンフィラメントは具体的には熱溶解積層法、FDM、FFFの3Dプリンター用に開発されたもので、食品や飲料水と接触しても何の問題もないものだ。
さらには、このナイロン680を使用して作られた食器類は、熱湯や蒸気などにも耐えうることができ食器洗浄機などの高温処理にも使用することが可能。ナイロン自体はもともと耐熱性がほかのプラスチックよりも高く、食器向きの素材だが、今回開発されたナイロン680ではより食品向けにペレットから製造されている。もちろん、ナイロン自体が持つ特性である靭性、引っ張り強度や耐磨耗性に優れている。
ナイロン680フィラメントスペック
- 引張強さ:4,686PSI +
- モジュラスPSI:28634
- 破断時の最大伸び:226パーセント
- プリント温度:250C – 255C
- ノズルサイズ:任意
- PVAのコートとコールド印刷ベッド:BuildTak
- ホットプリントベッド:ガラスはPVAのコートで50℃に加熱
- 収縮:0.006 in/in
- トランスミッション:70パーセント~
- 色:半透明・白ベタ、 酸ベースの染料で染色可能
- サイズ:1.75ミリメートルと2.85ミリメートル
ナイロンフィラメントについては「3Dプリンターのナイロンフィラメント完全ガイド」で特長や注意点、おススメの製品を御紹介していますのでそちらをご参照ください。
まとめ 食器のデザインや機能性確認に最適
このナイロン680は、世界中に発送可能とのことで、多くの食器などの試作に使用することができる。しかしだからといって、実際に使用する最終品の食器で使用することはあまりないかも知れない。このフィラメントを使用して試作品を作り、食器洗浄機などにおける耐久性確認や、デザインの形状確認などを行う使用法がベストだと言える。例えば、3Dプリンターの押し出しノズルや、FDMで積層されるプレート部分などが滅菌されていない場合には、最終品で使用するには差し控えた方がいいだろう。
3Dプリンター用フィラメントの完全ガイド!網羅的な情報紹介
3Dプリンター用フィラメントの種類や特長、メーカーを徹底解説!あなたのプリント作業に最適なフィラメント選びの参考になります。
プラスチックの特性と用途についてはこちらもどうぞ
- ポリエチレン(PE)の特性と用途 包装材からスーパーエンプラまで
- ポリエチレンテレフタレート(PET)の特性と用途 ペットボトルからフリースまで
- ポリプロピレン(PP)の特性と用途 家電製品から繊維まで
- ポリカーボネート(PC)の特性と用途 iPhoneから工業用ネジまで
- ナイロン(ポリアミド)の特性と用途 加工の注意点と代表的製品
- PLA樹脂(ポリ乳酸)の特性と用途 加工と新素材の開発
- アクリル樹脂の特性と用途 加工と代表的プラスチック製品
- ABS樹脂の特性と用途 加工と代表的プラスチック製品
プラスチックの加工についてはこちらもどうぞ
- 無塗装でピアノブラックを実現するプラスチック成形技術
- 射出成形の特徴 高品質で量産性の高いプラスチック成形の王様
- ブロー成形の特徴と使用例 ペットボトルからガソリンタンクまで
- 真空成形の特徴と使用例 自動車からコンビニ弁当箱まで
i-MKAERでは光造形3DプリンターForm3+やレーザー焼結3DプリンターFuse 1、Raise3Dシリーズなど多彩な3Dプリンターのノウハウ、販売をご提供しています。ご質問や無料サンプルや無料テストプリントなどお気軽にご相談ください。