ColorFabbは竹の質感を持つ3DプリントフィラメントbambooFillを発表

ColorFabbのフィラメント拡大計画

ColorFabbはオランダの3Dプリント材料メーカーだ。主にFDMタイプの3Dプリンター用フィラメントを開発している。FDM3Dプリンター用のフィラメント材料は、PLAABSナイロンといったプラスチック材料がほとんどだが、ColorFabbは異なる素材と樹脂をミックスした独自のフィラメント開発で有名だ。

過去には青銅粉末が80%配合された金属の質感が表現できるフィラメントbronzeFillや、PLA樹脂にリサイクル木材チップを30%配合し木材フィラメントWoodFillなど、ただのプラスチック材料では表現できない造形物のプリントが可能だ。

そのColorFabbが新たに竹の質感を表現することができるフィラメント、bambooFillを発表した。bambooFillのbamboo(バンブー)とは竹の種類の一つ。プラスチックはさまざまな分子と分子を結合させることでいろいろな質感、仕上がりを表現することができるが、こうした素材のバリエーションが拡大することでFDMタイプの3Dプリンターの使用を拡大してくれることが期待される。

本日はColorFabbの新たなフィラメントbambooFillをご紹介。

工芸品や日用品の素材として使用される竹

竹は日本や中国などアジアの熱帯地域を中心に生息する植物だ。タケノコとして食用でも知られるが、素材としてもさまざまな商品の製作に利用されている。竹は素材の特長として削ったり曲げたりの加工がしやすく、繊維の方向がはっきりしていることから細かく割って加工することができる。

また、薄く粘り強い上に表面加工などをほどこさなくても腐食しにくい特性を持っている。こうした特性から、伝統工芸品の材料としての使用が盛んだ。ざるや籠、はし、楊枝、耳かき、くし、物干し竿、うちわ、傘、竹ペン、ものさし、万年筆などその使用は多岐にわたっている。

意外なものでは白熱電球のフィラメントに使用され、エジソンが白熱電球を開発した際日本の竹を使ったという話もあるほどだ。スポーツ分野での使用も盛んで、剣道の竹刀や棒高跳びの棒として過去に使用されてきている。中には贈答用で竹で作られたパソコンのキーボードやマウスなどもあるほど。

このように竹材には質感や粘り強いという特長を有しているが、ColorFabbのbambooFillはPLA樹脂80%に、竹をリサイクルした竹繊維を20%配合することでこうした質感を再現している。このフィラメントを使用することでこれまで作ることができなかった独特の一品ものの質感を表現することが可能だ。

竹繊維が20%含有されたbambooFill

独自の竹の質感を表現できる

bambooFillスペック

  • 配合率:PLA樹脂80%、竹繊維20%
  • フィラメント直径:2,85mmと1,75mm ±0.05mm
  • 下記の3Dプリンターでテスト済み:Ultimaker、Ultimaker2、Makerbot Replicator2、Delta Tower、Felix 20、Leapfrog Creator、Beethefirst
  • 価格:39.95ユーロ

ColorFabbはこのbambooFillの発表以外に、更なるフィラメントシリーズのリリースを計画しているという。今年の10月にはドイツデュッセルドルフでの展示会においてPLA樹脂と強化繊維による新フィラメントシリーズを登場させる予定だ。

ColoFabbは異素材とプラスチック材料を組み合わせたフィラメント以外にもABS樹脂とPLA樹脂のそれぞれの強みを併せ持つポリエステルベースの強化フィラメントシリーズ「XT-コポリエステル」シリーズもリリースしている。「XT-コポリエステル(通称アンフォラ3Dポリマー)」は、両者の強みを併せ持つことで大きくて強靭性を持つFDMプリントが可能になる。

ColorFabbのフィラメント素材の拡大は、低価格モデルの3Dプリンターの使用をさらに拡大しそうだ。

ColorFabbの動画

まとめ

現在市場に流通している多くの低価格帯の3Dプリンターは、樹脂を溶かして積み上げるFDMモデルが多い。ミスプリントが多く、樹脂を積層する積層ピッチも粗く、仕上がりもいいとは決して言えない。

そんなところから、完成度も滑らかでスピードも速い熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂アクリル樹脂ポリウレタン使った紫外線硬化性樹脂による光造形の低価格モデルが注目を集めている。価格帯はどちらも低価格化が進み、自分で組み立てる場合は5万円程度から購入できる。新規でリリースするモデルがFDMも光造形もあまりにも多いためどちらが主流になるのかわからない状況だが、材料開発は材料開発で着々と広がりを見せている。

とりわけ各社が材料開発で注力するのがFDM用のフィラメント開発だ。フィラメントの最大の特長はFDMタイプの大半の3Dプリンターに適用することができる点だ。

通常二次元プリンターのビジネスで考えれば、プリンターを購入してもらい、消耗品であるインクの販売で儲ける仕組みが一般的だ。しかし、3Dプリンター市場を見てみると、あまりに多くの3Dプリンターが乱立してきているため、よほど他社にぬきんでた精度と特長で市場シェアを持たない限り、材料をプリンターメーカーが販売して儲けるビジネスモデルは成り立たない状況にある。

むしろColorFabbのような材料メーカーが汎用性の高い材料を開発し、バリエーションを増やすことで、3Dプリンターメーカーはその材料に対応していることがプリンター開発の条件になりつつあるようだ。

例えばある3Dプリンターを購入したところ、そのメーカーが販売している材料しか使用できなければ、続々と登場する材料のバリエーションに対応することができなくなってしまう。低価格タイプの3Dプリンターの開発競争はまだ始まったばかりだが、今後市場で主導的地位を確立するには使用できる材料が鍵になるかもしれない。

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