3Dプリンターで作れる便利な小物:カードスタンドを作る方法

3Dプリンターでカードスタンドを作る方法

3Dプリンターで作れる便利な小物としてカードスタンドがあります。現代はカード社会といわれるほど、ありとあらゆるカードであふれかえっています。アプリへの移行が進んでいるとは言え、まだまだ世の中にはカードがあふれかえっており、すべてが財布の中に入り切るわけではありません。

カードスタンドは100円ショップでも、無印良品でもさまざまな小売店で販売されていますが、3Dプリンターでオリジナルなカードスタンドも作ることができます。今回はそんな3Dプリンタ―で作れる便利小物の一つとしてカードスタンドをご紹介します。

3Dプリントカードスタンドの形状

3Dプリンターでカードスタンドを作る場合、3Dプリンターならではの特性を活かした形状を作ることができます。一般的なカードは非常に細く、1㎜程度の薄さです。こうした薄い形状のカードがそのままた立てられるためには無数の細い溝が必要です。

今回3Dプリントを行ったカードスタンドは、細いカードがそのまま立てられるタイプの形状で、3Dプリンターならではの形状といえるでしょう。

カードスタンドの3Dデータの作成・入手方法

カードスタンドを3Dプリントするためには、初めに3Dデータを用意する必要があります。STL形式かOBJ形式の3Dデータがあれば3Dプリントが可能です。

3Dモデリング

カードスタンドの3Dデータを作るにはFusion360のような3DCADソフトがおすすめです。操作も簡単で初心者にもやさしいCADソフトです。

フリーの3D素材を利用する

フリーの3Dデータから素材をダウンロードする方法もあります。無料で利用できる3Dデータサイトが複数存在します。例えばThingiverseなどの無料3Dデータサイトで「card stand」などと検索すると複数無料データがダウンロード可能です。

光造形3DプリンターForm3+で造形

カードスタンドは光造形3Dプリンタ―のForm3+で造形を行います。Form3+は高精細で滑らかな造形ができるうえに高い安定性を持っている3Dプリンターです。

レジン材料の選択

まず初めにどのレジンでプリントするか選択を行います。カードスタンドはカードを置く溝部分が非常に細かいため、なるべく高精細で細かい造形ができるレジンを選択します

またカードスタンドは置いて使用することから強度などがあまり求められるものではないので、一般的なグレイレジンを使用します。ただし、溝の部分を構成する板状の部分が非常に薄いので、高強度なタフ2000やタフ1500を選択してもいいでしょう

グレイレジンを選択した理由

Formlabsのスタンダードレジンはアクリルをベースにした材料で、高精細で滑らかな造形が可能です。中でもグレイレジンが最も綺麗に出力ができます

また積層ピッチは25ミクロンから50ミクロン、100ミクロン、160ミクロンの4種類の積層ピッチから選択が可能で、160ミクロンでは高速造形が可能です。

グレイレジン
グレイレジン

専用ソフトウェアPreformでプリント設定

専用ソフトウェアPreFormでプリント設定を行います。PreFormはFormlabsのスライスソフトで、簡単に設定が可能です。

1.積層ピッチ

積層ピッチは高速造形ができる160ミクロンでプリントを行います。160ミクロンはグレイレジンのみの設定です。Form3+は縦方向の積層が非常にきれいで、160ミクロンでも積層あとがあまり目立ちません。

2.プリント方向を設定

カードスタンドはかなり長い形状をしている点、またForm3+は縦方向の造形が非常に滑らかな仕上がりができる点から、縦に立ててプリントします

またグレイレジンであればベタでビルドプラットフォームに直接造形が可能ですが、サポート材を付けた方がゆがみが無く安定してプリントが可能です。

3.サポート材の設定

サポート材はこの方向に合った形で自動生成を行いますが、側面などの余分な部分は可能な限り減らしてプリントを行います。

ビルドプラットフォームから取り外す

光造形3Dプリンターでは、ビルドプラットフォームにしっかりと造形モデルがくっついています。Form3の場合はラフトとビルドプラットフォームの設置面が真空状態になっており専用工具を使用して取り外します。

専用工具の中でも取り外しやすいのがヘラとハンマーです。スクレイパーは小型の造形物には最適ですが、今回の長いカードスタンドの場合、造形物が飛ばないように取り外しを行います。

まずラフトとプラットフォームの間にヘラをあてます。次に軽くハンマーでヘラをたたきます。この際、加える力はほんの軽くで大丈夫です。ヘラが少しでも入れば、そこから空気が入り込み、真空状態が無くなり簡単に造形物が取れます。

洗浄

造形物の取り外しができた後は、エタコールで洗浄を行います。洗浄にはIPA(イソプロピルアルコール)やエタノールなどがありますが、第二種有機溶剤に該当しないエタコールがおすすめです。

※IPAでもエタコールでもレジンが溶けだしてしまうと産業廃棄物扱いになります。

エタコール
エタコール バナー

1.仕上げキットを使用する場合

仕上げキットを使用する場合、各バスケットに10分ずつ、合計20分程度ひたしてください。洗浄時間はエコタールの濃度によって異なります。洗浄が続き汚れている場合には少し長め、もしくは別途、エタコールで拭き取ってください。

2.FormWash(自動洗浄機)を使用する場合

FormWashでは、自動で攪拌してくれて洗浄完了後、引き上げてくれます。こちらも20分程度洗浄を行ってください。

乾燥

エコタールで洗浄後は乾燥をおこなってください。乾燥時間は数時間程度あれば十分です。

サポート除去

さてここからはサポートの除去を行ってまいります。サポート材は手でも取り外すことができます。サポート材はすぐにとりはずさないで、造形後に、造形モデルを数時間程度乾燥十分乾燥させるとサポート材は簡単に取り外しが可能です。またなるべく造形物を傷つけないように、ニッパーを使う方法もあります。

まとめ:仕上がりとコスト・リードタイム

それではカーテン留めの仕上がりとコスト、リードタイムなどをご紹介しましょう。仕上がりは160ミクロンですが、とても滑らかにできており、積層あとも場所によってはあまり目立ちません。またカードを通す部分も正確に開いています。

積層ピッチ 160ミクロン
造形時間 6時間15分
レイヤー数 981層
材料使用量 76.41ml
材料コスト 1,436円(1ml @18.8円)