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Formlabs製品ガイド

3Dプリンター造形失敗ゼロへ!Form 4対応・症状別トラブルシューティング

i-MAKER 研究室 編集部 | 公開 2026.01.14 更新 2026.04.15 読了 約8分

3Dプリンター造形失敗ゼロへ!Form 4対応・症状別トラブルシューティング

「朝、会社に来て造形が終わっていると思ったら、プラットフォームに何もついていなかった」
「造形物の表面がなぜかザラザラしている」

こうした失敗は、貴重な時間とレジンの大きなロスにつながり、業務効率を著しく低下させます。しかし、3Dプリンターの失敗には必ず「物理的な原因」が存在します。

今回は、Formlabs公式の診断基準をベースに、私たちが現場で実際に行っている「症状別チェックフロー」を公開します。

この手順に沿って確認すれば、Form 4などの最新機種でも、旧機種でも、原因を特定して的確な対策を打つことが可能です。

【準備編】エラー診断の前に

具体的な診断に入る前に、光造形(SLA/LFS/LFD)の基本原理を理解しておきましょう。造形プロセスは「引き剥がし力(Peel Force)」との戦いです。多くの失敗は、この物理的な力が、造形物の強度や定着力を上回った時に発生します。

■ 診断の鉄則

エラーが発生した場合、焦ってすぐに再造形ボタンを押してはいけません。必ず以下の2点を行ってください。

  • レジンタンク内の異物確認(硬化物が残っていると液晶破損の原因になります)
  • Formlabs専用ソフトウェア PreFormでのデータ再点検

【実践編】プロが教えるトラブルシューティング SOP

ここでは、よくある失敗例を3つのステージに分け、解決策をステップ形式で解説します。お手元の造形物と照らし合わせながら進めてください。

Step 1: 「何も造形されていない」場合のチェック

造形物がビルドプラットフォームに全くついていない、あるいは「ラフト(土台)」しか残っていないケースです。

症状の特定(Symptoms)

非接着の例:ビルドプラットフォームに何もついていない
非接着(Non-Adherence)
ラフトシルエットの例:レジンタンク底にラフトだけ張り付く
ラフトシルエット(Raft Silhouette)
  • 非接着: ビルドプラットフォームに何もついていない状態。
  • ラフトシルエット: ラフトだけがレジンタンクの底(フィルム面)に張り付いている状態。

対処法(Troubleshooting)

まず、物理的な汚れとZ軸の設定を確認します。

手順1: ビルドプラットフォームの金属面を、洗浄液 3D Medsupoを含ませたペーパータオルで強く拭き取り、油脂汚れを完全に除去します。

手順2: レジンタンク内のレジンを専用ヘラ(またはゴム手袋をした指)で優しくかき混ぜ、底面に硬化したレジンが張り付いていないか目視確認します。

レジンタンク底面の硬化片チェック
レジンタンクの底面を目視確認し、曇りや硬化したレジン片がないかチェック

曇りや硬化片がある場合は取り除きます。

手順3: それでも定着しない場合は、プリンター本体の設定で「Z軸微調整(Z Offset)」を行います。数値をマイナス方向(プラットフォームをタンクに近づける方向)に0.1mmずつ変更し、テスト造形を行ってください。

Form 4 Z軸微調整画面
Z軸微調整(Z Offset)でプラットフォームを下げる調整を行う

Step 2: 「形はできたが、破損している」場合のチェック

造形途中でモデルが割れたり、穴が開いたりするケースです。これは逃げ場のない「物理的な力(真空圧など)」が原因です。

症状の特定(Symptoms)

カッピングの例:モデルの一部が破裂したり穴が開く
カッピング(Cupping)
層間剥離の例:層と層の間が剥がれてしまう
層間剥離(Delamination)
  • カッピング: お椀状の形状が密閉され、吸盤のようにタンクに吸い付くことで破損する現象。
  • 層間剥離: 層と層の間が剥がれてしまう現象。

対処法(Troubleshooting)

Formlabs専用ソフトウェア PreFormの機能を活用して、データを修正します。

手順1: PreFormで該当のファイルを開きます。

手順2: 右側メニューの「カッピングを検出」アイコン(カップのマーク)をクリックします。

手順3: 黄色や赤色でハイライトされた箇所がないか確認します。これらは真空圧が発生する危険エリアです。

PreFormのカッピング検出機能
カッピング部分が黄色や赤でハイライトされ警告が出る様子

手順4: モデルの角度を変更します。お椀の口が上を向かないよう、45度程度傾けて配置し直し、空気の逃げ道を作ります。

PreFormでのモデル角度調整
モデルを傾けて空気の逃げ道を作り、カッピングを解消する

Step 3: 「表面品質が悪い」場合のチェック

造形は完了したが、表面が鮫肌のように荒れていたり、薄い膜が張っていたりするケースです。

症状の特定(Symptoms)

ラッシングの例:表面が鮫肌のように荒れる
ラッシング(Rashing)
ラギングの例:薄い膜のようなバリが出る
ラギング(Ragging)
  • ラッシング: 表面がザラザラになる現象。
  • ラギング: モデルから薄い膜のようなバリが伸びている現象。

対処法(Troubleshooting)

これらは主に「光の散乱」や「レジンの汚れ」が原因です。

手順1: レジンタンクを取り外し、下にある光学窓(ガラス面)またはForm 4のリリースライナーを確認します。指紋やホコリがあれば、専用のクリーニング用品で拭き取ります。

手順2: レジンタンク内のレジンを一度ボトルに戻し、「濾過(ろか)」を行います。ペイントストレーナー(紙製フィルター)を使用し、微細な硬化片を取り除いてください。

レジンの濾過作業
紙製ストレーナーを使って微細な硬化片を取り除く

【技術パート】失敗を防ぐプロの「運用ポイント」

ここでは、機械的なエラーではなく、日々の運用で回避できる「品質向上の秘訣」をお伝えします。

1. 洗浄不足を「造形不良」と勘違いしない

表面の「ぬめり」や「白残り」を、プリンターの不調(ラッシング等)だと思い込んでしまうケースが非常に多く見られます。しかし、これらは単なる「洗浄不足」です。特に、繰り返し使用して汚れた洗浄液を使用していると頻発します。

私たち販売店技術部では、以下の基準で運用し、この「偽の造形不良」を完全に防いでいます。

  • 強力な撹拌洗浄: 手洗いではなく、自動洗浄機を使用する。
  • 適切な溶剤管理: 洗浄力が維持された溶剤を使用する。

特に洗浄液 3D Medsupo(スリーディーメドサポ)を使用することで、有機溶剤特有の揮発リスクを抑えつつ、安定した洗浄品質を確保できます。必ずリンス(水ですすぎ)工程を設け、溶剤成分を完全に洗い流すことが、美しい仕上がりのポイントです。

2. Form 4の「過圧縮(Overcompression)」に注意

症状: ラフト(土台)が異常に薄くなり、ビルドプラットフォームから剥がすのが困難になる。

■ プロのポイント

新しいレジンタンクや、Form 4のような高速機では、定着を確実にするために初期層への圧縮が強くかかる傾向があります。
剥がしにくい場合は、無理にスクレーパーを差し込まないでください。ニッパーでラフトの端を「パチン」と切り、少し浮かせてから空気を入れるようにスクレーパーを入れると、安全かつスムーズに剥離できます。

【応用編】さらなる効率化へ

トラブルシューティングをマスターした後は、エラーそのものを減らす「最強の環境作り」を目指しましょう。現在推奨されるベストプラクティス構成は以下の通りです。

構成要素 推奨製品 選定理由・メリット
本体 Form 4 従来のLFS方式(Form 3+等)で見られたレーザー起因のエラー(X軸レイヤーシフト等)が、液晶方式のLFD技術により構造的に解消されています。圧倒的な造形速度と安定性を両立しています。
洗浄 洗浄液 3D Medsupo 造形後のベタつきやクラックなどのトラブルを未然に防ぐには、適切な溶剤選びが不可欠です。コストパフォーマンスと洗浄力に優れ、Formlabsレジンとの相性も検証済みです。

このように、ハードウェアの進化と適切なケミカル(洗浄液)を組み合わせることで、エラー率は劇的に低下します。

【まとめ】

本日のガイドでお伝えした、失敗診断の3つの重要チェックポイントを復習しましょう。

  • 何もついていない時: まずZオフセット調整と、レジンタンク底面の汚れを確認する。
  • 割れている時: PreFormに戻り、モデルの向きを変更してカッピング(真空状態)を回避する。
  • 表面が荒れる時: 光学系の清掃を行い、レジンを濾過してフレッシュな状態に戻す。

これらの対策を行っても改善が見られない場合、あるいは「自分のケースがどれに当てはまるか判断が難しい」という場合は、ぜひ販売店である弊社にご相談ください。

お客様のデータや状況をヒアリングし、実機(Form 4)を用いた検証や、最適なパラメーターのご提案をさせていただきます。安定した造形環境を一緒に構築していきましょう。

出典:Formlabs公式ブログ『プリント失敗の診断(SLA)

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i-MAKER 研究室 編集部

株式会社アイ・メーカーが運営する、ものづくり情報サイト「i-MAKER 研究室」の編集部。3Dプリンター・光造形・洗浄の現場に10年以上携わる経験をもとに、実機検証と取材を軸とした記事を制作しています。

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