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Formlabs製品ガイド

【プロ直伝】SLA光造形の「反り」を撲滅する3つの鉄則。洗浄と二次硬化で精度が決まる

i-MAKER 研究室 編集部 | 公開 2025.12.25 更新 2026.04.15 読了 約8分

【プロ直伝】SLA光造形の「反り」を撲滅する3つの鉄則。洗浄と二次硬化で精度が決まる

「造形直後は綺麗だったのに、翌日見たら部品が曲がっていた」「薄い壁面が波打ってしまい、筐体の嵌合(かんごう)が合わない」

これらは、SLA(光造形)方式の3Dプリンターを使用する中で、多くのユーザーが一度は直面する「反り」という現象です。

反りが発生した際、多くの方は造形設定(露光時間やサポート密度)のみを見直そうとしますが、実はそれだけでは不十分です。弊社の技術部門での検証経験から言うと、反りの原因の半数は「洗浄」と「二次硬化」のプロセスに潜んでいます。

本記事では、Formlabs製品(Form 4 / Form 3シリーズ)の性能を最大限に引き出し、設計通りの寸法精度を出すための「反らせないための標準ワークフロー」をステップ・バイ・ステップで解説します。

【準備編】敵を知る(なぜ反るのか?)

対策を打つ前に、メカニズムを理解しましょう。「反り」とは、造形物が内部応力や外部要因によって、意図した形状から逸脱して変形するプロセスです。 主な発生原因は、以下の3つのフェーズに分類されます。

発生フェーズ 主な原因 メカニズム
1. 造形中 サポート不足 自重によるたわみ、またはタンクからの剥離力に負けて変形する。
2. 洗浄中 溶剤の吸収 IPA等の溶剤に長時間浸かることで、レジンが液体を吸収し「膨張」して歪む。
3. 二次硬化中 熱と収縮 UV光と熱による二次硬化(ポストキュア)が進む際、不均一に「収縮」して反り返る。

原因を特定せずに設定を変えても解決しません。今回は、これらすべてのフェーズを網羅した対策手順をご紹介します。

【実践編】プロが教えるステップ・バイ・ステップ

ここからは、実際にFormlabs専用ソフトウェア PreFormでのデータ作成から、後処理までの具体的な手順を解説します。お手元のPCと機材を準備して読み進めてください。

Step 1: PreFormでの「ミニマ」と「タッチポイント」の強化

まずはデータ作成段階で物理的な強度を確保します。オートサポート機能は優秀ですが、薄肉パーツや精度が求められる部品では手動調整が必須です。

  • Formlabs専用ソフトウェア PreFormを開き、モデルをインポートします。
  •  
  • 画面右側のメニューにあるスライスバーを上下させながら、赤く表示されている「ミニマ(最下点)」がないか確認します。
  • この赤い領域は、サポート材が不足しており、造形中に脱落や変形が起きる危険箇所です。
PreForm画面でのミニマ確認とサポート設定
サポート不足箇所は赤く表示されます。見逃さずにチェックしましょう。
  • サポート設定メニューを開き、「サポートを編集」ボタンをクリックします。
  • モデル上の赤い箇所(ミニマ)をクリックし、手動でサポートを追加します。

■ ここがポイント

反りやすい「薄い板状のパーツ」や「長い棒状のパーツ」の場合、タッチポイントサイズ(接触点径)の数値を上げてください。

標準:0.60 mm → 対策設定:0.70 mm 〜 0.80 mm

これにより、剥離時の物理的な保持力が上がり、造形中の歪みを防げます。

Step 2: 「浸けすぎ厳禁」の洗浄フロー

実はここが盲点です。「綺麗にしたいから」といって一晩中洗浄液に浸けたままにするのは絶対に避けてください。レジンが溶剤を吸って膨張し、乾燥時に激しく歪んでしまいます。

  • 造形が完了したら、ビルドプラットフォームから造形物を取り外します(またはプラットフォームごと洗浄機へセットします)。
  • 洗浄機(Form Wash等)の設定時間を入力します。
    通常レジンの場合:10分〜15分(※使用するレジンのデータシートに従ってください)
  • 洗浄液 3D Medsupoををご使用の場合も、各社の指定時間と変わらずお使いいただけます。

洗浄液 3D Medsupoは洗浄力が高いため、短時間でぬめりを落とすことができます。必要以上の浸漬は変形リスクを高めるだけです。キッチンタイマーやスマホのアラームを必ずセットしましょう。

Form Washから造形物を引き上げる様子
浸け置き放置はNG。タイマーが鳴ったら直ちに引き上げてください。

洗浄が終わったら、直ちに引き上げます。

Step 3: 「サポート付き」で完全乾燥&二次硬化

二次硬化機(Form Cure等)に入れる前のルールが2つあります。ここを守るだけで、最終的な寸法精度が劇的に向上します。

1. 完全乾燥させる
洗浄液が残ったまま二次硬化させると、表面の荒れやクラック(ひび割れ)の原因になります。
エアーコンプレッサーやブロワーを使い、細かい隙間の洗浄液まで飛ばしてください。その後、30分程度自然乾燥させ、表面がサラサラになるまで待ちます。

2. サポート材は「付けたまま」硬化させる
これが最大のポイントです。二次硬化中は熱と光でレジンが収縮します。
サポート材を先に外してしまうと、造形物が自由に収縮して反り返ってしまいます。サポート材を「骨組み(矯正器具)」として利用し、形状を拘束した状態で硬化させてください。

Form Cureでサポート付きのまま二次硬化
サポート材が変形を防ぐ骨組みとなります。必ず付けたまま硬化させましょう。
  • Form Cureにセットし、レジンごとの推奨温度・時間で硬化させます。
  • 硬化が完了し、常温に戻ってからニッパー等でサポート材を除去します。

【技術パート】失敗しないためのプロの秘訣

ここでは、よくある失敗例と、それを回避するための運用上の重要ポイントを解説します。

  • よくある失敗
    「洗浄後、急いでドライヤーで乾かして、熱いまま二次硬化機に入れた」
    これはNGです。急激な温度変化と乾燥ムラは、残留応力を生み出し、複雑な反りを引き起こします。あくまで「常温での完全乾燥」を心がけてください。
  • プロの運用ポイント:予熱(プレヒート)の活用
    Rigid 10Kなど、高温での二次硬化が必要なエンジニアリングレジンの場合、いきなり高温の炉内に入れると熱ショックを受けます。Form Cureをあらかじめ稼働させ、庫内を予熱してから造形物を投入することで、熱収縮による歪みを緩和できます。
  • プロの運用ポイント:薄肉パーツの分割硬化
    極端に薄い造形物は、一気に硬化させると反りやすい傾向にあります。例えば推奨時間が60分の場合、「30分硬化 → 裏返して30分硬化」のように区切ることで、均一に光を当て、反りを相殺できる場合があります。

【応用編】さらなる効率化と「正解」のセットアップ

上記の手順を確実に実践すれば、反りのリスクは大幅に低減します。しかし、業務で毎日このワークフローを回す場合、作業者のスキルに依存しない「環境」を整えることも重要です。

現在、弊社の技術部門が推奨している最も失敗の少ない構成は以下の通りです。

  • 本体:Form 4
    Form 4に搭載された「LFD(Low Force Display)テクノロジー」と「リリーステクスチャ付きレジンタンク」は、造形時の剥離力を極限まで低減しています。物理的な力がかかりにくい構造のため、そもそも「造形段階での反り」がForm 3世代と比較して圧倒的に起きにくくなっています。
  • 洗浄:洗浄液 3D Medsupo
    IPA(イソプロピルアルコール)特有の刺激臭がなく、法規制にも対応した洗浄液です。適切な攪拌と時間管理を行えば、レジンへの浸透・膨張を抑えつつ、確実な洗浄が可能です。コストパフォーマンスにも優れており、頻繁に液交換ができるため、常にクリーンな状態で作業できます。

■ 結論

「Form 4 で高速かつ低負荷に造形し、洗浄液 3D Medsupo でサッと洗う」。 この組み合わせこそが、反りや寸法不良と無縁になるための、現代のSLA光造形のベストプラクティスです。

まとめ

最後に、本日の重要ポイントをチェックリストにまとめました。次回の造形時から必ず手元で確認してください。

  • PreFormで「ミニマ」をチェックし、不安な箇所はタッチポイント径を太くする。
  • 洗浄液への浸け置きは厳禁。タイマーを使用し、規定時間で引き上げる。
  • サポート材は外さず、完全に乾燥させてから二次硬化を行う。

「自分のデータだと、具体的にどこにサポートを追加すればいいか分からない」「Form 4の実機で、反りのない造形を試してみたい」という方は、ぜひ弊社の技術窓口までご相談ください。お客様のデータを基にした検証造形も承っております。

出典:ワーピング(SLA)

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i-MAKER 研究室 編集部

株式会社アイ・メーカーが運営する、ものづくり情報サイト「i-MAKER 研究室」の編集部。3Dプリンター・光造形・洗浄の現場に10年以上携わる経験をもとに、実機検証と取材を軸とした記事を制作しています。

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