
【実機解説】Formlabs Form 4はなぜ速い?
新技術LFDの秘密とメリット
Formlabsより待望の最新機種「Form 4」および、生体適合性材料に対応した「Form 4B」が発表されました。すでに多くのニュースで「爆速」というキーワードを目にされている方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、メーカー発表のスペック情報を整理しつつ、私たち販売店が実機に触れて感じた「現場視点でのリアルな進化」について詳しく解説します。特に、既存のForm 3 / 3+ユーザー様や、これから本格的に産業用3Dプリンターの導入を検討されているエンジニアの皆様にとって、この進化が業務にどう直結するのかを深掘りしていきます。
光造形の常識を変える「スピード」の衝撃
Form 4 最大の特長は、何と言ってもその圧倒的な造形スピードです。これまで光造形(SLA)といえば、「高精細だけど時間がかかる」「夜セットして翌朝確認する」というタイムラインが一般的でした。しかし、Form 4はその常識を過去のものにします。
- ほとんどのパーツが2時間以内で造形完了
- 従来のForm 3+と比較して2〜4倍の高速化を実現
- 垂直方向の造形速度は最大100mm/時
これにより、設計変更したモデルを「昼休み前にセットして、午後イチで現物確認する」といったサイクルが可能になります。1日に何度も設計と検証(イテレーション)を回せるため、開発スピードそのものが劇的に向上します。
新エンジン「LFD」と進化したエコシステム
なぜこれほどまでに速くなったのでしょうか? その秘密は、エンジンの根本的な刷新にあります。
1. 独自の新技術「LFD(Low Force Display)」とは
Form 4では、従来の「LFS(Low Force Stereolithography)」方式とは異なる、「LFD(Low Force Display)」という新しい造形方式が採用されました。
従来のLFS方式(Form 3+など)は、レーザービームをガルバノミラーで走査して、一本の線で塗りつぶすようにレジンを硬化させていました。対してForm 4のLFD方式は、高出力の「LEDパネル」と、光を成形するレンズアレイなどを組み合わせた、いわゆる「面露光」に近いアプローチを採用しています。
この違いを分かりやすく表にまとめました。
| 項目 | 従来のLFS方式 (Form 3+) | 新方式 LFD (Form 4) | メリット |
|---|---|---|---|
| 光源 | レーザーユニット (LPU) | LEDパネル (BPU) | 光源パワーと均一性が大幅向上 |
| 硬化プロセス | レーザーによる線描画 | 層全体を一括露光 | 描画時間の物理的制約を解消 |
| XY解像度 | 25μm (レーザースポット径85μm) | 50μm | 射出成形品に匹敵するエッジ品質 |
| 造形速度 | 造形物の数・面積に比例して遅くなる | 数・面積に関わらず一定 | プレート一杯に並べても速い |
この変更により、造形エリアのどこに配置しても、どれだけ複雑な形状であっても、層全体を瞬時に硬化させることが可能になりました。
2. 新素材「V5レジン」と拡張性
ハードウェアの進化に合わせて、マテリアル(材料)も大きくアップデートされています。主要な汎用レジンは「V5」へと進化しました。
- 汎用レジンV5シリーズ:
グレーレジン V5 / クリアレジン V5 / ホワイトレジン V5 / ブラックレジン V5
従来のレジンに比べ、造形速度が向上しているだけでなく、審美性(見た目の美しさ)も強化されています。特にクリアレジン V5の透明度や、ブラックレジン V5のマットな質感は必見です。 - 新機能レジン:
ファストモデルレジン(Fast Model): 形状確認に特化した超高速レジン。
プレシジョンモデルレジン(Precision Model): 歯科や精密模型向けの、寸法精度を極めたレジン。
3. ユーザビリティの向上(誰でも15分でスタート)
「産業用3Dプリンターは扱いが難しい」というイメージをお持ちではありませんか? Form 4は、そのハードルを極限まで下げています。
- セットアップ: プリンターを開梱してから最初のプリントを開始するまで、わずか約15分。
- インテリジェントコントロールシステム: 本体に内蔵された6つのオンボードセンサーが、レジンの温度、残量、水平度などを常に監視。トラブルを未然に防ぎます。
- レジンタンクの長寿命化: 新設計の「Form 4 レジンタンク(レジンを入れるトレイ)」は、二重層フィルムを採用し、75,000層以上の耐久性を実現しました。交換頻度が減ることで、ランニングコストの削減と廃棄物の低減に貢献します。
【技術パート】販売店の技術ノート
ここからは、カタログスペックには載っていない、私たち販売店の技術担当だからこそお伝えできる「現場運用のポイント」を解説します。
ここがポイント:造形個数と時間の関係
■ ここがポイント
Form 4のLFD方式(面露光)の最大の恩恵は、「量産試作」において発揮されます。
従来のレーザー方式では、1個造形する時と、プレートいっぱいに50個造形する時では、レーザーが走る距離が変わるため、造形時間が大幅に伸びていました。 しかし、Form 4のLEDパネル方式では、「1個作っても、プレート満載で作っても、高さが同じなら造形時間はほぼ変わらない」という特性があります。
- Form 3+の場合: パーツが増えると時間が比例して伸びる。
- Form 4の場合: パーツが増えても時間はほぼ一定。
これは、小ロット生産や、多数のバリエーションを一度に検証したいユーザー様にとって、生産性が数倍に跳ね上がることを意味します。
注意点:剥離力への対策
造形スピードが速いということは、それだけ「層間を剥離して次の層へ移る動作」も高速化していることを意味します。Form 4のレジンタンクには、剥離抵抗を下げる独自の「リリーステクスチャ」加工が施されていますが、運用上の注意点もあります。
- ラフト(土台)の重要性: 高速な剥離動作に耐えるため、ビルドプラットフォームへの定着は重要です。
- サポート材の設定: 特に粘度の高いエンジニアリングレジン(Tough 2000やRigid 10Kなど)を使用する際は、自己流の設定よりも、「Formlabs専用ソフトウェア PreForm」の自動生成サポートを信頼することを強く推奨します。最新のPreFormはForm 4の高速動作に合わせて最適化されており、手動設定よりも成功率が高い傾向にあります。
実機検証・アクション案内
「本当にそんなに速いのか?」「積層痕は目立たないのか?」 こうした疑問を解消するために、弊社ではForm 4の実機を配備し、以下の対応を行っております。
- ベンチマークテスト: お客様のSTLデータをお預かりし、「Form 4で出力した場合の正確な時間」を算出・検証します。
- 実機見学・サンプル確認: 実際の駆動音や、出力されたパーツのエッジの鋭さ、表面の滑らかさを直接ご確認いただけます。
【コラム】ワークフロー最適化のヒント
造形が速くなると「洗浄」がボトルネックになる?
Form 4の導入によって1日の造形サイクルが2回、3回と増えると、これまで見落とされがちだった課題が浮き彫りになります。それは「後処理(洗浄・二次硬化)」の負担増です。
プリンターが速くても、洗浄待ちが発生しては全体の効率は上がりません。以下の2点を見直すことで、Form 4のポテンシャルを最大限に引き出すことができます。
- 1. 新型「Form Wash」による効率化
新しくなった洗浄機「Form Wash」は、撹拌用インペラの設計が見直され、洗浄力が向上しています。また、「Form 4 ビルドプラットフォーム」を装着したまま洗浄できるため、パーツを取り外す手間を省き、手が汚れるリスクも減らせます。 - 2. コストパフォーマンスに優れた洗浄液の活用
洗浄回数が増えると、洗浄液(IPAなど)の汚れも早くなり、交換頻度が高くなります。「コストが気になって、汚れた液を使い続けてしまう(結果、ベタつきが残る)」というのはよくある失敗例です。
そこで、弊社では「洗浄液 3D Medsupo(スリーディーメドサポ)」の併用をご提案しています。
高い洗浄力: 3Dプリンター専用に調整された有機溶剤で、レジンの溶解力に優れています。
コストメリット: 頻繁な交換にも耐えうる価格設定で、ランニングコストを圧縮します。
「Form 4で生産量を増やしたいが、消耗品コストは抑えたい」という方は、ぜひ洗浄液 3D Medsupoの導入をご検討ください。
まとめ
今回のForm 4の登場は、単なるスペックアップではなく、光造形の運用スタイルそのものを変える大きな転換点です。
- 新エンジン「LFD」と「LEDパネル」: 従来の2〜4倍の造形速度と、安定した面露光を実現。
- 量産への適正: パーツを詰め込んでも造形時間が伸びにくく、生産性が劇的に向上。
- トータルバランス: 高速化に伴う後処理の負荷は、新型周辺機器と洗浄液 3D Medsupoで解決可能。
「自社のデータなら何分で終わるのか知りたい」「実機の精度を確かめたい」という方は、ぜひ弊社のベンチマークサービスをご利用ください。また、コスト削減に効く洗浄液のサンプルもご用意しております。
Form 4の実力と、最適な運用プランについて、私たち販売店が親身にサポートいたします。以下のボタンより、お気軽にお問い合わせください。
出典:Formlabsの新製品Form 4:比類のないスピード、精度、信頼性で3Dプリントを再定義

