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Formlabs製品ガイド

Form 4の技術「LFD」を徹底解説!従来機との違いと高速化の秘密

i-MAKER 研究室 編集部 | 公開 2025.11.28 更新 2026.04.15 読了 約10分

Form 4の技術「LFD」を徹底解説!従来機との違いと高速化の秘密


2024年4月、ついにFormlabsから最新機種Form 4およびForm 4Bが発表されました。すでにご存じの方も多いかと思いますが、今回のモデルチェンジは単なる「バージョンアップ」ではありません。心臓部であるプリントエンジンそのものが、従来のLFS方式から新開発の「LFD(Low Force Display)」へと完全に刷新された、まさに別次元の進化と言えます。

長年、光造形(SLA)方式の3Dプリンターを扱ってきた私たちにとっても、今回の発表は衝撃的でした。多くのユーザー様が抱えていた「SLAは精度が良いけれど、造形スピードが遅い」という長年の課題を、品質を犠牲にすることなく解決してきたからです。

本記事では、販売店の技術的な視点から、Form 4のコア技術である「LFD」の全貌と、それが日本の製造現場において具体的にどのようなメリットをもたらすのかを、徹底的に深掘りして解説します。

なぜForm 4は「速くて高画質」なのか?新エンジンを解剖する

Form 4が実現した「爆速」かつ「高精細」な造形の秘密は、すべて新開発のプリントエンジンに隠されています。ここではその仕組みを3つのポイントに分けて解説します。

1. 新エンジン「LFD(Low Force Display)」の仕組み

これまでのForm 3 / 3+シリーズでは、「LFS(Low Force Stereolithography)」という方式が採用されていました。これはレーザービームを左右に走査させてレジンを硬化させる手法ですが、どうしても「点を描いて面を埋める」動作が必要なため、造形スピードには物理的な限界がありました。

対して、Form 4で初搭載された「LFD(Low Force Display)」は、面露光方式を採用しています。
具体的には、超高出力の「LEDパネル」(バックライトユニット)からの光を、コリメートレンズ(光を平行にするレンズ)を通して整え、「LPU 4(ライトプロセッシングユニット4)」と呼ばれる液晶ディスプレイマスクで遮蔽・透過を制御します。

これにより、1つのレイヤー全体を瞬時に一括硬化させることが可能になりました。

比較項目 従来のLFS方式 (Form 3+) 新方式 LFD (Form 4)
光源 レーザービーム (点描画) LEDパネル + 液晶マスク (面露光)
造形スピード 高精細だが時間を要する Form 3+比で2〜5倍の高速化
光学ユニット寿命 経年劣化あり(交換は修理対応) 60万〜110万層の長寿命 (ユーザー交換可能)
メリット 滑らかな曲面表現 圧倒的な速度と、エッジの効いた高精細さ

特に注目すべきは、独自開発されたLPU 4の耐久性です。既存のLCD方式プリンターでは液晶パネルの劣化が早いことが課題でしたが、LPU 4は長寿命設計となっており、万が一交換が必要になった場合でも、安価かつユーザー様自身で簡単に交換できる設計になっています。

2. 「リリーステクスチャ」が実現する低剥離力

光造形において、造形スピードと成功率を左右する大きな要因が「剥離力(Peel Force)」です。硬化したレジンをフィルムから引き剥がす際の抵抗が大きいと、造形物が破損したり、強力なサポート材が必要になったりします。

Form 4のForm 4 レジンタンク(レジンが入るトレイ)には、底部に「リリーステクスチャ」と呼ばれる独自のマイクロテクスチャ光学フィルムが採用されました。この微細な加工が空気の流れを作り、タンクがLPUに張り付くのを防ぎます。

現場での活用メリット:

  • サポート痕の極小化: 剥離力が極めて低いため、モデルを支えるサポート材の接点(タッチポイント)を細くしても造形が安定します。
  • 射出成形級の表面品質: 無理な力がかからないため、積層ズレや表面の荒れが起きにくく、非常に滑らかな仕上がりを実現します。
  • 作業効率アップ: サポート材が手で簡単に除去できるほど軽く設定できるため、後処理の手間が大幅に削減されます。

3. インテリジェントコントロールシステム(センサー群)

「速いけれど失敗しやすい」では、プロの道具として使えません。Form 4には、造形プロセスを常時監視し、自動で最適化する「インテリジェントコントロールシステム」が搭載されています。機内には6つの制御システムとセンサーが配置されています。

  • 内蔵カメラ: 造形中の様子を撮影し、リモートで監視可能。トラブル発生時の原因究明にも役立ちます。
  • レジン残量・温度センサー: レジンの残量を正確に検知し、自動充填を行います。
  • 伝導加熱ヒーター: 従来は温風で庫内を温めていましたが、Form 4ではタンクを直接温める方式に変更されました。これにより、高粘度のレジンでも短時間で最適温度に達し、待機時間を大幅に短縮します。
  • Z軸力センサー: 各レイヤーにかかる力を測定し、積層ピッチごとの動作速度を自動調整して品質を最大化します。

【技術ノート】「カタログに載らない」運用ポイント

ここからは、実際に実機に触れている私たち販売店技術スタッフならではの視点で、Form 4運用の「キモ」となるポイントをお伝えします。

ここがポイント:サポート材設定の自由度

LFD方式による低剥離力の恩恵は、Formlabs専用ソフトウェア PreFormでの設定に如実に現れます。
これまで、大型パーツや重いパーツを出力する際は、脱落を防ぐためにサポート材の「タッチポイントサイズ」を大きめ(0.6mm〜0.8mmなど)に設定するのが定石でした。しかしForm 4では、同じ形状でもより小さなタッチポイント(0.4mm〜0.5mmなど)で成功するケースが増えています。

これはつまり、「造形後のやすり掛け作業が圧倒的に楽になる」ということを意味します。特にグレーレジン V5などの標準樹脂を使う場合、手でむしり取るだけでほとんど痕が残らないレベルまで追い込むことも可能です。

注意点・Tips:レジンタンクの管理と「ミキサー」の重要性

Form 4のレジンタンクは二層フィルム構造で、75,000層以上の造形に耐える高い耐久性を持っています。しかし、運用上で注意すべき点が一つあります。
LFD方式はLEDパネルからの光量が非常に強いため、レジン成分の沈殿や分離が造形品質に影響しやすい傾向があります。

そこで重要になるのが、付属品のForm 4 ミキサーです。

  • レジンタンクの底をワイパーのように移動し、レジンを均一に保つ役割があります。
  • 特に色の濃いレジンや、Rigid 10Kのようなフィラー入りレジンを使用する際は、このミキサーの動作が不可欠です。
  • 手動でレジンを補充したり交換したりした際は、必ずミキサーが正しくセットされているか確認し、PreForm上でも適切な材料設定が行われているかチェックしてください。これが色ムラや硬化不良を防ぐ必須作法です。

コストパフォーマンスについて

ランニングコストを気にされるユーザー様にとって朗報なのは、消耗品の価格改定です。Form 4 レジンタンクは、従来のForm 3用タンクと比較して約33%安価に設定されています。さらに寿命も延びているため、長期間運用した際のトータルコストは確実に下がります。

実機検証・アクション案内

「スペック上の数字はわかったけれど、実際のところ自社のデータでどれくらい速くなるのか?」
そうお考えの方も多いはずです。弊社では、検証用の実機(Form 4)を常設しております。

Form 4での高速造形デモと出力サンプル
弊社ショールームでの実機の様子

お客様の疑問を解消するために、以下の対応が可能です。

  • 【実機見学・デモ】: ショールームにて、爆速と言われる造形スピードを目の前で体感いただけます。
  • 【ベンチマークテスト】: お客様の3Dデータをいただき、Form 3+とForm 4での出力時間・品質の違いを比較したレポートを作成します。
  • 【サンプル申し込み】: 新素材である「汎用レジン V5」等の質感確認用サンプルをお送りします。

【コラム】ワークフロー最適化のヒント:高速化の「ボトルネック」を解消する

Form 4を導入すると、1日に造形できる回数・個数が飛躍的に増えます。これは素晴らしいことですが、現場では新たな課題が発生しがちです。それは「洗浄作業が追いつかない」そして「洗浄液のコストが急増する」という問題です。

出力スピードが上がれば、当然、洗浄が必要なパーツも次々と生み出されます。ここで従来通り、高価な純正IPA(イソプロピルアルコール)を使い続けると、ランニングコストが無視できない負担になってしまいます。

そこで私たちが、Form 4導入と同時に推奨しているのが、洗浄液 3D Medsupo(スリーディーメドサポ)」の活用です。

特徴 洗浄液 3D Medsupo (スリーディーメドサポ)
コストパフォーマンス 純正IPAや高額な代替品と比較して、運用コストを大幅に抑制可能。
洗浄力 レジンのヌメリを強力に除去。微細な隙間の洗浄にも適しています。
安全性 タイプにより「有機則非該当」の製品もラインナップ。作業環境の改善に寄与します。

Form 4との相性
Form 4で量産的な使い方をする場合、洗浄液の交換頻度も上がります。コストパフォーマンスに優れた洗浄液 3D Medsupoであれば、気兼ねなくたっぷりの液量で洗浄槽を満たし、常にクリーンな状態で洗浄を行うことができます。
「造形は速くなったのに、洗浄で詰まってしまった」という事態を避けるためにも、ぜひ本体とセットでご検討いただきたいアイテムです。

まとめ

Form 4は、単にスピードが速いだけの3Dプリンターではありません。速度、信頼性、そして運用コストのバランスが高次元でまとまった「次世代のスタンダード機」です。

■ 記事の要点

  • 新エンジンLFD: 面露光(LEDパネル)により、驚異的なスピードと高精細なディテールを両立しました。
  • 信頼性の向上: 低い剥離力と多重センサーシステムにより、造形失敗のリスクを大幅に低減しています。
  • 運用コストの適正化: タンク等の消耗品価格の見直しと長寿命化により、プロの道具として使いやすくなりました。

私たち販売店は、単に箱を売るだけではありません。お客様の用途に合わせたレジン選定から、Form 4の性能を最大限に引き出すためのパラメータ設定、さらには洗浄液 3D Medsupoを活用したコストダウン提案まで、3Dプリンター運用をトータルでサポートいたします。

「自社のデータだと何分で造形できる?」「実機を見てみたい」など、少しでもご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ下記よりお気軽にご相談ください。

出典:Form 4 を動かす次世代プリントエンジンを探る

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i-MAKER 研究室 編集部

株式会社アイ・メーカーが運営する、ものづくり情報サイト「i-MAKER 研究室」の編集部。3Dプリンター・光造形・洗浄の現場に10年以上携わる経験をもとに、実機検証と取材を軸とした記事を制作しています。

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