FDM・FFF 3Dプリンターの価格帯と選び方

FDM®・FFF方式の価格帯

FDM・FFF方式は3Dプリンターの代表的な造形方式で、メーカーや機種も多数登場しています。

同時に価格帯も非常に幅広く、1台数万円から最上位機種では5000万円以上する機種まで存在します。ここではFDM・FFF方式の3Dプリンターの価格に関する違いと、その特長をご紹介することで、ご用途に合った3Dプリンター選びのお手伝いができればと考えています。

50万円以下のFDM/FFF3Dプリンターおすすめ機種

50万円以下のFDM/FFF方式の3Dプリンターの機種は以下の機種がおススメです。用途や対応材料、注意点などもご紹介します。

Raise E2UP300AfiniaH1+Infinity X1 Speed
ヘッド数デュアルヘッドシングルヘッドシングルヘッドシングルヘッド
造形エリア330×240×240(mm)225×205×225
(mm)
225×205×225
(mm)
210×210×240(mm)
対応フィラメント材料PLA、ABS、ASA、PET、PP、TPEなどPLA、ABS、TPUPLA、ABS、TPUPLA、TPE
特長簡単・使いやすい。PLAで手軽PLAで手軽積層跡が目立ちにくく滑らか
製品保証保証期間:3カ月
+9カ月の有償保証あり
保証期間:1年間保証期間:1年間保証期間:1年間
本体価格(税別)498,000円350,000円350,000円398,000円

Raise E2

50万円以下の3Dプリンターのおススメ機種を代表しているのがRiase3DRaise E2です。Raise E2は、デュアルヘッドを搭載し、1台で複数のフィラメント材料に対応しています。PLAからABSPET、PP、TPEPCなどが使用可能。

また専用ソフトウェアであるideaMakerは初心者でもとても使いやすいインタフェースを持ち、材料ごとのパラメーター設定も提供されており簡単です。ただ、大きい造形サイズはPLA以外の材料では反りやすく作ることが難しいです。

UP300/AFINIA H+1

UP300AFINIA H+1は同じ3Dプリンターです。PLAとABS、TPUの3種類のヘッドをもっていますが、最も安定して使用できるのがPLAフィラメントです。ABSは小さい造形サイズであれば可能です。こちらも反りやすいため、造形サイズや形状には注意が必要です。またプリント設定が難しく、造形サイズや形状ごとに、細かいプリント設定が求められます。

Infinity X1 Speed

Infinity X1 Speedは、PLAフィラメントとTPEフィラメントに特化した3Dプリンターです。精密で強固な機械構造が特長で、積層のピッチ合わせが正確なため、形状によっては積層跡が目立たない仕上がりが可能です。ただABSなどはプリントすることができません。

選び方のポイント:PLA中心

50万円以下のFFFタイプの3Dプリンターの用途は基本的にPLAフィラメントを中心とした試作・モックアップの作成が中心です。またプリント設定が難しく、安定して造形するためには試行錯誤が必要なケースが多いです。シンプルにPLAのみでのご使用がお勧めです。

注意点:ABSは反りやすいい

50万円いかのFFFタイプの3Dプリンターの注意点としてABSフィラメントは反りやすいという点が挙げられます。庫内温度を加熱し熱収縮を抑える機能が搭載されていないため、ABSは使用できたとしても小さい造形サイズになります。

50万円以下の一押しは?

50万円以下のFFFタイプの3Dプリンターで一押しはRiase E2です。オススめの最大のポイントが高い安定性と使いやすさです。他の機種がソフトウェアがサードパーティ製をベースにしているのとは違い、Raise E2は専用ソフトウェアが使用できます。

このソフトウェアのオリジナル性がハードウェアの制御をより正確にしてくれるためです。材料ごとのパラメーター設定もRaiseならではのオープンフィラメントプログラムによって簡単に設定ができます。

50万~300万円クラスのFDM/FFF3Dプリンターおすすめ機種

50万円から300万円クラスのFDM/FFFタイプの3Dプリンターでは、かなり用途の幅が広がります。その一方で、100万円を超える機種になると年間の製品保証の金額も発生します。

Raise Pro2Raise Pro2 PlusOnyx OneOnyx ProMark 2F120
ヘッドデュアルヘッドデュアルヘッドデュアルヘッドデュアルヘッドデュアルヘッドデュアルヘッド
造形エリア280×305×300(mm)280×305×1105 (mm)320×132×154
(mm)
320×132×154
(mm)
320×132×154
(mm)
254×254×254
(mm)
対応フィラメント材料PLA、ABS、ASA、PET、PP、TPE、PA-CFなどPLA、ABS、ASA、PET、PP、TPE、PA-CFなどPA-CFPA-CF
強化材(ガラス繊維)
PA-CF
PA
強化材(ガラス繊維、ケブラー、カーボンファイバー)
ABS、ASA
特長簡単・使いやすい。簡単・使いやすい。カーボンファイバー配合ナイロン専用カーボンファイバー配合ナイロン+強化材で超高強度造形カーボンファイバー配合ナイロン+強化材で超高強度造形生産グレードを実現。高安定性。反らない
製品保証無償保証:3カ月
+9カ月の有償保証あり
無償保証:3カ月
+9カ月の有償保証あり
別途有償保証:1年間or 3年間別途有償保証:1年間or 3年間別途有償保証:1年間or 3年間別途有償保証:1年間or 3年間
本体価格(税別)770,000円
※別途送料
1,070,000円
※別途送料
750,000円
※別途付属品&送料
1,500,000円
※別途付属品&送料
2,900,000円
※別途付属品&送料
1,480,000円
※別途付属品&送料

ストラタシス F120 生産グレード&高安定

300万円クラスのFDM/FFF方式の3Dプリンターでおすすめの機種がストラタシスのF120です。材料はABSとASAの2種類に特化しており、生産グレードの高強度で高精度な仕上がりが実現できます。

ストラタシスはFDM方式の開発元として、他のメーカーにはない、庫内温度のオーブン機能を搭載しており、圧倒的な安定性が可能です。一般的にABSは反りが大きく、大きい造形物を作ることはできませんがF120なら可能です。

F120のおすすめポイント

F120のおすすめポイントは圧倒的な安定性と正確さ、ABSを大きいサイズで造形できて高強度な点です。ABSとASA
の2種類の材料しか使用できませんが、F120のABSの強度は、おそらく他の3Dプリンターの材料よりも強いです。オーブンによる加熱で層と層の密着度が非常に高く、ABSでも最終パーツとして使用できる強度を持ちます。

高強度なパーツをミスなく、安定して生産したり作ったりする用途に最適です。

MarkForged カーボンファイバーなど高強度・高剛性を実現

MarkForgdはカーボンファイバー配合ナイロンのフィラメント材料に加え、糸状のカーボンファイバーやガラス繊維、ケブラーで強化が可能な3Dプリンターです。高強度、高剛性を実現できる3Dプリンターです。上記の表ではOnyx One、Onyx Pro、Mark 2の3機種になり、いずれも造形サイズは同じです。ただ、使用できる材料が3種類で異なっており、上位機種のMark 2はほぼすべての繊維強化が可能です。

MarkForgedのおすすめポイント

MarkForgedのおすすめポイントは、何よりも強度に特化している点です。カーボンファイバー配合やガラス繊維配合により、プラスチックで高い強度を実現します。ただ大きい造形モデルは反りやすいので、比較的コンパクトなパーツ類や治工具の試作、最終品製造に向いています。

Raise Pro2/Pro 2 Plus

300万円以下のRiase 3DではRaise Pro2とRaise Pro2Plusの2機種がおすすめです。デスクトップタイプの3Dプリンターの中では安定性も高く、専用ソフトであるidearMakerによってプリント設定が簡単です。また1台でABSからPLA、PC、PP、カーボンファイバー配合ナイロンまでさまざまな材料が使用できるので、非常に汎用性が高い3Dプリンターです。

Raise Pro2/Pro 2 Plusのおすすめポイント

Riase Pro2とPro 2Plusのおすすめポイントは、この価格帯で、多彩な材料が使用できる点です。ABSやポリカーボネートなどがプリントでき、多彩な用途に対応しています。ただPLA以外の材料は大きさや形状などによって反りやすいため注意が必要です。

選び方のポイント:用途で選ぶ

100万円以上のクラスになってくるとFDM 3Dプリンターはかなりいろいろなことが実現可能になります。また安定性も比較的高くなってきます。そのため使いたい用途に一番合った機種で判断することが求められます。高強度なツールや治工具などが作りたいのか、ある程度大きいパーツが必要なのかなどです。

注意点:ABSで反らないのはF120のみ

このクラスになると、比較的造形サイズも大きくなってきますが、素材によって反りなどが発生します。特にABSを安定的に造形するためには庫内温度の加熱機能が必須です。ABSが安定的に造形できる3DプリンターはF120のみになります。

300万~1500万円クラスのFDM/FFF3Dプリンターおすすめ機種

300万円から1500万円クラスのFDM/FFFタイプの3Dプリンターでは、生産グレード、高強度な品質が可能です。また年間の製品保証の金額も高額になり、機種も大きい場合には送料もかかります。

F170F270F370Fortus380mc
Carbon Fiber Edition
X3X5X7
ヘッド数デュアルヘッド(サポート専用)デュアルヘッド(サポート専用)デュアルヘッド(サポート専用)デュアルヘッド(サポート専用)デュアルヘッドデュアルヘッド(強化繊維)デュアルヘッド(強化繊維)
造形エリア254×254×254
(mm)
305×254×305
(mm)
305×254×305
(mm)
355×305×355
(mm)
330×270×200
(mm)
330×270×200
(mm)
330×270×200
(mm)
対応フィラメント材料PLA、ABS、TPU、ASA、ABS-CFPLA、ABS、TPU、ASA、ABS-CFPLA、ABS、静電気特性ABS、TPU、ナイロン、ASA、PC-ABS、ABS-CFカーボンファイバー配合ナイロン、ASAカーボンファイバー配合ナイロン、カーボンファイバー配合ナイロン静電気特性、カーボンファイバー配合ナイロン(難燃性)カーボンファイバー配合ナイロン、カーボンファイバー配合ナイロン静電気特性、カーボンファイバー配合ナイロン(難燃性)
強化材:ガラス繊維
カーボンファイバー配合ナイロン、カーボンファイバー配合ナイロン静電気特性、カーボンファイバー配合ナイロン(難燃性)
強化材:ガラス繊維、カーボンファイバー、ケブラー、高耐熱ガラス繊維
特長生産グレードを実現。高安定性。
カーボンファイバー配合ABSも対応。反らない。
生産グレードを実現。高安定性。
カーボンファイバー配合ABSも対応。反らない。
生産グレードを実現。高安定性。
カーボンファイバー配合ABSも対応。反らない。
生産グレードを実現。高安定性。
カーボンファイバー配合ナイロンも対応。反らない。
カーボンファイバー配合ナイロンカーボンファイバー配合ナイロン+強化材で超高強度造形カーボンファイバー配合ナイロン+強化材で超高強度造形
製品保証無償保証:1年
次年度以降有償
無償保証:1年
次年度以降有償
無償保証:1年
次年度以降有償
無償保証:1年
次年度以降有償
無償保証:1年
次年度以降有償
別途有償保証:1年間or 3年間別途有償保証:1年間or 3年間
本体価格(税別)3,480,000円
※別途付属品&送料
6,910,000円
※別途付属品&送料
10,880,000円
※別途付属品&送料
9,800,000円
※別途付属品&送料
4,980,000円
※別途付属品&送料
6,580,000円
※別途付属品&送料
8,980,000円
※別途付属品&送料

ストラタシス F170、270、370 生産グレード&高安定

300万円以上、1500万円クラスのFDM/FFF方式の3Dプリンターでおすすめの機種がストラタシスのFシリーズF170、F270、F370です。この3機種からは、ABSに加え、カーボンファイバー配合ABSにも対応しており、より高強度で生産グレード、高精度な造形が可能です。また、ゴムであるTPUにも対応しており、大型のゴム造形も可能。1台でさまざまな用途に対応しています。

ストラタシスはFDM方式の開発元として、他のメーカーにはない、庫内温度のオーブン機能を搭載しており、圧倒的な安定性が可能です。一般的にABSは反りが大きく、大きい造形物を作ることはできませんがFシリーズなら可能です。

ストラタシスFシリーズのおすすめポイント

ストラタシスのFシリーズは材料の種類と造形サイズの大きさで価格帯が異なりますが、共通して言えることが、生産グレードが安定的に生産できるという点です。特にFDMの開発元として、庫内温度の加熱機能やCADから直接データを取り組むGrabCADプリントなど、安定性は抜群です。さらにカーボンファイバー配合ABSが登場したことから、高強度系もばっちりカバーしています。

MarkForged カーボンファイバーなど高強度・高剛性を実現

MarkForgdのXシリーズ(X3、X5、X7)は、OnyxシリーズやMark 2に比べて造形エリアが拡大し、さらに大きい高強度、高剛性の造形が可能となりました。X3は繊維強化材には対応していませんが、カーボンファイバー配合ナイロン3種類が使用可能、X5はガラス繊維での強化、最上位機種のX7はカーボンファイバーやガラス繊維、ケブラーで強化が可能な3Dプリンターです。

選び方のポイント:ストラタシスの安定性と生産性が強い

この価格帯になるとすべての機種が年間保守料がかかり、目的も安定性とどこまで高強度・高精度が実現できるかという点に集約されます。ストラタシスもMarkForgedもほぼ価格帯が近くなっており、カーボンファイバー配合材が登場したり、庫内温度の加熱機能により高い安定性と生産性を持つストラタシスの方が優位のような気がします。

1500万円以上のFDM/FFF3Dプリンターおすすめ機種

1500万円以上のFDM/FFF方式の3Dプリンターの機種になると最終品の製造や高強度な治工具、大型の造形が可能となります。

Fortus380mcFortus450mcF900
ヘッドデュアルヘッド(サポート専用)デュアルヘッド(サポート専用)デュアルヘッド(サポート専用)
造形サイズ355×305×305(mm)406×355×406
(mm)
914×609×914
(mm)
対応材料ABS、ASA、PC、ナイロンなどABS、ASA、PC、ナイロン、カーボンファイバー配合ナイロン、ウルテムなどABS、ASA、PC、ナイロン、カーボンファイバー配合ナイロン、ウルテム、アンテロ800など
特長生産グレードを実現。高安定性。エンプラも対応。生産グレードを実現。高安定性。スーパーエンプラも対応。生産グレードを実現。高安定性。大型造形。スーパーエンプラも対応。
製品保証無償保証:1年
次年度以降有償
無償保証:1年
次年度以降有償
無償保証:1年
次年度以降有償
本体価格(税別)16,900,000円
※別途付属品&送料
25,000,000円
※別途付属品&送料
55,000,000円
※別途付属品&送料

ストラタシス Fortus380mc、450mc、F900 生産グレード&高安定&エンプラ

1500万円以上のFDM/FFF方式の3DプリンターはストラタシスのFortus380mc、450mc、F900です。この3機種はほとんどの熱可塑性プラスチックに対応しており、エンジニアリングプラスチックや、スーパーエンジニアリングプラスチックにも対応しています。またF900では、それに加えて大型の造形も両立しました。

https://youtu.be/bHjb1geubSY

ストラタシスはFDM方式の開発元として、他のメーカーにはない、庫内温度のオーブン機能を搭載しており、圧倒的な安定性が可能です。一般的に反りが多いといわれているABSやポリカーボネートなどもストラタシスの3Dプリンターであれば、反らずに造形が可能です。

まとめ

これまでのFDM 3Dプリンターは、価格帯ごとの大まかな特長やできることをご紹介しました。ここでは必ずしもすべてのメーカーの3Dプリンターを取り上げているわけではありませんが、ある程度安定して造形することができる最低限の機種になります。また近年では10万円以下の低価格な機種が多数登場していますが、ここではこうした安価な3Dプリンターは含んでいません。そちらは別途「低価格」というくくりでご紹介しますが、少なくとも何かを作りたいという人間の欲求を満たすためには、本記事でご紹介した機種がおすすめです。より詳細にサンプルや機能について知りたい方はお気軽にお問い合わせください!