Blenderでフィギュア用の「ダボ」を作成する

身体の中でも、単純な部分の分割方法:「腕と肩」編 

Zbrushで「腕と肩」に「ダボ」を配置する 

それでは3DプリンターのForm3でフィギュアを造形するために、さらにモデルを修正していきましょう!

Blenderで「ダボ」を作成

  ではここで本編である「分割した部分の接合」に関わる「仕込み作業」を行いたいと思います。
「仕込み作業」とは分割した接合部分に仕込む通称「ダボ」と呼ばれる部品があるのですが、この「ダボ」を事前に作成しておきたいと思います。
作業中にいちいち作成していては大変ですので、今回はBlenderで作成しZbrushで「常用ツール」として利用できるようにしたいと思います。

 ではBlenderを起動して、いつも最初に出現するBOXを変形して「ダボ」を作成しましょう。

「Ctrl+Alt+Q」を押して、Blenderの画面を「4面図」に変更しましょう。

画面左上にある「編集モード/面選択」で、立方体上部の面を選択してください。

左端のツールパレットより、「スケール」アイコンを選択し、表示されるマニュピレーターの円内で、ドラッグアンドドロップして適度に縮小してください。
そうしますと上部の四角面が縮小し、台形になりますね。

画面左上にあるモードを「オブジェクトモード」に変更し、右上のレイヤーパネルで「CUBE」を選択しながら右クリックしてください。
パネルが出ますので、「コピー」「ペースト」して複製を作成します。

レイヤーパネルで、複製した同じ位置にある立方体に、「PLUS」「MINUS」など名前をつけます。
 今回のダボもそうですが実は3Dプリンターで造形する時には、素材や大きさにもよりますが「5%~程度」の膨張が発生します。
そのため同じサイズのダボを加工して、凹凸型にして差し込めるようにしてもそのままでは差し込めません。

では5%~ほどスキマを開ければよいかと言いますと、凹凸両方の側で膨張が発生しますので、合計すると10%~もスキマを確保しておく必要がでてきます。
そのためここで10%程度の膨張を見込んだダボのセットを作成しておいて、さらに利便性を高めておこうというわけです。
実際にはこのダボを縦長横長に変形させて利用しますので、厳密に言いますと変形によってはすき間が広がったり狭まったりするのですが、そこは現場で臨機応変に対応することで解決したいと思います。

 さてBlenderに戻りましょう。
「3Dビューのシェーディング:ワイヤーフレーム」に変えて、移動量が見えるように見やすくしましょう。
どちらか一方の立方体をレイヤーで選択してから、「編集モード/面選択」にして左端の「移動ツール」を選択して上部の面を選択してから、マニュピレーターの矢印をドラッグアンドドロップして動かして下方に移動させます。

 左端パネルの「スケールツール」に切り替えて、マニュピレーターをドラッグアンドドロップして縮小します。

今度は下部の面を選択して、マニュピレーターをドラッグアンドドロップして縮小します。

そして全体的に見てすき間が均等になるように、下図を参考に調整をしてください。

それでは、FBX形式にてエクスポートしましょう。
メニューの「ファイル/エクスポート/FBX」を選択して、2個のキューブを出力してください。

Zbrushでの「ダボ」の設置

Blenderで作成した初期設定Cubeは、2m角になります。
少々大きいのでZbrush側で調整することにしましょう。
それでは先ほどBlenderで作成したFBXデータをZbrushに取り込みましょう。
右側ツールパネル「インポート」でダボを選択し、画面上でドラッグアンドドロップしてから、画面上部左付近の「Edit」ボタンを押してください。

取り込むと、下図のようにサブツールが分かれた状態で取り込まれます。

今回はサブツールが2レイヤーに分かれていると面倒なので、いったん1レイヤーに統合しましょう。
2レイヤーに分割することは後で簡単にできますので、問題ありません。

次に、統合したダボのサブツールを「コピー」します。

右ツールパネル「現在のツール」をフィギュア本体データに選択変更してから、今回加工する腕または胸のサブツールを選択してから「ペースト」ボタンを押してください。

そうすると選択したサブツールの下レイヤーに、先ほどインポートした「ダボ」が取り込まれます。

それでは取り込んだ「ダボ」を移動して腕の分割面にセッティングして、3Dプリンター造形後の組み立てのためのジョイント加工をしていきましょう。

マニュピレーター

右側のサブツールパネルで「ダボ」レイヤーを選択してから、上部ボタンの「移動」を押してください。

そうすると、移動マニュピレーターが出現します。

ですが「ダボ」から離れた位置に出現していて、操作がしにくそうですね。
このマニュピレーターを、ダボ上に移動させましょう。
マニュピレーターの上に出ているアイコンのうち、左から3番目の「マスクなしへ移動」を押して下さい。

これで、ダボが移動しやすい位置にマニュピレーターが移動しました。

さっそく、マニュピレーターに付いている矢印をドラッグアンドドロップして、腕の分割/接合位置に移動させましょう。

マニュピレーターを使えば「移動/スケール/回転」すべてがおこなえて、上部の「移動/スケール/回転」にはいちいち切り替えしなくても大丈夫です。
 マニュピレーター中央の小さな立方体をドラッグアンドドロップすれば拡大縮小できますし、円弧を同じくドラッグアンドドロップすれば回転が可能です。
また右下方にある「透明」ボタンを押すと、胸など他のレイヤーが透明になりますので、ダボがどれくらい腕に埋没しているか見やすくなります。

ダボの形状が短い/長い場合は、マニュピレーターの直方体をドラッグアンドドロップすると長体/平体に変形することができます。

これらを操作して、下図を参考に腕側にダボを配置してください。
「移動/スケール/回転」が終わりましたら、「Edit」モードに戻すことを忘れないようにしてください。

小さなほうのダボが「凸」側、大きいほうが「凹」側となります。

胸側に差し込む形にするか、手側に差し込む形にするか、なのですがどちらが良いか?の考え方をお教えします。

 もしダボがはめにくい時に削ってはいるようにするわけですが、その削る側は「凸」側ですよね。
この「削る」作業が発生した場合、作業しやすい側に「凸」側がくるようにしたほうが良いと判断してください。

では今回はどうかと見てみますと、「腕側」のほうが何かと扱いやすいようです。
今回の解説では取り付けが逆ですね、次回修正しましょう!

この章のまとめ

今回はBlenderでダボを作成して、Zbrushに持ち込んで「腕と胸」の接合部分にジョイント部材として配置しました。
このダボは3Dプリント時の膨張誤差を見込んで作成しましたね。
初めての方はこの誤差のことに気付かない方が多く、たいがい第一回目の造形でプチ失敗する原因になります。
今回は一回分の試行錯誤を回避できました、ちょっと得した気分ではないでしょうか(笑)。
もちろん10%~は理論値なので大物小物で変化します、このあたりがノウハウになりますね。