光造形の洗浄と知っておきたい有規則

光造形の洗浄と有規則

光造形3Dプリンターで造形が終わった後は、洗浄という工程で造形物にこびりついたレジンを洗い落としますが、有規則(有機溶剤中毒予防規則)について知っておく必要があります。というのも、光造形の洗浄で使用する洗浄液が有規則に該当する場合には、有規則で定められた業務を行う必要があるためです。

今回は知っておきたい有規則とその特長や注意点などについてご紹介します。

有規則とは

有規則とは、労働安全衛生法に基づいて定めれられた有機溶剤の安全基準についてまとめた法令になります。全部で第9章からなる規定で、有規則に該当する有機溶剤による健康被害を防ぐことを目的にしています。

この有規則に該当する有機溶剤は様々な種類があり、それについてもご紹介します。

有機溶剤の3種類

有機溶剤には全部で54種類の溶剤があり、3つの種類に分かれています。第1種有機溶剤、第2種有機溶剤、第3種有機溶剤です。厚生労働省によると有機溶剤とは「有機溶剤とは、他の物質を溶かす性質を持つ有機化合物の総称であり、 様々な職場で、溶剤として塗装、洗浄、印刷等の作業に幅広く使用されて います。 有機溶剤は常温では液体ですが、一般に揮発性が高いため、蒸気となっ て作業者の呼吸を通じて体内に吸収されやすく、また、油脂に溶ける性質 があることから皮膚からも吸収されます。」と記載があります。

ここでは光造形方式の洗浄で使用する洗浄液がどの種類に該当するのかご紹介します。

IPA(イソプロピルアルコール)

IPA(イソプロピルアルコール)は第2種有機溶剤に該当します。IPAは光造形のレジンの洗浄で使用される主な液体です。

メタノール

メタノールも光造形の洗浄で使用ができる溶剤ですが、こちらも第2種有機溶剤に該当します。

有機溶剤と有規則で定める使用に対しての義務

それでは有機溶剤を使用する場合にはどのような注意点や義務が発生するのでしょうか。

以下、厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署が公開している資料「有機溶剤を正しく使いましょう」(参照元:https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/120815-01.pdf)をもとにご紹介します。

作業主任者の選任

第一に有機溶剤を扱う際には、屋内作業を行う際に作業主任者を選任する必要があります。作業主任者は有機溶剤作業主任者技能講習を修了した者が当たることになり、主な役割としては作業の方法を決定し、労働者を指揮することが求められます。第二に、局所排気装置などを1カ月ごとに点検することが必要です。第三に溶剤を使用する際の保護具の使用状況を監視することが必要です。第四にタンク内作業における措置が講じられていることを確認すること。

有機溶剤蒸気の発散源対策

第二に有機溶剤蒸気の発散源対策について対策を講じる必要があります。有機溶剤による健康被害を防ぐために、蒸気した際の換気対策などが必要です。第2種有機溶剤の場合には局所排気装置の設置が義務付けられています。局所排気装置とは、ダクトなどによって外部に排気できる機構を備えた廃棄装置です。この設置については、事前に労働基準監督署長への届け出が必要になり、かつ1年以内ごとに1回の定期自主検査と月1回の点検が必要になります。

また、作業する際には、呼吸用保護具の装着が必要です。具体帝には防毒マスクの装着が必要で、フィルター交換などを行います。

作業環境管理

第三に作業環境管理が必要です。第1種、第2種に該当する有機溶剤を扱う際には、作業環境測定を行わなければなりません。作業環境測定とは、6カ月ごとに1回、定期的に国家資格を持つ作業環境測定士が行います結果については作業評価基準に基づいた評価を実施し、改善が必要な場合には改善を行う必要があります。また測定記録は3年間保存義務があります。

提示と保管

第四に提示と保管義務があります。作業主任者の氏名や職務だけではなく、有機溶剤が人体に及ぼす影響、取り扱う有機溶剤の区分などもしっかりと提示します。また保管などについては発散の恐れが無いように適切な保存に努める必要があります。

健康管理

最後に、有機溶剤を取り扱う場合には有機溶剤等健康診断を行わなければなりません。この健康診断は6カ月ごとに1回、定期的に健康診断が必要になります。

このように有機溶剤を取り扱う際には、有規則にのっとった対策が必要で、健康管理やCSR
の観点からもしっかりとした環境を整える必要があります。

有規則に該当しない洗浄液メディカルクリーンが推奨

光造形の洗浄液では、有規則に該当しない洗浄液が登場しています。3DメディカルクリーンはIPA(イソプロピルアルコール)代替品として光造形物のレジン洗浄に使用可能な高濃度エタノール洗浄液です。IPAと比較し、洗浄力が同等で、有害性が低く、低臭気です。また有規則で求められる上記のような義務も発生しません。

また3Dメディカルクリーンは廃棄処理に関する手間やコストも、引き取り専用箱もセットになっていることから無料です。

環境にやさしい洗浄液とお手軽洗浄サービス(オプション)

樹脂製品の洗浄に使用される洗浄液は、環境に配慮されたものや効率的な洗浄が行えるものが用意されています。また、お手軽な洗浄サービスも利用可能です。

3Dメディカルクリーン 17.7L

3Dメディカルクリーン 17.7Lは、エタコール同様毒性が低く、臭いが少なく有機則に該当しない洗浄液です。また廃液の回収もセットで行い産業廃棄物処理の手間をなくします。

3Dメディカルクリーン 4L

3Dメディカルクリーン 4Lは、エタコール同様毒性が低く、臭いが少なく有機則に該当しない洗浄液です。また廃液の回収もセットで行い産業廃棄物処理の手間をなくします。