金属3Dプリンターで時計ベルトを作るUniform Waresの挑戦

最終品の3Dプリントが盛んな金属3Dプリンター

金属粉末のレーザー焼結3Dプリンターのメリットの一つが、材料特性をそのまま発揮できる点にある。チタンやスチールなど、モノづくりで多用される金属素材の精度を発揮し、航空宇宙産業や、医療などの分野で最終品をつくるのに利用されている。

そんな金属3Dプリンターの利用だが、意外な分野に利用が開始されている。それが今回ご紹介するスイス製のラグジュアリー時計ブランドUniform Waresだ。

Uniform Waresは、2009年設立の時計ブランドで、企画や開発などはロンドンで行われ、最終的にはスイスで仕上げられる。モダンでシンプルなデザインが特長だが、今回は3Dプリントを使用してユニークなチタン製のストラップを作成している。

3Dプリンターで時計ベルトを作る新たな挑戦

Uniform Waresは、従来からの伝統的な製品開発プロセスによって腕時計をデザインし製造してるいるが、Uniform Waresのクリエイティブディレクター、マイケル・カー氏は、「物事を進化させたい」と語り、今回3Dプリントによる挑戦的な試みを行った。

3Dプリント製造にあたっては、3Dプリント製造企業であるBetatypeと提携して行っている。Uniform WaresとBetatypeのパートナーシップは2012年以来のもので、今回の取り組みでは、チタンの腕時計ベルトストラップのデザインが採用された。

もともとUniform Waresは、既にプラスチックや金属のプロトタイプを開発していたことから、最終品に移行するにはスムーズに行われたとのことで、デザインは、メッシュブレスレットと呼ばれる形状が採用されている。

メッシュブレスレットのベルトをレーザー燒結法で製造

このメッシュブレスレットは、以前からUniform Waresの製品として作られていたものだが、切削と溶接によって作られており、その結果多くの材料の無駄が生じていた。それをレーザー焼結法の3Dプリンターで作ることで、より少ない労力で余分な材料の廃棄を削減し、製造プロセス全体を簡素化することに成功している。

わずか10.5グラム。強化と軽量化に成功した新たな構造

これにより、メッシュブレスレットと同様のスタイルで作られた新しいT5チタンストラップは、新しいPreciDrive M-Lineウォッチコレクションに採用されることになった。ストラップは4,000以上のリングで構成されており、より強力で軽量な構造を実現している。その重量はなんとわずか10.5グラムだ。

デザインの有り方も変える新たな設計を生み出す

3Dプリンターによって作られるメリットは材料コストだけではなない。アディティブマニュファクチャリングを使用してストラップを作成することにより、デザインの概念も変わってきたという。事前にデザインの段階で、ストラップ自体の織り方と連動する指向性クラスプ設計を組み込むことが可能となった。これは従来の方法では実現できなかったものだという。

「ブレスレットのすべての要素は、機能するように正確に設計されています。曲線の半径、各点の柔軟性と剛性 – リンクごとに微調整が組み込まれています。これは、あらゆる点で特注のエンジニアリングを表しています。」と Carr氏はデザインの概念の変化について説明している。

まとめ。材料廃棄を削減し受注生産の形も確立

また、3Dプリントでは、材料廃棄物の量が削減されるだけでなく、何千ものオーダーを事前に注文するのではなく、必要に応じて時計を製造することができるのも大きい。

同社は今回のコラボレーションが成功した後、両すでに次のプロジェクトについて動き出している。今回の3Dプリンターの利用方法は、コストを削減し、効率化を図るだけではなく、デザインのあり方や、生産体制にいたるまで変えつつある。

i-MKAERでは光造形3DプリンターForm3+やレーザー焼結3DプリンターFuse 1Raise3Dシリーズなど多彩な3Dプリンターのノウハウ、販売をご提供しています。ご質問や無料サンプルや無料テストプリントなどお気軽にご相談ください。