自転車のフルオーダー3Dプリントが開始
3Dプリンターで個人の要望に応じたカスタム製造がいろいろな分野で開始されている。
特に身長や体重など、個人個人の体型に合わせて使用されるものに3Dプリント技術はその効果を発揮している。そのため必然的に医療分野やスポーツ分野での使用が多いのが現状だ。
スポーツ分野では特に自転車での使用が最近目立ってきている。本日は自転車のチタンフレームを3Dプリントして製造するオーストラリアのメーカーFlying Machineの取組をご紹介。
もともと自転車は個人個人に合ったカスタムオーダーでの製造が当たり前の業界だ。
規定の自転車に特定のタイヤやフレームなどをカスタムする場合もあれば、完全に1台1台個人の体型にフィットしたフルオーダーという方法で作られる場合もある。
完全なフルオーダーの場合にはフレームの形状やサドルのフィット感など、その人の体型やドライビングスタイルをヒアリングし、自転車製造のプロフェッショナルである熟練工が細部までこだわって加工して作っている。
3Dプリント製造を開始したFlying Machineの場合もユーザーの体型を測定し、ドライビングスタイル等をヒアリングしたうえで設計し3DCADデータを作ったうえで、3Dプリント製造を開始している。
3Dプリント製造によりフレーム製造に10日間、完成したカスタム自転車の完成まで約3週間程度の日時がかかるとのことだ。
今回作られる3Dプリントカスタム自転車は3DP-F1といい、プロトタイプが1月末に、初号機が2月19日に作られている。
3DP-F1 プロトタイプ
3DP-F1
3DP-F1動画
まとめ
従来の金属加工から3Dプリント製造に切り替えることで三つのメリットを得ることが可能だ。
第一のメリットが材料の無駄がなくせるという点だ。従来の金属を焼結して加工する方法では少なからず部材の廃棄部分が出てしまうことになる。
3Dプリントでの製造であれば、全く無駄は出ないことになる。
第二のメリットは非常に細かい部分まで正確に細部を作ることができる点にある。高解像度の3Dプリンターを使用すれば、ミクロン単位で3Dデータ通りに再現することが可能だ。
第三のメリットは製造時間の短縮だ。従来の製造方法だと大体早くても4ヶ月程度の日数がかかってしまう。
しかし3Dプリンターでカスタム製造した場合には、3週間で完成体が納品可能になる。
これだけのメリットが出せるのであれば今後の自転車のカスタムメイドの中心は3Dプリンターでベーシックなパーツを製造し、組立と後加工などの細部の仕上げは人の手によってなされる製造スタイルに変化していくかもしれない。
一方で、3Dプリンターのデータ通りに出すという強みと比較した場合、人の手によって作り出される絶対に機械やデータが真似することが不可能な強みがある。それは人の手によって偶然再現される微妙な風合いだ。
データの正確さと最終的な仕上げを行う人の手の質感が合わさることで、早く安く、今まで以上にいい製品が作ることができるようになるかもしれない。
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