FormWashとは。Form2の洗浄を簡単、手軽にしてくれる
Form2の洗浄は、別売りの自動洗浄機FormWashを使用することで、より簡単に手軽にすることが可能です。付属の仕上げキットを使って洗浄するよりも、より手軽に確実に洗浄することができます。
Form Washの特長
Form Washの最大の機能が全て自動で洗浄を行ってくれる点です。例えば、通常の仕上げキットでは、造形後にビルド・プラットフォームから取り外して洗浄を行いますが、Form Washでは、取りはずしたビルド・プラットフォームをそのまま取り付けるだけで洗浄することができます。
また、Form Washを使えば、時間を気にする必要がありません。通常の仕上げキットでは10分間の洗浄時間を自分で計測して守らなければなりませんでしたが、Form Washを使用すれば、洗浄時間を自由に設定しタイマーをセットすることが可能で、終了すると自動でイソプロピル・アルコール(IPA)から取り出してくれます。
もはや時間を気にすることなく、他の作業を行うことができるのです。またForm Washは洗浄機能も手動よりもはるかに優れています。Form Washの底に取り付けられた回転式のインペラ―によって容器内のイソプロピル・アルコール(IPA)が循環し、より正確にスピーディに余分な樹脂を除去してくれます。
Form Washの8大機能
Form Washには、洗浄をより効率的に手軽にしてくれる8つの機能が備わっています。下記がその機能です。この8つの機能によって、付属の仕上げキットよりも正確に、手軽に、汚れが無く、尚且つ確実に洗浄を行ってくれます。
① 洗浄力UP:インペラ―の回転
Form Washの本体は、ボックス状をしています。基本的には仕上げ用キットと同様、イソプロピル・アルコール(IPA)を入れる容器で構成されています。ただし、単なる容器ではなく、本体の底部に取り付けられたインペラ―が回転することで、容器内のイソプロピル・アルコール(IPA)を循環させ、スピーディに余分な樹脂を除去してくれます。
② 自動洗浄で手離れが言い
通常の仕上げキットですと、片方の容器に10分、もう片方の容器に10分と、自分で時間を計測し、終了後、モデルを取り外さなければなりませんが、FormWashをつかえば時間を気にする必要がありません。設定時間が終われば、自動で容器から取り出してくれて、洗浄のし過ぎによるモデルの消耗を防ぐことができます。
③ 汚れ防止機能:最大8.6リットルの容器。内蓋で汚れ防止
このイソプロピル・アルコール(IPA)が入っている容器は、洗浄用バケットといわれ、8.6リットルまで入れることが出来ます。容器には、入れる量までラインが付けられています。取り外し可能で、イソプロピル・アルコール(IPA)が汚れて洗浄力が落ちたら液体を交換します。
また、取りはずす際に、イソプロピル・アルコール(IPA)がこぼれないように内蓋が設けられています。
④プリントからそのまま移行:ビルド・プラットフォームごと取り付けるだけ
また、Form Washが優れている点は、造形後の取り外しも自動化している点です。従来の仕上げ用キットでは、ビルド・プラットフォームを取り外した後は、治具に取り付けて、スクレイパーなどで造形モデルを取り外した後、洗浄を行いますが、Form Washでは、プラットフォームマウントにビルド・プラットフォームごと取り付けることが可能で、手動で造形モデルを取り外す必要はありません。
⑤ 取り外しも容易:バスケットで洗浄後の取り出しも容易
Form Washは、ビルド・プラットフォームごと取り付けて洗浄用バケットに浸けますが、洗浄中にモデルがビルド・プラットフォームからとれる可能性があります。その際、とれた造形モデルが容器の底に落ちないようにバスケットが備え付けられています。このバスケットは洗浄後の取り出しにも最適です。
⑥ わかりやすい表示:ディスプレイと回転ノブ
Form Washの自動洗浄の時間設定と進行状況などの確認をする部分がディスプレイと回転ノブです。回転ノブは、洗浄時間の選択を行います。ディスプレイでは選択時間と洗浄の残り時間が表示されます。
⑦ 収納機能で綺麗に:ツール保管場所
Form Washの本体にはスクレイパーや比重計など工具やツール類を保管する場所が設けられています。作業後はこの保管場所に収納しましょう。
⑧ 比重計でイソプロピルアルコールの交換時期もわかる
Form Washの構成要素で特長的なのが比重計です。イソプロピル・アルコール(IPA)で洗浄を行っていると、溶けだした樹脂が混ざり合い、濁ってきます。この比重計は、溶けだした樹脂の量が増えたことを確認するためのもので、交換の目安ともなるツールです。
FormWashも仕上げ用キットと同様、洗浄を行うForm Wash本体と、ビルド・プラットフォームから造形モデルを取り出す治工具から成り立っています。下記がその正式名称と用途です。
FormWashの構成
FormWashは以下のような構成になっています。
- プラットフォームマウント:Form2のビルドプラット・フォームをそのまま取り付けることができます。
- バスケット:ビルド・プラットフォームから取り外した造形モデルを洗浄する時に置くカゴです。造形モデルが落ちるのを防いでくれます。
- バスケットマウント:バスケットの上げ下げを容易に行えるようにするフックです。
- 外蓋: イソプロピルアルコール(IPA)が蒸発するのを防いでくれます。この外蓋は、Form Washを使用してしない時は、常に閉じた状態にしておいてください。
- 内蓋 :洗浄バケットからパーツを上げ下げする時にイソプロピルアルコール(IPA)がこぼれるのを防いでくれる二番目の蓋です。開閉する丁番が付いています。
- 洗浄バケット: イソプロピルアルコール(IPA)を8.6 リットルまで入れることができます。こちらの容器は取り外しが可能なため、IPAの交換時などには取り外して交換します。また、底に付いている回転式のインペラーによってバケット内のIPAが循環し、洗浄効率を高めます。
- ディスプレイ:ディスプレイでは、洗浄時間やその他の設定オプションが表示などFormWashの状態が表示されます。
- ノブ:ノブを回すことで、洗浄時間の調整、洗浄サイクルの状態(開始、休止、終了)を操作することができます。回転して選択し、押して決定します。
- ツール保管場所:仕上げキットにも付属している各ツール・工具類を保管する場所です。
- 電源:Form Washの電源です。仕様:24 V, 2 A
- イソプロピルアルコール
付属のツール・工具類
Form Washには、仕上げ用キットと同じ工具類が付属しています。基本的には造形モデルを取り外すための工具類です。造形モデルとビルド・プラットフォームの隙間に入れてこそぎ取るヘラの役割をするスクレイパーや、取り外し用ツール、サポート材を除去するために使用するフラッシュカッター、更に細かい部分を取り除くピンセットなどが付属しています。
また、液体樹脂のべたつきや、イソプロピル・アルコール(IPA)が直接触れるのを防ぐため、使い捨て用のニトリル手袋が付属しています。
- A. フラッシュカッター:サポート材の除去に使用するカッターです。
- B. 取りはずしツール:造形モデルをビルド・プラットフォームから取り除く際に使用するツールです。造形モデルとビルド・プラットフォームの間に差し込み、てこの原理で引きはがすと簡単にモデルが剥がれます。
- C. 比重計:イソプロピルアルコール(IPA)に浮かせることで、洗浄によって溶けだした樹脂の濃度がわかります。この比重計はイソプロピルアルコールの交換の目安に使用します。
- D. スクレーパー:スクレイパーも、ビルド・プラットフォームから造形モデルを取り外したり、樹脂タンク内から硬化した樹脂の残留物を取り除くのに使用します。
- E. ピンセット:微小なパーツを摘まんだり、プリント後のサポートを調整したりする時に使用します。
- F. サイフォン式ポンプ:イソプロピルアルコール(IPA)を保管容器から洗浄バケットに移したり戻したりする時に使用します。
必要な備品 ※付属品ではありません
FormWashや仕上げキットの洗浄には、追加で以下の備品が必要になります。
イソプロピル・アルコール(IPA)※付属品ではありません
イソプロピル・アルコール(IPA)は、仕上げキットの二つの容器や、ボトルに入れるために使用する洗浄剤です。イソプロピル・アルコール(IPA)は樹脂を溶かし、除去するための溶剤で、自前で用意する必要があります。イソプロピル・アルコール(IPA)は地元の薬局やオンラインストアなどで購入することができます。こちらは濃度90%以上のものを使用します。
※イソプロピル・アルコール(IPA)は可燃性が高く取り扱いには注意が必要です。また廃棄する際には産業廃棄物扱いになるため、専門の業者などをお住まいの自治体にお問い合わせください。
その他の備品 ※付属品ではありません
そのほか、ペーパータオルや、アクリルクリーナー、新しい厚手のクリーニングシート(PEC PAD)などがあると便利です。
FormWashのセットアップ
FormWashのセットアップはとても簡単です。たった3ステップで完了します。第一にイソプロピルアルコール(IPA)を入れ、第二に電源をつなぎ、第三に濃度計で濃度を測ったら完了です。
FormWashの開梱と設置
FormWashは、本体の重さが6.7kg、寸法は 26.2 cm x 29.3 cm x 34.0 cmとコンパクトな大きさで、二次硬化専用のFormCureと同じぐらいの大きさです。FormWashの設置条件としては、洗浄が完了すると蓋が開いて、ビルド・プラットフォームとバスケットが30センチほど上がるため、FormWashの上は30センチほどの高さが必要です。
FormWashのセッティング
FormWashを段ボール箱から取り出し、緩衝材を取り外します。梱包材や緩衝材は、FormWashの保証サービスを受ける時に必要になるので、処分せずに保管しておいてください。FormWashサイドの洗浄バケットからサイフォン式ポンプを取り出し、組立指示書に従って、組み立ててください。 サイフォン式ポンプは、洗浄バケットにIPAを足したりする際に使用します。
イソプロピルアルコール(IPA)の挿入
FormWashを指定の場所に設置した後は、洗浄バケットにイソプロピル・アルコール(IPA)を注いでください。イソプロピル・アルコール(IPA)は、Form2の洗浄には必須の溶剤です。外蓋を開き、最小(7.8L)から最大(8.6L)の充填ラインまでイソプロピル・アルコール(IPA)を注いでください。
電源接続
電源ケーブルをForm Washに装着し電源に接続します。USB挿入口がありますが、通常は使用しません。こちらは将来、FormWashのファームウェアを更新する場合に使用します。
濃度計でIPA濃度をキャリブレーション
FormWashのセッティングは最後に付属の濃度計でIPAの濃度を計測して終了です。イソプロピル・アルコール(IPA)は、洗浄をくりかえしていると、溶けだした樹脂によってアルコールの濃度が低下します。アルコールの濃度が低下すると洗浄効果が落ち、造形モデルが綺麗に仕上がりません。そのため、未使用のイソプロピル・アルコール(IPA)を注いだら必ず濃度計で初期設定を行いましょう。
濃度計の名称
A:Oリング
B:フロート
C:ハンドル
D:トールウィング
E:ショートウィング
F:重量
濃度計のキャリブレーション
イソプロピル・アルコール(IPA)に濃度計を入れます。入れると浮輪であるフロートが浮きます。浮いた浮輪の部分まで、リングをフロートの羽の付け根の位置まで下ろし設定します。このリングの位置が90%の濃度の位置であり、溶けた樹脂によって濃度が薄まると浮輪の位置が変わります。
濃度計は90%以上のIPAで動作するように設計されています。そのため、90%未満のIPAや代替溶剤では動作しません。必ず構成には濃度90%以上のイソプロピル・アルコールを使用しましょう。
濃度系の計測とイソプロピル・アルコール(IPA)交換の目安
FormWashで長期間洗浄を行っていると、イソプロピル・アルコール(IPA)が濁ってきて洗浄力が低下します。その際、校正した濃度計を入れると、フロートよりも上にリングがきます。
交換の目安はリングの位置がフロートの羽の上まで来たら交換のタイミングです。詳しくは、下記のイソプロピル・アルコールの交換の項をご参照ください。
Form Washの使い方
Form Washを使った洗浄の仕方をご紹介します。手順は仕上げ用キットよりも更に簡単です。造形が終了後、ビルド・プラットフォームをForm2から取り外し、ビルド・プラットフォームごとForm Washのプラットフォームマウントに取り付けてスイッチを押すだけです。また、洗浄が終了すると自動でイソプロピル・アルコール(IPA)からあげてくれます。
1.回転ノブで設定
まずはじめに、ディスプレイの隣についている回転ノブを回し操作します。回転ノブは時計回り、反時計回りどちらも回転させることができ、回しながらメニューを選択します。選択した項目を行いたい場合に回転ノブを押します。
ディスプレイのメニューは以下の通りです。
- Open:オープンボタンを押すとマウントとバスケットが上がります。
- Start:スタートボタンを押すとマウントとバスケットが下がり、洗浄が自動で開始します。
- 時間:こちらは洗浄する時間を選択します。洗浄時間は分単位で決めることができます。
樹脂ごとによって洗浄時間は異なります。 - Sleep:スリープモードのボタンです。このボタンを押すと、マウントとバスケットが下がり、スリープします。洗浄を開始する場合にはStart(スタートボタン)を押してください。
2. Openオープンボタンを押す
まずOpen(オープン)ボタンを押します。Openボタンを押すとマウントとバスケットが上がってきます。
3.ビルド・プラットフォームをFormWashに取り付ける
Form2から取り外したビルド・プラットフォームをForm Washのマウント部分に取り付けます。ビルド・プラットフォームの上蓋の位置をマウント部分に合わせて、奥に接触するまでしっかりと押し込みます。
3-2. バスケット部で洗浄も可能
ビルド・プラットフォームから先にモデルを剥がして、バスケットの中にモデルを入れて洗浄する方法もありますが、樹脂などを交換する際にはイソプロピル・アルコール(IPA)でビルド・プラットフォームを洗浄しなければならない点や、ビルド・プラットフォームごと洗浄した方が、造形モデルを取り外しやすくなり、スクレイパーなどでキズが付くことを防ぐこともできます。
※FormWashで洗浄できる最大サイズは、14.5cm × 14.5cm × 17.5cm
4. 洗浄時間の設定
次に回転ノブを回して時間の項目に合わせます。回転ノブを押すと、時間の設定を変更することができます。時間は、分単位で設定ができるため、洗浄したい樹脂の種類に合わせて洗浄時間を設定しましょう。また、この設定時間は造形モデルの形状や大きさ、更にはイソプロピル・アルコール(IPA)の汚れ具合などによってことなります。
イソプロピル・アルコール(IPA)が綺麗な状態で10分が基本となっています。またタフレジン以外の樹脂は基本10分となっています。タフレジンは20分です。
5. スタート
洗浄時間の設定後、Start(スタート)ボタンを押すと洗浄が開始します。
6. 洗浄終了とオープン
洗浄時間が終了すると、自動でマウントとバスケットが上がってきます。
7. 乾燥
マウント部分からビルド・プラットフォームを取り出し、作業用キットのトレイの上でモデルに付着したイソプロピル・アルコール(IPA)が気化するまで十分乾燥させます。Form Washに取り付けたまま乾燥させる方法もありますが、イソプロピル・アルコール(IPA)は揮発しやすい液体なため、取り外した方がいいでしょう。パーツが完全に乾くまでには、少なくとも30分掛かります。
8. サポート除去
十分乾燥した後はサポート材を取り外し完成。必要に応じて研磨や塗装などの後加工を行います。
※注意点
イソプロピル・アルコール(IPA)は樹脂を溶かす効果があります。そのため、10分間以上浸けるとイソプロピル・アルコール(IPA)がモデルに染み込みすぎてしまい、劣化したり、変形したり、割れてしまう可能性があります。
特に薄い造形モデルだと10分間で柔らかくなったり溶けたりします。モデルの形状やサイズによってイソプロピル・アルコール(IPA)に浸ける時間は短くするなど調整してください。
FormWashの最適な洗浄時間
FormWashの洗浄時間は基本は10分と決まっていますが、レジンの種類によって異なります。
樹脂 | 洗浄時間 | 注意 |
タフ | 20分 | 樹脂濃度が5%以上の場合、洗浄後に部品表面に粘着性が確認された。 |
リジッド | 15分 | リジッドレジンでプリントしたパーツは、他の材料とは別のバケツで洗浄する必要あり。 |
グレープロ | 15分 | |
キャスタブル | 10分 | 洗浄後は、すべてのIPAが蒸発してから二次硬化、鋳造を行ってください。 |
キャスタブルワックス | 10分 | 洗浄後は、全てのIPAが蒸発してから二次硬化、鋳造を行ってください。空洞などが有る場合には、ポンプなどをつかい完全にIPAを除去してください。 |
ハイテンプ | 6分 | 時間厳守。10分以上洗浄するとIPAを吸収する可能性があります。 |
歯科用SG樹脂 | 5分 | 96%以上のIPAで洗浄してください。洗浄後は完全に乾燥しているか検査し、必要に応じて清潔なIPAで再洗浄します。 |
歯科用LTクリア樹脂 | 5分 | 96%以上のIPAで洗浄してください。最適な機械的特性を得るためには、IPAで10分間以上洗濯しないでください。 |
セラミック樹脂 | 5分 | 別の洗浄バケツを使用してください。セラミック粒子が他の部品に付着する可能性があります。 |
他のすべての樹脂 | 10分 | 樹脂濃度が10%を超えるアルコールで洗浄したときに、部品表面に粘着性が確認された。 |
洗浄時間を変える場合
洗浄をくりかえしていると、樹脂が溶け出しIPAの濃度が低下します。その場合は、レジンの種類に応じて洗浄時間に5分追加します。Formlabsが行った試験では、溶けだした樹脂の濃度が5〜10%に及ぶと、洗浄後でも十分に樹脂が落ちず部品に粘着性が出始めます。
IPAに含まれる樹脂濃度が約10〜12%になったら交換の目安です。1回のIPAで洗浄できる個数は、部品サイズなどによってことなりますが、約200個まで洗浄することができます。
イソプロピル・アルコール(IPA)の交換方法と目安
洗浄のために用いるイソプロピル・アルコール(IPA)は消耗品です。Form Washでも仕上げ用キットでも、長期間イソプロピル・アルコール(IPA)で洗浄を行っていると、樹脂が溶け出し段々と濁ってきます。この樹脂が混ざり濁ったイソプロピル・アルコール(IPA)で洗浄を行っていると、液体樹脂のべたべたが取れず、洗浄効果が落ちます。
そのため定期的にイソプロピル・アルコール(IPA)の状況を確認し、適切なタイミングで新しいイソプロピル・アルコール(IPA)に変えるか、継ぎ足して濃度を高める必要があります。また、イソプロピル・アルコール(IPA)は気化しやすい物質なため、自然と気化して蒸発すると分量が減少し、更にイソプロピル・アルコール(IPA)の濃度が低下します。
イソプロピル・アルコール(IPA)の濃度チェック
イソプロピル・アルコール(IPA)の交換のタイミングは定期的に濃度をチェックすることで知ることができます。濃度をチェックするためには付属の比重計を使います。
Formlabsが推奨しているイソプロピル・アルコール(IPA)の純度は90%ですが、洗浄や気化によってこの純度がどんどん薄まっていきます。比重計は、この純度がどの程度低下しているのかを調べるためのものです。濃度のチェックはこの比重計をForm Washの洗浄用バケットに入れるだけで簡単に調べることができます。
- 1. まずは比重計の校正を行います。校正は必ず新しいイソプロピル・アルコール(IPA)で行ってください。Form Washを初めて使用する際か、イソプロピル・アルコール(IPA)を交換するタイミングで行います。
- 新しいイソプロピル・アルコール(IPA)が注がれた洗浄用バケットに比重計を入れます。
- リングを浮輪が浮いている部分までスライドさせて下げます。これで、90%以上の純度を保っている時の浮輪の位置が固定されました。もし、イソプロピル・アルコール(IPA)の純度が低下した場合、比重が下がりリングの位置が上がることがわかります。
- 濃度をチェックする場合には、使用中のイソプロピル・アルコール(IPA)が入った洗浄用バケットに、校正済みの比重計を入れます。
- 使用してイソプロピル・アルコール(IPA)の濃度が低下すると、リングがついた位置が上に上がります。この上がったリングの位置が、浮輪についている羽よりも高くなったら交換の時期です。
※浮輪の羽の位置
交換の基準となっている浮輪の羽の位置は、イソプロピル・アルコール(IPA)内の液体樹脂の濃度が10%から12%になった場合に設定されています。Formlabsの試験によると、磯プロ内の液体樹脂の濃度が5-10%になると、造形モデルがべたつき、洗浄能力が低下し始めていることがわかりました。校正した比重計のリングの位置が浮輪の羽を超えたら洗浄能力が低下しており交換の適切なタイミングです。
イソプロピル・アルコール(IPA)の廃棄
洗浄能力が低下し、交換したイソプロピル・アルコール(IPA)を廃棄する際には、注意が必要です。イソプロピル・アルコール(IPA)は粘性が低くて難分解性である性質をもち、土壌汚染や地下水汚染を起こすため、産業廃棄物扱いになっており、廃棄は専門業者に依頼しなければなりません。廃棄する際には、お近くの地方自治体などに問合せください。
まとめ
FormWashは、光造形法の課題でもある後処理を飛躍的に効率化してくれる製品です。樹脂の種類ごとに洗浄時間の設定が可能で、終了すると自動でオープンしてくれるため、イソプロピル・アルコール(IPA)へのつけすぎを防いでくれます。
Form2は高精彩、精密な仕上がりが特長ですが、より高品質な造形を実現するためには、正しい洗浄が欠かすことが出来ません。FormWashはそんな洗浄をより正確に、簡単にしてくれる便利ツールです。
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