
Form Cure V2 & Tough 1500 V2登場!Form 4の高速造形を完結させる「60秒硬化」の衝撃
平素よりFormlabs製品をご愛用いただき、誠にありがとうございます。
Formlabsより、光造形(SLA)のワークフローを劇的に加速させる新製品が発表されました。二次硬化装置の最新モデル「Form Cure V2」と、エンジニアリングレジンの定番を改良した「Tough 1500 レジン V2」です。
特にForm Cure V2は、スタンダードレジンであれば「わずか60秒」で二次硬化(ポストキュア)が完了するという、驚異的なスペックを誇ります。
2024年に登場したForm 4は、新技術LFD(Low Force Display)により圧倒的な造形スピードを実現しました。しかし、ユーザーの皆様とお話ししていると、「造形は早いが、その後の洗浄や二次硬化が追いつかず、結局待ち時間が発生している」というお悩みを耳にすることがありました。
今回のアップデートは、まさにその「後処理のボトルネック」を解消し、1日あたりの試作・生産サイクルを最大化するためのラストピースと言えます。本記事では、カタログスペックの解説だけでなく、私たち販売店の視点から見た「現場での活用メリット」と「運用上の注意点」を詳しく解説します。
1. Form Cure V2:Form 4時代の必須ギア
従来のForm Cure(以下V1)をお使いの方なら、硬化時間の長さや、設定温度に達するまでの予熱時間に少なからずストレスを感じていたのではないでしょうか。第2世代となるForm Cure V2は、それらの課題をすべて過去のものにする性能を持っています。
圧倒的なスピードとキャパシティ
最大の特徴は、何といっても処理能力の向上です。新しい光源設計と熱管理システムにより、V1と比較して2倍〜最大8.6倍の高速化を実現しました。
具体的な違いを以下の表にまとめました。
| 項目 | Form Cure V1(旧モデル) | Form Cure V2(新モデル) | 進化ポイント |
|---|---|---|---|
| 硬化時間(目安) | 15分〜60分 | 1分〜15分 | 劇的な時間短縮 |
| 光源 | LED 13個 | LED 48個 | 光量アップと均一性の向上 |
| 加熱方式 | ヒーター | 対流式加熱システム | 素早い昇温と熱循環 |
| 庫内最高温度 | 80℃ | 100℃ | 高温耐熱レジンにも対応 |
| 収容サイズ | 高さ185mm / 径193mm | 高さ245mm / 径235mm | Form 4の最大造形サイズに対応 |
現場での活用イメージ:もう「渋滞」させない
Form 4は、その高速性ゆえに次々と造形物を生み出します。これまでは、前の造形物の二次硬化が終わるのを待ってから次の洗浄品を入れるという「渋滞」が起きていました。
Form Cure V2であれば、例えばグレーレジン V5のようなスタンダードレジンは60秒で処理が完了します。洗浄機から取り出して、水気を切り、Cure V2に入れてボタンを押せば、一息つく間もなく硬化が終わります。これにより、Form 4をフル稼働させても後工程が詰まることはありません。
また、ユーザビリティも向上しています。
- 待機時: 庫内がオレンジ色に点灯
- 稼働時: 庫内が紫色に点灯
離れたデスクからでも「今、硬化中か否か」が一目でわかるため、無駄な確認作業を減らすことができます。
2. Tough 1500 レジン V2:PPライクの真価
Form Cure V2と同時に発表されたのが、PP(ポリプロピレン)ライクな特性を持つTough 1500 レジン V2です。外見上の変化は少ないですが、中身は別物と言っていいほど進化しています。特に「靭性(粘り強さ)」の数値向上は目を見張るものがあります。
V1.1 vs V2 物性比較
| 特性 | 意味 | 旧バージョン (V1.1) | 新バージョン (V2) | 現場への影響 |
|---|---|---|---|---|
| 破壊靭性 | 亀裂の進みにくさ | 102 J/m | 1,011 J/m (約10倍) | ドリル穴あけ等の加工時に割れにくい |
| 衝撃強度 | 薄肉部の耐衝撃性 | 2.5 J | 5.9 J (約2.3倍) | 落としたり叩いたりしても壊れにくい |
| 破断伸び | 引っ張った時の伸び | 63% | 155% | より柔軟に変形し、破断しにくい |
現場での活用イメージ:実製品レベルの検証が可能に
この改良により、Tough 1500 レジン V2は「曲げてもすぐ戻る」というPP特有の挙動をより忠実に再現できるようになりました。
- スナップフィット: 何度も着脱を繰り返す留め具の試作。
- リビングヒンジ: 一体成型の蝶番構造の耐久テスト。
- 治具: 現場でラフに扱われる、耐衝撃性が求められる固定具。
特に破壊靭性が10倍になったことで、造形後の二次加工(タップ切りや穴あけ)における「割れ」のリスクが激減しています。これまで「形状確認用」に留まっていた試作モデルを、「機能評価用」として実使用に近い環境でテストできるようになります。
3. エンジニアの技術ノート
ここからは、メーカー公表のカタログスペックだけでは見えてこない、実際に運用する立場からの「重要ポイント」と「注意点」をお伝えします。
ここがポイント:予熱ストレスからの解放
従来のForm Cure V1の最大の弱点は「予熱の遅さ」でした。特に冬場、冷え切った部屋でターゲット温度(60℃や80℃)まで上げるには数分〜10分近く待つこともありました。
Form Cure V2は、強力なヒーターとファンによる対流式加熱システムを搭載しています。メーカー公表値では、60℃に達するまでわずか60秒(※230V環境下)とされています。これは単なる時間短縮だけでなく、温度管理の精度向上も意味しており、レジンの物性を最大限引き出すために非常に重要です。
Form 4 × Cure V2 で実現する「6分の1」の時短
ある電気コネクタの試作事例(難燃性レジン使用)において、以下の比較データが出ています。
- 旧環境 (Form 3+ & Form Cure V1): 約11時間53分
- 新環境 (Form 4 & Form Cure V2): 約1時間53分
トータル時間を約6分の1にまで短縮可能です。Form 4の「LEDパネル」による面露光の速さと、Cure V2の加熱・光照射の速さが組み合わさることで、午前中に設計したものを昼休み前に完成させるようなスピード感が現実のものとなります。
プロからの注意点・Tips
導入にあたり、知っておくべき注意点が2つあります。
薄肉パーツの「反り」対策
Tough 1500 V2などの柔軟性があるレジンに対し、急激に熱(60℃〜80℃)を加えると、薄肉形状の場合は熱変形で「反り」が発生することがあります。寸法精度を最優先したい場合は、Form Cure V2の設定で「反り低減オプション(熱を加えず光のみで硬化)」を選択してください。ただし、加熱しない分、最終的な機械的強度はTDS(テクニカルデータシート)の数値より若干下がる可能性があります。用途に応じて使い分けましょう。
日本の電源環境(100V)での挙動
「60秒で60℃」というスペックは230V環境でのデータです。日本の一般的な100Vコンセントで使用する場合、昇温時間は80秒〜90秒程度になることが予想されます。それでも旧モデルと比較すれば圧倒的に高速ですが、「カタログ値と全く同じではない」点はご承知おきください。
4. ワークフロー最適化のヒント:コストと品質のバランス
Form Cure V2の導入により、皆様のラボやオフィスでは1日に造形できる個数が飛躍的に増えることでしょう。生産性が上がるのは素晴らしいことですが、同時に気にかけなくてはならないのが「ランニングコスト」です。
造形数が増えれば、当然ながら洗浄工程で消費する溶剤の量も増加します。高速化されたワークフローをコスト面でも支えるのが、弊社オリジナルの「洗浄液 3D Medsupo(スリーディーメドサポ)」です。
なぜ今、3D Medsupoなのか?
優れたコストパフォーマンス
一般的なIPA(イソプロピルアルコール)や純正洗浄液と比較してコストを抑えていますが、洗浄能力は同等以上を確保しています。
運用のアドバイス
Form 4のハイペースな造形に合わせ、洗浄液の交換サイクルも早まります。「高い洗浄液だから限界まで使い倒そう」と交換を渋ると、造形品の表面にベタつきが残り、Form Cure V2での硬化品質にも悪影響を及ぼします。コストパフォーマンスに優れた「洗浄液 3D Medsupo」を使用することで、躊躇なく液交換ができ、常にクリーンな状態で二次硬化へ移行できます。
Formlabs専用ソフトウェア PreFormで配置を最適化し、Form 4で高速造形、3D Medsupoでコストを抑えて洗浄し、Form Cure V2で瞬時に仕上げる。ハードウェア、ソフトウェア、そして消耗品運用までトータルで見直すことで、工場の生産ラインに近い効率を、皆様のオフィス内で実現可能です。
まとめ
今回の新製品発表は、単なるスペックアップにとどまらず、Formlabsが目指す「止まらないワークフロー」を実現するための重要なアップデートです。
■ ここがポイント
- Form Cure V2: 60秒硬化と急速加熱システムにより、Form 4のスピードを完全に活かせる仕様へ進化。
- Tough 1500 レジン V2: 破壊靭性10倍の改良により、実製品(PP)に匹敵するタフな治具・部品製造が可能に。
- トータル運用: 造形数増加に伴うコスト課題は、コストパフォーマンスに優れた「洗浄液 3D Medsupo」の併用で解決を。
「自社の用途でTough 1500 V2は使えるのか?」「Form Cure V2の実機を見てみたい」といったご相談は、販売実績豊富な私たちにお任せください。サンプル造形やコストシミュレーションも承っております。

