Form 4はゴミも減らす?持続可能なものづくりと製造コスト削減の関係

Form 4はゴミも減らす?持続可能なものづくりと製造コスト削減の関係
近年、製造業の現場でも「サステナビリティ(持続可能性)」や「SDGs」といった言葉を耳にする機会が増えました。
「環境への配慮」と聞くと、少し遠い話や、あるいは「コストがかかる義務」のように感じられる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、私たち販売店の視点で現場を見ると、サステナビリティは「廃棄ロスの削減」や「ランニングコストの低下」とほぼ同義であることに気づかされます。
今回は、Formlabsが発表した最新レポート「3Dプリントで持続可能な未来を築く」をベースに、日本の製造現場において「いかにして材料費の無駄を省き、効率的な運用を実現するか」という実利的な視点で解説します。
特に最新機種である Form 4 における、カタログスペックには現れない「ゴミを減らすための設計思想」は必見です。
3Dプリンターが変える「製造と廃棄」の常識
まずは、なぜ3Dプリンターが環境に優しく、かつコスト効率が良いと言われるのか、その根本的な仕組みから整理してみましょう。
1. 「引き算の加工」から「足し算の加工」へ
従来の製造プロセスの代表格であるCNC切削加工は、材料のブロックから不要な部分を削り取る「引き算」の加工法です。これに対し、3Dプリンター(積層造形)は必要な部分だけを積み上げる「足し算」の加工法です。
この違いは、そのまま「廃棄される材料の量」の差となって現れます。
| 比較項目 | CNC切削加工(減算型) | 3Dプリンター(積層造形) |
|---|---|---|
| 材料の使用量 | 完成品よりも大きなブロックが必要 | 完成品+サポート材のみで済む |
| 廃棄物 | 切削屑(キリコ)が大量に発生 | サポート材など最小限 |
| 設計の自由度 | 工具が入る範囲に限定される | 内部を空洞にする「ラティス構造」などで軽量化が可能 |
出典:3Dプリントで持続可能な未来を築く
記事内で紹介されているMAG Orthotics社の事例では、切削加工から3Dプリントへ移行することで、ポリプロピレンの廃棄物を劇的に削減することに成功しています。
必要な分だけ材料を使う。これは環境への配慮であると同時に、高価な材料費をドブに捨てないための賢い選択でもあります。
2. 「デジタル倉庫」による在庫レス化
もう一つの大きなメリットは「在庫」の考え方が変わることです。
金型を用いた製造では、コストを回収するために数千個単位で生産し、巨大な倉庫で保管する必要があります。これには空調管理や土地代がかかるうえ、設計変更があれば在庫はすべて廃棄(デッドストック)となってしまいます。
一方、3Dプリンターを活用すれば、データとして保管する「デジタル倉庫」が実現します。
必要な時に、必要な場所で造形する「オンデマンド生産」を行うことで、物理的な在庫リスクをゼロにし、輸送にかかるエネルギーやコストも削減できます。
現場目線で見る「Form 4」のエコ設計とコストメリット
ここまでは3Dプリンター全般の話でしたが、ここからは最新機種 Form 4 にフォーカスします。
Formlabsは、単に造形速度を上げるだけでなく、「消耗品」の構造を根本から見直すことで、運用コストと廃棄物の削減に取り組んでいます。
新設計レジンカートリッジによる廃棄プラスチックの削減
Form 4 / Form 4L から採用された次世代のレジンカートリッジは、従来(Form 2やForm 3シリーズ)のカートリッジと比較して、プラスチック使用量が約66%削減されています。
- 従来: 強度確保のために厚みのあるプラスチックを使用。
- Form 4: 内部構造と素材を見直し、ボトル形状を維持しながらプラスチック量を大幅に削減。
これは単に「プラスチックが減ってエコ」というだけではありません。産業廃棄物として処理する際、「廃棄重量」が削減されるという現場メリットがあります。企業の環境目標(ISO14001など)において、廃棄物の総重量を減らすことは重要なKPIとなるため、導入するだけで数値改善に貢献できる点は見逃せません。
レジンタンクの長寿命化
消耗品である Form 4 レジンタンク(レジンを入れるトレイ) も進化しました。
Form 4は LFD(Low Force Display) という新しい造形方式を採用しています。タンク底面のフィルム耐久性が向上しており、従来のLFS方式(Form 3+など)と比較して長寿命化を実現しています。
タンクの交換頻度が下がるということは、それだけランニングコストが下がり、廃棄の手間も減ることを意味します。Formlabsは、製品開発の段階から「長く使えること」を重視しているのです。
現場で役立つ運用テクニック
ここでは、メーカー公式情報には書かれていない、私たち販売店が実際に Form 4 を運用する中で気づいた「リアルな情報」をお届けします。
ここがポイント:高速造形だからこそ「シェイク」を入念に
Form 4は造形スピードが非常に速いことが特徴ですが、その性能をフルに発揮するためには、レジンが均一な状態であることが不可欠です。
特に新しいカートリッジを開封する際や、久しぶりに使用する際は、ボトル内の成分が分離している可能性があります。
■ Tips
カートリッジをセットする前に、必ずボトルをよく振って(シェイクして)ください。特に高機能レジンは成分が沈殿しやすいため、入念な撹拌が成功率を高め、結果として材料ロス(失敗による廃棄)を防ぎます。
基本的なことですが、造形失敗の多くは「撹拌不足」や「温度管理」に起因します。機械が進化しても、セット前の準備は人の手が重要です。
注意点:長寿命タンクでも「ローテーション」は必須
レジンタンクが長寿命化したとはいえ、無敵ではありません。
Formlabs専用ソフトウェア PreForm で造形データを配置する際、毎回同じ「中央」ばかりで造形していると、その部分のフィルムだけが局所的に劣化し、曇りが発生します。
■ Tips
小さなパーツを造形する際は、前回の造形位置を覚えておき、次は四隅に配置するなど、意図的に場所をずらしてください。
これにより、タンク全体の寿命を均一に使い切ることができ、結果として交換コストを抑えることができます。
【コラム】高速造形時代の「洗浄」を考える —— Form 4 × 洗浄液 3D Medsupo
Form 4の導入により、造形スピードは従来の2〜4倍(※モデルによる)に向上しました。これは素晴らしいことですが、同時に新たな課題も生まれます。
「造形物が次々と出来上がるため、洗浄作業が追いつかない」 というボトルネックです。
造形個数が増えれば、当然ながら洗浄に必要な溶剤の交換頻度も上がり、廃液処理の手間も増えます。ここでワークフロー全体の効率を落とさないために、私たちが推奨しているのが 洗浄液 3D Medsupo(スリーディーメドサポ) との併用です。
なぜ 3D Medsupo なのか?
| 特徴 | 一般的なIPA(イソプロピルアルコール) | 洗浄液 3D Medsupo |
|---|---|---|
| 揮発性 | 高い(減りが早い・臭いが強い) | 低い(減りにくい・臭いが少ない) |
| 洗浄力 | 高い | 高い(IPA同等以上の溶解力) |
| コスト | 安価だが補充頻度が高い | コストパフォーマンスに優れ、長持ちする |
| 安全性 | 引火性が高い(消防法への対応が必要) | 引火点が高く、非危険物として扱える(※タイプによる) |
Form 4の新機能で材料ロス(造形コスト)を減らし、洗浄液 3D Medsupo で洗浄工程のランニングコストと手間を減らす。
この組み合わせこそが、高速化する3Dプリント環境において、最も無駄のないスマートなワークフローだと私たちは考えています。
まとめ:賢く使い、無駄をなくす
今回の記事の要点をまとめます。
- 3Dプリンターは「必要な分だけ作る」技術:切削加工と比較して、材料廃棄と在庫リスクを根本から削減できます。
- Form 4は「ゴミも減らす」進化:新設計ボトルによるプラスチック削減やレジンタンクの長寿命化は、環境性能だけでなく運用コスト削減に直結します。
- 後処理も含めたトータルコスト意識:造形サイクルの高速化に伴い、洗浄液 3D Medsupo などを活用して、洗浄・廃液処理の効率化も同時に進めることが重要です。
サステナビリティとは、我慢することではなく、技術の力で「無駄」を排除することです。
Form 4の実機や、新しいカートリッジの形状、そして実際の洗浄フローなどにご興味がある方は、ぜひ一度ご相談ください。お客様の製造環境に合わせた最適な構成をご提案いたします。

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