PreForm 3.54新機能「Supports V2」検証!Form 4活用術

PreForm 3.54新機能「Supports V2」検証!
Form 4活用術
いつも弊社技術ブログをご覧いただきありがとうございます。 Formlabs製品の販売・サポートを行っている技術担当です。
先日、Formlabs専用ソフトウェア PreFormの最新バージョン「3.54」がリリースされました。今回のアップデート、正直に申し上げまして「光造形(SLA)ユーザーが長年待ち望んでいた機能」がついに実装されたと言っても過言ではありません。
その目玉機能とは、「Supports V2」です。
これまで、光造形におけるサポート材の除去作業といえば、「ニッパーで慎重に切り取る」「残った痕をやすりで削る(サンディング)」といった手間がかかるものでした。また、サポートによる引っ張りで薄肉パーツが歪んでしまうという精度面での課題もゼロではありませんでした。
今回の記事では、これら「後処理の手間」と「寸法精度」の悩みをソフトウェア側で解決する新機能を、販売店ならではの技術的視点を交えて詳しく解説します。
1. Supports V2:後処理の常識を変える「3つの進化」
今回のアップデートの主役である「Supports V2」は、単なるマイナーチェンジではありません。アルゴリズムが一から再設計されており、造形品の品質に直結する変更が加えられています。
具体的な進化ポイントは以下の3点です。
① タッチポイントの極小化(痕が残りにくい)
モデルとサポート材が接する点(タッチポイント)のサイズが、従来比で平均50%も縮小されました。 これにより、取り外し後の「えぐれ」や「凸」が大幅に軽減され、まるで射出成形品のような滑らかな表面品質に近づきます。
② 配置アルゴリズムの最適化(やすり掛けの時短)
従来のサポート生成は、平らな面にも容赦なくサポートが付く傾向がありましたが、V2ではこれが改善されました。 新しいアルゴリズムは、目立ちやすい「平面」への配置を避け、処理がしやすい「エッジ(角)」や曲面を選んでサポートを立てるように設計されています。
これにより、造形後のサンディング(やすり掛け)にかかる時間が短縮されるだけでなく、デザインの意匠性を損なわずに造形することが可能になります。
③ ラティス構造による除去性(手で外せる)
ここが現場で最も恩恵を感じるポイントかもしれません。 サポート構造自体が、手で握りつぶして外せるような「ラティス(格子)構造」に変更されました。
これまではニッパーで一本ずつ切っていた作業が、「手でパキッと外して、残りを少し整えるだけ」という感覚に変わります。ニッパーを入れる回数が減るということは、誤って繊細なパーツ本体を傷つけたり、細い形状を折ってしまったりするリスクも低減できるということです。
【プロの補足:精度への影響】
実は、Supports V2の真価は「表面品質」だけではありません。「寸法精度」の向上も見逃せないメリットです。 新しいアルゴリズムはモデルの形状を解析し、反りが発生しやすい重要な箇所を特定して最適に支えます。メーカーの公称値では、寸法精度が従来比で2倍向上(誤差が約2mmから1mmへ改善)した事例も報告されています。
これまで「光造形は反るから…」と敬遠していた設計エンジニアの方にも、ぜひ試していただきたい進化です。
2. 現場の効率を上げる3つの新ツール
Supports V2以外にも、プリント準備(Pre-Print)の時間を短縮し、失敗を防ぐための実用的なツールが追加されています。
① 測定ツール
PreForm上で、モデルの任意の2点間の距離を正確に計測できるようになりました。
- 活用イメージ: CADソフトに戻らなくても、「このボス穴の径は合っているか?」「この隙間にレジンが詰まらずに抜けるか?」といった確認をスライス直前に実施できます。X・Y・Z各軸の距離が表示されるため、クリアランスの最終検証に非常に便利です。
② CADアセンブリのインポート
複数のパーツで構成されるアセンブリ(組み図)ファイルをそのまま読み込めるようになりました。 インポート時に「個別の部品として扱う」か「アセンブリ全体として扱う」かを選択できるため、複雑な機構部品の試作準備がスムーズになります。
③ Fill the Build(ビルドを埋める)
ワンクリックで、ビルドプラットフォーム上の空きスペースにモデルを最大充填する機能です。 手動で複製して並べる手間がなくなり、自動計算で最も効率的な配置を行ってくれます。
- 活用イメージ: 「夜間や週末の無人運転時に、可能な限り多くのパーツを生産しておきたい」という場合に、このボタン一つで準備が完了します。
3. 運用上の注意点と検証
素晴らしい機能ばかりに見えるPreForm 3.54ですが、お客様が実際の運用で躓かないよう、いくつか注意点をお伝えしておきます。
Supports V2の適用範囲に注意
現時点では、すべてのレジンでSupports V2が完全対応しているわけではありません。
- デフォルト設定: Tough 1000、Tough 2000 V2など
- プリセット選択: Grey、Clear、Black、Whiteなどのスタンダード系レジン
特殊なエンジニアリングレジンを使用する場合、まだ「V1」の設定が適用されることがあります。造形設定画面の右側メニューで、どちらのサポートタイプが選ばれているか必ず確認してください。
「Fill the Build」と機種の相性
「Fill the Build」は非常に便利ですが、従来のLFS方式(Form 3 / 3+ / 3L)をお使いの方は、詰め込みすぎに注意が必要です。 LFS方式は、各層を剥離する際にパーツに物理的な力がかかります。プラットフォームいっぱいにモデルを配置すると、剥離抵抗が大きくなりすぎて、造形時間の増大や、最悪の場合は脱落などの造形失敗につながるリスクがあります。
一方で、最新機種である「Form 4」のLFD(Low Force Display)方式であれば、この心配はほとんどありません。 Form 4は「リリーステクスチャ」を持ったレジンタンクを採用しており、剥離力が極めて小さいため、プラットフォーム満載の状態でも爆速で、かつ安定して造形が可能です。
「Fill the Build」は、まさにForm 4のポテンシャルを最大限に引き出すための機能と言えるでしょう。
4. 【コラム】生産量が増えたら、洗浄コストの見直しを
今回の「Fill the Build」機能や、超高速なForm 4の導入により、お客様の生産現場では「1日あたりの造形個数」が飛躍的に増えていることと思います。
生産性が上がるのは嬉しいことですが、同時に課題となるのが「洗浄工程」のボトルネックと「ランニングコスト」です。大量のパーツを洗うために、高価なIPA(イソプロピルアルコール)を頻繁に交換していては、コストが圧迫されてしまいます。
そこで私たちが推奨しているのが、コストパフォーマンスに優れた「洗浄液 3D Medsupo(スリーディーメドサポ)」の併用です。
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- 高い洗浄力: IPA同等の洗浄能力を持ち、未硬化レジンを強力に除去します。
- 扱いやすさ: 有機溶剤中毒予防規則(有機則)に非該当のため、管理負担が軽減されます。
- コスト削減: 一般的な洗浄溶剤と比較して導入しやすい価格設定を実現しています。
新しい機能でたくさん造形し、賢く洗浄してコストを抑える。これが、これからのFormlabs製品の運用スタンダードになっていくはずです。
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3D Medsupoの専用洗浄液は非有機溶剤のため、毒性が低く、臭いも少ないのが特徴です。さらに、光造形の洗浄で最大のネックとなる「廃液処理(産廃)」が不要です。廃液回収がサービスに含まれているため、手間もコストも大幅にカットできます。
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まとめ
今回のPreForm 3.54アップデートは、光造形(SLA)の運用を一段階上のレベルへ引き上げる重要な更新です。
- Supports V2により、サポート除去の手間削減と寸法精度向上が同時に実現しました。
- 測定ツールやFill the Buildにより、プリント準備の時間が短縮され、生産性が向上します。
- 生産数が増える今だからこそ、高速なForm 4の活用と、洗浄液 3D Medsupoによるコスト管理の組み合わせが重要になります。
「Supports V2」も魔法ではありませんので、形状によっては多少の調整が必要な場合もありますが、それでも作業効率は劇的に改善します。ぜひ、お手元のPreFormをアップデートして、その違いを体感してください。
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