【徹底解説】熱可塑性プラに匹敵?Formlabs新「Toughレジン」ファミリーとForm 4での活用術

【徹底解説】熱可塑性プラに匹敵?Formlabs新
「Toughレジン」ファミリーとForm 4での活用術
こんにちは。Formlabs製品の販売・サポートを担当している技術スタッフです。
皆様は、光造形(SLA)方式の3Dプリンターで造形したパーツに対して、「見た目は綺麗だけど、力を入れるとパキッと割れてしまう」「時間が経つと変形してしまう」といった悩みを持ったことはありませんか?
これまでの光造形用レジンは、微細な形状確認には最適である反面、強度や耐久性が求められる「実部品」や「治具」としての利用には、物性面での課題があったのも事実です。
しかし、今回Formlabsより発表された「Tough(タフ)レジン」ファミリーのアップデートは、そんな常識を覆す内容となっています。
メーカーの発表によると、今回の新レジン群は、ABSやPP(ポリプロピレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)といった熱可塑性プラスチックに匹敵する機械特性を備えているとのことです。
本記事では、この注目の新マテリアルについて、販売店としての「現場視点」を交えながら、その特徴と Form 4 での活用ノウハウを徹底解説します。
本記事はFormlabs公式発表「Formlabs の次世代 Tough レジンは熱可塑性プラスチックに匹敵」に基づき、弊社独自の検証視点を加えて構成しています。
熱可塑性プラスチックに迫る3つの選択肢
今回のアップデートで注目すべきは、「Tough 1000」「Tough 1500」「Tough 2000」という3つのラインナップが、それぞれ明確に産業用プラスチックの代替を狙って設計されている点です。
特に「Tough 1500」と「Tough 2000」は「V2」へとバージョンアップし、以前のモデルを知るユーザー様にとっては驚くべき進化を遂げています。
それぞれの特徴と、現場でどう使い分けるべきかを整理しました。
1. Tough 1000 レジン(HDPE / デルリン相当)
「シリーズで最も粘り強く、伸びる」
Tough 1000は、高密度ポリエチレン(HDPE)やデルリン(POM)のような特性を持つ材料です。最大の特徴は、破断伸びが180%に達すること。これは、強い力を加えても「割れる」のではなく「伸びて耐える」ことを意味します。
- 繰り返しの摩擦・摩耗が発生する摺動(しゅうどう)部品。
- 手で強く握ったり、変形させたりする製品の試作。
- これまで「Durable レジン」を使用していた場面での、より高耐久・高耐熱な代替として。
2. Tough 1500 レジン V2(PP相当)
「剛性と柔軟性の黄金バランス」
ポリプロピレン(PP)に匹敵する、適度なコシとしなりを持つ材料です。今回のV2へのアップデートで最も進化したのが「靭性(じんせい)」です。破壊靭性が従来比で約10倍に向上しており、ドリルでの穴あけやタッピング加工を行っても、粉々に砕けるリスクが激減しました。
- スナップフィット(パチンとはめ込む爪構造)やヒンジを持つ筐体。
- 繰り返しの曲げ伸ばしが必要な機能部品。
- これまで「光造形は割れやすいから」と敬遠されていた治具類。
※Tough 1500 V2の詳細はこちら
3. Tough 2000 レジン V2(ABS相当)
「シリーズ最強の硬度と耐熱性」
ABS樹脂に相当する、高い剛性と強度を持つ材料です。荷重たわみ温度が70°C(0.45 MPa)と高く、負荷のかかる環境でも形状を維持します。V2では機械特性だけでなく、外観品質も向上しており、より滑らかで深みのある「ダークマットグレー」の仕上がりになります。
- 電子機器のハウジング(筐体)やケース。
- 強い荷重がかかる製造現場の治具・固定具。
- 最終製品に近い見た目と強度が求められるプレゼンテーションモデル。
※Tough 2000の詳細はこちら
【技術ノート】販売店が教える運用ノウハウ
スペックシート上の数値が優れていても、実際に使いこなせなければ意味がありません。ここからは、私たちが普段の検証業務で感じている、新Toughレジンを扱う上での「現場のコツ」と「注意点」をお伝えします。
■ Form 4 との相性が抜群である理由
従来のLFS方式(Form 3 / 3+)でも新レジンは使用可能ですが、真価を発揮するのは間違いなく Form 4 です。
Form 4 の造形方式である LFD(Low Force Display) は、剥離力が非常に小さいため、Tough系のような粘りのある樹脂でも造形失敗のリスクを抑えられます。
また、Form 4 の光源である LEDパネル の高出力UVと、内部ヒーターによる適切な温度管理が、V2レジンの化学反応を促進し、カタログスペック通りの強度と美しいマットな表面品質を実現します。
■ 躓き防止のための3つのTips
1. 「温度管理」が成功の鍵
Tough系レジンは、一般的なスタンダードレジンに比べて粘度が高い(ドロっとしている)傾向があります。
特に冬場など、室温が低い環境ではレジンの流動性が下がり、レジンタンク(レジンを入れるトレイ) への充填や、センサーによる液面検知に時間がかかるエラーが発生しやすくなります。安定運用のために、設置環境の室温を20℃以上に保つことを強く推奨します。
2. サポート材除去は「ニッパー」で丁寧に
粘り強い性質ゆえに、サポート材 を手で強引にもぎ取ろうとすると、モデル本体まで引っ張られて白化したり、最悪の場合は肉がえぐれてしまうことがあります。
面倒でもニッパーを使って根元から丁寧にカットしてください。また、少し硬いと感じる場合は、ヒートガンやドライヤーで軽く温めると、驚くほどスムーズに除去できます。
3. 洗浄は「2段階」を徹底する
高粘度のレジンは、造形後にモデル表面へ未硬化樹脂が残りやすいです。洗浄不足のまま二次硬化を行うと、表面がベタついたり、ディテールが埋まったりする原因になります。
汚れた洗浄液で大まかに洗った後、必ず綺麗な液で仕上げ洗い(リンス)を行う「2段階洗浄」を徹底してください。特に 洗浄液 3D Medsupo(スリーディーメドサポ) などの専用品を使う場合は、液の汚れ具合をこまめにチェックすることが重要です。
【コラム】強靭なパーツを「量産」するためのワークフロー最適化
今回の新レジンと Form 4 の登場により、エンジニアリングプラスチック相当の部品を「1日2回まわす」ような高速サイクルで生産することが現実的になりました。
しかし、造形個数が増えれば増えるほどボトルネックになるのが「洗浄工程」と「ランニングコスト」です。
前述の通り、Toughレジンは粘度が高いため洗浄液が汚れやすく、純正IPA(イソプロピルアルコール)だけを使用していると、交換頻度が高くなりコストがかさむ場合があります。コストを気にして汚れた液を使い続けると、せっかくの「マットで美しい仕上がり」が台無しになってしまいます。
そこで私たちが推奨しているのが、コストパフォーマンスに優れた「洗浄液 3D Medsupo(スリーディーメドサポ)」の併用です。
3D Medsupoは、有機則(有機溶剤中毒予防規則)に該当しない安全性と高い洗浄力を持ちながら、ランニングコストを抑えられる点が特徴です。液を惜しみなく交換できる環境を作ることで、常にフレッシュな状態で洗浄でき、Toughレジンの物性と表面品質を最大限に引き出すことができます。
「Form 4 で高速造形」し、「3D Medsupo でコストを気にせずジャブジャブ洗う」。
この組み合わせこそが、内製化を成功させるための最適解の一つと言えるでしょう。
■IPA廃液の無料回収実施中!
大量造形時代のコスト管理には、「3D Medsupo(スリーディーメディサポ)」の併用をご検討ください。
3D Medsupoの専用洗浄液は非有機溶剤のため、毒性が低く、臭いも少ないのが特徴です。さらに、光造形の洗浄で最大のネックとなる「廃液処理(産廃)」が不要です。廃液回収がサービスに含まれているため、手間もコストも大幅にカットできます。
キャンペーン実施中
現在、新規導入の方を対象に、お手元の「使用済みIPA廃液」および「未使用IPA」の回収も行っています。
まとめ
今回のToughレジンファミリーのアップデートは、単なる材料の変更にとどまらず、3Dプリンターを「試作機」から「製造機」へと進化させる重要なステップです。
- Tough 1000 / 1500 / 2000 は、それぞれHDPE / PP / ABSに匹敵し、実部品レベルの強度を実現。
- 特にV2モデル(1500/2000)は靭性が大幅に向上し、加工や衝撃による「割れ」のリスクを低減。
- Form 4 と組み合わせることで、高粘度レジンでも高速かつ高品位なマット仕上げが可能に。
「本当にプラスチックの代わりに使えるのか?」「自社の製品に合うのはどのレジンなのか?」
もしそのような疑問をお持ちでしたら、ぜひ一度、実物に触れてみてください。
下記ボタンより、技術的なご相談や、Form 4 および 洗浄液 3D Medsupo の実機見学・サンプル造形のご依頼を承っております。皆様の課題解決の一助となれば幸いです。
洗浄液の選定、レジンの相談、お見積りなど、お気軽にご相談ください。無料サンプルもご用意しています。