Form3でフィギュアを3Dプリントする事前準備

スライサーソフト「PreForm」ソフトを使いこなす

 こんにちは!Z造形師です。

 Form3で3Dプリントする場合は、まず先に専用のスライサーソフト「PreForm」を使用して3Dプリント専用のデータを作成します。
この専用ソフトは「OBJまたは「STL」形式のデータを、Form3の専用形式に変換し安定した3Dプリントができるようにします。
変換だけでなく、サポート材をつけて3Dプリント時の補強もおこないます。
「PreForm」ソフトを使いこなすことで、より造形モデルを綺麗に仕上げたり、プリント時間を短縮することが可能です。
またサポート材の数や位置を調整することで、サポート材の切除跡を研磨する手間を軽減することもできます。

事前準備について

 ここではBlenderとZbrushで完全立体にした「ハッカドール2号」を例として、Zbrushデータの全部品のエクスポートから始まり、スライサーソフト「PreForm」の機能と特長をふまえて、Form 3プリンターで綺麗に仕上がる「プリント設定」方法をご紹介します。

 ここでのご紹介は「PreForm」での「プリント設定」に焦点を絞っていますので、その他の「PreFormのインストール・更新方法」と「Form3でプリントを開始する」準備に関しましては、下記の通り別途コンテンツをご参照ください。

「PreFormのインストール・更新方法」
https://i-maker.jp/blog/preform-method-12824.html

「Form3でプリントを開始する」
https://i-maker.jp/blog/form3-how-to-print-12409.html

(※「2.6 データをForm3へアップロードする」から参照ください)

また「ハッカドール2号」というフィギュアを作例としているため、それ以外のPreFormの詳細な使い方は下記をご参照ください。

「PreForm( Form 3専用ソフトウェア)の使い方と造形のコツ」
https://i-maker.jp/blog/preform-method-12824.html

目 次

1)Zbrushからのエクスポート
   ・データの確認作業
   ・サイズ調整「スケールマスター」
2)PreFormへのインポート
   ・1回でのプリント可能量を把握する
3)PreFormでの3Dプリント出力設定作業
4)3Dプリント出力品のチェック

1)Zbrushからのエクスポート

データの確認作業

それではまず作成済のZbrushデータの確認から始めましょう。

 サブツールをフォルダーに格納した状態で、全てを表示しています。
いちおう内容を確認しておきましょう。

まず「脚」部分です。

服と装飾品8点です。

えり周りです。

腕です。

最後は頭と髪の毛です。

以上でパーツの合計点数が、26点となります。

サイズ調整「スケールマスター」

 各パーツの確認が終わったところで、今度はこれらのパーツをエクスポートしていくのですが、その前にやることがあります。
それは「サイズ調整」です。
 今まではサイズを気にせずに調整をしてきましたが、最終的にはハッカドール2号の大きさ(正確には服などのパーツの大きさ)を出力時の希望サイズにしてからエクスポートします。

それでは、ハッカドール2号を「20cm」の身長として出力するための、方法を見ていきましょう。
今回利用するZbrushの機能は「スケールマスター」です。
一発で「身長=20cm」と入力できれば簡単なのですがその方法はまだ機能的に実装されていないので、わかりやすい「服(肩からスカート下)」を代表として比率を計算しましょう。
この「スケールマスター」では服などの一ケ所の寸法を指定すれば、すべてのパーツに対してその寸法比率で変更がかけられるようになっています。
比率計算の結果「肩からスカートの高さ(Y)=6.9cm」となりました。

「肩~スカート服」を「現在のツール」に選択した状態で、上部メニューから「Zプラグイン/スケールマスター」を起動しましょう。

ハッカドール2号のフィギュア改造講座では「ZBrushスケールユニファイ」でモデルに「ユニファイ」をかけていますが、これはZBrushの機能が最もよく働くサイズにリサイズしてくれる機能ですね。
初期化のような機能なので、もしかけていない方は念のためにかけておきましょう。

それでは「シーンスケールセット」ボタンをクリックすると、「服」の「現在のサイズ」と「リサイズに使用する単位」の一覧が出ますので、希望の単位のものを選択しましょう。
今回は「cm」のものを選択しました。

すると「スケールマスター」パネルが「cm」に変換され、「X・Y・Z」スライダーが選択したサイズと単位の値に更新されます。

「X・Y・Z」スライダーを、変更しましょう。

今回変更したいサイズは、「肩からスカートの高さ(Y)=6.9cm」なですが、ここで「重要なポイント」です。
専用ソフト「PreForm」では、Zbrushでの寸法が「10分の1」になってしまいます。
そのためZbrushでの設定数値を「服の高さ(Y)=69cm」にする必要があります。
(2021/6/現在の情報です、改善されている場合もあります)

なおデフォルトで比率固定「R」が有効になっているので、「Y」を1ヶ所変更するだけで「X・Z」も自動で変更更新できます。

「サブツールリサイズ」 をクリックし、リサイズを行います。
「すべて」ボタンがデフォルトで有効になっているので全てのサブツールが同時にリサイズされます。

すこし動作に時間がかかりますが、心配せずに見守りましょう。
順番にリサイズが進行していきます。

もう一度「シーンスケールセット」ボタンをクリックするとリサイズされたことがわかります。

確認出来たらキーボードの「Esc」キーを押して閉じておいて下さい。

同じく「スケールマスター」パネルの下段に「単位スケールへ書き出し」ボタンがありますので、これでエクスポートしましょう。
そこに「全て」ボタンもありますのでこちらを有効にすると全てのサブツールが「個別」に、リサイズされた寸法でエクスポートされます。

もちろん今回は「PreFprm」向けに10倍の大きさにしてありますので、「PreForm」以外のソフトで開いた場合は、身長2mの大きなフィギュア寸法になっています。

この章のまとめ

 今回は完全立体化などの仕上げが完了した「ハッカドール2号」のフィギュアを、3Dプリンター「Form3」専用のスライスソフト「PreForm」で3Dプリントできる状態に加工する前段階の作業をおこないました。
この「PreForm」での作業の良し悪しでもフィギュアの完成状態に大きな差が出ます。
ぜひコツなどを学んでいきましょう!