3Dプリンターでフィギュア用データを作る:Blenderの使い方

作業するソフトに関して

それでは3DプリンターのForm3でフィギュアを造形するために、さらにモデルを修正していきましょう!

今回説明をするにあったて使用するソフトをご紹介します。
使用ソフト:ZbrushPro_2020
                      Blender_2.91

ZbrushとBlenderでの作業に関しては、単体で使用するケースや複合して使用するケースなどを織り交ぜています。
理由としては特にZbrushは高額ソフトなため購入を躊躇する方もいらっしゃると思い、両方のソフトが無ければできないことがないように配慮しております。

Blenderでの3Dデータの読込と穴埋め 

Blenderにアドオンをイントール

初期のままのBlenderには、「おんだ式ハッカドール2号」の「MMD」データは読み込むことができません。
ではどうするかと申しますと、補助ソフトである「アドオン」を導入して読み込めるようにします。
補助ソフトと申しましても、その導入はとても簡単です。

※「MMD tools」アドオンをインストールする場合、Blenderバージョン2.7と2.8以降で仕様が変わっていますのでご注意ください。
※アドオンインストール詳細は別途こちらのリンクに明記しておりますので、こちらを参照下さい。

Blender アドオン「 mmd_tools」の導入方法

 ちなみに「MMD」データとは、ご存じの方も多いとは思いますが正式には「MikuMikuDance」と言うソフトのデータで、3Dモデルキャラクターを読み込んでアニメーションさせる無料のソフトです。
今回はアニメーションはさせません、モデルのみの利用となります。

Blenderに「おんだ式ハッカドール2号」の「MMD」データが読み込めるように、プラグイン「MMD tools」アドオンをイントールしておきましょう。

MMD(.PMX)ファイルを読み込む

Blenderの「ファイル」タブから「インポート」を選択し、該当するMMD(.PMX)ファイルを読み込んでください。

初期ではアニメーションさせるためのボーンが表示されています。
表示が邪魔な場合は、画面でマウスクリックして「ボーンを選択」した後に「Hキー」を押してボーンを非表示にしてください。

3Dデータを構造的に分かれた状態にする

「ハッカドール2号」の3Dデータを読み込んだ直後の初期状態では、モデルはパーツ単位に分かれていない一体型になっています。
これは身体のどこをクリックして選択しても、オレンジの線が全身に表示されることで確認できます。
これを、構造的に分かれた状態にします。
まず、モデルを1クリックして選択しオレンジ枠を表示したのち、モードを「編集モード」に変更します。

その状態で、「メッシュ>分離 > 構造的に分離したパーツで」、を選択します。

すると一体だったモデルが、構造的に分かれた状態に変わります。
先ほどと違い、オレンジの選択された枠線が部品単位の選択に変わっています。

モードを「編集モード」から、「オブジェクトモード」に戻しておきましょう。

3Dデータの各パーツを修正加工

それでは、以前の記事で検討した分割計画に基づいて、各パーツを修正加工していきましょう。

 ですが、修正を行う前にやることがあります。
それはまず3Dプリントするパーツごとに、そのパーツが何か理解できるように名称を整理することです。
特に命名ルールにしたがって変更したほうが、後々の作業効率アップにつながると思います。

方法は簡単で、右上のレイヤーパネル内の該当するデータを「Wクリック」すれば「名称変更」できます。
名称を変更したら、初期設定では自動的にアルファベット(あいう)順に位置が変わります。
そのため、まとめたい項目は同じ名称を文字頭につけるとうまく整理ができると思います。髪の毛のパーツならば、「Hair_・・・・」などを頭につけると1ケ所にまとまります。

3Dデータの「穴」を埋める

それでは次に、3Dデータのポリゴンに開いた「穴」を埋めていきましょう。

代表的な「穴埋め」の方法をご紹介します。
※このほかにも穴埋めの方法はいろいろありますので、皆さんで研究してみてください。

下図に、ハッカドール2号で穴埋めが必要な箇所をご紹介しておきますので、必要に応じてチェックしてください。
ほぼすべて・・と言っても良いかも知れませんね。ゲーム向けのモデルは、これが普通です。

穴埋めと分離した3Dデータの一体化

3Dプリントするためにモデルを作っている時、真っ先に思いつくのはどうモデルを組み立てやすく「分割」するか?だと思います。

ですが意外と見落とされているのが「穴埋め(穴閉じ)」です。
3Dプリントするすべてのパーツは、「閉じたオブジェクト(穴の開いていないオブジェクト)」で、なおかつ「完全立体」でなければなりません。
「分割」した部分の穴は気付きやすいのですが、それ以外にも大量の「穴埋め(穴閉じ)」が必要な箇所や、分離したパーツ(ポイントは重なっているが、実際は分かれている状態)が隠されています。
さらに板ポリゴン状態の服や髪の毛があれば、その立体化も必要となります。

3Dプリントする目的でモデリングしたとしても、身体から切り出して作成した服や靴などあった場合、上記のような状態に自然となってくるものです。
3Dプリントするためのモデリング作業は、「穴のない完全な立体物」作成の道のりであると心がけてくだされば、大丈夫です!

Blenderでの3Dデータの穴埋め

それでは、一例として「首」部分の穴を埋める方法をご紹介いたします。
この方法で、他の穴も同様に処理すれば大丈夫です。

Blenderでの作業環境を整える

まず首部分を加工しやすいように、環境を整えましょう。
「Ctl+Alt+Q」ボタンを押すことで、「4面図⇔パース図」が切り替わりますので、適宜切り替えて作業してください。
首が加工しやすい位置に、下図を参考に調整してください。

Blenderの編集モード

次に、上の図を参考にBlenderのモードを「編集モード」に変えてください。
そうすると、ポリゴンのワイヤーフレームが表示され、加工ができる状態に変わります。

※雑学
 Blenderの「オブジェクトモード」で「ワイヤーフレーム」表示すると、ワイヤーフレームのみの表示になります。
「オブジェクトモード」でこの「編集モード」のように「ソリッド+ワイヤーフレーム」状態にしたいときは、

①「ソリッド」表示に切り替えてから、
②オブジェクトを選択(ビューポートのオブジェクトをクリックでも可)し、
③「オブジェクトプロパティ」タブ内の「▼ビューポート表示/ワイヤーフレーム」にチェックを入れてください。

H3 Blenderの「辺選択」と「面張り」

次に、「編集モード」右横の選択を「辺選択」に変えてください。 

首の1辺を選択してください。
この時に後々のことを考えて、左右対称になるような穴埋めをしていきます。
特にこの方法は、選択した「辺」の位置によってポリゴンが張れたり張れなかったりしますので、「元に戻す」などを利用して試行錯誤してうまく張ってください。

今回は試行錯誤した結果、図のような位置からスタートすればよいことがわかりました。 

この状態で「F」キーを押してください。するとその辺を起点として四角ポリゴンが張られます。

そのまま連続して「F」キーを押しますと、連続して四角ポリゴン面が張られます。

この要領で左右対称に面を張るのですが、このまま「F」キーを押すと左右対称に四角ポリゴン面が張られません。

先ほどの対称位置を選択して、「F」キーを押して四角ポリゴン面を張ってください。

次に、下図のように選択して「F」キーを押してください。左右同様に四角ポリゴン面を張ってください。

今回は試行錯誤した結果、下図のような位置からスタートすればよいと思います。

最後に、そのまま「F」キーを押して、四角ポリゴン面を閉じてください。

四角ポリゴンを三角ポリゴンに変換

念のために、中央の四角ポリゴンを三角ポリゴンに変換して、左右対称にしておきます。
①「面選択」に切り替えます。そして、中央のポリゴンをクリックして選択します。

②「Ctl+T」を押すと、三角ポリゴンに分割変換されます。 

③穴埋めが完了しました。 

この章のまとめ

Blenderに「ハッカドール2号」の3Dデータを読み込んでパーツ分けをしたのちに、例として首の「穴埋め」を行いまいした。
この方法で、まずは簡単な目立った穴を埋めていきましょう。
完全立体から見た時、ハッカドール2号にはたくさんの穴が開いていますので焦らずにコツコツと作業していきましょう。